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「279話」
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変な場所だったら、こいつ釣りの餌にでもしてやろうか? なんてことを思いながら生首に視線を向けるが、生首は気付いた様子もなく鼻歌交じりにカニ飯をぱくついている。
使うならBBQ広場かな……と考えていると、ふいに生首が割り箸をひょいっと動かした。
「その空き地だね」
「へ?」
空き地ってどういうこっちゃと思い、割り箸が指し示す方へと視線を向けると、確かにそこには空き地があった。
何せ売地って看板たっているしね。
でもね、空き地にはあり得ないものもそこにはあったんだ。
「なんか鳥居があるんだけど……まさかこれ?」
「そうだとも!どうだい? なかなか立派だろう?」
冗談だよね? そんな期待をこめて生首に尋ねたんだけどね、あっさり肯定された。
嘘でしょ。空き地に急にこんなんできたら目立つとかってレベルじゃねーぞっ。
海中とかじゃないだけまだましだけどさあっ。
「鳥居は立派だけどさ。これ入り放題じゃん。ダメっしょ」
さすがに中村からもダメ出しがでたぞっ。
一般人がうっかり入ろうものなら、一体どんな目にあわされるか……なにせこの生首がつくったダンジョンだ。トラウマ程度ですめばいいけど……。
つーか、これこのまま放置したらあかんやつだ。
お偉いさん方もよく許可だ出したなっ。
「まさかここまであからさまにあるとは思わなかった。これ、ちょっとこの辺り封鎖して貰わないと……」
この場合はどこに通報すりゃいいんだろ。
警察? 自衛隊? それともお偉いさん?
「大丈夫。他の人には見えてないし、偶然鳥居をくぐっても中には入れないよ! 君たちや車の姿も一時的に認識できないようにしてあるから、安心したまえっ」
「……さすがにそのへんは対策してるか」
と、スマホを取り出して電話かけようとしていた俺に、生首がドヤ顔でそう話す。
まあ、そりゃそうかとは思うけど、なんかむかつくぞこんにゃろーっ。
とりあえず、この鳥居に関しては周囲への対策はできているということで、空き地に車を停めてみんな降りたよ。
「さて……んじゃ入ってみます?」
「入ろうかー」
「ちょいまち、カメラ用意すっから」
どうも生首はダンジョンに入ってからじゃないと説明する気はないらしいので、もう中に入るっきゃない。
「これ、どうやって入るのー? くぐるだけー?」
「そうだよ!」
遥さんが生首に尋ねたが、ぱっと見はただの鳥居だもんな。
階段があるとか、へんな空間への入り口が見える……とかそんなことは一切ない。
普通に鳥居の向こう側の景色が見えてるんだ。ちなみに海と少しだけ民家が見えてるね。
「よし、じゃあ入るぞー」
「ちょっとまった!」
カメラの準備を終えた中村が鳥居へと向かおうとするが、俺はそれに待ったをかける。
たぶん大丈夫とは思うけど、念には念をいれたほうが良いと思うんだ。
立ち止まった中村にかわり、俺がすっと先頭に立つ。
「なんで私を鷲掴みにしてるんだね」
「盾代わり」
「人でなしっ」
お前が先に入るんだよぉっ!
鳥居を潜ると軽い酩酊感と共に、景色が一瞬で変わった。
「……なんで和室?」
ダンジョンだから、石造りだったり、洞窟だったりを想像していたのだが、鳥居の先はまさかの和室だった。四方全てに襖があるが、全て閉じているのでその先がどうなっているのかは分からない。
……まあ鳥居だし、その先に日本風のものがあってもおかしくはないのかもだけどさ。
「私の趣味だよ」
鷲掴みにしていたはずの生首が、いつのまにか畳の上を転がり、くるりとこちらを向いてそういった。
「さいですか……」
ちょっとホラー感が出てきたなあ……帰ろうかな。
俺、ホラー物はそんなに得意じゃないんだよな。
生首単体ならいいんだけど、こう和室とかと合わさるとちょっとね……。
と、そんな俺の気持ちを察したのかは分からないが、イースに変化が起きる。
「さてさて、それじゃあここのダンジョンについて説明しようか」
「うおっ」
畳から生首の体が生えたのだ。
もちろん体には頭部はない、代わりにイースの生首がすっぽりおさまってはいるが……若干不安定に見えるのが嫌だ。
ああ、ちゃんと服は着ているので安心してほしい。
なんか袴っぽいね。和風であわしたのだろうか。
……悔しいが似合っているとは思う。
「ここはアマツではなく、私……イースがつくったダンジョンだよ」
手で頭のポジションを修正し、落ち着いたところでイースはそう話はじめた。
何時になく真面目な口調ではあるが、やっぱ顔はドヤ顔のままだ。
どうせなら顔も真面目な風にすりゃいいのに。
「アマツのダンジョンとの違いは、まず痛みがないことだね」
「ここでは手足が折れようがもげようが傷むことはない。まあ、ダメージが大きすぎると死亡判定となって、初期位置に戻ることにはなるがね」
この辺りは事前の情報で分かっていたことかな?
痛みがないのは、かなり影響でかいだろう。
「それと、他に異なる点として……仮にアマツのダンジョンでレベルを上げていたとしても、ここのダンジョンではみんなレベル1から始めることになる」
「ん?」
「それって……」
ちょっとさらっと重要なこと言いませんでしたかね??
つーか、レベル1から始めるってお前それ……。
「ここのダンジョンでレベルを上げても、再び潜るときにはレベル1に戻る」
「ああ、安心してほしい。ここのダンジョンから出れば、アマツのダンジョンで上げたレベルは元に戻るよ。あくまでここのダンジョン内でだけって話さ」
……それをもっと早く言えよといいたい。
アマツのダンジョンで上げたレベルまで1にされちゃたまったもんじゃないし。
正直かなり焦ったぞっ。
もちろん焦ったのは俺だけじゃないはずだ。
薫さんに中村、太郎はわからないけどクロだって絶対焦ったはず。
なのにこの生首ときたら相変わらずドヤ顔のまま話続けているときた。
「あ」
「おー、飛んだねえ」
「はい、カァーット!!」
予想通りというかなんというか。
イラっと来たクロの一撃でイースの生首が宙をドライブシュートでかっ飛んでいったよ。
使うならBBQ広場かな……と考えていると、ふいに生首が割り箸をひょいっと動かした。
「その空き地だね」
「へ?」
空き地ってどういうこっちゃと思い、割り箸が指し示す方へと視線を向けると、確かにそこには空き地があった。
何せ売地って看板たっているしね。
でもね、空き地にはあり得ないものもそこにはあったんだ。
「なんか鳥居があるんだけど……まさかこれ?」
「そうだとも!どうだい? なかなか立派だろう?」
冗談だよね? そんな期待をこめて生首に尋ねたんだけどね、あっさり肯定された。
嘘でしょ。空き地に急にこんなんできたら目立つとかってレベルじゃねーぞっ。
海中とかじゃないだけまだましだけどさあっ。
「鳥居は立派だけどさ。これ入り放題じゃん。ダメっしょ」
さすがに中村からもダメ出しがでたぞっ。
一般人がうっかり入ろうものなら、一体どんな目にあわされるか……なにせこの生首がつくったダンジョンだ。トラウマ程度ですめばいいけど……。
つーか、これこのまま放置したらあかんやつだ。
お偉いさん方もよく許可だ出したなっ。
「まさかここまであからさまにあるとは思わなかった。これ、ちょっとこの辺り封鎖して貰わないと……」
この場合はどこに通報すりゃいいんだろ。
警察? 自衛隊? それともお偉いさん?
「大丈夫。他の人には見えてないし、偶然鳥居をくぐっても中には入れないよ! 君たちや車の姿も一時的に認識できないようにしてあるから、安心したまえっ」
「……さすがにそのへんは対策してるか」
と、スマホを取り出して電話かけようとしていた俺に、生首がドヤ顔でそう話す。
まあ、そりゃそうかとは思うけど、なんかむかつくぞこんにゃろーっ。
とりあえず、この鳥居に関しては周囲への対策はできているということで、空き地に車を停めてみんな降りたよ。
「さて……んじゃ入ってみます?」
「入ろうかー」
「ちょいまち、カメラ用意すっから」
どうも生首はダンジョンに入ってからじゃないと説明する気はないらしいので、もう中に入るっきゃない。
「これ、どうやって入るのー? くぐるだけー?」
「そうだよ!」
遥さんが生首に尋ねたが、ぱっと見はただの鳥居だもんな。
階段があるとか、へんな空間への入り口が見える……とかそんなことは一切ない。
普通に鳥居の向こう側の景色が見えてるんだ。ちなみに海と少しだけ民家が見えてるね。
「よし、じゃあ入るぞー」
「ちょっとまった!」
カメラの準備を終えた中村が鳥居へと向かおうとするが、俺はそれに待ったをかける。
たぶん大丈夫とは思うけど、念には念をいれたほうが良いと思うんだ。
立ち止まった中村にかわり、俺がすっと先頭に立つ。
「なんで私を鷲掴みにしてるんだね」
「盾代わり」
「人でなしっ」
お前が先に入るんだよぉっ!
鳥居を潜ると軽い酩酊感と共に、景色が一瞬で変わった。
「……なんで和室?」
ダンジョンだから、石造りだったり、洞窟だったりを想像していたのだが、鳥居の先はまさかの和室だった。四方全てに襖があるが、全て閉じているのでその先がどうなっているのかは分からない。
……まあ鳥居だし、その先に日本風のものがあってもおかしくはないのかもだけどさ。
「私の趣味だよ」
鷲掴みにしていたはずの生首が、いつのまにか畳の上を転がり、くるりとこちらを向いてそういった。
「さいですか……」
ちょっとホラー感が出てきたなあ……帰ろうかな。
俺、ホラー物はそんなに得意じゃないんだよな。
生首単体ならいいんだけど、こう和室とかと合わさるとちょっとね……。
と、そんな俺の気持ちを察したのかは分からないが、イースに変化が起きる。
「さてさて、それじゃあここのダンジョンについて説明しようか」
「うおっ」
畳から生首の体が生えたのだ。
もちろん体には頭部はない、代わりにイースの生首がすっぽりおさまってはいるが……若干不安定に見えるのが嫌だ。
ああ、ちゃんと服は着ているので安心してほしい。
なんか袴っぽいね。和風であわしたのだろうか。
……悔しいが似合っているとは思う。
「ここはアマツではなく、私……イースがつくったダンジョンだよ」
手で頭のポジションを修正し、落ち着いたところでイースはそう話はじめた。
何時になく真面目な口調ではあるが、やっぱ顔はドヤ顔のままだ。
どうせなら顔も真面目な風にすりゃいいのに。
「アマツのダンジョンとの違いは、まず痛みがないことだね」
「ここでは手足が折れようがもげようが傷むことはない。まあ、ダメージが大きすぎると死亡判定となって、初期位置に戻ることにはなるがね」
この辺りは事前の情報で分かっていたことかな?
痛みがないのは、かなり影響でかいだろう。
「それと、他に異なる点として……仮にアマツのダンジョンでレベルを上げていたとしても、ここのダンジョンではみんなレベル1から始めることになる」
「ん?」
「それって……」
ちょっとさらっと重要なこと言いませんでしたかね??
つーか、レベル1から始めるってお前それ……。
「ここのダンジョンでレベルを上げても、再び潜るときにはレベル1に戻る」
「ああ、安心してほしい。ここのダンジョンから出れば、アマツのダンジョンで上げたレベルは元に戻るよ。あくまでここのダンジョン内でだけって話さ」
……それをもっと早く言えよといいたい。
アマツのダンジョンで上げたレベルまで1にされちゃたまったもんじゃないし。
正直かなり焦ったぞっ。
もちろん焦ったのは俺だけじゃないはずだ。
薫さんに中村、太郎はわからないけどクロだって絶対焦ったはず。
なのにこの生首ときたら相変わらずドヤ顔のまま話続けているときた。
「あ」
「おー、飛んだねえ」
「はい、カァーット!!」
予想通りというかなんというか。
イラっと来たクロの一撃でイースの生首が宙をドライブシュートでかっ飛んでいったよ。
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