嫁の奇妙な夢物語

1/2〜1/31

花火大会

ジリジリと地面を焦がす様に暑い夏。

顔を出すたび生物から水分を奪って行く太陽も月に変わる。

今日は近所の河川敷で行われる花火大会。

私は小学生。
少し大きな小学生。

実際には、まだ保育園児の息子も同じ小学校のクラスメイト。

学校も終わり、私と息子。
そしてヒカルという女の子と3人で帰宅していた。

「今日、3人で花火大会いこ！」
息子は無邪気な笑顔を浮かべて私達にそう言った。

ヒカルも大賛成。
「え、いーじゃん！行こ！絶対楽しいよ！」

2人は今夜の花火大会の話で盛り上がり、いつしかそれは提案から約束へと変わっていった。

私は。
私は嫌だった。

なぜなら私はヒカルと仲良くないから。
友達と呼べるのかさえ分からない程に仲良くないヒカル。

どうしてヒカルを交えた3人で帰宅しないといけないのかわからないのに、そんなヒカルと花火大会。

楽しいわけがない。
どうしても断りたいのに口に出せない。

私はこうしてヒカルと息子と帰ってるけど、私はヒカルの事を知らない。

知っているのはヒカルと言う名前とヤバイくらいスネ毛が生えていると言う事だけだった。