背番号なしの戦いー元プロ野球選手が書いたリアルストーリー

第十八話 次なるステージへ

「悠真さん、今日の商談、僕なりに工夫してみました！」

後輩の元選手が自信を持って話す姿を見て、悠真は胸が熱くなった。

最初は何も分からず、戸惑っていた彼が、自ら考え、成長していく姿。

それはまるで、かつての自分を見ているようだった。

——人が成長する姿を見るのは、こんなにも嬉しいものなのか。

悠真は、この喜びを噛みしめながら、自分自身も変わり始めていることを感じていた。

「俺は今、後輩の成長を支えている。でも、もっと多くの選手たちに選択肢を作ってあげるには——。」

悠真の中で、新たな目標が生まれた。

「四年目には、マネージャーになる。」

マネージャーになれば、採用と育成に関わることができる。

それはつまり、セカンドキャリアに悩む元選手たちの受け皿を作ることができるということ。

「野球を引退した後の人生も、輝けるものにしたい。」

「選択肢を一つでも増やして、安心して新たな世界に飛び込める環境を作りたい。」

悠真は、明確なビジョンを持った。

自分が成功するためではない。

これからの世代のために、新たなキャリアの道を作るために——。

野球の先にある未来を切り拓く

「俺がビジネスの世界で成功するためにここに来たわけじゃない。」

「ここにいるのは、プロ野球選手たちが引退後に新しい道を見つけられる環境を作りたかったからだ。」

その強い想いを胸に、悠真は次のステージへと一歩を踏み出した。

彼が目指すのは、ただの成功ではない。誰かの未来を支えること。

悠真は『人にいい影響を与え、人の成功を応援する』という現役中とは真逆のことが生きがいに変わっていた。