22 / 30
決着
真実
しおりを挟む
さて、自国の天変地異について調べると決めた私だが、一つだけ心当たりがあった。この辺りの歴史について学んだとき、以前この地にあった王国が滅亡する直前にも天変地異が起こったという記録を読んだことがある。
しかしアドラント王国建国当初に天変地異に悩まされていたという話は聞いたことがない。てっきり歴史書の脚色か何かかと思っていたが、もしかすると重要な意味、例えば何か魔法的な条件が絡んでいるというようなことがあるのかもしれない。
そう考えた私は、翌朝早速アマーリエの元に赴いた。この城の書物の事情について詳しい知り合いが他にいないからだ。
アマーリエは昨日の会話、そしてその後私が殿下と話していたことから薄々何かを予感していたらしく、私の来訪にそこまで驚かなかった。私は自国の災害について調べたいという旨を伝える。
「……そうですか、分かりました」
私が事情を説明するとアマーリエは少し含みのある表情で頷く。
もし私が一介の民であれば生まれた国で災害が起こっていても、歴史書を調べようなどと思わないだろう。せいぜい支援のためにお金や食糧を送るぐらいではないか。
これまでのいきさつも合わせて、彼女は私の身元に何かがあることを察して、それでもあえて追及しないでくれているのかもしれない。
「という訳でこの城にある古い歴史書を読みたいのです」
「分かりましたわ。でしたら書庫に案内いたします」
そう言ってアマーリエは城の中央へ向かうと、地下へと向かう階段を下りていく。地下はひんやりとしていたが、書庫があるためか、からっとしていた。暗かったが、アマーリエは殿下が開発した魔法のランタンに灯りをともす。
地下の部屋に入っていくと中には迷路のような書架が続いている。たくさんの本を所蔵するためか、書架同士の間隔は狭くて歩きづらい。しかしアマーリエはよく来ているのだろう、迷うことなく歩いていく。
そしてそのうちの一角でアマーリエは足を止める。
「歴史書は大体この辺りにありますわ。ただ、やはりこの国に関係するものが多いのでアドラント王国のことが分かるかは何とも言えませんが」
「いえ、ありがとうございます。何とか調べてみます」
「では健闘をお祈りいたしますわ」
アマーリエが去っていくと、私は薄暗い書庫の片隅で書物をめくり始めた。関係すると思われる書物をぱらぱらとめくり、気になったページに紙を挟むか、文章を書き写していく。
最初は書庫の外の文机まで何冊かずつ運んでいたが、大部分は参考にならないものばかりで往復回数が増えたので、やがて私は書架の前で立ったまま薄暗い灯りを頼りに読書する方針に切り替えた。
大部分の歴史書には先代王国の末期に起こった災害がいくつか書かれているだけで原因や対処法についてまでは言及されていなかった。中には「王の暴政に天地が怒った」という記述もあったが。
ただ、起こった具体的な出来事を照らし合わせていくとほとんどのものが一致するため、実際にそれらの災害が起こったのは確かなようだった。
というのも、古代の歴史書は暴政を行った王が国を亡ぼすとお決まりのように「噴火」「洪水」「旱魃」「地震」などの天変地異がつけたされるので(天地が怒るほどその王国が酷かったことを表したいのだろう)、脚色の可能性があったためである。事実と分かった私はより詳細な記述を求めて読書を続けた。
そんな中、私は気になる記述を見つけた。
とある書物によると先代王国の王は闇の精霊と契約し、元々周辺にいた精霊たちを追い出したため王国から精霊の加護が失われたのだという。作り話のようにも思えたが、「偶然天変地異が続出した」という説明よりは納得できるかもしれない。
「でもあのバカ王子に闇の精霊と契約するなんて芸当は出来るだろうか?」
私は首をかしげる。そもそも闇の精霊と契約するほど精霊に詳しければ私が言っていることが嘘ではないと分かるはずだ。闇の精霊などという記述は他の本では全然見かけなかったし、眉唾ものではないかと思ったところでふと気づく。精霊のことは精霊に訊けばいいのだと。
「あなたたち、闇の精霊って知っている?」
地水火風の四精霊はどの属性も周辺にないため精霊たちは皆小ぢんまりとした姿になっていたが、私の言葉を聞くと一斉に頷く。
「闇の精霊って今王国にいるの?」
(うん。おそらく女と一緒にいる)
ノームが答える。精霊は私たち人間の顔を識別出来ないらしい。
しかし歴史書の記述によるとその闇精霊が王をそそのかして他の精霊たちを追い出したという。
そこで私はさらに思い当たる。その話はそのまま今の構図に当てはまるのではないか、と。追い出されたのは精霊ではなく私だけど、闇精霊が王国にいて、精霊が国を出て、災害が起こる。この流れは一致している。
「もしかして二百年前に闇精霊に追い出されたのってあなたたち?」
(いつなのかは知らないけど、確かに闇精霊には追い出された)
永遠の時を生きる(?)精霊には時間の概念もないらしいので、漠然とした答えになる。
「あなたたち以外に王国に精霊っているの?」
(いるけど、私たちに比べるとかなり小さい)
「……ということは、あなたたちがいなくなったせいで王国では噴火とか地震が起こっているの?」
正直私は精霊たちが否定してくれることを願っていた。もしもこのことが事実であれば、災害が起こっているのは私が何も考えずに精霊たちを連れて王国を出てしまったからということになる。そう考えると血の気が引いた。
が、悪い予感は当たった。
(そうかもしれない。元々あの地は人が住むのに向かない地だった)
精霊たちは頷いた。
それを聞いて私は愕然とする。まさか私が懸命に解決しようとしている問題の発端が私だったなんて。私のせいで大勢の国民が災害による被害を受けているということだ。大体、いくら精霊についての知識が国にないからといって、考えなしに精霊と一緒に国を出たのは軽率過ぎではなかったか。
「私のせいで……私のせいで、アドラント王国は災害に襲われているの?」
思わず私は口に出してしまう。
別に精霊たちに問いかけた訳ではなかったが、シルフから答えが返ってくる。
(それは違う。私たちは対話出来る者たちがいればその者についていく。なぜなら私たちは孤独だから。そしてそれを知って闇の契約者はあなたを追い出した)
予想と少し違う答えが返ってきて、私は驚く。しかしそう考えると全ての辻褄が合う。
ていうことは……
「もしかして闇の精霊と契約しているのはアイリス?」
私の問いに精霊たちは首をかしげる。
アイリスと言っても分からないのだった。
「ごめん、殿下の隣にいた女?」
精霊たちもぎりぎり王子だけは識別しているので、そう聞いてみる。
すると四人の精霊たちは一斉に頷いた。
「闇の精霊っていうのはどのような存在なの?」
(人々の負の感情をよりどころにして力を得る存在)
その答えを聞いて私の中で全てが繋がった。
アイリスは経緯は不明ながら闇の精霊と契約した。もしかしたら王子を誘惑したのも闇の精霊に魔力を借りて魅了の魔法を使ったのかもしれない。闇の精霊は私を追い出せば他の精霊たちもついていくと分かっていたのだろう、アイリスを指示して私が追い出されるように仕向けさせた。
思い出してみれば、婚約破棄を言い渡すときも王子はアイリスの言うことを聞いていたような気がする。
四精霊がいなくなれば王国は災害に見舞われ、人々は不幸に見舞われる。後はアイリスが王子を適当に誘惑して悪政を敷かせれば負の感情は瞬く間に蓄積していくだろう。
それに気づいた私は血の気が引いた。これらのことが全て作為的に引き起こされているのであれば、より悪い方向に向かっているということになる。
何とかする方法はないだろうか。そう思った私は精霊に尋ねる。
「ところで、あなたたちなら闇の精霊に勝つことは出来る?」
(精霊同士で戦っても決着は着かない。精霊に命はないから)
確かに精霊同士が喧嘩して火の精霊が死に、この世から火がなくなりましたなんてなったら困る。
(でも力をもらう者さえいなければ闇の精霊も大したことは出来ない)
言われてみれば、この四精霊も自然に対する加護を及ぼすだけで、直接的に何かをすることは今までなかった。魔法は全て私が魔力をもらって使うだけだった。
そして精霊とコミュニケーションがとれる人物はそうそういない。ということは私が戻ってアイリスさえ何とかすれば、闇の精霊も大したことは出来なくなるはずだ。
「アイリスを倒すのに力を貸してくれる?」
(もちろん、闇の精霊は私たちにとっても敵なのだから)
精霊たちは次々に頷き返してくれた。それを見て私も決意を固めた。
しかしアドラント王国建国当初に天変地異に悩まされていたという話は聞いたことがない。てっきり歴史書の脚色か何かかと思っていたが、もしかすると重要な意味、例えば何か魔法的な条件が絡んでいるというようなことがあるのかもしれない。
そう考えた私は、翌朝早速アマーリエの元に赴いた。この城の書物の事情について詳しい知り合いが他にいないからだ。
アマーリエは昨日の会話、そしてその後私が殿下と話していたことから薄々何かを予感していたらしく、私の来訪にそこまで驚かなかった。私は自国の災害について調べたいという旨を伝える。
「……そうですか、分かりました」
私が事情を説明するとアマーリエは少し含みのある表情で頷く。
もし私が一介の民であれば生まれた国で災害が起こっていても、歴史書を調べようなどと思わないだろう。せいぜい支援のためにお金や食糧を送るぐらいではないか。
これまでのいきさつも合わせて、彼女は私の身元に何かがあることを察して、それでもあえて追及しないでくれているのかもしれない。
「という訳でこの城にある古い歴史書を読みたいのです」
「分かりましたわ。でしたら書庫に案内いたします」
そう言ってアマーリエは城の中央へ向かうと、地下へと向かう階段を下りていく。地下はひんやりとしていたが、書庫があるためか、からっとしていた。暗かったが、アマーリエは殿下が開発した魔法のランタンに灯りをともす。
地下の部屋に入っていくと中には迷路のような書架が続いている。たくさんの本を所蔵するためか、書架同士の間隔は狭くて歩きづらい。しかしアマーリエはよく来ているのだろう、迷うことなく歩いていく。
そしてそのうちの一角でアマーリエは足を止める。
「歴史書は大体この辺りにありますわ。ただ、やはりこの国に関係するものが多いのでアドラント王国のことが分かるかは何とも言えませんが」
「いえ、ありがとうございます。何とか調べてみます」
「では健闘をお祈りいたしますわ」
アマーリエが去っていくと、私は薄暗い書庫の片隅で書物をめくり始めた。関係すると思われる書物をぱらぱらとめくり、気になったページに紙を挟むか、文章を書き写していく。
最初は書庫の外の文机まで何冊かずつ運んでいたが、大部分は参考にならないものばかりで往復回数が増えたので、やがて私は書架の前で立ったまま薄暗い灯りを頼りに読書する方針に切り替えた。
大部分の歴史書には先代王国の末期に起こった災害がいくつか書かれているだけで原因や対処法についてまでは言及されていなかった。中には「王の暴政に天地が怒った」という記述もあったが。
ただ、起こった具体的な出来事を照らし合わせていくとほとんどのものが一致するため、実際にそれらの災害が起こったのは確かなようだった。
というのも、古代の歴史書は暴政を行った王が国を亡ぼすとお決まりのように「噴火」「洪水」「旱魃」「地震」などの天変地異がつけたされるので(天地が怒るほどその王国が酷かったことを表したいのだろう)、脚色の可能性があったためである。事実と分かった私はより詳細な記述を求めて読書を続けた。
そんな中、私は気になる記述を見つけた。
とある書物によると先代王国の王は闇の精霊と契約し、元々周辺にいた精霊たちを追い出したため王国から精霊の加護が失われたのだという。作り話のようにも思えたが、「偶然天変地異が続出した」という説明よりは納得できるかもしれない。
「でもあのバカ王子に闇の精霊と契約するなんて芸当は出来るだろうか?」
私は首をかしげる。そもそも闇の精霊と契約するほど精霊に詳しければ私が言っていることが嘘ではないと分かるはずだ。闇の精霊などという記述は他の本では全然見かけなかったし、眉唾ものではないかと思ったところでふと気づく。精霊のことは精霊に訊けばいいのだと。
「あなたたち、闇の精霊って知っている?」
地水火風の四精霊はどの属性も周辺にないため精霊たちは皆小ぢんまりとした姿になっていたが、私の言葉を聞くと一斉に頷く。
「闇の精霊って今王国にいるの?」
(うん。おそらく女と一緒にいる)
ノームが答える。精霊は私たち人間の顔を識別出来ないらしい。
しかし歴史書の記述によるとその闇精霊が王をそそのかして他の精霊たちを追い出したという。
そこで私はさらに思い当たる。その話はそのまま今の構図に当てはまるのではないか、と。追い出されたのは精霊ではなく私だけど、闇精霊が王国にいて、精霊が国を出て、災害が起こる。この流れは一致している。
「もしかして二百年前に闇精霊に追い出されたのってあなたたち?」
(いつなのかは知らないけど、確かに闇精霊には追い出された)
永遠の時を生きる(?)精霊には時間の概念もないらしいので、漠然とした答えになる。
「あなたたち以外に王国に精霊っているの?」
(いるけど、私たちに比べるとかなり小さい)
「……ということは、あなたたちがいなくなったせいで王国では噴火とか地震が起こっているの?」
正直私は精霊たちが否定してくれることを願っていた。もしもこのことが事実であれば、災害が起こっているのは私が何も考えずに精霊たちを連れて王国を出てしまったからということになる。そう考えると血の気が引いた。
が、悪い予感は当たった。
(そうかもしれない。元々あの地は人が住むのに向かない地だった)
精霊たちは頷いた。
それを聞いて私は愕然とする。まさか私が懸命に解決しようとしている問題の発端が私だったなんて。私のせいで大勢の国民が災害による被害を受けているということだ。大体、いくら精霊についての知識が国にないからといって、考えなしに精霊と一緒に国を出たのは軽率過ぎではなかったか。
「私のせいで……私のせいで、アドラント王国は災害に襲われているの?」
思わず私は口に出してしまう。
別に精霊たちに問いかけた訳ではなかったが、シルフから答えが返ってくる。
(それは違う。私たちは対話出来る者たちがいればその者についていく。なぜなら私たちは孤独だから。そしてそれを知って闇の契約者はあなたを追い出した)
予想と少し違う答えが返ってきて、私は驚く。しかしそう考えると全ての辻褄が合う。
ていうことは……
「もしかして闇の精霊と契約しているのはアイリス?」
私の問いに精霊たちは首をかしげる。
アイリスと言っても分からないのだった。
「ごめん、殿下の隣にいた女?」
精霊たちもぎりぎり王子だけは識別しているので、そう聞いてみる。
すると四人の精霊たちは一斉に頷いた。
「闇の精霊っていうのはどのような存在なの?」
(人々の負の感情をよりどころにして力を得る存在)
その答えを聞いて私の中で全てが繋がった。
アイリスは経緯は不明ながら闇の精霊と契約した。もしかしたら王子を誘惑したのも闇の精霊に魔力を借りて魅了の魔法を使ったのかもしれない。闇の精霊は私を追い出せば他の精霊たちもついていくと分かっていたのだろう、アイリスを指示して私が追い出されるように仕向けさせた。
思い出してみれば、婚約破棄を言い渡すときも王子はアイリスの言うことを聞いていたような気がする。
四精霊がいなくなれば王国は災害に見舞われ、人々は不幸に見舞われる。後はアイリスが王子を適当に誘惑して悪政を敷かせれば負の感情は瞬く間に蓄積していくだろう。
それに気づいた私は血の気が引いた。これらのことが全て作為的に引き起こされているのであれば、より悪い方向に向かっているということになる。
何とかする方法はないだろうか。そう思った私は精霊に尋ねる。
「ところで、あなたたちなら闇の精霊に勝つことは出来る?」
(精霊同士で戦っても決着は着かない。精霊に命はないから)
確かに精霊同士が喧嘩して火の精霊が死に、この世から火がなくなりましたなんてなったら困る。
(でも力をもらう者さえいなければ闇の精霊も大したことは出来ない)
言われてみれば、この四精霊も自然に対する加護を及ぼすだけで、直接的に何かをすることは今までなかった。魔法は全て私が魔力をもらって使うだけだった。
そして精霊とコミュニケーションがとれる人物はそうそういない。ということは私が戻ってアイリスさえ何とかすれば、闇の精霊も大したことは出来なくなるはずだ。
「アイリスを倒すのに力を貸してくれる?」
(もちろん、闇の精霊は私たちにとっても敵なのだから)
精霊たちは次々に頷き返してくれた。それを見て私も決意を固めた。
141
あなたにおすすめの小説
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします
タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。
悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。
【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。
鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。
さらに、偽聖女と決めつけられる始末。
しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!?
他サイトにも重複掲載中です。
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
薄幸ヒロインが倍返しの指輪を手に入れました
佐崎咲
ファンタジー
義母と義妹に虐げられてきた伯爵家の長女スフィーナ。
ある日、亡くなった実母の遺品である指輪を見つけた。
それからというもの、義母にお茶をぶちまけられたら、今度は倍量のスープが義母に浴びせられる。
義妹に食事をとられると、義妹は強い空腹を感じ食べても満足できなくなる、というような倍返しが起きた。
指輪が入れられていた木箱には、実母が書いた紙きれが共に入っていた。
どうやら母は異世界から転移してきたものらしい。
異世界でも強く生きていけるようにと、女神の加護が宿った指輪を賜ったというのだ。
かくしてスフィーナは義母と義妹に意図せず倍返ししつつ、やがて母の死の真相と、父の長い間をかけた企みを知っていく。
(※黒幕については推理的な要素はありませんと小声で言っておきます)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる