14 / 56
精霊姫ミリア
王女の献身
しおりを挟む
「そうだ、寝るところはどうしよう?」
夕飯を食べた後になって今更ながら俺は気づく。ミリアが俺の元で暮らすというのであれば当然寝床が必要になる。俺はまさかこんな山奥で誰かと暮らすことになるとは思っていなかったので家の広さは一人暮らし用に作ってしまった。
「いきなり押しかけてしまったのは私ですので、それはどこでも」
ミリアの性格上、こう答えるのは分かり切ったことなので少し申し訳ない気持ちになる。とはいえ、外も暗くなってきたので今から家をもう一軒建築するのは大変だ。
「ベッドは用意するから今日は同じ部屋で我慢してくれ」
王族であるからというよりは、これまでずっと一人で暮らしていたミリアに対して少し申し訳ないと思いつつ提案する。俺も最初は他人と同じ部屋で寝ることに抵抗があったが、工房で雑魚寝するうちに気にならなくなっていた。
「ありがとうございます。しかし“今日は”ということは今後別になるということでしょうか?」
「そうだ。明日には新しく部屋を作ってそっちに住んでもらおうと思う」
「部屋を!? 部屋ってそんなに気軽に作れるものなんですか!?」
ミリアは目を丸くした。
「気軽にではないが……まあ一日あれば大丈夫だ。そもそもこの家だって俺が建てた訳だしな」
「確かに」
ミリアは頷きながら室内を見回す。俺が建てたと思って見ると、普通の家でもすごく見えてくるのだろうか。そんなにまじまじ見られると恥ずかしくなってしまうのだが。
「とはいえベッドはどうするんですか?」
「見るか?」
俺は外に出ると家の側に積んである余った木材のところまで歩く。
「クリエイト・ベッド」
俺が唱えるとばらばらだった木材はたちどころにベッドの形になっていく。
「そんな一瞬でベッドが作れるなんて……本当に何でも作れるんですね」
「賢者の石に比べればよっぽど簡単だぞ」
俺は何気ない冗談のつもりで言ったのだが、ミリアは事件を思い出したのか少し沈黙してしまう。
俺は慌てて話題を変える。
「そ、それより運ぶのを手伝ってくれ」
「分かりました、ウィンド!」
ミリアが叫ぶと突如ベッドが浮き上がる。俺とは違う方向性で十分すごいと思うのだが。
ミリアは浮かせたままゆっくりと家の中に運ぶ。室内には中央にテーブルやイスがあり、端の方にベッドや棚などがあり、そこまで空きはない。
「どこに置きましょう?」
「悪いけど俺のベッドの隣でいいか?」
「はい」
彼女はベッドをするすると浮かせると器用にテーブルの上を飛び越えて俺のベッドの隣に配置した。幸い布団はラザルが持ってきた荷物の中に予備が結構あったのでそれを使って寝ることにする。
しかしいざ横になると、すぐ横にミリアのような美少女が寝ているということをどうも意識してしまう。そのせいか、疲れているのにしばしの間目が冴えて寝付けなかった。が、ミリアの方は疲れていたのかすぐにすうすうと寝息を立て始めたので、やがて俺も眠りに落ちていった。
夢を見た。
夢の中で俺は追放される前のように工房で何かの研究をしていた。そこにはクルトや他の弟子たちもいて、俺たちは和気あいあいと何かの話で盛り上がっている。
「おい、そいつは裏切り者だ! 気づいてくれ!」
俺の意識は必死で呼びかけるが、夢の中にいる俺は俺の呼び声に全く気付かない。たまにある、夢の中の登場人物としての自分と視点としての自分が完全に分離してしまう現象だろう。
「実は今日、師匠に報告があるんですよ」
唐突にクルトがそんなことを言う。俺は嫌な予感がしたが、夢の中の俺は無邪気に「何だ急に?」などと訊き返している。
「僕たち、実は師匠のことは大嫌いなんです。錬金術の能力があるから我慢してついてきていただけで。でもそれも今日で終わりです」
そう言ってクルトはナイフを取り出す。それに合わせて他の弟子たちも口々に「実は俺も」「もううんざりだ」などと言いながらナイフを取り出す。
他の弟子たちは俺のことをそんな風には思っていなかったはずだし、そもそもナイフというのが何の脈絡もない。これは夢特有の出鱈目な妄想だ。
そうと分かっているのに、俺は震えが止まらなかった。
夢の中の俺も驚いたのか何も出来なくなり、クルトがナイフを振り上げる。
その瞬間、俺の意識は恐るべき吸引力で俺の身体に吸い寄せられる。そして俺の体と同化した。そんな俺の目の前に残虐な笑みを浮かべたクルトのナイフが迫る。
「うわあああああああああああああああああああああああああ!」
俺は叫び声を上げながら飛び起きた。
全身にびっしょりと汗をかき、俺は荒い息をしている。隣で寝ていたミリアも驚きの目でこちらを見ている。
「声を出してしまっていたか? 起こして悪かったな」
「……いえ。よく見るんですか?」
「いや、追放の道中はよく見たがこっちに着いてからは初めてかもしれない。もう忘れたと思ったんだが」
まだ鼓動はばくばくと音を立てていたが、出来るだけ気にしていない風を装って言う。
俺の言葉にミリアは少し考えこむ。
「もしかしたら私のせいかもしれません」
「どういうことだ?」
「これは推測ですが、おそらくアルスさんは身近な人に裏切られることがトラウマになってしまったんです。一人でいるときは何もないのですが、私が傍で寝てしまったばかりにそれが再発してしまったのではないかと」
ミリアが少し暗い顔で言う。もしかしたら自分のせいかもしれないことを気にしてしまっているのかもしれない。
俺は、違う、と言いたかったが確かにミリアの推測は理にかなっている。実際追放の道中で護衛の兵士と同室で寝た時も何度か悪夢を見た。あれだけのことがあった以上無意識に他人への恐怖が残っていて、眠っている最中という自分が最も無力な時にそれが噴き出すのかもしれない。
「き、きっと偶然だ」
「そうかもしれませんが、そうじゃないかもしれません。あの、もしアルスさんが望むのであれば私は精霊契約を結んでも構わないです」
「精霊契約って確か、精霊術師が精霊と結ぶやつだよな」
精霊に対して術師の魔力を分け与える代わりに精霊は術師の意のままに動くようになる、そんな術だった気がする。要するにそれを結ぶことで俺はミリアを無意識下であろうとも警戒しなくても済むことになるという提案だ。
とはいえさすがにはいそうですかと頷けるものではない。
「でもミリアは人間だろう?」
「はい。しかし私に精霊としての性質を付与することは出来ます」
突拍子もない言葉ではあるがミリアは至極真面目だ。剣に炎属性の性質を付与、するというようなものの延長なのだろうか。
「そうすれば私の力で精霊契約を結ぶことは出来るはずです。そしたらアルスさんのトラウマも治まるはずです」
確かに今の悪夢がミリアの推測通りであるなら、それは理にかなった対処法だ。
しかし精霊契約を結べば俺とミリアの関係は対等なものではなくなる。
「でもいいのか、ミリアは」
「はい、アルスさんは命の恩人ですので。それに、仮に恩を全部返し終わったとしても一緒にいたいと思える方です」
ミリアは静かに、しかしはっきりとそう言ってくれた。
そこまではっきりと言われては俺の心も決まってしまう。
「分かった。それなら精霊契約はやめておく」
「どうしてですか? 私に対する遠慮ですか? でしたら、」
「いや、違う。もちろん遠慮はあるが、ミリアがそこまで言ってくれているなら俺もそういう術とかは使わずに、自分でトラウマや他人への恐怖を克服したいんだ」
俺はしっかりとミリアを見つめ返して言う。するとミリアは微笑みながら答える。
「分かりました。そこまでの決意でしたらこれ以上は言いません。自力で過去を克服できるよう応援しています」
「ああ。ただ、もしうなされて起こしてしまうことになったらすまない」
こうして俺は再び目をつぶった。
しばらくの間はまた悪夢を見るのではないかとなかなか寝付けなかったが、やがて夜も遅くなると自然と意識が遠のいていった。
夕飯を食べた後になって今更ながら俺は気づく。ミリアが俺の元で暮らすというのであれば当然寝床が必要になる。俺はまさかこんな山奥で誰かと暮らすことになるとは思っていなかったので家の広さは一人暮らし用に作ってしまった。
「いきなり押しかけてしまったのは私ですので、それはどこでも」
ミリアの性格上、こう答えるのは分かり切ったことなので少し申し訳ない気持ちになる。とはいえ、外も暗くなってきたので今から家をもう一軒建築するのは大変だ。
「ベッドは用意するから今日は同じ部屋で我慢してくれ」
王族であるからというよりは、これまでずっと一人で暮らしていたミリアに対して少し申し訳ないと思いつつ提案する。俺も最初は他人と同じ部屋で寝ることに抵抗があったが、工房で雑魚寝するうちに気にならなくなっていた。
「ありがとうございます。しかし“今日は”ということは今後別になるということでしょうか?」
「そうだ。明日には新しく部屋を作ってそっちに住んでもらおうと思う」
「部屋を!? 部屋ってそんなに気軽に作れるものなんですか!?」
ミリアは目を丸くした。
「気軽にではないが……まあ一日あれば大丈夫だ。そもそもこの家だって俺が建てた訳だしな」
「確かに」
ミリアは頷きながら室内を見回す。俺が建てたと思って見ると、普通の家でもすごく見えてくるのだろうか。そんなにまじまじ見られると恥ずかしくなってしまうのだが。
「とはいえベッドはどうするんですか?」
「見るか?」
俺は外に出ると家の側に積んである余った木材のところまで歩く。
「クリエイト・ベッド」
俺が唱えるとばらばらだった木材はたちどころにベッドの形になっていく。
「そんな一瞬でベッドが作れるなんて……本当に何でも作れるんですね」
「賢者の石に比べればよっぽど簡単だぞ」
俺は何気ない冗談のつもりで言ったのだが、ミリアは事件を思い出したのか少し沈黙してしまう。
俺は慌てて話題を変える。
「そ、それより運ぶのを手伝ってくれ」
「分かりました、ウィンド!」
ミリアが叫ぶと突如ベッドが浮き上がる。俺とは違う方向性で十分すごいと思うのだが。
ミリアは浮かせたままゆっくりと家の中に運ぶ。室内には中央にテーブルやイスがあり、端の方にベッドや棚などがあり、そこまで空きはない。
「どこに置きましょう?」
「悪いけど俺のベッドの隣でいいか?」
「はい」
彼女はベッドをするすると浮かせると器用にテーブルの上を飛び越えて俺のベッドの隣に配置した。幸い布団はラザルが持ってきた荷物の中に予備が結構あったのでそれを使って寝ることにする。
しかしいざ横になると、すぐ横にミリアのような美少女が寝ているということをどうも意識してしまう。そのせいか、疲れているのにしばしの間目が冴えて寝付けなかった。が、ミリアの方は疲れていたのかすぐにすうすうと寝息を立て始めたので、やがて俺も眠りに落ちていった。
夢を見た。
夢の中で俺は追放される前のように工房で何かの研究をしていた。そこにはクルトや他の弟子たちもいて、俺たちは和気あいあいと何かの話で盛り上がっている。
「おい、そいつは裏切り者だ! 気づいてくれ!」
俺の意識は必死で呼びかけるが、夢の中にいる俺は俺の呼び声に全く気付かない。たまにある、夢の中の登場人物としての自分と視点としての自分が完全に分離してしまう現象だろう。
「実は今日、師匠に報告があるんですよ」
唐突にクルトがそんなことを言う。俺は嫌な予感がしたが、夢の中の俺は無邪気に「何だ急に?」などと訊き返している。
「僕たち、実は師匠のことは大嫌いなんです。錬金術の能力があるから我慢してついてきていただけで。でもそれも今日で終わりです」
そう言ってクルトはナイフを取り出す。それに合わせて他の弟子たちも口々に「実は俺も」「もううんざりだ」などと言いながらナイフを取り出す。
他の弟子たちは俺のことをそんな風には思っていなかったはずだし、そもそもナイフというのが何の脈絡もない。これは夢特有の出鱈目な妄想だ。
そうと分かっているのに、俺は震えが止まらなかった。
夢の中の俺も驚いたのか何も出来なくなり、クルトがナイフを振り上げる。
その瞬間、俺の意識は恐るべき吸引力で俺の身体に吸い寄せられる。そして俺の体と同化した。そんな俺の目の前に残虐な笑みを浮かべたクルトのナイフが迫る。
「うわあああああああああああああああああああああああああ!」
俺は叫び声を上げながら飛び起きた。
全身にびっしょりと汗をかき、俺は荒い息をしている。隣で寝ていたミリアも驚きの目でこちらを見ている。
「声を出してしまっていたか? 起こして悪かったな」
「……いえ。よく見るんですか?」
「いや、追放の道中はよく見たがこっちに着いてからは初めてかもしれない。もう忘れたと思ったんだが」
まだ鼓動はばくばくと音を立てていたが、出来るだけ気にしていない風を装って言う。
俺の言葉にミリアは少し考えこむ。
「もしかしたら私のせいかもしれません」
「どういうことだ?」
「これは推測ですが、おそらくアルスさんは身近な人に裏切られることがトラウマになってしまったんです。一人でいるときは何もないのですが、私が傍で寝てしまったばかりにそれが再発してしまったのではないかと」
ミリアが少し暗い顔で言う。もしかしたら自分のせいかもしれないことを気にしてしまっているのかもしれない。
俺は、違う、と言いたかったが確かにミリアの推測は理にかなっている。実際追放の道中で護衛の兵士と同室で寝た時も何度か悪夢を見た。あれだけのことがあった以上無意識に他人への恐怖が残っていて、眠っている最中という自分が最も無力な時にそれが噴き出すのかもしれない。
「き、きっと偶然だ」
「そうかもしれませんが、そうじゃないかもしれません。あの、もしアルスさんが望むのであれば私は精霊契約を結んでも構わないです」
「精霊契約って確か、精霊術師が精霊と結ぶやつだよな」
精霊に対して術師の魔力を分け与える代わりに精霊は術師の意のままに動くようになる、そんな術だった気がする。要するにそれを結ぶことで俺はミリアを無意識下であろうとも警戒しなくても済むことになるという提案だ。
とはいえさすがにはいそうですかと頷けるものではない。
「でもミリアは人間だろう?」
「はい。しかし私に精霊としての性質を付与することは出来ます」
突拍子もない言葉ではあるがミリアは至極真面目だ。剣に炎属性の性質を付与、するというようなものの延長なのだろうか。
「そうすれば私の力で精霊契約を結ぶことは出来るはずです。そしたらアルスさんのトラウマも治まるはずです」
確かに今の悪夢がミリアの推測通りであるなら、それは理にかなった対処法だ。
しかし精霊契約を結べば俺とミリアの関係は対等なものではなくなる。
「でもいいのか、ミリアは」
「はい、アルスさんは命の恩人ですので。それに、仮に恩を全部返し終わったとしても一緒にいたいと思える方です」
ミリアは静かに、しかしはっきりとそう言ってくれた。
そこまではっきりと言われては俺の心も決まってしまう。
「分かった。それなら精霊契約はやめておく」
「どうしてですか? 私に対する遠慮ですか? でしたら、」
「いや、違う。もちろん遠慮はあるが、ミリアがそこまで言ってくれているなら俺もそういう術とかは使わずに、自分でトラウマや他人への恐怖を克服したいんだ」
俺はしっかりとミリアを見つめ返して言う。するとミリアは微笑みながら答える。
「分かりました。そこまでの決意でしたらこれ以上は言いません。自力で過去を克服できるよう応援しています」
「ああ。ただ、もしうなされて起こしてしまうことになったらすまない」
こうして俺は再び目をつぶった。
しばらくの間はまた悪夢を見るのではないかとなかなか寝付けなかったが、やがて夜も遅くなると自然と意識が遠のいていった。
2
あなたにおすすめの小説
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな
・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー!
【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】
付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。
だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。
なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!
《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。
そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!
ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!
一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!
彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。
アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。
アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。
カクヨムにも掲載
なろう
日間2位
月間6位
なろうブクマ6500
カクヨム3000
★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!
こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」
主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。
しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。
「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」
さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。
そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる