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第一章 転生先は推しカプの隣だが断罪イベントに進めない
第四十五話 聖域喫茶
ルミナス学園祭、当日。
秋晴れの空の下、学園の正門が開かれた瞬間、地響きのような怒号が王都に響き渡りました。
私、リリアーナ・ヴァン・アストレアは、一年A組の教室――もとい、**「聖域(サバト)喫茶・リリアーナ」**の中央に鎮座する、対戦車防護加工済みの黄金の玉座に深く腰掛け、窓の外を見て絶句していました。
「(……ねえ、何事かしら、あの行列。……列の最後尾が、隣国の国境を越えてるって報告が入ったんだけど、冗談よね……!?)」
窓の外には、他校の生徒はおろか、重装備の騎士団、隣国の王族の馬車、さらには「教祖様の御姿を拝み隊」という横断幕を掲げた謎の集団が、校舎を取り囲んでいました。
「リリアーナ様、ご機嫌麗しゅう。……さあ、間もなく『降臨』の時間ですわ。貴女様はただ、そこに座って呼吸をしているだけでよろしいのです。……それ以外の不浄な雑務(接客)は、すべてこの私たちが完遂いたしますわ」
背後から、フリルの暴力(防御力重視メイド服)を纏ったアリスちゃんが、目を血走らせながら囁きました。
「リリアーナ。……外の虫どもが騒がしいが、案ずるな。……君に不適切な視線を向ける者は、私が給仕のついでに、この銀のトレイで次元の彼方へ弾き飛ばしてやろう」
白銀の執事服を完璧に着こなしたギルバート様が、毒味用のカップを片手に、殺気立った微笑みを浮かべました。
(((((((((((((((((尊死!! 尊死するわよこんなゼロ距離!!!)))))))))))))))))
執事服の殿下のウエストの細さ! メイド姿のアリスちゃんの破壊的な可愛さ!
わたくしの脳内オタクは、開店前から萌えの過剰摂取で瀕死状態でしたが、事態はわたくしの情緒を置いてけぼりにして加速していきます。
「一年A組、聖域喫茶……オープンですわ!!」
級長の号令と共に扉が開いた瞬間、教室には「選ばれし信者(客)」たちがなだれ込んできました。
ですが、そこには「いらっしゃいませ」という温かい声など存在しませんでした。
「……座れ、愚民。リリアーナの視界を汚さぬよう、頭を低くしておけ」
入り口で腕を組んで立っていたのは、黒いベスト姿のジークフリート。
彼は給仕係(ウェイター)を自称しながらも、客を一人ずつ帝国の軍事用魔導具でスキャンし、リリアーナへの邪念が1%でもある者を次々と窓から放り出していました。
「(((((((((((((((((ジークフリート、接客して! 殲滅しないでぇぇぇ!!)))))))))))))))))
「……お客様。ご注文は? ……ああ、言う必要はありません。今の貴方の薄汚れた魂には、私が三千回叩き上げた『浄化ミルフィーユ』がお似合いですわ。……さあ、食べなさい。……食べないと、貴方の存在ごと浄化(デリート)して差し上げますわよ?」
アリスちゃんが、笑顔のままナイフをテーブルに突き立てながら給仕を行います。
客たちは「ひ、ひぃぃ!! ありがたき幸せ……っ!!」と涙を流しながら、鉄板のように硬いミルフィーユに挑んでいました。
そして、ギルバート様。
彼は、リリアーナに最も近い特別席(※金貨十万枚)に座った他校の王子に対し、最高級の紅茶を淹れながら、耳元で氷のような声で囁きました。
「……私のリリアーナを、一秒以上見たな。……その目、……王宮の地下牢でゆっくりと冷やしてやろうか?」
(((((((((((((((((殿下! 国際問題! 国際問題が発生してるわよおおおぉぉぉ!!!)))))))))))))))))
午後になり、ついに「最大の火種」がやってきました。
近隣の軍事大国からやってきた、自信家の第四王子・バルドゥール。彼は、かつて『幻想のルミナス』の没設定でリリアーナに求婚するはずだった、隠れたイケメンキャラクターです。
「……ほう。アストレア公爵令嬢が『女神』として祀られていると聞いて来てみれば。……なるほど、噂以上の美しさだ。リリアーナ、そんな窮屈な学園は捨てて、我が国の後宮に来ないか? 貴女のような薔薇には、私が用意した黄金の檻が相応しい」
バルドゥールが、わたくしの玉座に歩み寄り、わたくしの手を強引に取ろうとしました。
その瞬間。
ドォォォォォォォン!!!!!
教室の空気が、瞬時に絶対零度と太陽の表面温度に分裂しました。
「……その手を離せ、不届き者が。……リリアーナの指先に触れていいのは、婚約者であるこの私だけだ。……貴国、今日を限りに地図から消えたいようだな?」
ギルバート様の背後から、巨大な紅蓮の龍が具現化しました。
「リリアーナ様の手を汚そうとする不浄な肉塊……。……浄化、浄化、浄化ぁぁぁ!! 今すぐ貴方の魂を、宇宙の塵よりも細かく分解して差し上げますわ!!」
アリスちゃんの周囲に、数万本の光の槍が展開され、バルドゥールを包囲しました。
「……フン。後宮だと? 帝国の重力魔法で、貴様の国ごと地の底へ沈めてやろうか。……リリアーナ。……下がっていろ。……返り血で貴様のドレスが汚れる」
ジークフリートが、腰の栓抜き(※もう完全に魔剣)を抜き放ち、バルドゥールの首筋に突きつけました。
「(((((((((((((((((やめてえええええ!! 喫茶店! ここは喫茶店なのよぉぉぉ!!)))))))))))))))))
バルドゥール王子は、三人の最高戦力から放たれる殺圧に白目を剥いて泡を吹きかけていました。
このままでは、学園祭が終わる前に、大陸全土が焦土と化してしまいます。
わたくしは、覚悟を決めました。
この三人の暴走を止められるのは、この「女神」を演じているわたくししかいないのです!
わたくしは、扇をバサリと閉じ、玉座から優雅に(※足が震えるのを隠しながら)立ち上がりました。
「……お黙りなさいな、皆様!!」
凛とした、氷の令嬢としての声。
三人の動きが、ピタリと止まりました。
「ギルバート様、アリス、ジークフリート。……わたくし、ガッカリいたしましたわ。……わたくしのために用意してくださったこの聖域を、……野蛮な争いで汚すつもりかしら? ……そんなにお暴れになりたいのであれば、……わたくし、今すぐこの衣装を脱ぎ捨てて、公爵家へ帰らせていただきますわよ?」
「「「「「「(((((それは困るうううううぅぅぅぅぅぅぅ!!!))))))」」」」」」
三人が、一瞬で「借りてきた猫」のようにシュンと小さくなりました。
「……すまない、リリアーナ。……嫉妬に狂うあまり、王族としての品位を忘れていた」
「リリアーナ様……! お見捨てにならないでくださいまし! 私、今すぐこのバルドゥールとかいう塵を掃除して参りますわ!!」
「……チッ。……わかった。リリアーナ。……これ以上、貴様を不快にはさせん。……だが、あの男の視線だけは削いでおく」
わたくしは、震えるバルドゥール王子に、そっと扇を向けました。
「……バルドゥール殿下。……わたくしを愛でたいのであれば、……まずは列の最後尾に並び直して、金貨一千枚を奉納してからになさい。……よろしいかしら? おーほっほっほ!!」
「……は、はい!! 喜んでぇぇぇぇ!!!」
バルドゥール王子は、わたくしの「蔑み(※ただの追い出し)」に頬を染め、恍惚とした表情で教室を飛び出していきました。……彼も、バグの餌食になったようです。
夕暮れ時。学園祭も終盤に差し掛かった頃。
クラスメイトの女子たちが、わたくしの耳元で囁きました。
「リリアーナ様……。……実は、あの方たち(三人)をさらに喜ばせるための、……『シークレット・プラン』を用意しておりますの」
「(……えっ? シークレット・プラン? 何かしらそれ)」
わたくしは、裏の更衣室へと連れ込まれました。
そこで渡されたのは、……あ、アリスちゃんとお揃いの、けれど、さらに「あざとさ」を極限まで高めた、リリアーナ様専用・最高級メイド服でした!!
「(((((((((((((((((何これえええええええええええ!!!)))))))))))))))))
「これを着て、最後にあの三人にだけ、お茶を運んで差し上げるのです。……それが、リリアーナ様からの『最高のご褒美』になりますわ!!」
わたくしは、抵抗する暇もなく着替えさせられました。
鏡に映る自分は……。
黒いシルクのドレスに、真っ白なエプロン。頭にはフリル付きのブリム。
露出は少ないけれど、首元に巻かれたリボンが、なんとも言えない「ご奉仕感」を醸し出しています。
(……尊い。……自画自賛だけど、……この衣装のわたくし、……控えめに言って、……三人を『即死』させるレベルの破壊力があるんじゃないかしら……!?)
時
わたくしは、震える手で銀のトレイを持ち、三人が待つ「閉店後の聖域」へと足を踏み入れました。
「……お、お待たせいたしましたわ。……皆様」
わたくしが、メイド姿で、頬を赤らめて現れた、その瞬間。
ドォォォォォォォン!!!!!
三人の背後から、物理的な魔力の衝撃波が放たれ、教室の壁にヒビが入りました。
「…………リリアーナ」
ギルバート様の瞳から、光が消えました。
「……あ、ああ。……神よ。……私は今、……君をさらって、この世界の果てに監禁することを決意した」
「リリアーナ様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!(絶叫)」
アリスちゃんが、鼻血を噴き出しながら砂浜(※教室の床)を転げ回りました。
「尊い!! 尊すぎる!! メイド姿のリリアーナ様!! 私がご主人様!? いいえ、私がそのメイド服の繊維になりたいですわぁぁぁ!!」
「………………」
ジークフリートは、何も言わず、ただ無言でわたくしの前に跪きました。
そして、わたくしのメイド服の裾をそっと掴み、
「……この衣装を考えた奴を……、帝国の最高勲章か、あるいは死刑に処すべきか……、本気で悩む。……リリアーナ。……貴様は、……毒だ。……私を殺すための、……最高の毒だ」
(((((((((((((((((喜んでる! 三人とも、狂おしいほど喜んでるわああああぁぁぁ!!!)))))))))))))))))
わたくしは、三人に囲まれ、もはや「女神」ではなく「愛されすぎたメイド」として、一生逃げられない覚悟を決めました。
学園祭の夜。
中庭では、お父様が打ち上げた「リリアーナの顔をした巨大魔法花火」が夜空を彩っていました。
わたくしは、三人の騎士たちにエスコートされながら、火の海……ではなく、熱狂の渦に包まれた学園を後にしました。
「(……推し活のつもりが、……なんでわたくし、最終的にメイド服で三人を『攻略』しちゃったのかしら……?)」
リリアーナ・ヴァン・アストレアの学園祭。
それは、一人の悪役令嬢が「女神」となり「メイド」となったことで、国家のパワーバランスを完全に破壊し、三人の愛を「狂気」の域へと昇華させた、語り継がれるべき伝説の一日となったのでした。
「……おーほっほっほ!! メイドなんて、わたくしにかかれば……ただの『コスプレ』ですわ!! ……さあ、皆様!! 帰って、……お片付けをなさい!!」
(※心の叫び:ああああああ三人の視線が熱すぎて服が燃えそうよ!! でも、この幸せ……。……やっぱり、この世界、バグってて最高だわあああああああ!!!)
秋晴れの空の下、学園の正門が開かれた瞬間、地響きのような怒号が王都に響き渡りました。
私、リリアーナ・ヴァン・アストレアは、一年A組の教室――もとい、**「聖域(サバト)喫茶・リリアーナ」**の中央に鎮座する、対戦車防護加工済みの黄金の玉座に深く腰掛け、窓の外を見て絶句していました。
「(……ねえ、何事かしら、あの行列。……列の最後尾が、隣国の国境を越えてるって報告が入ったんだけど、冗談よね……!?)」
窓の外には、他校の生徒はおろか、重装備の騎士団、隣国の王族の馬車、さらには「教祖様の御姿を拝み隊」という横断幕を掲げた謎の集団が、校舎を取り囲んでいました。
「リリアーナ様、ご機嫌麗しゅう。……さあ、間もなく『降臨』の時間ですわ。貴女様はただ、そこに座って呼吸をしているだけでよろしいのです。……それ以外の不浄な雑務(接客)は、すべてこの私たちが完遂いたしますわ」
背後から、フリルの暴力(防御力重視メイド服)を纏ったアリスちゃんが、目を血走らせながら囁きました。
「リリアーナ。……外の虫どもが騒がしいが、案ずるな。……君に不適切な視線を向ける者は、私が給仕のついでに、この銀のトレイで次元の彼方へ弾き飛ばしてやろう」
白銀の執事服を完璧に着こなしたギルバート様が、毒味用のカップを片手に、殺気立った微笑みを浮かべました。
(((((((((((((((((尊死!! 尊死するわよこんなゼロ距離!!!)))))))))))))))))
執事服の殿下のウエストの細さ! メイド姿のアリスちゃんの破壊的な可愛さ!
わたくしの脳内オタクは、開店前から萌えの過剰摂取で瀕死状態でしたが、事態はわたくしの情緒を置いてけぼりにして加速していきます。
「一年A組、聖域喫茶……オープンですわ!!」
級長の号令と共に扉が開いた瞬間、教室には「選ばれし信者(客)」たちがなだれ込んできました。
ですが、そこには「いらっしゃいませ」という温かい声など存在しませんでした。
「……座れ、愚民。リリアーナの視界を汚さぬよう、頭を低くしておけ」
入り口で腕を組んで立っていたのは、黒いベスト姿のジークフリート。
彼は給仕係(ウェイター)を自称しながらも、客を一人ずつ帝国の軍事用魔導具でスキャンし、リリアーナへの邪念が1%でもある者を次々と窓から放り出していました。
「(((((((((((((((((ジークフリート、接客して! 殲滅しないでぇぇぇ!!)))))))))))))))))
「……お客様。ご注文は? ……ああ、言う必要はありません。今の貴方の薄汚れた魂には、私が三千回叩き上げた『浄化ミルフィーユ』がお似合いですわ。……さあ、食べなさい。……食べないと、貴方の存在ごと浄化(デリート)して差し上げますわよ?」
アリスちゃんが、笑顔のままナイフをテーブルに突き立てながら給仕を行います。
客たちは「ひ、ひぃぃ!! ありがたき幸せ……っ!!」と涙を流しながら、鉄板のように硬いミルフィーユに挑んでいました。
そして、ギルバート様。
彼は、リリアーナに最も近い特別席(※金貨十万枚)に座った他校の王子に対し、最高級の紅茶を淹れながら、耳元で氷のような声で囁きました。
「……私のリリアーナを、一秒以上見たな。……その目、……王宮の地下牢でゆっくりと冷やしてやろうか?」
(((((((((((((((((殿下! 国際問題! 国際問題が発生してるわよおおおぉぉぉ!!!)))))))))))))))))
午後になり、ついに「最大の火種」がやってきました。
近隣の軍事大国からやってきた、自信家の第四王子・バルドゥール。彼は、かつて『幻想のルミナス』の没設定でリリアーナに求婚するはずだった、隠れたイケメンキャラクターです。
「……ほう。アストレア公爵令嬢が『女神』として祀られていると聞いて来てみれば。……なるほど、噂以上の美しさだ。リリアーナ、そんな窮屈な学園は捨てて、我が国の後宮に来ないか? 貴女のような薔薇には、私が用意した黄金の檻が相応しい」
バルドゥールが、わたくしの玉座に歩み寄り、わたくしの手を強引に取ろうとしました。
その瞬間。
ドォォォォォォォン!!!!!
教室の空気が、瞬時に絶対零度と太陽の表面温度に分裂しました。
「……その手を離せ、不届き者が。……リリアーナの指先に触れていいのは、婚約者であるこの私だけだ。……貴国、今日を限りに地図から消えたいようだな?」
ギルバート様の背後から、巨大な紅蓮の龍が具現化しました。
「リリアーナ様の手を汚そうとする不浄な肉塊……。……浄化、浄化、浄化ぁぁぁ!! 今すぐ貴方の魂を、宇宙の塵よりも細かく分解して差し上げますわ!!」
アリスちゃんの周囲に、数万本の光の槍が展開され、バルドゥールを包囲しました。
「……フン。後宮だと? 帝国の重力魔法で、貴様の国ごと地の底へ沈めてやろうか。……リリアーナ。……下がっていろ。……返り血で貴様のドレスが汚れる」
ジークフリートが、腰の栓抜き(※もう完全に魔剣)を抜き放ち、バルドゥールの首筋に突きつけました。
「(((((((((((((((((やめてえええええ!! 喫茶店! ここは喫茶店なのよぉぉぉ!!)))))))))))))))))
バルドゥール王子は、三人の最高戦力から放たれる殺圧に白目を剥いて泡を吹きかけていました。
このままでは、学園祭が終わる前に、大陸全土が焦土と化してしまいます。
わたくしは、覚悟を決めました。
この三人の暴走を止められるのは、この「女神」を演じているわたくししかいないのです!
わたくしは、扇をバサリと閉じ、玉座から優雅に(※足が震えるのを隠しながら)立ち上がりました。
「……お黙りなさいな、皆様!!」
凛とした、氷の令嬢としての声。
三人の動きが、ピタリと止まりました。
「ギルバート様、アリス、ジークフリート。……わたくし、ガッカリいたしましたわ。……わたくしのために用意してくださったこの聖域を、……野蛮な争いで汚すつもりかしら? ……そんなにお暴れになりたいのであれば、……わたくし、今すぐこの衣装を脱ぎ捨てて、公爵家へ帰らせていただきますわよ?」
「「「「「「(((((それは困るうううううぅぅぅぅぅぅぅ!!!))))))」」」」」」
三人が、一瞬で「借りてきた猫」のようにシュンと小さくなりました。
「……すまない、リリアーナ。……嫉妬に狂うあまり、王族としての品位を忘れていた」
「リリアーナ様……! お見捨てにならないでくださいまし! 私、今すぐこのバルドゥールとかいう塵を掃除して参りますわ!!」
「……チッ。……わかった。リリアーナ。……これ以上、貴様を不快にはさせん。……だが、あの男の視線だけは削いでおく」
わたくしは、震えるバルドゥール王子に、そっと扇を向けました。
「……バルドゥール殿下。……わたくしを愛でたいのであれば、……まずは列の最後尾に並び直して、金貨一千枚を奉納してからになさい。……よろしいかしら? おーほっほっほ!!」
「……は、はい!! 喜んでぇぇぇぇ!!!」
バルドゥール王子は、わたくしの「蔑み(※ただの追い出し)」に頬を染め、恍惚とした表情で教室を飛び出していきました。……彼も、バグの餌食になったようです。
夕暮れ時。学園祭も終盤に差し掛かった頃。
クラスメイトの女子たちが、わたくしの耳元で囁きました。
「リリアーナ様……。……実は、あの方たち(三人)をさらに喜ばせるための、……『シークレット・プラン』を用意しておりますの」
「(……えっ? シークレット・プラン? 何かしらそれ)」
わたくしは、裏の更衣室へと連れ込まれました。
そこで渡されたのは、……あ、アリスちゃんとお揃いの、けれど、さらに「あざとさ」を極限まで高めた、リリアーナ様専用・最高級メイド服でした!!
「(((((((((((((((((何これえええええええええええ!!!)))))))))))))))))
「これを着て、最後にあの三人にだけ、お茶を運んで差し上げるのです。……それが、リリアーナ様からの『最高のご褒美』になりますわ!!」
わたくしは、抵抗する暇もなく着替えさせられました。
鏡に映る自分は……。
黒いシルクのドレスに、真っ白なエプロン。頭にはフリル付きのブリム。
露出は少ないけれど、首元に巻かれたリボンが、なんとも言えない「ご奉仕感」を醸し出しています。
(……尊い。……自画自賛だけど、……この衣装のわたくし、……控えめに言って、……三人を『即死』させるレベルの破壊力があるんじゃないかしら……!?)
時
わたくしは、震える手で銀のトレイを持ち、三人が待つ「閉店後の聖域」へと足を踏み入れました。
「……お、お待たせいたしましたわ。……皆様」
わたくしが、メイド姿で、頬を赤らめて現れた、その瞬間。
ドォォォォォォォン!!!!!
三人の背後から、物理的な魔力の衝撃波が放たれ、教室の壁にヒビが入りました。
「…………リリアーナ」
ギルバート様の瞳から、光が消えました。
「……あ、ああ。……神よ。……私は今、……君をさらって、この世界の果てに監禁することを決意した」
「リリアーナ様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!(絶叫)」
アリスちゃんが、鼻血を噴き出しながら砂浜(※教室の床)を転げ回りました。
「尊い!! 尊すぎる!! メイド姿のリリアーナ様!! 私がご主人様!? いいえ、私がそのメイド服の繊維になりたいですわぁぁぁ!!」
「………………」
ジークフリートは、何も言わず、ただ無言でわたくしの前に跪きました。
そして、わたくしのメイド服の裾をそっと掴み、
「……この衣装を考えた奴を……、帝国の最高勲章か、あるいは死刑に処すべきか……、本気で悩む。……リリアーナ。……貴様は、……毒だ。……私を殺すための、……最高の毒だ」
(((((((((((((((((喜んでる! 三人とも、狂おしいほど喜んでるわああああぁぁぁ!!!)))))))))))))))))
わたくしは、三人に囲まれ、もはや「女神」ではなく「愛されすぎたメイド」として、一生逃げられない覚悟を決めました。
学園祭の夜。
中庭では、お父様が打ち上げた「リリアーナの顔をした巨大魔法花火」が夜空を彩っていました。
わたくしは、三人の騎士たちにエスコートされながら、火の海……ではなく、熱狂の渦に包まれた学園を後にしました。
「(……推し活のつもりが、……なんでわたくし、最終的にメイド服で三人を『攻略』しちゃったのかしら……?)」
リリアーナ・ヴァン・アストレアの学園祭。
それは、一人の悪役令嬢が「女神」となり「メイド」となったことで、国家のパワーバランスを完全に破壊し、三人の愛を「狂気」の域へと昇華させた、語り継がれるべき伝説の一日となったのでした。
「……おーほっほっほ!! メイドなんて、わたくしにかかれば……ただの『コスプレ』ですわ!! ……さあ、皆様!! 帰って、……お片付けをなさい!!」
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