【完結】〝終の山〟と呼ばれた場所を誰もが行きたくなる〝最高の休憩所〟としたエレナは幸せになりました。

まりぃべる

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18. 夕食への準備

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 ジェオルジェは遠征の汚れを落として身支度を整えに行くと言って、エレナにゆっくりしているのだよと優しい言葉を掛け、リュセにも念を押してから部屋を出て行った。


 リュセもまた、ミルチャと同じく部屋の扉に立っていたので会釈をし、了承した。


「ええと、リュセ、まだお世話になるみたい。ごめんなさいね。」


 エレナは、思いがけず滞在が伸びた為にそう声を掛けるとリュセは珍しくニッコリと微笑んで声を返した。


「いいえ、エレナ様。ジェオルジェ様が許可を下さいましたから、お世話させていただきます。では、お部屋へ参りましょう。」


 そう言ってリュセはエレナを促した。





☆★

 昼食は、素晴らしく美味しい食事であった。マダリーナの食事もなかなかのものであったが、ここではさすが貴族の家とあって豪勢な食事であったのだ。
 マダリーナの食事は、パンと具沢山のスープであったのだが、ここではそれに加えて肉や魚、デザートまで出た。


(んーお腹いっぱい!…でも、マダリーナさん達はこんなにお腹いっぱいになるまで食べていないのよね…。なんだか私だけ申し訳ないわ。)




「エレナ様、お風呂に入りましょうか。準備が出来ておりますから。」

「え?今から?」

「はい。夕食はジェオルジェ様とご一緒するのですから、目一杯お洒落をしましょう。」


 またいつもの無表情のリュセに戻ってしまったがそのように言われ、領主様に会う為に汚れを落とさないと失礼に当たるのだったのかと今更ながら思った。


「ねぇ、今からお風呂に入るって、領主様と会うから?
本当は、会う前にお風呂に入らないとダメなの?さっき、庭を散策した後にそのままお会いしてしまったのだけれど、まずかったの?」

「あ!いいえ。そんな事はございませんよ。
ただ、せっかくの晩餐ですから、綺麗にした方がと思ったのです。」

「…そういうものなの?」

「入りたくはありませんか?」

「そんな事ないよ。では、お願いします。
…ねぇ、お風呂って温せ…沸き湯を引っ張ってきたりしてる?」

「沸き湯、ですか?まぁ調理場で沸かした湯ではありますが…引っ張って、ですか?運び入れております。」


 どうやら、言った言葉が上手く通じていないと思ったエレナは、確かに先ほど自分が食事を取っている時に、後ろで何やら作業をしている音がしていた。
 窓際のソファから後ろを振り向くと、リュセではない知らない侍女達が大きな湯気をたちのぼらせたたらいをワゴンに乗せて部屋の奥の風呂場へと運び込んでいた。


「そう…そうよね。ありがとう。大変だったわよね。」

「!
いいえ、それが私共の仕事ですからお気になさいませんよう。
では、こちらへどうぞ。」


 そう言われてエレナは、風呂場へとリュセの後を追った。





☆★

 風呂から出るとエレナは、髪を整えられ、化粧を施されていた。


 どうやら浴槽はあるのだが、部屋に蛇口を引っ張ってはいないようで、髪も体もたらいに溜まった湯でリュセに洗ってもらった。
 エレナは、リュセが手伝ってくれるのを初めは拒んだのだが、これも私の仕事ですのでやらせて下さいと言われれば、お願いするのだった。
 服は、絹で出来た淡い色のワンピースだった。


「これは…?」


「ジェオルジェ様の母であられるキャルリ様のお召し物です。お古で申し訳ないとジェオルジェ様がおっしゃっておいででした。」

「そんな…!いいのかしら。とても高価なものよね?」

「もう着る人が居ないので、服も喜びますよ。」

「そう…ありがとう。大切に着るわね。」


 エレナが着ていた服も、古めかしくはあったが上等な生地であった。きっと、ジェオルジェの曾お祖母様の持ち物だったのだろうと推察するエレナは、今、なぜだかイヤリングやネックレスまで付け出したリュセにさすがにストップをかけた。


「ちょっと、リュセ?どうしてそんな宝飾品まで付けるの?落としたり、汚れたりしたら大変だもの!外してくれる?」

「あら、良くお似合いですよ。これらも、長らく眠っておられましたから、外の風を受けられて心なしか喜んでおられますよ。」


 そう言って鏡越しにリュセはニッコリと笑ったので、そうなのかなと疑問に思ったが、でも、と言ったエレナにリュセは首を振って答える。


「私は、ジェオルジェ様より申し付けられましたので、そうしているのでございます。
もし苦言を呈するのであれば、ご自身でお願いします。
さ、どうぞ。ジェオルジェ様がお待ちですよ。」


 そう言ったリュセは、支度が終えたと部屋を出るようにエレナを促した。
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