【完結済】呼ばれたみたいなので、異世界でも生きてみます。

まりぃべる

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本編

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午後、お茶会に間に合うようにお支度をと言われた。この服でいいのにと思ったのだけど、良くないみたい。
なんだかとても豪華で明るい、華やかなドレスを持って、こちらを着ましょうとタリアが手伝ってくれる。

こんなに華美なもの、着ていいのかな?私が戸惑っていると、
「こうやって経済は回っていくのです。着る機会がある人が着なければ、一般市民の生活が立ち行かなくなります。王宮にいるのですから、よろしいのですよ。」
と言われた。
そう言われたら、遠慮せず着てみようと思えた。タリアは口が巧い…。

ドレスだけではなく、私の背中まである髪も緩く編み込んでくれたので、なんだか人にやってもらうのは嬉しいなぁと頬がゆるんでしまった。
「こんなにキレイにしてくれてありがとう。」
「とてもよくお似合いです。さあ、遅れてはなりませんので向かいますよ。」




部屋を出て、長い廊下を何度も曲がったりして進んで行く。案内無しではすぐに迷子になりそう。昨日ルーク様が共を付けて出掛けるようにと言っていた意味がよく分かるわ、と思い始めた所で、数人の女性の話し声が聞こえてきた。しかも耳に付く笑い声。
と、ガラガラガッシャーン!という音。

「申し訳ありません!」
「お前!邪魔よ!!どうしてくれるのよ!!」
という罵声が聞こえてきた。
声の方へ急ぎ行くと、5人の女性が廊下を塞ぐようにして歩いて来る。その少し奥には一人女の子だろうか?侍女のワンピースを着た人が座り込んで俯いていた。
「あれは…カトリーヌ=ドレイク侯爵令嬢ですわね。まずい所に出くわしました…」
とタリアが呟くのが聞こえた。

なんだか、侍女の子が可哀相に思え、「どうかされましたか?大丈夫ですか?」と声を掛けてしまった。
「マリア様…」
と、タリアの声が聞こえてきたが黙って見過ごす訳にもいかなかった。

「あら、見かけない顔ね。新しい小間遣いかしら?」
私の事だよね?こんなゴージャスなドレス着ているのに小間遣いって、目が悪いのかしら。

「あちらの廊下から、貴女方の声がとてもよく聞こえました。それに、廊下を塞いで歩いておられるのですか?これではすれ違えませんね。」
「ちょっと!私の声が聞こえないの!?名乗りなさいよ!!そんな値の張りそうな似合わないドレス着ちゃって!ここは、限られた貴族しか入れないのよ。ご存知?」
「そんなに大きな声を出されなくても聞こえております。けれど、ご自分も名乗られないですよね。それなのに私には名乗れって…」
「何言ってるの?私の事が分からないとでも言うの??私のお父様は、とっても偉いのよ!私がわざわざ名乗らなくても知っていて当たり前でしょ。私に名前を言いなさいよ!!お父様に言い付けてやるわ!」
えと…子どもの喧嘩なの?先生に言い付けてやる的な…。自分には何の力もないって言っているようなものじゃないかしら…。

「貴女のお父様は、侯爵様なのですってね。それは偉大でしょう。しかし、それが貴女と何の関係があります?貴女は何かご自分でなされた事ありますか?ここにいる侍女の方が人々のために清掃していてよっぽど偉いような気がしますけど。それなのに道を塞いで歩くのはどうかと思います。せめて二列になるとかあるんじゃないですか?あ、そちらで座っているあなた、怪我などはされてますか?風邪を引くといけないわ。着替えに行けます?」

「あ、あなたね!私が偉くないってどういう事よ!!貴族の子女というのは、着飾るのが仕事でしょう!ほら、こんな宝石、お前には付けれないでしょう?そんなのも分からないなんてあなた庶民でしょ!王妃様だって、着飾ってお茶会でも開いて下さればよかったのに自ら孤児院なんかに行って奉仕なさるから体がくたびれて亡くなっちゃうのよ!!労働なんてしなくても私たちは着飾っているだけで偉いのよ!!!」
そう言って、カトリーヌ様は持っていた扇子を振り上げるから、咄嗟に私は手を顔に近づけ目を瞑った。

「何をしている!」

その場が凍り付くようなヒンヤリした空気が漂ってると勘違いしそうなくらい、冷たく鋭い声が響いた。
目を開くと、ルーク様とロイ様がいた。

「どうされた?」

先ほどより鋭さがなく、優しい声で私の目を見てルーク様が聞いてきた。

「えと…」
「第二王子殿下!この者が世迷い言を申してたので躾けようと」
「ん~ドレイク侯爵令嬢、君発言を許可されてないと思うけど。口を慎んだ方がいいよ。」

え?王子殿下…?

「マリア嬢、君が聞かれてるんだけど答えてもらってもいいかな?」
「は、はい。歩いていたら大きなバケツをひっくり返すような音と、罵声が聞こえてきたので駆けつけました。ちょっとムカついたので、売り言葉に買い言葉となっちゃったかもです…。」
「むかついた?ちょっと最後の方は良く分からなかったけど、何となく分かったよ。大きい声だったから僕たちも良く聞こえたからね。で、ドレイク侯爵令嬢、君は王妃様を侮辱した発言をしたね。」
「そ、そんな…」
「まだ発言は許されてないよ。あと、マリア嬢を扇子で打とうともしたね。だって君の手が振り上げられてたのを見たから言い逃れできないよ。ルーク、どうしようか。良くないよね。そもそも君は、用もないのに王宮をうろついて、よっぽど暇なんだね。」

ロイさんも、いつもの飄々たる感じではなくてなんだかちょっと怖い気がする…やばい、私も怒られちゃうよね…こんな初対面の人と口喧嘩なんて…。
以前も同僚が上司にネチネチと怒られてたから可哀想になって私が割って入ったら、代わりに就業時間終わってまでグチグチ言われたもんな-。またやっちゃったよ…。

「ドレイク侯爵令嬢、国母たる王妃を侮辱するとは反逆罪か?暴力沙汰も、令嬢とは言い難いな。自分の家の部屋でじっくり反省するといい。王宮にはしばらく出入り禁止だ。元々用も無く来ていい所ではない。いいな!」
「…!分かりました。仰せのままに。」と礼をして、5人の人たちは去って行った。

「さて、マリアちゃん。大丈夫だった?どこか痛いところない?あの女、男を引っ掛けるために毎日王宮をほっつき歩いてるんだよ。侍女を4人も連れて。いい迷惑だよ。だから、マリアちゃんが怒って、かっこ良かったよ-!」
そ…そうだったんだ。婚活かしら?出会いを求めているのに、申し訳なかったかしら…いやいや、廊下を塞ぎ歩くのは邪魔よね!

でも…
「申し訳ありませんでした。」

「どうして?かっこ良かったって言ったじゃん!なんで謝るの?」
「だって、よく聞こえたってうるさかったでしょう?それに、この国の事情も知らないのに初対面の女性に当たってしまって…。」
「マリアは、礼儀を伝えようとしたのだろうが相手が悪かったな。ククッ」

えっ?あ、ルーク様笑ってる!ロイさんの貼り付けたようなニッコリスマイルとは違うわ。整った顔がくしゃってなってカワイイ…。

「ルーク笑ってんじゃん!そうだね。あれは人に言われて間違えを正す女じゃないもんね。アハハ!」
「そうでしたか。ある意味、素晴らしい信条の持ち主ですね。」
「マリア、そろそろ行こう。今日は王宮の奥の、第三の庭という所に用意してあるのだ。少し歩くが大丈夫か?」
「はい、分かりました!」
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