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4. 結婚相手は
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「で、では私達は邪魔になるからあちらへ行きましょうね、アロイサ。」
「はい。あ、お姉さま!早く記憶が戻るといいですね!でも今のお姉さまも新鮮で素敵ですけれどね!」
コルドゥラ様とアロイサ様がそう言って部屋を出て行こうと扉へ向かうが、『あ!そうだわ!』とコルドゥラ様は言って、私の方へ戻ってきて、耳元で『ごめんなさい。あなたに大役を押し付けて…でもきっと、あなたなら出来るわ。どうか、幸せにね。』と言って私にニコリと笑いかけて手を振って、今度こそ出て行った。
扉が閉まるとヘルフリート様が私へと視線を向け、
「本当に、エルヴィーラじゃないんだな。雰囲気が全く違う。エルヴィーラは、なんというか…男に生まれていれば幸せだったんだろうと誰もが思うくらい、この辺境の地デューレンケルンで国境を第一線で守り抜いてくれていた猛者とも呼べる程の力を持っていた。それ故、頼りきってしまっていたのだろう。…昨夜遅く、フードを被ったエルヴィーラがこの部屋の窓を抜け出すのを、屋敷の警備隊に見られてな。いや、あいつの事だ。わざと見せたのかもしれん。それで、警備隊に追わせていたんだが、先ほどの報告がそれだ。…あいつは、優男である庭師のニバルトと逃げたんだな。君はきっと娘に呼びつけられたんだろう。本当に済まない…!」
そう言って、頭を下げられた。
先ほどは強そうな鎧を着た人達に頭を下げられていた人が、私に頭を下げるものだからこちらが恐縮してしまう。
「い、いえ!私も、良く分からないのですが、頑張ります。…でも、私、そんな豪傑で素晴らしい人になりきれるのでしょうか?」
「うむ…。その点はまぁ…頭を打って記憶があやふやだと言えばいい。顔も本人そっくりであるし、我々家族にも似ているんだから。我が妻コルドゥラに年々似てきているし、アイロサなんてエルヴィーラの小さい頃そっくりだ。心配せんでも現皇帝はここに来た事はない。だから、会った事もないだろう。」
「皇帝!?まさかとは思いますが、お相手は皇帝なのですか!?この世界の知識も無いですし、無理です!」
相手が皇帝陛下なら、私は皇后陛下となるわけよね?知識もマナーも何もよく分かっていないのに、出来るわけがないと思うのだけど…果たして記憶が無い、だけで通るのかしら。
「大丈夫だ。エルヴィーラの小さい頃からの侍女のインサを連れて行ける。結婚式が終わったら、インサはこちらに帰って来なければならないがそれまでは分からない事はインサに聞いてくれ。…本当に済まない。が、よろしく頼む。そろそろ本当に準備しないと、間に合わなくなる。それはいかんのだ。準備に入ってもらってもいいか?」
「はい…分かりました。」
私は渋々返事をした。
不安だけれど、やるしかないのよね。この世界で生きていくしか、私には道が無いものね。だって、ここの辺境伯爵家や、国の人達の命を、と言われてしまったのだもの。本当にそうなのかは分からないけれど。
きっと演じてみせるわ!インサさんにいろいろ教えてもらわないとね。
「ではインサ、あとはよろしく。…エルヴィーラとなった娘よ、幸せにな。」
そう言ったヘルフリート様もまた、部屋を出て行った。
「さぁそうと決まれば、急いでお仕度を。」
今まで壁際に静かに立っていた、私が目が覚めた時に傍にいた人がゆっくりと手を差し出してくれて私の体を起こし、お仕度の為に部屋から連れ出した。
「はい。あ、お姉さま!早く記憶が戻るといいですね!でも今のお姉さまも新鮮で素敵ですけれどね!」
コルドゥラ様とアロイサ様がそう言って部屋を出て行こうと扉へ向かうが、『あ!そうだわ!』とコルドゥラ様は言って、私の方へ戻ってきて、耳元で『ごめんなさい。あなたに大役を押し付けて…でもきっと、あなたなら出来るわ。どうか、幸せにね。』と言って私にニコリと笑いかけて手を振って、今度こそ出て行った。
扉が閉まるとヘルフリート様が私へと視線を向け、
「本当に、エルヴィーラじゃないんだな。雰囲気が全く違う。エルヴィーラは、なんというか…男に生まれていれば幸せだったんだろうと誰もが思うくらい、この辺境の地デューレンケルンで国境を第一線で守り抜いてくれていた猛者とも呼べる程の力を持っていた。それ故、頼りきってしまっていたのだろう。…昨夜遅く、フードを被ったエルヴィーラがこの部屋の窓を抜け出すのを、屋敷の警備隊に見られてな。いや、あいつの事だ。わざと見せたのかもしれん。それで、警備隊に追わせていたんだが、先ほどの報告がそれだ。…あいつは、優男である庭師のニバルトと逃げたんだな。君はきっと娘に呼びつけられたんだろう。本当に済まない…!」
そう言って、頭を下げられた。
先ほどは強そうな鎧を着た人達に頭を下げられていた人が、私に頭を下げるものだからこちらが恐縮してしまう。
「い、いえ!私も、良く分からないのですが、頑張ります。…でも、私、そんな豪傑で素晴らしい人になりきれるのでしょうか?」
「うむ…。その点はまぁ…頭を打って記憶があやふやだと言えばいい。顔も本人そっくりであるし、我々家族にも似ているんだから。我が妻コルドゥラに年々似てきているし、アイロサなんてエルヴィーラの小さい頃そっくりだ。心配せんでも現皇帝はここに来た事はない。だから、会った事もないだろう。」
「皇帝!?まさかとは思いますが、お相手は皇帝なのですか!?この世界の知識も無いですし、無理です!」
相手が皇帝陛下なら、私は皇后陛下となるわけよね?知識もマナーも何もよく分かっていないのに、出来るわけがないと思うのだけど…果たして記憶が無い、だけで通るのかしら。
「大丈夫だ。エルヴィーラの小さい頃からの侍女のインサを連れて行ける。結婚式が終わったら、インサはこちらに帰って来なければならないがそれまでは分からない事はインサに聞いてくれ。…本当に済まない。が、よろしく頼む。そろそろ本当に準備しないと、間に合わなくなる。それはいかんのだ。準備に入ってもらってもいいか?」
「はい…分かりました。」
私は渋々返事をした。
不安だけれど、やるしかないのよね。この世界で生きていくしか、私には道が無いものね。だって、ここの辺境伯爵家や、国の人達の命を、と言われてしまったのだもの。本当にそうなのかは分からないけれど。
きっと演じてみせるわ!インサさんにいろいろ教えてもらわないとね。
「ではインサ、あとはよろしく。…エルヴィーラとなった娘よ、幸せにな。」
そう言ったヘルフリート様もまた、部屋を出て行った。
「さぁそうと決まれば、急いでお仕度を。」
今まで壁際に静かに立っていた、私が目が覚めた時に傍にいた人がゆっくりと手を差し出してくれて私の体を起こし、お仕度の為に部屋から連れ出した。
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