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2.ここに置いてくれるって
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「ここにしばらく居なさいな。うちは息子が一人いるけどね、今は首都バリウェリーに働きに出ているから私一人で住んでいるだけでね。だからどうだい?」
エイダに言われたれなは、ありがたい言葉だと思い、頷いて返事をした。
れなは、この国の事が何も分からないのに放り出されたから、いろいろと聞けるエイダと一緒に居られる事はとてもありがたいと思った。
「ありがたいです。私は大橋れなと言います。」
「オオ…?何だって?」
エイダには聞き取れないのかそう聞き返されたので、れなは少し考え、エイダにも苗字は言われなかったし自分の名前だけ言えばいいかと思った。
「れなです。レ、ナ!」
「おお、レナね!素敵な名前だ!さっきも言ったけど私はエイダだよ。ただ、うちは狭いんだ。悪いけど息子の部屋を使ってもらってもいいかい?ベッドのシーツはちゃんと洗ってあるのを出すからね。」
「ありがとうございます!でもエイダさんは?」
レナは、ベッドを自分だけ使って、エイダは何処で寝るのだろうと思って聞き返す。
「私には私の部屋があるよ。息子はすぐ近くの首都バリウェリーに行ってなかなか帰って来ないし、帰って来たら床で寝るから気にしなくていいからね!」
「え?床!?気にします!その時はベッドをお返ししますから!」
「ハハハハ!息子は保安院に勤めていてね、一応どんな場所でも眠れるように訓練されているから大丈夫だよ!あ、そうそう今から朝ご飯なんだ。ちょっと準備するから待ってな!私はそのあと、仕事に行くからね。」
そう言ったエイダは壁際に設置されたキッチンで準備をしだした。
レナは、食事まで準備してくれると言うので申し訳ないとは思ったが、確かにお腹もすいている。仕事が終わりコンビニで何か買って帰ろうとしていたのだから当然なのかもしれない。
だからレナは、お礼に、仕事がもし手伝えるものなら手伝おうとエイダに聞いてみる事にした。
「エイダさん、仕事は何をしに行くのですか?私も手伝えますか?」
「いいのかい?体が何とも無いのなら来てくれると助かるよ。私はね、こっから少し進んだ先にある首都バリウェリーで靴磨きをしているんだよ。」
「靴磨き?」
レナは靴磨きとは珍しい仕事なのだなと思った。
「そうさ。旦那に教えてもらった靴磨きはもうかれこれ二十年以上しているから
ね、ベテランの域だよ!」
それを聞いて、レナは、先ほどエイダは一人と言っていなかったかと疑問に思ったが、それが顔に出ていたのかエイダは続けて言った。
「あぁ、旦那は息子が三歳の頃亡くなってね。そっから靴磨きで生計を立て、息子は私が一人で育てたんだよ。さ、朝食は昨夜の残りのスープと、ライ麦パンね!食べようか。」
エイダはいつの間にか準備を終え、テーブルに食事を置いた。
食事は、レナが見た事食べた事あるような物だ。世界が違っても、同じような食べ物で安心した。
(良かった…食べ物は普通だわ。美味しそう!ゲテモノが出てきたらどうしようかと思っちゃった!)
レナはありがたく思い、エイダにお礼を言ってから手を合わせて食事を頂いた。
☆★
「レナはこれに着替えなよ。私のお古で悪いけれどね。洗ってあるからさ。」
食事を終えて手早く片付けをしたエイダは、一度奥の部屋に入って少しして出掛ける為の荷物と、レナにも服を持ってきた。
「え?あ、ありがとうございます。」
エイダが後ろを向いてくれ、素早く持ってきてくれたワンピースに着替えると、エイダは頷いた。
「うん、いいね。済まないね。儲けがあれば帰りに買って帰ろうね。じゃあ、行こうか。」
レナは買ってもらう事に申し訳ないと思いながらも、確かに着替えは欲しいと思った。
(今は私、一文無しだから、その分何か出来る事をしよう。)
そうレナは思い、エイダに声を掛ける。
「エイダさん。それが靴磨きの道具ですか?」
麻袋に入ったそれは、両手に抱える程の大きさだった。
「あぁ、そうだよ。ちょっと大荷物なんだけどね。」
そう言って、歩き出すエイダにレナは少しでも恩を返そうと言葉にした。
「それ、私が持ちます!」
「おや、いいのかい?助かるよ。でも重いからね。辛くなったら交代するから言ってちょうだい。」
そう言ってエイダは、レナの両手に麻袋を手渡すと、玄関扉を開けた。
受け取ったレナは、想像したよりも麻袋が重くて腕にずっしりときた為、持って行けるのかと不安になった。
険しい顔になったレナを見たエイダは笑って、レナに声を掛ける。
「ハハハハ!重いだろう?少ししたら交代するから。」
「はい…すごいですね。これを仕事の日はいつも持って行くんですか?」
レナは、痺れそうになる腕を気にしながら聞いた。
「そうだよ。それが道具だからね。それがないと仕事にならないね。」
そう聞いてレナは、
(仕事かぁ…私も仕事見つけないとな。私が仕事で使っていたハサミとかクシとかあったら、ここでも仕事出来るのに。って、トリマーなんて仕事、この国にあるのかな?)
と疑問に思った。
歩き出してからすぐに、
「ほら、見えてきたよ。あれがスウォンヒル国の首都バリウェリーさ。」
とエイダが言った。
その言葉通り、高さがかなりある塀が視界に入ってきた。どうやら塀に囲まれた首都のようで、少し先に大きな門が見えてきた。
エイダに言われたれなは、ありがたい言葉だと思い、頷いて返事をした。
れなは、この国の事が何も分からないのに放り出されたから、いろいろと聞けるエイダと一緒に居られる事はとてもありがたいと思った。
「ありがたいです。私は大橋れなと言います。」
「オオ…?何だって?」
エイダには聞き取れないのかそう聞き返されたので、れなは少し考え、エイダにも苗字は言われなかったし自分の名前だけ言えばいいかと思った。
「れなです。レ、ナ!」
「おお、レナね!素敵な名前だ!さっきも言ったけど私はエイダだよ。ただ、うちは狭いんだ。悪いけど息子の部屋を使ってもらってもいいかい?ベッドのシーツはちゃんと洗ってあるのを出すからね。」
「ありがとうございます!でもエイダさんは?」
レナは、ベッドを自分だけ使って、エイダは何処で寝るのだろうと思って聞き返す。
「私には私の部屋があるよ。息子はすぐ近くの首都バリウェリーに行ってなかなか帰って来ないし、帰って来たら床で寝るから気にしなくていいからね!」
「え?床!?気にします!その時はベッドをお返ししますから!」
「ハハハハ!息子は保安院に勤めていてね、一応どんな場所でも眠れるように訓練されているから大丈夫だよ!あ、そうそう今から朝ご飯なんだ。ちょっと準備するから待ってな!私はそのあと、仕事に行くからね。」
そう言ったエイダは壁際に設置されたキッチンで準備をしだした。
レナは、食事まで準備してくれると言うので申し訳ないとは思ったが、確かにお腹もすいている。仕事が終わりコンビニで何か買って帰ろうとしていたのだから当然なのかもしれない。
だからレナは、お礼に、仕事がもし手伝えるものなら手伝おうとエイダに聞いてみる事にした。
「エイダさん、仕事は何をしに行くのですか?私も手伝えますか?」
「いいのかい?体が何とも無いのなら来てくれると助かるよ。私はね、こっから少し進んだ先にある首都バリウェリーで靴磨きをしているんだよ。」
「靴磨き?」
レナは靴磨きとは珍しい仕事なのだなと思った。
「そうさ。旦那に教えてもらった靴磨きはもうかれこれ二十年以上しているから
ね、ベテランの域だよ!」
それを聞いて、レナは、先ほどエイダは一人と言っていなかったかと疑問に思ったが、それが顔に出ていたのかエイダは続けて言った。
「あぁ、旦那は息子が三歳の頃亡くなってね。そっから靴磨きで生計を立て、息子は私が一人で育てたんだよ。さ、朝食は昨夜の残りのスープと、ライ麦パンね!食べようか。」
エイダはいつの間にか準備を終え、テーブルに食事を置いた。
食事は、レナが見た事食べた事あるような物だ。世界が違っても、同じような食べ物で安心した。
(良かった…食べ物は普通だわ。美味しそう!ゲテモノが出てきたらどうしようかと思っちゃった!)
レナはありがたく思い、エイダにお礼を言ってから手を合わせて食事を頂いた。
☆★
「レナはこれに着替えなよ。私のお古で悪いけれどね。洗ってあるからさ。」
食事を終えて手早く片付けをしたエイダは、一度奥の部屋に入って少しして出掛ける為の荷物と、レナにも服を持ってきた。
「え?あ、ありがとうございます。」
エイダが後ろを向いてくれ、素早く持ってきてくれたワンピースに着替えると、エイダは頷いた。
「うん、いいね。済まないね。儲けがあれば帰りに買って帰ろうね。じゃあ、行こうか。」
レナは買ってもらう事に申し訳ないと思いながらも、確かに着替えは欲しいと思った。
(今は私、一文無しだから、その分何か出来る事をしよう。)
そうレナは思い、エイダに声を掛ける。
「エイダさん。それが靴磨きの道具ですか?」
麻袋に入ったそれは、両手に抱える程の大きさだった。
「あぁ、そうだよ。ちょっと大荷物なんだけどね。」
そう言って、歩き出すエイダにレナは少しでも恩を返そうと言葉にした。
「それ、私が持ちます!」
「おや、いいのかい?助かるよ。でも重いからね。辛くなったら交代するから言ってちょうだい。」
そう言ってエイダは、レナの両手に麻袋を手渡すと、玄関扉を開けた。
受け取ったレナは、想像したよりも麻袋が重くて腕にずっしりときた為、持って行けるのかと不安になった。
険しい顔になったレナを見たエイダは笑って、レナに声を掛ける。
「ハハハハ!重いだろう?少ししたら交代するから。」
「はい…すごいですね。これを仕事の日はいつも持って行くんですか?」
レナは、痺れそうになる腕を気にしながら聞いた。
「そうだよ。それが道具だからね。それがないと仕事にならないね。」
そう聞いてレナは、
(仕事かぁ…私も仕事見つけないとな。私が仕事で使っていたハサミとかクシとかあったら、ここでも仕事出来るのに。って、トリマーなんて仕事、この国にあるのかな?)
と疑問に思った。
歩き出してからすぐに、
「ほら、見えてきたよ。あれがスウォンヒル国の首都バリウェリーさ。」
とエイダが言った。
その言葉通り、高さがかなりある塀が視界に入ってきた。どうやら塀に囲まれた首都のようで、少し先に大きな門が見えてきた。
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