【完結】トリマーだった私が異世界という別の場所で生きていく事になりました。

まりぃべる

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3. 靴磨きという仕事

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 どうやらエイダの家は、首都から少しだけ外れた場所にあったようだ。
 塀に囲まれた門は南門といい、検問みたいなものもなくただ普通に歩いてそこをくぐると、

「まずは仕事をする為に挨拶に行かないといけないんだよ。」

 とエイダが言って、ずんずんと街並みを進んでいく。レナもついていくのに必死だった。

(挨拶?誰にするんだろ?)




「ここだよ!」

 少し歩いた先に、左右の扉が開け放たれた建物の前でエイダは立ち止まってそう言った。

 見ると、扉の左側の外壁に大きな看板があり、『あきびと商会 この街で商売をする時は必ず登録をする事 店舗展開の場合は毎月売り上げの十パーセントを支払う事 店舗を所有しておらず露店を出す場合は毎日許可を得、毎日の売り上げの十パーセントを登録料として支払う事。』

 などと書いてあった。

(なぜ読めるのかしら?文字は日本語ではないのに、頭に意味がスッと入ってきたわ。)

 壁に書かれた文字はレナが今まで見たことのあるものではないのに何故か理解が出来た事に不思議がる。

(ま、でも分からないよりはずっといいか。それを言ったら、言葉もちゃんと通じるものね。見た目は、この世界の人達は外国人のような容姿なのに。)

 とレナは楽観的に思い、エイダが中へと入っていったので慌ててそれについて行った。




「アイビー、今日も来たよ。いいかい?」

「おおエイダ!おはよう。分かったよ。帰りにまた寄っておくれ。ん?後ろの子は?見慣れないね。」

 入ったすぐ目の前、一階の正面には、カウンターがありその中に職員が座っている。
アイビーと呼ばれた、五十代位の男性はカウンターの中に座っていた。長い茶色い髪を首の所で一括りに縛っている。
 アイビーの隣のカウンターには、セルマと言う三十代位の女性が座っている。赤く背中まで伸びた長い髪を二つに分けて縛っていた。
 その職員に挨拶をし、帰りに売り上げの十パーセントを支払うのだそう。

「この子は手伝いさ。レナって言うんだ。よろしく。」

「お、お願いします。」

 レナも慌てて挨拶をする。

「そうか、エイダ。いつも一人だったもんな。とうとう弟子をとったのか?賑やかになるな!」

「いやだねぇ、そんなんじゃないよ!じゃあね、またその辺を適当に借りるよ!」

「なぁんだ!違うのか。分かったよ。周りと喧嘩にならなけりゃいつも通り好きにしな!気をつけてな。」

 その声を背中に聞きながら、エイダはすぐに建物を去る。レナもそれに続いた。


「さぁ、じゃあ今度は場所取りだよ。今日は乗り合い馬車の停留所前でやるとするか。」

 エイダは後ろを振り返りレナにそう声を掛け、商会から出てメイン通りを真っ直ぐ街中へと向かってすたすたと歩いて行く。

 周りには、さまざまなレンガ造りの建物が並んでいて、真ん中の大きな広い道には馬車が走っていた。

(すごっ!自動車じゃなくて、馬が乗り物?あ、馬車か。馬車に乗っている人は大きな帽子被った人とか、服装がお洒落だからきっと馬車の料金は高いのね。)


「レナ、ここだよ!さぁ、今から仕事だからね。レナは好きにしてていいよ。私のやる事を見ててもいいし、その辺り歩いて来てもいいから。治安はそんなに悪くないから昼間は大丈夫だろ。」

 そう言ったエイダは、看板が立っている馬車の停留所の一角に荷物を並べ始めた。

「隣で見ててもいいですか?」

「いいよ。馬車に乗る人の邪魔にだけはならないようにね。追い出されたらかなわないからね。」

 エイダはそう言うと、低いイスに座り、向かい側に小さな台を置いた。この二つがあったから荷物は多くなり重かったのだとレナは思った。

(どうやるのかな。靴磨きって、仕事になるのかな。)

 レナは初めて見る靴磨きに興味津々で、隣に立ってエイダを見ている。

「そうだレナ。近くにいるなら、客寄せやってくれるかい?」

「客寄せ?」

 レナは怪訝に思ったがきっと呼び込んで欲しいのだろうと思い、声を上げた。

「靴磨きは如何ですか?綺麗になりますよ!」

 馬車に並んでいる人がこちらをチラチラと見ている。
と、一人の男性がこちらに気づいてジッと見てきた。

(わぁ…!とっても格好いい!映画俳優よりもっとだわ!イケメン!)

 とレナは思い、せっかくならとニコリと笑いかけ、

「もし良かったら、靴磨き、如何ですかー?」

 とその人に向かって言ってみる。
 するとその人は時計を確認してからその列から離れエイダの前に立った。
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