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12. やっぱり癒される
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二時間ほどしてエイダさんの仕事が終わり、食堂へ寄ってからレナが使っていいと言われた店舗へエイダとレナは向かった。
エイダは今までは、質素な生活をしていたのだそうだ。でも、レナが客寄せをしているから儲けが格段に増えたと言って、少し贅沢だけど栄養も摂らないとねと言って店舗の隣の食堂で食べるのだった。
営業している店は、扉を開け放しておくようで近隣の営業している店は皆、入り口扉が空いていた。なので、レナもそれに倣って扉を開け放った。
と、先ほどの毛の塊のようなイヌが店の中に入って来た。
「おやまぁ!食堂でもたまにネコが入ってきたりもしたけれど、どうやって追い返せばいいんだろうね。シッシッ!」
「あ、待って!」
エイダが善かれと思って追い払おうとすると、レナはそれを止めて入って来たイヌを抱きかかえた。
「レナ!?」
レナがいきなり抱きかかえたのでエイダは慌てて驚いている。が、レナはと言うと、
「エイダさん、扉閉めてもらっていいですか?あ、もし関わりたくなければ、その…すみませんがお出掛けしてもらっていても。」
と、エイダへと冷静に声を掛ける。
エイダが、初日に言っていた〝動物とはあまり関わらない〟というのを守らない事になってしまうので、エイダに迷惑は掛けられないと思ってそう言ったのだ。
「なに言ってんだよ!んもう!あれだけ言ったのに仕方ないねぇ!!で?私は何か手伝うかい?」
しかしそう言われたエイダは、若干怒りつつもしっかりと扉は閉め、レナに寄り添おうとしてくれる。
あれだけ忠告をしたのに動物と関わりを持ってしまうレナを心配しているのだ。
「え?…すみません、ありがとうございます。でも、引っ掻いたりするといけないので、離れていて下さいね。」
そうレナはエイダへと声を掛けると、今度は抱き上げたままのイヌへと声を掛ける。
「なんでここに入って来たの?私がカットするって分かったのかな?でもまずは綺麗にしてあげるからね。」
(こんな泥や薄汚れたままだと、衛生的にも良くないと思うわ。だって、さっきもエイダさんが言ってた。店に入ってくる野良もいるって。)
そうレナは思い、洗面台へと連れて行く。中が深いので、洗面台へと入れてもそのイヌはすっぽり入ってしまうので、動物を洗うには少し低いが逃げなくてちょうど良いと思った。
水も、アイビーが、昨日のうちに出せるようにしてくれていたのだ。
(あ!でも水じゃあさすがに冷たいわよね…。)
「エイダさん!」
「なんだい?」
「お湯が欲しいんですけど…ここでは沸かせられませんか?」
「んー、ここはかまどもないし。あ!じゃあ隣の食堂でお湯を沸かしてもらってくるよ!どのくらいいるんだい?」
「え!?え、えーと…鍋一つ分?」
(隣の食堂で!?でも、いいのかな?確かに有難いけど…。ちょっとその辺りも考えないとね。)
水道は通っているが、ガスはないのでエイダも毎回、湯を沸かすのに火打ち石で擦っているのだ。
(それに…シャンプーなんてないし。)
使い古しの固形石鹸が置きっぱしてあったので、とりあえずはこれで洗ってみようとレナは思う。が、果たして上手くいくのだろうか。
「くうん…」
「あ、ごめんね、不安だよね。そうそう、毛をまず梳かすからね。ちょっと良い子にしててね!」
そう言ってレナは引き出しを覗き櫛と、ハサミを取り出す。
(人に使う用と、動物用と分けないとね。)
ここのものは好きに使っていいと言われ、壊れても請求なんてしないとまで言われているので存分に使わせてもらおうと思って、イヌの元へと戻り毛を梳かそうとして手を止める。
(これは…毛玉になっているのは可哀想だけど先に切ってからね。)
そう思いレナは手入れをしていく。その際も、そのイヌは暴れる事もなくとても気持ち良さそうにしていた。
「いい子ね、いい子いい子!」
レナはそう声を掛けながら、優しく手入れをしていった。
(はぁ…これよ、これ!可愛いなぁ…!癒されるわ。野良でも人に撫でてもらいたい子もいるよね。この子はきっとそうなのね。フワフワになるといいなぁ!)
「もらってきたよ!」
ややもすると、エイダが入って来た。鍋を持ったエイダに、扉を開けた隣の女将さんまでも中に入ってきて言った。
「あんた!本当に綺麗にするのかい?」
隣の食堂の女将さんが、腰に手をあてながらレナに聞いた。
「ええ。衛生的にも良くないと思いまして。」
「なるほどねぇ…よし、決めた!湯が欲しい時はうちに言いな!たんと沸かしてやるよ!うちにもよく店に入ってくる野良がいるんだよ。可愛い子達だけど、でもなんとなく手を出しづらくてねぇ。残飯をこっそりと裏手に置いとくので精一杯さ!あんたのその心意気に、陰ながら応援するよ!」
そう言って、お代わり欲しかったらまたおいで!とまた言いながら扉に向かう。
「ありがとうございます!」
レナは、気持ち大きな声を出して言うと、食堂の女将は振り返り手を振って出て行った。
「よかったね、レナ!支援者が出来て。お礼は、今度髪切ってやってくれるかい?さっき言われちゃってね。」
「はい!」
心強い味方が出来たと思いながら、その湯を洗面台にあったコップに分けて水を足したりしてちょうどいい温度にし、手順を進めていった。
エイダは今までは、質素な生活をしていたのだそうだ。でも、レナが客寄せをしているから儲けが格段に増えたと言って、少し贅沢だけど栄養も摂らないとねと言って店舗の隣の食堂で食べるのだった。
営業している店は、扉を開け放しておくようで近隣の営業している店は皆、入り口扉が空いていた。なので、レナもそれに倣って扉を開け放った。
と、先ほどの毛の塊のようなイヌが店の中に入って来た。
「おやまぁ!食堂でもたまにネコが入ってきたりもしたけれど、どうやって追い返せばいいんだろうね。シッシッ!」
「あ、待って!」
エイダが善かれと思って追い払おうとすると、レナはそれを止めて入って来たイヌを抱きかかえた。
「レナ!?」
レナがいきなり抱きかかえたのでエイダは慌てて驚いている。が、レナはと言うと、
「エイダさん、扉閉めてもらっていいですか?あ、もし関わりたくなければ、その…すみませんがお出掛けしてもらっていても。」
と、エイダへと冷静に声を掛ける。
エイダが、初日に言っていた〝動物とはあまり関わらない〟というのを守らない事になってしまうので、エイダに迷惑は掛けられないと思ってそう言ったのだ。
「なに言ってんだよ!んもう!あれだけ言ったのに仕方ないねぇ!!で?私は何か手伝うかい?」
しかしそう言われたエイダは、若干怒りつつもしっかりと扉は閉め、レナに寄り添おうとしてくれる。
あれだけ忠告をしたのに動物と関わりを持ってしまうレナを心配しているのだ。
「え?…すみません、ありがとうございます。でも、引っ掻いたりするといけないので、離れていて下さいね。」
そうレナはエイダへと声を掛けると、今度は抱き上げたままのイヌへと声を掛ける。
「なんでここに入って来たの?私がカットするって分かったのかな?でもまずは綺麗にしてあげるからね。」
(こんな泥や薄汚れたままだと、衛生的にも良くないと思うわ。だって、さっきもエイダさんが言ってた。店に入ってくる野良もいるって。)
そうレナは思い、洗面台へと連れて行く。中が深いので、洗面台へと入れてもそのイヌはすっぽり入ってしまうので、動物を洗うには少し低いが逃げなくてちょうど良いと思った。
水も、アイビーが、昨日のうちに出せるようにしてくれていたのだ。
(あ!でも水じゃあさすがに冷たいわよね…。)
「エイダさん!」
「なんだい?」
「お湯が欲しいんですけど…ここでは沸かせられませんか?」
「んー、ここはかまどもないし。あ!じゃあ隣の食堂でお湯を沸かしてもらってくるよ!どのくらいいるんだい?」
「え!?え、えーと…鍋一つ分?」
(隣の食堂で!?でも、いいのかな?確かに有難いけど…。ちょっとその辺りも考えないとね。)
水道は通っているが、ガスはないのでエイダも毎回、湯を沸かすのに火打ち石で擦っているのだ。
(それに…シャンプーなんてないし。)
使い古しの固形石鹸が置きっぱしてあったので、とりあえずはこれで洗ってみようとレナは思う。が、果たして上手くいくのだろうか。
「くうん…」
「あ、ごめんね、不安だよね。そうそう、毛をまず梳かすからね。ちょっと良い子にしててね!」
そう言ってレナは引き出しを覗き櫛と、ハサミを取り出す。
(人に使う用と、動物用と分けないとね。)
ここのものは好きに使っていいと言われ、壊れても請求なんてしないとまで言われているので存分に使わせてもらおうと思って、イヌの元へと戻り毛を梳かそうとして手を止める。
(これは…毛玉になっているのは可哀想だけど先に切ってからね。)
そう思いレナは手入れをしていく。その際も、そのイヌは暴れる事もなくとても気持ち良さそうにしていた。
「いい子ね、いい子いい子!」
レナはそう声を掛けながら、優しく手入れをしていった。
(はぁ…これよ、これ!可愛いなぁ…!癒されるわ。野良でも人に撫でてもらいたい子もいるよね。この子はきっとそうなのね。フワフワになるといいなぁ!)
「もらってきたよ!」
ややもすると、エイダが入って来た。鍋を持ったエイダに、扉を開けた隣の女将さんまでも中に入ってきて言った。
「あんた!本当に綺麗にするのかい?」
隣の食堂の女将さんが、腰に手をあてながらレナに聞いた。
「ええ。衛生的にも良くないと思いまして。」
「なるほどねぇ…よし、決めた!湯が欲しい時はうちに言いな!たんと沸かしてやるよ!うちにもよく店に入ってくる野良がいるんだよ。可愛い子達だけど、でもなんとなく手を出しづらくてねぇ。残飯をこっそりと裏手に置いとくので精一杯さ!あんたのその心意気に、陰ながら応援するよ!」
そう言って、お代わり欲しかったらまたおいで!とまた言いながら扉に向かう。
「ありがとうございます!」
レナは、気持ち大きな声を出して言うと、食堂の女将は振り返り手を振って出て行った。
「よかったね、レナ!支援者が出来て。お礼は、今度髪切ってやってくれるかい?さっき言われちゃってね。」
「はい!」
心強い味方が出来たと思いながら、その湯を洗面台にあったコップに分けて水を足したりしてちょうどいい温度にし、手順を進めていった。
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