【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…

まりぃべる

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13. 優しい笑顔

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 私が、このバウツェン国に来て一年は、本当にたくさん知識を詰め込んだと思うわ。


 母が亡くなったのは四歳。
その時から、私は侍女のカリツ以外にはほとんど見向きもされなかったから、知識を教えてもらう機会だって無かった。

 カリツが、読み書きを教えてくれたり、簡単なターボル国の歴史や、お母様の生まれた国だからとバウツェン国の歴史も合わせて教えてくれ、それから礼儀作法もきっと必要になるからと教えてくれた。

 その時は、いつかその生活から抜け出したいと思いながらも、本当に学んでいて必要になるかしら?という気持ちもあった。
それでも、時間はたくさんあったから、カリツにいろいろと教わったわ。

 カリツは、お母様がバウツェン国にいた頃からの侍女だったみたい。お母様はバウツェン国の公爵家がご実家だったらしく、カリツも相応の教育を受けて侍女として勤めていたみたいね。だから、私にもいろいろと教えてくれたみたい。
『エミーリエ様は高貴なる血統なのですから、いつか必ず必要となる知識だと思っておりました。』そう、涙ながらに言われたわ。

 カリツが分からない事は、お父様に許可を得て書斎から書物を借りて教えてくれたわ。
〝私に知識を与える為に書斎の書物をお借りする〟許可は、お母様が亡くなってすぐに頂いていたらしく、ヨハナにもばれなかったらしくてカリツは本当に優秀だわ!

 本当に、カリツがいなかったら私、どうなっていたかしら。


 カリツが教えてくれていた基礎があったから、私はバウツェン国へ来て、王妃教育を受ける際にも後は細かな所を覚えるだけで良かった。
だから、一年でどうにか取り繕う事が出来るまでになったわ。

 でも、そこで終わりではないの。

 バウツェン国へ来て一年後に、結婚式を挙げ、王太子妃となると今度は王妃教育。いつか迎える、ルドヴィーク様が国王となる時代の為に。


 ルドヴィーク様のご両親の、プルゼニ国王とグーラ王妃はまだまだ現役だと精を出して国を治めてくれている。
私がルドヴィーク様と新婚生活を楽しめぬまま、王妃の仕事をするのは申し訳ないと言ってくれて、もう暫くは現役で頑張るからねと言ってくださったのだ。

「もう暫くは、好きにしていいのよ。」

 グーラ王妃は、記憶の中の亡きお母様のような優しい笑顔でそう言って下さった。
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