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11. 顔合わせ
アドルフ様がカントリーハウスのお屋敷へ来る日になりました。
午後のお茶の時間に来られるのですけれど、朝からお屋敷はバタバタとしております。
お姉様とお母様は例の如く、昨日の午後からタウンハウスへ出掛けたので今日の予定を無事に秘密に出来たかと思います。
私も、落ち着いた花柄のワンピースを着て窓の外を眺めながらお待ちしておりました。
「シンシア様、アドルフ=スタンリー様がいらっしゃいました。」
「そう。ありがとう、ガセボにいらっしゃるの?」
「はい。お通し致しました。」
「ありがとう。行くわ。…気が進まないけれど。」
「シンシア様…。いいお話ですよ。次期侯爵様になられる方なのですから。」
「分かってるわ。優秀な弟のセインに任せればこの領地も大丈夫だという事も。だけれど、私が結婚なんて…。考えていなかったから戸惑っているだけ。」
「もう、そのような事に悩む年齢になられたのですよ。大きくなられましたね。」
「そうね…。さ、行きましょう。あまりお待たせしてもいけないわね。」
ガセボに着くと、アドルフ様は侍女が準備した紅茶を優雅に飲んでいらした。
濃い青色のシャツに黒色のスラックスをお召しでした。
「お待たせして申し訳ありません。今日はようこそいらっしゃいました。」
「あぁ、シンシア。急にすまないね、今日はお邪魔するよ。驚いたろう?でも実は、もっと驚く事が起こると思うよ。だけれど、シンシアは心配しなくていいからね。さぁ、役者が揃うまでゆっくり話そう。」
「えと…?」
「シンシア。僕が次期侯爵になるのは知っているね?義理の弟がいるが、侯爵である父上と愛人との子の為権利が認められてないから。」
「はい。」
「僕は…後継ぎが欲しいんだよ。相手は誰でもいいんだ。…違うな。誰でも一緒なんだ。本当に愛する人とは結婚出来ないからね。」
「!…それは、もしかしたら…。」
「シンシアは近くにいたから気づいたかな?上手く隠しているつもりだったんだけどね。そうさ。だけど、あいつも家を継がなければならないから、幼い頃から婚約者がいる。…なぜ婚約者がいるか経緯は知っている?」
「いいえ…。」
「彼女、歳の離れた双子の妹と弟がいたんだ。だけど、馬車の事故でね…。母君とその双子が犠牲になられた。それで、今は彼女が後継者なんだ。」
「知りませんでした…。」
「うん。双子の子は二歳になる前だったかな?だから、そんなに知られてないよね。ある程度大きくならないと社交にも出ないし。彼女も、わざわざ自分から口にしないからね。だけどそれで、彼女が後継者となり、早く跡を継いで欲しいと侯爵卿は思われ、すぐに婚約者を探し始めたそうだよ。仲の良かった公爵卿が同じ年齢の二男とならって話しが早々にまとまったんだ。だから、僕の入る隙は残念ながら無くてね。」
そう言ったアドルフ様は少し哀しげな顔をしていた。
午後のお茶の時間に来られるのですけれど、朝からお屋敷はバタバタとしております。
お姉様とお母様は例の如く、昨日の午後からタウンハウスへ出掛けたので今日の予定を無事に秘密に出来たかと思います。
私も、落ち着いた花柄のワンピースを着て窓の外を眺めながらお待ちしておりました。
「シンシア様、アドルフ=スタンリー様がいらっしゃいました。」
「そう。ありがとう、ガセボにいらっしゃるの?」
「はい。お通し致しました。」
「ありがとう。行くわ。…気が進まないけれど。」
「シンシア様…。いいお話ですよ。次期侯爵様になられる方なのですから。」
「分かってるわ。優秀な弟のセインに任せればこの領地も大丈夫だという事も。だけれど、私が結婚なんて…。考えていなかったから戸惑っているだけ。」
「もう、そのような事に悩む年齢になられたのですよ。大きくなられましたね。」
「そうね…。さ、行きましょう。あまりお待たせしてもいけないわね。」
ガセボに着くと、アドルフ様は侍女が準備した紅茶を優雅に飲んでいらした。
濃い青色のシャツに黒色のスラックスをお召しでした。
「お待たせして申し訳ありません。今日はようこそいらっしゃいました。」
「あぁ、シンシア。急にすまないね、今日はお邪魔するよ。驚いたろう?でも実は、もっと驚く事が起こると思うよ。だけれど、シンシアは心配しなくていいからね。さぁ、役者が揃うまでゆっくり話そう。」
「えと…?」
「シンシア。僕が次期侯爵になるのは知っているね?義理の弟がいるが、侯爵である父上と愛人との子の為権利が認められてないから。」
「はい。」
「僕は…後継ぎが欲しいんだよ。相手は誰でもいいんだ。…違うな。誰でも一緒なんだ。本当に愛する人とは結婚出来ないからね。」
「!…それは、もしかしたら…。」
「シンシアは近くにいたから気づいたかな?上手く隠しているつもりだったんだけどね。そうさ。だけど、あいつも家を継がなければならないから、幼い頃から婚約者がいる。…なぜ婚約者がいるか経緯は知っている?」
「いいえ…。」
「彼女、歳の離れた双子の妹と弟がいたんだ。だけど、馬車の事故でね…。母君とその双子が犠牲になられた。それで、今は彼女が後継者なんだ。」
「知りませんでした…。」
「うん。双子の子は二歳になる前だったかな?だから、そんなに知られてないよね。ある程度大きくならないと社交にも出ないし。彼女も、わざわざ自分から口にしないからね。だけどそれで、彼女が後継者となり、早く跡を継いで欲しいと侯爵卿は思われ、すぐに婚約者を探し始めたそうだよ。仲の良かった公爵卿が同じ年齢の二男とならって話しが早々にまとまったんだ。だから、僕の入る隙は残念ながら無くてね。」
そう言ったアドルフ様は少し哀しげな顔をしていた。
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