21 / 27
21. 想いが
「それでね、やっとなんだけど、アドルフまで協力してくれたし、シンシア…俺、君に伝えたい事があるんだ。」
そう言ったハルトは、私の元まで来て手を取って立たせた。
そして、ハルトが膝を折りまた私の手を少し掴んで私の目を見上げて言った。
「シンシア…シンシア=クレムフィス。私は、君と一緒に過ごした一週間がとても満ち足りていた。民と寄り添う君の温かい気持ちに触れ、自分はなんて高慢な王太子だったんだろうと気付かされたんだ。そして、初めて自分から国の為に学んでいこうと思えた。努力も、惜しまずこの十年積み上げて来たんだ。そして、父上にも許可を得てきた。私と共に人生を歩んで欲しい。結婚して下さい。」
………!
私は、顔に熱が集まっていくのが分かった。これは、もしかしなくても求婚だわ!もしかして、アドルフ様が言われたのは、ハルトの事だったのかしら。
私も、あの一週間は特別だったわ!
ハルトはすべてにおいて新鮮だったのか、私に幾度となく質問してきた。
その度に私が返答すると、『なるほど…。』とか、『考えた事もなかった!シンシアはすごいな!』とか言われた。
そして、私が力仕事をしようとすると『何やってるんだ。俺がやってやる。』と言って変わりにやってくれた。何となく女の子扱いされたみたいで胸がときめいた。
領民に寄り添うと言われても、ただ皆の不満や希望を聞いてそれに対処していただけなのだけれど。
まぁ、文字の読み書きや簡単な計算を学ばせたおかげか王都に仕事をしに行く人も増えた。
馬に乗れる人も増えたので、今は私がいなくても手が空いている人達に、人手が必要な所へお手伝いしに行ってもらっている。
領民も、以前よりも生き生きとしているように感じるわ。
お父様にもダルにも褒められたのは嬉しかったわ。
私は、ハルトの顔から一度逸らして目を瞑った。
考えるのは、あの共に過ごした一週間。また、過ごしたいと思った。
だから、目を開けてハルトの方を向き私ははにかみながら答えた。
「…はい。ふつつか者ですが、よろしくお願いします。」
「やった…!」
ハルトは、立ち上がり私を引き寄せぎゅっと抱き締められた。
「絶対に幸せにするから!未来の王太子妃!」
…あ!そうだわ。ハルトと結婚って事は王太子妃…!
私は顔中の血の気が引くように感じた。
「シンシア。君が領地でやっていた事。あれは充分未来の王太子妃の役割を果たしているんだよ。だから大丈夫。ね?何かあれば、これからは俺に頼ってくれ。」
ポンポンと、頭を優しく撫でられるととたんに顔に赤みが差す、というか体中の熱が集められるようだわ。
恥ずかしかったけれど、私は思わず、肯定の意味を込めてハルトの背中に手を回した。
そう言ったハルトは、私の元まで来て手を取って立たせた。
そして、ハルトが膝を折りまた私の手を少し掴んで私の目を見上げて言った。
「シンシア…シンシア=クレムフィス。私は、君と一緒に過ごした一週間がとても満ち足りていた。民と寄り添う君の温かい気持ちに触れ、自分はなんて高慢な王太子だったんだろうと気付かされたんだ。そして、初めて自分から国の為に学んでいこうと思えた。努力も、惜しまずこの十年積み上げて来たんだ。そして、父上にも許可を得てきた。私と共に人生を歩んで欲しい。結婚して下さい。」
………!
私は、顔に熱が集まっていくのが分かった。これは、もしかしなくても求婚だわ!もしかして、アドルフ様が言われたのは、ハルトの事だったのかしら。
私も、あの一週間は特別だったわ!
ハルトはすべてにおいて新鮮だったのか、私に幾度となく質問してきた。
その度に私が返答すると、『なるほど…。』とか、『考えた事もなかった!シンシアはすごいな!』とか言われた。
そして、私が力仕事をしようとすると『何やってるんだ。俺がやってやる。』と言って変わりにやってくれた。何となく女の子扱いされたみたいで胸がときめいた。
領民に寄り添うと言われても、ただ皆の不満や希望を聞いてそれに対処していただけなのだけれど。
まぁ、文字の読み書きや簡単な計算を学ばせたおかげか王都に仕事をしに行く人も増えた。
馬に乗れる人も増えたので、今は私がいなくても手が空いている人達に、人手が必要な所へお手伝いしに行ってもらっている。
領民も、以前よりも生き生きとしているように感じるわ。
お父様にもダルにも褒められたのは嬉しかったわ。
私は、ハルトの顔から一度逸らして目を瞑った。
考えるのは、あの共に過ごした一週間。また、過ごしたいと思った。
だから、目を開けてハルトの方を向き私ははにかみながら答えた。
「…はい。ふつつか者ですが、よろしくお願いします。」
「やった…!」
ハルトは、立ち上がり私を引き寄せぎゅっと抱き締められた。
「絶対に幸せにするから!未来の王太子妃!」
…あ!そうだわ。ハルトと結婚って事は王太子妃…!
私は顔中の血の気が引くように感じた。
「シンシア。君が領地でやっていた事。あれは充分未来の王太子妃の役割を果たしているんだよ。だから大丈夫。ね?何かあれば、これからは俺に頼ってくれ。」
ポンポンと、頭を優しく撫でられるととたんに顔に赤みが差す、というか体中の熱が集められるようだわ。
恥ずかしかったけれど、私は思わず、肯定の意味を込めてハルトの背中に手を回した。
あなたにおすすめの小説
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
双子の妹を選んだ婚約者様、貴方に選ばれなかった事に感謝の言葉を送ります
すもも
恋愛
学園の卒業パーティ
人々の中心にいる婚約者ユーリは私を見つけて微笑んだ。
傍らに、私とよく似た顔、背丈、スタイルをした双子の妹エリスを抱き寄せながら。
「セレナ、お前の婚約者と言う立場は今、この瞬間、終わりを迎える」
私セレナが、ユーリの婚約者として過ごした7年間が否定された瞬間だった。
【完結】義家族に婚約者も、家も奪われたけれど幸せになります〜義妹達は華麗に笑う
鏑木 うりこ
恋愛
お姉様、お姉様の婚約者、私にくださらない?地味なお姉様より私の方がお似合いですもの!
お姉様、お姉様のお家。私にくださらない?お姉様に伯爵家の当主なんて務まらないわ
お母様が亡くなって喪も明けないうちにやってきた新しいお義母様には私より一つしか違わない双子の姉妹を連れて来られました。
とても美しい姉妹ですが、私はお義母様と義妹達に辛く当たられてしまうのです。
この話は特殊な形で進んで行きます。表(ベアトリス視点が多い)と裏(義母・義妹視点が多い)が入り乱れますので、混乱したら申し訳ないですが、書いていてとても楽しかったです。
これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?
satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。
結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…
(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
妹は謝らない
青葉めいこ
恋愛
物心つく頃から、わたくし、ウィスタリア・アーテル公爵令嬢の物を奪ってきた双子の妹エレクトラは、当然のように、わたくしの婚約者である第二王子さえも奪い取った。
手に入れた途端、興味を失くして放り出すのはいつもの事だが、妹の態度に怒った第二王子は口論の末、妹の首を絞めた。
気絶し、目覚めた妹は、今までの妹とは真逆な人間になっていた。
「彼女」曰く、自分は妹の前世の人格だというのだ。
わたくしが恋する義兄シオンにも前世の記憶があり、「彼女」とシオンは前世で因縁があるようで――。
「彼女」と会った時、シオンは、どうなるのだろう?
小説家になろうにも投稿しています。