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16. 二人の語らい
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「裸馬競争、ですか?」
「そう。今年は俺も出場する事になってしまったんだ。」
裸馬競争とは、馬に鞍を付けないでその馬の背にそのまま乗り、手綱を引っ張って会場を駆け抜ける競争だ。
会場は王都にある扇形の広場で、それは毎年行われる。
誰が出場してもよく、庶民が出場する事も出来るが馬を乗りこなせないといけない為、めったに出場しない。
その為、たいていは見栄っぱりの貴族や、名前を売りたい商人、あとは賑やかしで騎士団が出場する。
いつもは、騎士団長のボニートが出場し、あとは適当に騎士団の出たい者と、新人の騎士が半ば強制で出場していた。だが、ボニートは今回別の任務があり出場出来ない為、ヴァルフレードに話が回ってきたのだ。
今は、顔合わせから三日経ち、今度はヴァルフレードが屋敷へと招待したのだ。そこで、裏庭、というか果樹園で地面に敷物を広げて二人、座って話していた。
☆★
ボニートは、ソルディーニ家へ挨拶に行った夕方に休みだと言うのに王宮へと呼び出され、ベルトルドとピエトロ国王がいる執務室へと向かい、命令された。
『フィラハ国へ、パルミーロを送って差し上げる事』
騎士団長が直々に送り届ける事で、コネリアーノ国としても最大限の配慮をしたと見せる事が出来る。だが、実質はコネリアーノからの強制退去。パルミーロはこの国への入国禁止を言い渡してある。
午後に行われたテレンツィオ王子との面会で、テレンツィオからの謝罪と、賠償金を支払う事を言われたピエトロは、バルトルドへ視線を向け、バルトルドが代わりに交渉をした。
テレンツィオも初めはその内容に驚いていたが、『わが国としても、特産品をそのように重視して頂けるとはありがたいお話です。定期的に販売となれば、人材も確保しなければならないがそうする事で民の生活も定期的に仕事があるという安心感に繋がります。父にも書状を送ります。寛大なるご配慮、傷み入ります。』と目を潤ませていた。フィラハ国は裕福な国ではないのだ。賠償金と言ってはみせたが用意するのは並大抵では出来なかった為だ。
パルミーロの退去だけで済み、国の代表としてまだ滞在を許され、交流が出来る事に感謝していた。
本来であれば、フィラハ国から来た二人の王子が裸馬競争を観覧する予定であった。
だが、パルミーロは見る事は適わない。
テレンツィオだけは、王族の観覧席で見る事を許されたのだ。
☆★
「今年は、テレンツィオ王子も観覧するらしくてね。俺、絶対に勝たないといけないな。」
「あら、そんなに意気込まなくても。私は見た事はありませんが、鞍の無い馬に乗るのは大変とお聞きしますわ。怪我さえ無ければそれで。振り落とされでもしたらと考えたら、心配です。」
「アルフォンシーナ…!俺の身を案じてくれるなんて嬉しいよ。
…だって、パルミーロがちょっかいを掛けた令嬢は誰だと気にしているはずだ。婚約を早々にしたから、アルフォンシーナに声は掛からなかったけれどきっとテレンツィオ王子が謝罪をしたいと君に会いに来たらと思うと…!テレンツィオ王子が、アルフォンシーナを見たら確実恋に落ちてしまうよ。それほどアルフォンシーナは魅力的なのだから。
それで、ソルディーニ家に結婚の打診があったらと考えると、俺は生きた心地がしないよ。」
「まぁ…!大げさですわ。」
ふふふと、またアルフォンシーナは、笑顔を向ける。もう、愛想の無かったアルフォンシーナはどこにもいない。今は、ぎこちなさも抜け、見る人を和ませる笑顔を自然と出せるようになっていた。
「大げさじゃないさ!
今はアルフォンシーナと婚約しているだろう?婚約者が無様な格好は出来ないからね。君に相応しいと胸を張れるように、俺は頑張らないといけないな。」
「そんな事必要ありませんわ。私が、望んでヴァルフレード様と一緒にいたいのですもの。ヴァルフレード様が無様であろうとなかろうと、私は関係ありませんわ。
…それ、断れませんのよね?」
「え?断れ、ないかな…どうして?」
「ですから、ヴァルフレード様が心配なのです。」
「そう言ってもらえる日がくるとは…!大丈夫。普段から馬に乗る訓練はしているからね。心配いらないよ。」
そう言って、ヴァルフレードはアルフォンシーナの頭を愛おしそうに撫でる。
やっと触れ合える距離にいる事が出来た、そう実感し、事ある事にアルフォンシーナを触れたいと思っているヴァルフレード。しかし、触れ過ぎると歯止めが効かなくなりそうで、ヴァルフレードはその加減に必死だった。
(…!アルフォンシーナの嬉しそうな顔!俺が撫でているからか?そんな顔をしないでくれ!抱き寄せて、あんな事やこんな事もしたくなる…いやいや、アルフォンシーナはさすがにまだそんな事望んでいないはずだ!今は、気持ちが通い合っただけで、婚約者となれだだけで善しと思わなければ!
…しかし可愛い!可愛過ぎる!!)
二人の距離は少しずつ縮まり、話をしながら仲を深めていった。
「そう。今年は俺も出場する事になってしまったんだ。」
裸馬競争とは、馬に鞍を付けないでその馬の背にそのまま乗り、手綱を引っ張って会場を駆け抜ける競争だ。
会場は王都にある扇形の広場で、それは毎年行われる。
誰が出場してもよく、庶民が出場する事も出来るが馬を乗りこなせないといけない為、めったに出場しない。
その為、たいていは見栄っぱりの貴族や、名前を売りたい商人、あとは賑やかしで騎士団が出場する。
いつもは、騎士団長のボニートが出場し、あとは適当に騎士団の出たい者と、新人の騎士が半ば強制で出場していた。だが、ボニートは今回別の任務があり出場出来ない為、ヴァルフレードに話が回ってきたのだ。
今は、顔合わせから三日経ち、今度はヴァルフレードが屋敷へと招待したのだ。そこで、裏庭、というか果樹園で地面に敷物を広げて二人、座って話していた。
☆★
ボニートは、ソルディーニ家へ挨拶に行った夕方に休みだと言うのに王宮へと呼び出され、ベルトルドとピエトロ国王がいる執務室へと向かい、命令された。
『フィラハ国へ、パルミーロを送って差し上げる事』
騎士団長が直々に送り届ける事で、コネリアーノ国としても最大限の配慮をしたと見せる事が出来る。だが、実質はコネリアーノからの強制退去。パルミーロはこの国への入国禁止を言い渡してある。
午後に行われたテレンツィオ王子との面会で、テレンツィオからの謝罪と、賠償金を支払う事を言われたピエトロは、バルトルドへ視線を向け、バルトルドが代わりに交渉をした。
テレンツィオも初めはその内容に驚いていたが、『わが国としても、特産品をそのように重視して頂けるとはありがたいお話です。定期的に販売となれば、人材も確保しなければならないがそうする事で民の生活も定期的に仕事があるという安心感に繋がります。父にも書状を送ります。寛大なるご配慮、傷み入ります。』と目を潤ませていた。フィラハ国は裕福な国ではないのだ。賠償金と言ってはみせたが用意するのは並大抵では出来なかった為だ。
パルミーロの退去だけで済み、国の代表としてまだ滞在を許され、交流が出来る事に感謝していた。
本来であれば、フィラハ国から来た二人の王子が裸馬競争を観覧する予定であった。
だが、パルミーロは見る事は適わない。
テレンツィオだけは、王族の観覧席で見る事を許されたのだ。
☆★
「今年は、テレンツィオ王子も観覧するらしくてね。俺、絶対に勝たないといけないな。」
「あら、そんなに意気込まなくても。私は見た事はありませんが、鞍の無い馬に乗るのは大変とお聞きしますわ。怪我さえ無ければそれで。振り落とされでもしたらと考えたら、心配です。」
「アルフォンシーナ…!俺の身を案じてくれるなんて嬉しいよ。
…だって、パルミーロがちょっかいを掛けた令嬢は誰だと気にしているはずだ。婚約を早々にしたから、アルフォンシーナに声は掛からなかったけれどきっとテレンツィオ王子が謝罪をしたいと君に会いに来たらと思うと…!テレンツィオ王子が、アルフォンシーナを見たら確実恋に落ちてしまうよ。それほどアルフォンシーナは魅力的なのだから。
それで、ソルディーニ家に結婚の打診があったらと考えると、俺は生きた心地がしないよ。」
「まぁ…!大げさですわ。」
ふふふと、またアルフォンシーナは、笑顔を向ける。もう、愛想の無かったアルフォンシーナはどこにもいない。今は、ぎこちなさも抜け、見る人を和ませる笑顔を自然と出せるようになっていた。
「大げさじゃないさ!
今はアルフォンシーナと婚約しているだろう?婚約者が無様な格好は出来ないからね。君に相応しいと胸を張れるように、俺は頑張らないといけないな。」
「そんな事必要ありませんわ。私が、望んでヴァルフレード様と一緒にいたいのですもの。ヴァルフレード様が無様であろうとなかろうと、私は関係ありませんわ。
…それ、断れませんのよね?」
「え?断れ、ないかな…どうして?」
「ですから、ヴァルフレード様が心配なのです。」
「そう言ってもらえる日がくるとは…!大丈夫。普段から馬に乗る訓練はしているからね。心配いらないよ。」
そう言って、ヴァルフレードはアルフォンシーナの頭を愛おしそうに撫でる。
やっと触れ合える距離にいる事が出来た、そう実感し、事ある事にアルフォンシーナを触れたいと思っているヴァルフレード。しかし、触れ過ぎると歯止めが効かなくなりそうで、ヴァルフレードはその加減に必死だった。
(…!アルフォンシーナの嬉しそうな顔!俺が撫でているからか?そんな顔をしないでくれ!抱き寄せて、あんな事やこんな事もしたくなる…いやいや、アルフォンシーナはさすがにまだそんな事望んでいないはずだ!今は、気持ちが通い合っただけで、婚約者となれだだけで善しと思わなければ!
…しかし可愛い!可愛過ぎる!!)
二人の距離は少しずつ縮まり、話をしながら仲を深めていった。
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