【完結】いつも微笑んでいる侯爵様とニコリともしない伯爵令嬢のお話

まりぃべる

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27. 番外編 ブルニルタの悪魔の囁き

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「それでね、アルフォンシーナったら、とっても可愛いかったのよ~?ヴァルフレードったら、鼻の下伸ばしちゃって、あんな顔もするんだって目が点になっちゃったわ!」

「ようございましたね、ブルニルタ様。それにしても、やっと実ったのですね。」

「本当!九年もなんて、よくずっと変わらず想っていたわよねぇ、ヴァルフレードは!」


 ブルニルタは、結婚式がどうだったかを着替えをする間、侍女二人に話し聞かせていた。
一人はブルニルタの幼い頃よりついている母と同じ年代のボーナ。もう一人は、モデスタである。


「…。」

「話したかしら?ヴァルフレードは、アルフォンシーナに初めて会った九年前からずっとアルフォンシーナを想っていたのよねぇ。」

「そうでしたね。カンディダ様でもブルニルタ様でもなく、アルフォンシーナ様がよろしいと言われたそうで。」

「ええそうね。だから誰も付け入る隙なんて無かったのよね?ボーナ。」

「ええ、ええそうですとも。さぁ、終わりましたよ、今からは夕食です。食堂へ参りましょう。」



☆★

 モデスタは、あの騒動を起こしてすぐ、ソルディーニ家の離れにあるこの屋敷に侍女として仕える事となった。
 ウディネの街へとやってきたモデスタは、自分の父が治めていたジョイア侯爵領よりも数倍も活気があると思った。また、趣のある教会や文化ホールなどの建造物もあって驚いたのだ。

 そして一番驚いたのは、連れてこられた先の屋敷であった。


(お城…!?)


 ソルディーニ伯爵家は、元々の祖先が住んでいた王城を地震で壊れた部分は片付けたが、それ以外全て使っていた。
なので、外見も中身も、まさに城であった。


 昔からある為に古くはあったが、しっかりとした造りである為に、モデスタは恐ろしくさえ感じた。
 モデスタは、貴族については有益な嫁ぎ先の事しか勉強しなかったから、ソルディーニ家がどういう家柄で、喧嘩を売ってはいけない相手だとは分からなかったのだ。


(なんで城みたいな所に住んでるの?父ちゃんが持ってる屋敷よりも敷地が広いよ!?ここは伯爵家じゃなかったの?父ちゃんの方が侯爵家だから、偉くて金持ちなんじゃないの!?)


 城へは入らず、大回りしてその奥の屋敷に案内された。大回りしたのは、万が一にもアルフォンシーナに悟られないようブルニルタの配慮だった。いや、バジーリオがモデスタの家へ人を遣り、そのように連れてくるようにとしたのだ。


 全ては、可愛いアルフォンシーナの為に。



「私付きの侍女になりなさい。少しでも手抜きしたり、邪な気持ちを抱いたりしたら承知しないわよ?」


 屋敷に案内されたモデスタは、ブルニルタからそう言われ、耳元で囁かれた。


「覚悟なさい。まずは礼儀作法からよ。忠実に出来なければ、娼館にでも送ってやるわ!」



☆★


 ブルニルタは、モデスタに対してヴァルフレードがいかにアルフォンシーナを愛してるかを伝えるという仕返しをする為だけに自分付きにした訳では無い。

 せっかく侯爵令嬢となったわけだから、礼儀作法をしっかり叩き込んでやろうと思ったのだ。


(面白そうだからよ。でも、上手く出来ないのなら、それまでだわ。)


 モデスタに対し、可愛い妹を辱められたのには腹が立つ。
だが、それはそもそもしっかりと礼儀作法を教え込まれていれば、そんな愚行に走らなかったのだとブルニルタは思っていた。だからこそ、しっかり教え込もうと思ったのだ。


「ちょっと、モデスタ!欠伸をしない!」

「モデスタ、指先まで神経を尖らせなさい!カチャカチャ音を立てないのよ?
でないと美味しい紅茶は入れられないわ!」


 もし、礼儀作法が綺麗に出来、貴族社会についても頭に叩き込む事が出来たら、社交界に戻してもいいとブルニルタは思っていた。


(だって、面白そうだもの。庶民として暮らしていた侯爵令嬢が、本物の侯爵令嬢のように振る舞えるようになれたら、男性を射止める事が出来るのかしら?出来ないなら出来ないで、それは仕方ないものね。
フフフフ。いい話題になりそうだわ。)


 ブルニルタは、心の中でそう思いながら、モデスタを見ていた。
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