【完結】周りの友人達が結婚すると言って町を去って行く中、鉱山へ働くために町を出た令嬢は幸せを掴む

まりぃべる

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17. 病み上がりの日は

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 夕食の時間の少し前にお盆を取りに来たフィオリーノは、アレッシアに食堂へ行くか部屋で食事を摂るか聞いてきた。


「えっと…グイドさんとジャンパオロさん、来ます?」

「まだ食堂では食べないな。
…そんなに心配か?」


 フィオリーノがいつもよりも低い声でそう話すと、なんとなく、辺りの空気がひんやりと感じたアレッシアはフィオリーノの顔を見る。と、フィオリーノは怒っているのか機嫌が悪そうに見える。


「え、だって同じ部屋でお世話になりましたから…といっても、まだ一日二日ですけれど。だから心配するのは普通だと思います…。
あ、やっぱり食堂に行きます!」


(私、食べるのが遅いのかもしれないわ。部屋で食べたらまた、ジッと見られるかもしれないもの。そうしたら恥ずかしいものね。
なんだろう、グイドさんとジャンパオロさんの時にはそんな事考えた事も無かったのに。フィオリーノさんは年上だから私無意識の内に遠慮しているのかしら?)


「それだけ?そう…アレッシアは心優しい、のかな。でも誰にでもそのように言うのは止めた方がいい。ましてや俺といる時に他の奴の話なんて…」

「?」


(私、注意されたのよね?この部屋に初めて来た時にもグイドさんやジャンパオロさんもみたいなものを教えてくれたけれど、そういうものかしら?でも、最後の方が聞き取れなかったわ。)


 アレッシアは、フィオリーノに止めた方がいいと言われてそう思ったが、途中からアレッシアから顔を逸らして横を向いてブツブツと呟くようにフィオリーノが話した為に、アレッシアはしっかりと聞き取れなかったのでフィオリーノの顔を見て少し首を傾げる。


「あ、いや…まぁ、良い。食堂に行きたいのか?ここでも良かったが、アレッシアが行きたいならそうしようか。」


 そうするとなぜかフィオリーノは口ごもり、声もまたいつものトーンに戻るとアレッシアと部屋を出て行った。








☆★

 翌朝。

 アレッシアは、すっきりと目が覚めた。昨日あれから風呂にも入ったアレッシアは、体がとてもサッパリとしたのだ。
と言っても、アレッシアはあんなに広い風呂に入ると堪能したくなり、体を沈めて目を瞑ってしまう。昨日も、湯船に入って体を伸ばすと、目を瞑ってしまった。
だが少しして衝立の外から、先に風呂に入り終わったフィオリーノの声が聞こえた為に慌てて目を開け、すぐに上がったのだ。


『アレッシア-、あまり入っていると翌朝疲れが逆に出てくるから、そろそろでておいで-。』



(フフフ。フィオリーノさんって年上だからか博識なのね。確かに、疲れも取れてすっきりとしてるわ。)



 そう思い出しながら部屋を出ると、ちょうどこちらに向かってくるフィオリーノと鉢合わせた。


「アレッシア、大丈夫そうだね。
アレッシアが寝ているかもと気を遣ったつもりが、逆に遅くなってしまったかな?」

「いえ、そんな。迎えに来てくれるとは思って無かったもので。」

「そう?昨日風呂を出て部屋まで送った時に『また明日』って言ったから、通じたと思ったんだが…。」


 そう言うと、なぜかひどく残念そうな顔をしたフィオリーノは、弱々しく呟く。


「もしかして、一人で食事を摂りたかったのか?」

「え、そんな事は!一緒に食事が出来るのは嬉しいです。今までも家族でたいていいつも食事をしていましたから。
ただ…その、ジッと見られるのは恥ずかしいですけれど。」


 そう正直に答えたアレッシアは、フィオリーノの顔が花が咲くように喜ぶ顔へと変化したのを見て、胸がドキリと跳ねたようでこちらまで嬉しく感じた。


「そ、そうか!分かった、善処する!じゃあ行こう!」


 フィオリーノはそう言うと、アレッシアを促し食堂へと向かった。






☆★

「もう一日、休んで居た方が良い。」


 そう言われ、アレッシアはフィオリーノに部屋まで送られたが、やはりウズウズとして作業場へと向かう事にした。


(もうすっかり元気だもの、動かないと!前金もらっているのに、作業していないからお金を返せ!なんて言われても困るもの。)


 フィオリーノに言われて休みたい気持ちももちろんあったが、アレッシアは家族の為に作業場へと向かう事を選んだのだ。





ーーー
ーー



「おや?新入り。体調はどうだ?
今日も休むんじゃなかったのか?」


 作業場へ行くと、パオロがそう言って来た。


「はい、昨日はすみませんでした。体調も大丈夫です!」

「そうか…?まぁ、この作業場は人が一気に減っちまったから、動けるなら助かる。じゃあ無理せずやるんだぞ。あっちの方を頼む。」

「はい。」



 アレッシアは、周りの作業員にも『小せぇから倒れるんだぞ、たくさん食えよ!』とか、『初めは慣れないよなぁ
、その内慣れるから無理すんなよ!』などと労いの言葉をもらいながら、作業をし始めた。




 二時間ほど経った頃だろうか。アレッシアの非力な労力ではあるがそれでもずんずんと掘り進んでいき、体もずいぶんと疲れを感じてきた頃にアレッシアの掘っていた土が、湿り気を帯びているのに気づいた。


(水を含んでる?重…。)


 それでも壁を今までよりも力を込めてザクザクとスコップで掘っていたアレッシアは、今度は台車に載せ始める。グイドもジャンパオロも居なくなった為、この作業場は人が足りないのだ。アレッシアがをすると進みは当然悪くなるが、パオロも他の作業員も手分けして文句無くやっていた。

 が。

 水を含んだ土は重く、思うように台車に載せ難い。


(んー!よいしょっと!)


 足にしっかりと力を入れ、思い切り土を掬った時に、不意に足元がグラグラとした感覚があった。


(なんだろう?)


 それでも、とりあえず台車に載せようと勢いよくスコップの土をえいやっと投げ載せると、台車がガタンといって傾いた。


「え?」

「新入り、どうした?大丈夫か?」


 少し離れた所で土を運んでいた作業員が声を掛けて来たが、アレッシアが返事をする間もなく地面が下に引っ張られるように落ちて行く感覚がアレッシアを包み込んだ。


(きゃあー!)


 そこでアレッシアは目を瞑り、意識を手放した。
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