【完結】周りの友人達が結婚すると言って町を去って行く中、鉱山へ働くために町を出た令嬢は幸せを掴む

まりぃべる

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10. 風呂場の前で

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「なぁ、長くないか?」


 ジャンパオロは初めこそ、衝立から少し離れた横にあるベンチに座って大人しく今日あった作業場での出来事をグイドに話していたが、だんだんと飽きてきたようでアレッシアの事をグイドへと話し掛けた。


「…そうですね。長風呂なんでしょう。」

「それにしてもじゃね?さすがに冷えちまうよ。」


 風呂の熱気が少しこちらまで漏れ出ているので、寒い訳では無いが、ジッと突っ立っていると体の足先から冷え始めてくるとジャンパオロは思った。


「…もう少しだけ、待ちましょう。」


 ジャンパオロとグイドは、アレッシアが風呂から出て来るのを衝立の外で待っていたがなかなか出て来ない。もう十五分は経っていた。


 と、少し先から足音が響いてくる。そして誰かが歩いて来るのが見えたジャンパオロは、グイドへと再び聞いた。


「おれらが最後じゃねぇの?」

「そうだと思いますが……!!」


 そう話しながら、グイドはその人物が誰だか気づいたようで目を見開いた。


「なんだ、お前ら。こんなとこで。入り終わったのか?」

「あなたは…!」

「まじ?なんで居んの?」

「ジャンパオロ!口調!」

「いい。誰が聞いてるか分からんからで。」


 近づいてきた男性は黒髪で、グイドよりも更に背は高く、全体的に細身ではあるが腕や胸元はしっかりと筋肉がついている。
その人物は、グイドとジャンパオロと顔見知りのようで、声を掛けると風呂へ入ろうと衝立の向こうへと行こうとする。


「あ、待ってくれ!まだ入らないで欲しい。」

「そうです!まだ一人入っているのです。」

「あ?一人?あぁ…。
そういやお前、誰にも見られないように最後に入っているのか?難儀な事だな。確か、#そっちの国____#は、王家の紋章を、生まれた後に胸に彫られるんだったか?」

「えぇ。左胸に蛇の紋様ですね。」

「気に入ってはいるけどよ、では、バレたらが出来なくなっても困るからな!」


 ジャンパオロは、左胸を軽く叩いてそのように言った。


「仕事?
そういえば、なんでがいるんだ?ここを調べているのか?」

「まぁね。この鉱山、せっかく最近こっちのモンタルドーラ国側でも鉱物が見つかって儲かるかって目論見始めた時期なのによ、働く民の中で音沙汰が無くなって戻って来ないとか連絡がつかないっていう陳情書が届いてさ。事故死しちまったのか、はたまたなにか事件に巻き込まれたのかって調べる事になったのさ!
本当なら、だれか役人が潜入捜査すりゃよかったんだろうけどよ、子供なら警戒されにくいだろうって父上と兄上に言われたから仕方なくさ。
けど、こんなに大変だと思わなかったぜ。」


 と、ジャンパオロは大袈裟にため息を吐いて言った。


「ジャンパオロは、面白いか面白くないかで物事を決めるのがままありますからね。王宮から離れられて楽しそう、と短絡的に決めたんですよね?」

「父上と兄上に直々に言われたからって言ってんだろ!?
確かに、なにをしてるのか気になったけどよ-、宝石とかザクザク見つかるのかと思ったが、全くだもんなー。土しか掘っちゃいねぇよ。」

「まだ潜入も入って一月ほどですから。」
 

 そのように、三人で話していると不意に大きな音が風呂から聞こえた。


ザバッザバッ…バチャーン!!!


「え?」
「まさか?」
「おい、入るぞ!」


 立ち上がるような大きな水音と共にまた、派手な水音がしたので慌てて三人は顔を見合う。だが、すぐに動いたのはで、素早く衝立の奥へと走って行く。
 グイドとジャンパオロも慌ててその後を追う。


「おい!入るぞ!…!?」


 が大きな声を上げながら湯けむりで視界が見にくい風呂場へと向かうが、姿が見えない。湯船へと転ばないようにさらに急ぐと、正にゴボゴボと頭まで湯の中へと沈んでいた。


「くそっ!」


 服のまま、急いで湯船へと入りアレッシアを抱えて引き上げ、ゆっくりと、洗い場の方へ寝かせ、アレッシアの口元に耳を近寄せて呼吸を確認する。


「大丈夫…え!?」

「おい、お前らボサッとするな!布を持ってこい!何枚もだ!」

「はい!」

「仕方ないか、お前の持ってるやつでいい。借りるぞ。」


 グイドはその声に布を取りに走る。ジャンパオロはそのまま身動きも取れず立ち尽くしてしまう。が、はそれも想定済みなのか、ジャンパオロが持っていた使用済みの服をひったくりアレッシアの頭の下に敷くと、胸骨を圧迫し出した。


「持ってきました!アレッシアに掛けます!」

「そうしてくれ。冷えるといけない。」

「代わりますか?」

「いや、まだ…」


 何度か、が胸骨を圧迫しているとアレッシアの体が一度動いたかと思うと、ゴボッゴボッと咳をしだした。


「善し!」


 そう言って、アレッシアの体を支えながらゆっくりと横向きにさせ、背中を優しくさすった。


「…大丈夫なのか?」

「はい。ーー様のおかげですね。見事です。」


 ジャンパオロが恐る恐るグイドへとそう聞くと、グイドも安心してそう答える。


「とりあえず部屋へと運ぼう。もう少し、布を。」

「あ、はい。」


 グイドから布を更にもらい未だ意識の無いアレッシアの体を布でぐるぐる巻きにして、自身の体を素早く拭くや、すぐに軽々と横向きに抱き上げたはグイドとジャンパオロを促し、部屋へと運んで行った。
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