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13. 父へ報告
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(お父様に手紙を書きましょうか。)
長期の休みまでは、あと一ヶ月ほどある。その為、学院からタウンハウスへと帰って来たクラーラは、着替えを終えて部屋の小さな机に向かう。
ただ、どう報告するべきか悩むのだ。本来貴族の婚約とは、両家もしくは片方の家にとって何らかのメリットがある契約のようなもの。
そこまで考えて、はたとクラーラは思った。自分は、父親へ何と伝えたいのか。ただ、事実を述べるだけでいいのか。それであれば、そうかと言われるだけかもしれない。貴族の結婚において、クラーラの両親のように仲睦まじい夫婦となれるかは稀なのだ。愛妾を持つ貴族だって少なくはない。そこに愛は無くとも、家の存続の為だけを思って夫婦となる貴族だっている。
だが、先ほど学院で言われた言葉。
あれを聞いた今、クラーラは、その言葉を発した人と同じ家族となり、彼の家を繁栄させる為だけの人形とはなれないと思ってしまった。彼との子供を生み育てられるかと思ったら、否、無理だと感じてしまった。
また母も以前、『嫌だったら婚約を取り止めてしまえばいいのよ』と言っていた。けれどヘンリクの事をまだ良く知らないのだし、と思っていたし、せっかく両親が自分を思って結んでくれた婚約だと思ったから、もう少し様子をみようと結論をすぐ出さずにヘンリクと接していた。不器用なだけだと思ったから。
けれどクラーラは、貴族であるのに、あんな言葉を平然と吐いていたヘンリクと貴族らしい結婚はしたくないと考えた。
不器用だと思っていた事も、そうではないのではないかと考え始めてしまった。
そう思ってしまえば、書く内容は自ずと決まった。
簡潔に言えば、『ヘンリク様が、私の事を金づるとしか思っていない事を話しているのを聞いてしまった。出来る事であるならば、そんな事を言った人と夫婦となるのは嫌だと思ってしまったのだが、政略結婚であるから解消は出来ないだろうと悩んでいる』としたためた。
「これを、お父様へ届けて下さる?大事な内容だから、お願いね。」
侍女のリーセにそう伝えると、早速届ける為に手紙を持って部屋の外へ出て行った。
(はぁ…。どうなるのかしら。どうしましょう…怒られたりするかしら。)
クラーラは、どうにか事態が好転しますようにと願った。
それから二日後。
授業が終わり学院からタウンハウスへと帰って来ると、両親が出迎えてくれた。
「やぁクラーラ。お帰り。」
「クラーラ、お帰りなさい。」
そう言って、エルセが両手を広げ、クラーラを抱きしめた。
「クラーラ、辛かったわね。よく頑張ったわ。…でももう、我慢しなくていいのよ。婚約解消してしまえばいいのよ。ね?ティーオドル?」
「そうだな。でもクラーラ、帰って来たばかりであろう?先に談話室にいるからね。着替えたら下りておいで。話をしよう。」
そう言われたクラーラは、急いで二階へと荷物を置いて着替えを済ませ、談話室へと下りていった。
「おお、クラーラ。改めて、お疲れ様。」
「お父様、すみませんわざわざ来て頂いて。」
「何を言うんだい?仕事は、ティムと使用人達に任せてきたから心配いらないよ。」
そう言ったティーオドル。クラーラの手紙を貰い、返事を書こうと思ったのだがエルセが『クラーラが淋しがっていると思うわ。せっかくなら会いに行きましょうよ!』と言ったのだ。マグヌッセン領で領主として仕事があったのに、愛娘へと会いに来たのは大事な娘だから。それだけ家族を大切にしているのだ。ティムにも次期領主として少しずつ仕事を教えていたところであったので、そんなに無理もなく家を空ける事が出来たのだ。まだ、ティムだけでは全てまかないきれない分は、執事や使用人達に指示してきた。これで心おきなくクラーラと話が出来ると思っていた。
「そうよクラーラ。お手紙が届かないからどうしていたか心配していたのよ。」
エルセもそう言い、ティーオドルの隣に座っていたけれどクラーラが座ったソファの隣に座り直した。
「ねぇ…貴女は私達の大事な娘よ。マグヌッセン領は、権力とはほど遠いところにあるの。だから、政略結婚はしない方が良かったのよ、ねぇ?」
エルセは、そんな煩わしいものから離れる為にティーオドルが宮廷で仕事をせず、自領で悠々自適に仕事をしている事を知っていて、それが煩わしいと思っているのだ。
「そうだな。クラーラよ、悪かった。お前の婚約の経緯までは話してなかったから、誤解させてしまっていたかもしれないな。」
そう言ったティーオドルは、クラーラにベントナー伯爵家との婚約に至った経緯を話し出した。
長期の休みまでは、あと一ヶ月ほどある。その為、学院からタウンハウスへと帰って来たクラーラは、着替えを終えて部屋の小さな机に向かう。
ただ、どう報告するべきか悩むのだ。本来貴族の婚約とは、両家もしくは片方の家にとって何らかのメリットがある契約のようなもの。
そこまで考えて、はたとクラーラは思った。自分は、父親へ何と伝えたいのか。ただ、事実を述べるだけでいいのか。それであれば、そうかと言われるだけかもしれない。貴族の結婚において、クラーラの両親のように仲睦まじい夫婦となれるかは稀なのだ。愛妾を持つ貴族だって少なくはない。そこに愛は無くとも、家の存続の為だけを思って夫婦となる貴族だっている。
だが、先ほど学院で言われた言葉。
あれを聞いた今、クラーラは、その言葉を発した人と同じ家族となり、彼の家を繁栄させる為だけの人形とはなれないと思ってしまった。彼との子供を生み育てられるかと思ったら、否、無理だと感じてしまった。
また母も以前、『嫌だったら婚約を取り止めてしまえばいいのよ』と言っていた。けれどヘンリクの事をまだ良く知らないのだし、と思っていたし、せっかく両親が自分を思って結んでくれた婚約だと思ったから、もう少し様子をみようと結論をすぐ出さずにヘンリクと接していた。不器用なだけだと思ったから。
けれどクラーラは、貴族であるのに、あんな言葉を平然と吐いていたヘンリクと貴族らしい結婚はしたくないと考えた。
不器用だと思っていた事も、そうではないのではないかと考え始めてしまった。
そう思ってしまえば、書く内容は自ずと決まった。
簡潔に言えば、『ヘンリク様が、私の事を金づるとしか思っていない事を話しているのを聞いてしまった。出来る事であるならば、そんな事を言った人と夫婦となるのは嫌だと思ってしまったのだが、政略結婚であるから解消は出来ないだろうと悩んでいる』としたためた。
「これを、お父様へ届けて下さる?大事な内容だから、お願いね。」
侍女のリーセにそう伝えると、早速届ける為に手紙を持って部屋の外へ出て行った。
(はぁ…。どうなるのかしら。どうしましょう…怒られたりするかしら。)
クラーラは、どうにか事態が好転しますようにと願った。
それから二日後。
授業が終わり学院からタウンハウスへと帰って来ると、両親が出迎えてくれた。
「やぁクラーラ。お帰り。」
「クラーラ、お帰りなさい。」
そう言って、エルセが両手を広げ、クラーラを抱きしめた。
「クラーラ、辛かったわね。よく頑張ったわ。…でももう、我慢しなくていいのよ。婚約解消してしまえばいいのよ。ね?ティーオドル?」
「そうだな。でもクラーラ、帰って来たばかりであろう?先に談話室にいるからね。着替えたら下りておいで。話をしよう。」
そう言われたクラーラは、急いで二階へと荷物を置いて着替えを済ませ、談話室へと下りていった。
「おお、クラーラ。改めて、お疲れ様。」
「お父様、すみませんわざわざ来て頂いて。」
「何を言うんだい?仕事は、ティムと使用人達に任せてきたから心配いらないよ。」
そう言ったティーオドル。クラーラの手紙を貰い、返事を書こうと思ったのだがエルセが『クラーラが淋しがっていると思うわ。せっかくなら会いに行きましょうよ!』と言ったのだ。マグヌッセン領で領主として仕事があったのに、愛娘へと会いに来たのは大事な娘だから。それだけ家族を大切にしているのだ。ティムにも次期領主として少しずつ仕事を教えていたところであったので、そんなに無理もなく家を空ける事が出来たのだ。まだ、ティムだけでは全てまかないきれない分は、執事や使用人達に指示してきた。これで心おきなくクラーラと話が出来ると思っていた。
「そうよクラーラ。お手紙が届かないからどうしていたか心配していたのよ。」
エルセもそう言い、ティーオドルの隣に座っていたけれどクラーラが座ったソファの隣に座り直した。
「ねぇ…貴女は私達の大事な娘よ。マグヌッセン領は、権力とはほど遠いところにあるの。だから、政略結婚はしない方が良かったのよ、ねぇ?」
エルセは、そんな煩わしいものから離れる為にティーオドルが宮廷で仕事をせず、自領で悠々自適に仕事をしている事を知っていて、それが煩わしいと思っているのだ。
「そうだな。クラーラよ、悪かった。お前の婚約の経緯までは話してなかったから、誤解させてしまっていたかもしれないな。」
そう言ったティーオドルは、クラーラにベントナー伯爵家との婚約に至った経緯を話し出した。
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