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17. 彼女の姿
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ヘンリクの気持ちを聞いてしまった二日後。
再び、教材室で次の授業に使う資料を探していた。今日は、シャーロテもついてきてくれ、一緒だ。
「もう、あの先生、頼むなら分かりやすい場所に置いておくとかして欲しいわよね!」
少し年配のおじいちゃん先生は、いつも教材室から教材を持ってきてと生徒に頼む。クラーラが教材係であるから、いつも取りに来ないといけないのだ。
そして、二日前にクラーラはここで、隣の空き教室でヘンリクの言葉を聞いてしまった為、シャーロテは心配して今日はついてきてくれたのだった。
「ごめんね、シャーロテ。あなたにまで付き合わせて…。」
「いいのよ、クラーラには怒ってないのだか…ら…あ!あれ!ちょっとクラーラ!こっちへ来てしゃがんで!!」
シャーロテがクラーラへと話していると、廊下を歩く人影を見て声を潜め、物陰へと隠れた。
クラーラも、何事かと思いながらも身を屈めながらシャーロテがいた棚の陰に隠れつつ廊下を見やる。と、青い髪の生徒が隣の空き教室へと歩いていった。
「あれって、噂の子よね。」
「そうね、シャーロテ。…二日前もヘンリク様が話しておられたのは、あの子だったのかしら。」
「それは分からないわ。違う人かもしれない…」
と話していると、大きな声が隣の空き教室から聞こえてきた。
「あぁ!やっと来てくれた!待ち遠し…」
「もう!ちょっと静かにして!呼び出さないでとこの前もあなたに伝えたと思うのだけれど、そんな事も忘れましたの?」
嬉しそうな声を出していた男の声に被さるように、彼女の冷たい声が聞こえた。
「いや、忘れてはいないよ。君の言う言葉なら何でも覚えているさ。宝石が好きだったり、髪飾りが好きなのだろう?」
「ベントナー様…それはあなたに向けて言った言葉ではないわ。それに覚えているなら、これ以上二人で会おうと言ってくるのは止めて下さる?万が一他の生徒に見られて誤解されるのは嫌なの。」
話している相手はまたもヘンリクなのだと、クラーラはこの偶然を悔しく思った。
あの嬉しそうな口ぶりから、ヘンリクはきっとこの女性に惚れているのだろうと。
でももう両親にも自分の気持ちを伝えたし、ヘンリクとは夫婦にならないだろうとは思っているが、一応まだ婚約者の立場であるのに違う女の子にデレデレしているのを聞かされるのはなんだか嫌だなと思った。
「僕は誤解されてもいいよ?前にも言っただろう?お金は、クラーラと結婚をする事が出来たなら持参金があるから、何でも買ってやるって。」
「…あなたには買ってもらいたいとは思わないわ。とにかく、私が嫌だと言っているのにしつこいのは犯罪よ?あなたの婚約者にも言うわよ?いいの?」
「な…!ま、まぁまだクラーラに
言われるのは困るけれど、そんな心にもない事言わなくて良いんだ。僕が…」
「私は本気よ、止めて!私に触らないで。ほら、早く出て行って!!」
「チッ…分かったよ。今は恥ずかしいのだろう?少し距離を置いてやる。すぐに僕がいないのを淋しく思うだろうからな。その時を楽しみにしてるからな。」
そう、捨て台詞を吐いてヘンリクは教室を去って行った。
シャーロテはクラーラと顔を見合わせ、立ち上がる。
「クラーラ…大丈夫?」
「ええ。」
そう声を掛け合っていると、廊下からマルグレーテの姿が見え、声がした。
「もう本当鬱陶しい!あの男なんなの!?予定が狂うじゃない!!旦那様に怒られちゃうわ!!」
そう言ったマルグレーテは廊下からふと教材室に目を向けるとシャーロテとクラーラを見つけ、あ!と立ち止まった。
「…聞かれちゃった?あ!決して、私あんな男…いえ、ベントナー様と怪しい仲ではないから!」
マルグレーテは、少し考えて、教材室に入って来て、扉を閉めた。
「廊下で話すと、誰かに聞こえるかもしれないから。ちょっと弁解させてもらってもいいかしら?」
クラーラとシャーロテは『弁解?』と思ったけれど、一応聞いてみる事にした。マルグレーテが言った、予定が狂うとは、何だろうと思ったからだ。
「別に、他の人だったら弁解なんてしないけれどね。面倒だし。でも公爵家のお嬢様のオルリック様に目を付けられてしまったら私、やりにくくなるもの。」
そう言ってマルグレーテは、扉に持たれて話し出した。
再び、教材室で次の授業に使う資料を探していた。今日は、シャーロテもついてきてくれ、一緒だ。
「もう、あの先生、頼むなら分かりやすい場所に置いておくとかして欲しいわよね!」
少し年配のおじいちゃん先生は、いつも教材室から教材を持ってきてと生徒に頼む。クラーラが教材係であるから、いつも取りに来ないといけないのだ。
そして、二日前にクラーラはここで、隣の空き教室でヘンリクの言葉を聞いてしまった為、シャーロテは心配して今日はついてきてくれたのだった。
「ごめんね、シャーロテ。あなたにまで付き合わせて…。」
「いいのよ、クラーラには怒ってないのだか…ら…あ!あれ!ちょっとクラーラ!こっちへ来てしゃがんで!!」
シャーロテがクラーラへと話していると、廊下を歩く人影を見て声を潜め、物陰へと隠れた。
クラーラも、何事かと思いながらも身を屈めながらシャーロテがいた棚の陰に隠れつつ廊下を見やる。と、青い髪の生徒が隣の空き教室へと歩いていった。
「あれって、噂の子よね。」
「そうね、シャーロテ。…二日前もヘンリク様が話しておられたのは、あの子だったのかしら。」
「それは分からないわ。違う人かもしれない…」
と話していると、大きな声が隣の空き教室から聞こえてきた。
「あぁ!やっと来てくれた!待ち遠し…」
「もう!ちょっと静かにして!呼び出さないでとこの前もあなたに伝えたと思うのだけれど、そんな事も忘れましたの?」
嬉しそうな声を出していた男の声に被さるように、彼女の冷たい声が聞こえた。
「いや、忘れてはいないよ。君の言う言葉なら何でも覚えているさ。宝石が好きだったり、髪飾りが好きなのだろう?」
「ベントナー様…それはあなたに向けて言った言葉ではないわ。それに覚えているなら、これ以上二人で会おうと言ってくるのは止めて下さる?万が一他の生徒に見られて誤解されるのは嫌なの。」
話している相手はまたもヘンリクなのだと、クラーラはこの偶然を悔しく思った。
あの嬉しそうな口ぶりから、ヘンリクはきっとこの女性に惚れているのだろうと。
でももう両親にも自分の気持ちを伝えたし、ヘンリクとは夫婦にならないだろうとは思っているが、一応まだ婚約者の立場であるのに違う女の子にデレデレしているのを聞かされるのはなんだか嫌だなと思った。
「僕は誤解されてもいいよ?前にも言っただろう?お金は、クラーラと結婚をする事が出来たなら持参金があるから、何でも買ってやるって。」
「…あなたには買ってもらいたいとは思わないわ。とにかく、私が嫌だと言っているのにしつこいのは犯罪よ?あなたの婚約者にも言うわよ?いいの?」
「な…!ま、まぁまだクラーラに
言われるのは困るけれど、そんな心にもない事言わなくて良いんだ。僕が…」
「私は本気よ、止めて!私に触らないで。ほら、早く出て行って!!」
「チッ…分かったよ。今は恥ずかしいのだろう?少し距離を置いてやる。すぐに僕がいないのを淋しく思うだろうからな。その時を楽しみにしてるからな。」
そう、捨て台詞を吐いてヘンリクは教室を去って行った。
シャーロテはクラーラと顔を見合わせ、立ち上がる。
「クラーラ…大丈夫?」
「ええ。」
そう声を掛け合っていると、廊下からマルグレーテの姿が見え、声がした。
「もう本当鬱陶しい!あの男なんなの!?予定が狂うじゃない!!旦那様に怒られちゃうわ!!」
そう言ったマルグレーテは廊下からふと教材室に目を向けるとシャーロテとクラーラを見つけ、あ!と立ち止まった。
「…聞かれちゃった?あ!決して、私あんな男…いえ、ベントナー様と怪しい仲ではないから!」
マルグレーテは、少し考えて、教材室に入って来て、扉を閉めた。
「廊下で話すと、誰かに聞こえるかもしれないから。ちょっと弁解させてもらってもいいかしら?」
クラーラとシャーロテは『弁解?』と思ったけれど、一応聞いてみる事にした。マルグレーテが言った、予定が狂うとは、何だろうと思ったからだ。
「別に、他の人だったら弁解なんてしないけれどね。面倒だし。でも公爵家のお嬢様のオルリック様に目を付けられてしまったら私、やりにくくなるもの。」
そう言ってマルグレーテは、扉に持たれて話し出した。
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