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29. 思いをぶつける
「シャーロテ、不安にさせてごめんよ。帰ったら両親に伝えようと思っていて。だからはっきり君へ伝えられないと思っていた。でも、君を悲しませたかったわけじゃないんだ。だから、これだけは言わせて?シャーロテ、君と温かい家庭を築きたいと思っているよ。」
朝、まだ他に生徒のいない教室に入ってきたライラスは、シャーロテの顔を見て早々、そう伝えた。
シャーロテと話をしていたクラーラは、クラーラには目もくれないでシャーロテへ一直線へ向かってきてそう言い放ったので始めは驚いたが、でもライラスが言い終わるとシャーロテに『良かったわね』と呟いた。
しかし、シャーロテはみるみる顔が真っ赤になったかと思うと、いきなり叫びだした。
「ライラス様!あなたの国は遠いのでしょう!?いちいちあなたが帰国して両親に伝えて、それをまた私に伝えて…とかやっていたら私おばあちゃんになってしまうわ!私は、これでも一応公爵家の娘なのです!学院を卒業したらきっとどこか他国へ嫁がされるのよ。なのにそんな悠長な事言っているなんて、私が誰かに取られてもいいっていうのね?もう、知らない!!」
そう言うと、教室を飛び出して行ってしまった。
ライラスは喜んでくれると思ったのに、あんな風に怒鳴られるとは思わず、ポカンとしてどうしたらいいかと立ち尽くしてしまっていた。
「ライラス様、あの…差し出がましいですが、シャーロテを追って下さい。シャーロテは、不安なのです。」
「そう言われてもさ…僕王太子なんだ。両親に反対されたら…」
「ライラス様。シャーロテは、他国の王太子妃となるに相応しい女性です。そうなるべく育てられたと聞いております。あなたがそれを信じて支えなくてどうするのですか?それがシャーロテは悲しいのではないでしょうか。ご両親は、反対されますか?どういう方が王太子妃になって欲しいとか言われてませんでしたか?私は王族の事は分かりかねますが、反対されたとしてもライラス様が説得なさる気概はございませんか?」
「それは…そうだな。うん。両親は、確かに僕の好きになった人でいいと言っていた!こっちが胸糞悪くなる位仲睦まじい両親がそう言ったんだから、そうだよな!僕が両親を説得する勢いじゃなきゃダメだったんだな!ありがとう、シャーロテの友人!」
そう言って、ライラスはシャーロテを探しに教室を出て行った。
「シャーロテの友人って…そういうところだよな。」
笑いながら、クラーラの席まで来たラグンフリズは言った。
「確かに、ライラスの両親である現国王陛下のラインハルト様と王妃のシンシア様は本当びっくりする位に仲睦まじいんだ。若き日は、陛下がまだ令嬢だった王妃様の領地へお忍びで出掛けたりしてたらしい。だから、きっと心配するほどじゃないのに、ライラスもまた不安だったんだろうな。…ありがとう、クラーラ嬢。ライラスはあれできっと一歩成長したよ。」
「そうなのですか!ロマンチックですね。でしたらきっと大丈夫ですわね。ちょっと言い過ぎか心配ではありましたが。…シャーロテは、公爵令嬢だから国同士の政略結婚だと常日頃から言っていたのです。…チャーバリス国と政略結婚して、メリットとかあるかしら?シャーロテの両親が反対なさるとかあり得るかしら…。」
「今まで国交は無かったからね。だからメリットなら大いにあると思うよ。ブドウ酒やブドウジュースやジャムも有名なんだ。我が国にもあるけど、また味が全く違うからね。うちが独自で交易はしていたけれど、やっぱり国同士でやった方が国民は喜ぶと思うよ。」
「あら、じゃあラグンフリズ様はデメリットでした?」
「そんな事ないさ。俺も、友人が幸せになってくれた方が嬉しいし。他で販路を見つけるまでさ!まだまだ世界は広いからね。海で繋がっているんだ。…一緒に、クラーラ嬢も行って欲しいな。」
「ウフフ。楽しそうですわ。」
「クラーラ…俺は真面目に言っているんだよ。本当のプロポーズはまだ先だけれど、クラーラ嬢、俺と一緒に世界を回って欲しい。」
ラグンフリズはそこへ跪き、クラーラの右手を取り言った。
「…ええと、それって…」
「今はまだ、仮のプロポーズ。だけど、絶対、実現してみせるから。クラーラ嬢、共に歩んで欲しい。」
「…!はい!」
ラグンフリズも、昨日クラーラに言われ、慌てて父親へと手紙を送った。愛しいと想う女性が出来た、将来を共にしたい女性が出来た、と。クラーラ以外に結婚したいと思える人は居ない。だから、彼女と結婚させて欲しいと切実に願った。
けれどフォントリアー家は世界を股にかける、王族からも頼りにされる海運業を営む家柄で、ラグンフリズは領主となる。それこそ許してもらえるだろうか、いや、絶対に実現させてみせる!と意気込み、教室には誰もいない事を良いことに仮ではあるが将来を約束してしまった。
ラグンフリズは、クラーラから返事をもらえて嬉しくもあり、だからこそ両親を説得しないとなと新たに決意するのだった。
朝、まだ他に生徒のいない教室に入ってきたライラスは、シャーロテの顔を見て早々、そう伝えた。
シャーロテと話をしていたクラーラは、クラーラには目もくれないでシャーロテへ一直線へ向かってきてそう言い放ったので始めは驚いたが、でもライラスが言い終わるとシャーロテに『良かったわね』と呟いた。
しかし、シャーロテはみるみる顔が真っ赤になったかと思うと、いきなり叫びだした。
「ライラス様!あなたの国は遠いのでしょう!?いちいちあなたが帰国して両親に伝えて、それをまた私に伝えて…とかやっていたら私おばあちゃんになってしまうわ!私は、これでも一応公爵家の娘なのです!学院を卒業したらきっとどこか他国へ嫁がされるのよ。なのにそんな悠長な事言っているなんて、私が誰かに取られてもいいっていうのね?もう、知らない!!」
そう言うと、教室を飛び出して行ってしまった。
ライラスは喜んでくれると思ったのに、あんな風に怒鳴られるとは思わず、ポカンとしてどうしたらいいかと立ち尽くしてしまっていた。
「ライラス様、あの…差し出がましいですが、シャーロテを追って下さい。シャーロテは、不安なのです。」
「そう言われてもさ…僕王太子なんだ。両親に反対されたら…」
「ライラス様。シャーロテは、他国の王太子妃となるに相応しい女性です。そうなるべく育てられたと聞いております。あなたがそれを信じて支えなくてどうするのですか?それがシャーロテは悲しいのではないでしょうか。ご両親は、反対されますか?どういう方が王太子妃になって欲しいとか言われてませんでしたか?私は王族の事は分かりかねますが、反対されたとしてもライラス様が説得なさる気概はございませんか?」
「それは…そうだな。うん。両親は、確かに僕の好きになった人でいいと言っていた!こっちが胸糞悪くなる位仲睦まじい両親がそう言ったんだから、そうだよな!僕が両親を説得する勢いじゃなきゃダメだったんだな!ありがとう、シャーロテの友人!」
そう言って、ライラスはシャーロテを探しに教室を出て行った。
「シャーロテの友人って…そういうところだよな。」
笑いながら、クラーラの席まで来たラグンフリズは言った。
「確かに、ライラスの両親である現国王陛下のラインハルト様と王妃のシンシア様は本当びっくりする位に仲睦まじいんだ。若き日は、陛下がまだ令嬢だった王妃様の領地へお忍びで出掛けたりしてたらしい。だから、きっと心配するほどじゃないのに、ライラスもまた不安だったんだろうな。…ありがとう、クラーラ嬢。ライラスはあれできっと一歩成長したよ。」
「そうなのですか!ロマンチックですね。でしたらきっと大丈夫ですわね。ちょっと言い過ぎか心配ではありましたが。…シャーロテは、公爵令嬢だから国同士の政略結婚だと常日頃から言っていたのです。…チャーバリス国と政略結婚して、メリットとかあるかしら?シャーロテの両親が反対なさるとかあり得るかしら…。」
「今まで国交は無かったからね。だからメリットなら大いにあると思うよ。ブドウ酒やブドウジュースやジャムも有名なんだ。我が国にもあるけど、また味が全く違うからね。うちが独自で交易はしていたけれど、やっぱり国同士でやった方が国民は喜ぶと思うよ。」
「あら、じゃあラグンフリズ様はデメリットでした?」
「そんな事ないさ。俺も、友人が幸せになってくれた方が嬉しいし。他で販路を見つけるまでさ!まだまだ世界は広いからね。海で繋がっているんだ。…一緒に、クラーラ嬢も行って欲しいな。」
「ウフフ。楽しそうですわ。」
「クラーラ…俺は真面目に言っているんだよ。本当のプロポーズはまだ先だけれど、クラーラ嬢、俺と一緒に世界を回って欲しい。」
ラグンフリズはそこへ跪き、クラーラの右手を取り言った。
「…ええと、それって…」
「今はまだ、仮のプロポーズ。だけど、絶対、実現してみせるから。クラーラ嬢、共に歩んで欲しい。」
「…!はい!」
ラグンフリズも、昨日クラーラに言われ、慌てて父親へと手紙を送った。愛しいと想う女性が出来た、将来を共にしたい女性が出来た、と。クラーラ以外に結婚したいと思える人は居ない。だから、彼女と結婚させて欲しいと切実に願った。
けれどフォントリアー家は世界を股にかける、王族からも頼りにされる海運業を営む家柄で、ラグンフリズは領主となる。それこそ許してもらえるだろうか、いや、絶対に実現させてみせる!と意気込み、教室には誰もいない事を良いことに仮ではあるが将来を約束してしまった。
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