【完結】領地の窮地に飛び出した辺境伯令嬢は、魔力はありませんが、やる気は最大限です!

まりぃべる

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4. 軍服を着た人に連れられて

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 レオシュに言われたレナータは、アリーサの手綱を引きながらついて行く。

「レオシュ様!?」

 門番は、あっけなく門の中へと通してしまったレオシュに疑問を投げかけると、レオシュは門番を睨みつけて答えた。

「門番の仕事は大変だ。本当に大切な用件なのかを見分けるのは難しいだろう。確かに、奔放なマルツェル様のせいで王宮を危険な目に合わないようにという配慮は素晴らしいかもしれん。だが、本当に、火急の用件を見抜けないようでは門番失格だぞ!
彼女は、正真正銘、バルツァル辺境伯の令嬢である。髪色を見よ!そもそも我々が午前中から忙しくしていたのを気づいておれば火急の用件だと気づけただろうに。」

 そう吐き捨て、進んで行く。



「あ、あの…。」

 レナータは自分がバルツァルから来た事を認めてくれたのを言葉にしようとした。

「ん?あぁ、今からその子を休ませてやろう。厩舎にまずは連れて行く。話はその後だ。」

 そう言って、厩舎へと連れて来たレオシュは、厩役へとレナータが連れている馬を手渡した。

「疲れているだろうから、手厚くもてなすように。」

 そう言葉まで添えて。

 厩役は、普段は軍馬の世話や管理をしているが、こうやって賓客の馬の世話もするのだ。


「ええと…レナータ嬢。心配しなくていい。いや、領地の事は心配だろうが…バルツァル領の人達は強いと聞くし、我々魔術師団ももうすぐバルツァル領へと発つから、心配いらない。」

 そう言ったレオシュは、広場へと出る。そこには、たくさんの人が並んでいた。レオシュと同じ軍服を着ている。

「ヤーヒム師団長!」

「あぁ、レオシュ。遅かったな。……ん?その子は…!」

「はい。先ほど、正門で門番に追い返されそうになっていたので、連れて来ました。」

「なるほど…あぁ、良くやった。それでいい。して…お名前を伺っても?」

 師団長と言われたヤーヒムは、レナータに向かって優しく声を掛けて言った。

「は、はい!私はレナータ=バルツァルと申します。レオシュ様にお連れいただきまして、本当に助かりました!あの、応援に来て下さるのですか?」

「君がベトジフの…。あぁ、そうだ。我々も、朝方奇妙な感覚に襲われてね。急遽準備をして、今から応援に行くよ。と言っても、ベトジフは私の応援なんていらないかもしれないがね!」

 ヤーヒムは、片目をウインクしてそう言った。

「え?お父様をご存じですの?」

「もちろんだよ!私は、彼と同じ年齢でね、三十四だ。いやぁ、あいつは本当に強い!だから心配いらないよ。信じてやればいい。レオシュ、お前は明日来てくれ。」

「はい。そう伝えようと思っていました。」

「そうか!ベトジフの愛娘を、くれぐれも丁重にな!レナータ嬢、今日はゆっくりして明日来なさい。君に会えて本当に良かった!…いや、よく考えたら辺境からよくこんな早くに来れたね!さすがベトジフの娘!」

 そう言ってレナータの頭をポンポンと撫でたあと、広場に並んでいた人達に向かってヤーヒムは言う。

「さぁ、皆の者!行くぞ!」


「「「おおー!!」」」



 レナータは、軍服を着た人々が隊を成して進んで行く事に荘厳で素晴らしいとは思いながらも、自分がそれに加われない事に口惜しく思った。


「私も魔力が使えたら…。」

 そう呟いたレナータに、傍に立ったレオシュは、

「俺は、魔力なんて要らなかったな。」

 と言った。

「え!?」

 レナータは、レオシュが誰かは正確には分かっていなかったが、魔術師団に所属しているのにそう思うのかとレオシュの顔を覗き込む。

「魔力があったから、幼い頃から魔術の練習をしなければならなくて、同年の子みたいに、遊ぶ事が出来なかったからね。家族とも離れて、厳しい練習も毎日していた。でも、まぁどうにか今はこうやって、この仕事に誇りを持っているけれど。」

「そうなの…でも、私から見たらすごいわ。」

「あー、何ていうか、だからさ、やりたくても出来ないって嘆くより、出来る事を考えよう!その方がずっと有意義で、楽しいと思うからね。」

「有意義…そうね。私の出来る事…。」

「今は、君はここでゆっくり疲れを癒やす事。で、朝、俺と一緒に向かうんだ。いい?君の乗って来た馬も、ゆっくりさせてやろう?じゃなきゃあいつも辛いよ?」

「…そうね。そうだわ。私、自分の事ばっかりで…。」

 レナータは、アリーサの事も考えず、休憩も取らずに走ってきたと今さらながら反省した。走るスピードが落ちなかったからいいと思ったが、さすがに走り詰めでは、体調を崩してしまう。
その事を思い、俯いてしまうレナータ。

「さ、おいで。嘆くより、今を楽しむ!大丈夫!辺境伯は強い!師団長率いる応援部隊が向かったから、大丈夫だよ。」

 そう敢えて明るく言ったレオシュは、俯いて地面を見つめていたレナータの手を取り、建物へと歩みを進めた。
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