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リンド法国編
0120 神殿の廊下にて
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牢屋に入って3週間が経とうとしていた。
桜花は日ごろの食事の内容が豪華なので、血色こそいいが、無精ひげを生やすようになっていた。
牢屋に入れられている桜花にも異変を感じることが出来た。
と言うのも、毎日のように監視している兵士がこのところ、姿を見せないのだ。
何か、あったのか?
しかし、地下の牢屋にいる桜花には具体的に知ることは出来ない。
唯一の情報源は、あのお喋りな兵士のみだ。
しかし、今はその兵士もいない。
「ったく、めんどくせーなー!なんで俺なんだよ!」
そうブツブツ言いながら、牢屋に近づくのは、知らない神官である。
「おい!そこの囚人、出ろ!」
鉄格子の扉が開く。神官は、さっさと出ろとばかりに、鉄格子を蹴り飛ばしている。
「これから、何処に行くんだ?」
「これから裁判に決まってんだろ?」ぶっきら棒に神官は答えた。
「聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「あん?んだよ?」
「今、外で何が起こっている?」
「クーデターだよ、クーデター!アンタのせいでな!」
「俺は何もやってないぞ!と言うより、神官ってもっと優しい話し方じゃないか?」
「そんなもん、嘘に決まってんだろ?ちょっと優しくすりゃ、みんな金を払うんだ、話し方も変わるってもんさ。」
態度と口の悪い神官に連れられて、暗く長い道の先に階段があり、階段を昇って行くと明かりが見えるようになって来た。
牢屋があった地下とは違い、白を基準とした内装は清潔感で溢れている。
そこから、更に奥へと歩みを進めて行く。
一番奥に差し掛かる途中で一人の男が立っていた。
「これは、副司祭様!」
先ほどまでの態度の悪さは何処へやら。神官は背筋を伸ばし丁寧にお辞儀をする。
「ここより先は、私が連行いたします。いいですね。」
物腰の柔らかい副司祭は優しい言葉を神官に掛ける。
「し、しかし、私は法王様の所まで連れてくるように命令をされたのですが。」
「私が信用出来ないと?」
「い、いえ、失礼しました。」
「結構。もう、行きなさい。」
「いたらぬ神官がご迷惑をおかけいたしました。私は副司祭を務めておりますジェイドと申します。」
ジェイドと言う副司祭は続けて私に付いているリングを見て
「おや、このリングはもう、壊れていますね。新しい物に変えましょう。」
新しいリングに変えてもらった途端に、倦怠感がなくなり、力が増してくるような実感が湧き上がった。
戸惑っている俺にジェイド副司祭は顔を近づけ
「私は貴方を助けに参りました。ジギルさん達とも連絡は着いております。もうしばらくの御辛抱を・・・。そして今付けたリングですが、この神殿にある魔法の全てを打ち消す仕掛けが施されています。貴方は極刑を言い渡されるでしょう。それから逃れることは出来ません。黙って受け入れてください。タイミングを見計らって貴方を助けます。」
「それから・・・。」と付けたし
「これから見るものに驚かないで下さいね。演技をしてください。」
そう言い残したジェイド副司祭は法王がいると言われる扉の前で
「囚人、オウカを連れてまいりました!」
ジェイドはそう、叫んだ。
***
「ンー、ンー!」ジギルは貧乏ゆすりをしながら唸っているが、本人的には必死に平静を装っている。
ここは宿屋。
合流したバレット国王・玲子がいる手前、叫ぶことも暴れることも出来ないのだ。
しかし、主に何かあってはと考えると気が気ではないのも事実。
静かにしている他の連中は、誰も心配していないのではないか?とも考えてしまう。
「ジギル、落ち着きなさい。」玲子が諭すと
「これが落ち着いていられますかー!」
ジギルは、貯まる不満と不安が一気に爆発!思わず叫んでしまうと、すみませんと縮こまってしまった。
「ジギル、貴方の気持ちは解るわ。私だって今すぐに神殿を燃やし尽くしたいですもの。でもねジギル。戦いは力だけではなくって、情報や作戦が必要なのよ。」
「解っております!ですが!心配と怒りで体がうずいて仕方ないのです!」
玲子はクスッと笑い
「今のあなたなら、正面から突撃するでしょうね。そうすると貴方は犬死よ。でも、私はそんなジギルが好きよ。桜花さんだってそんなジギルだから、いつも傍に置いているのでしょうね。」
「そ、そうですか・・・。」
ジギルは嬉しいやら照れくさいやらで、大人しく席に着いた。
セバスからの報告はまだかしら・・・。
実は玲子の中もジギルよりはるかに強く煮え立つぐらいの怒りでいっぱいだった。
桜花さんに傷一つでも付けてみなさい、皆殺しよ!いや、傷を付けなくても皆殺しよ!この国一つ位、なくなってもどうでもいい、桜花さんさえ、戻って来てくれればそれでいい!
しかし、今は他の人がいる手前、涼しい顔をするしかない玲子だった。
「レイコ様、報告です。」
セバスからの報告が入った!やっとだ!
「3日後に決まりました。」
桜花は日ごろの食事の内容が豪華なので、血色こそいいが、無精ひげを生やすようになっていた。
牢屋に入れられている桜花にも異変を感じることが出来た。
と言うのも、毎日のように監視している兵士がこのところ、姿を見せないのだ。
何か、あったのか?
しかし、地下の牢屋にいる桜花には具体的に知ることは出来ない。
唯一の情報源は、あのお喋りな兵士のみだ。
しかし、今はその兵士もいない。
「ったく、めんどくせーなー!なんで俺なんだよ!」
そうブツブツ言いながら、牢屋に近づくのは、知らない神官である。
「おい!そこの囚人、出ろ!」
鉄格子の扉が開く。神官は、さっさと出ろとばかりに、鉄格子を蹴り飛ばしている。
「これから、何処に行くんだ?」
「これから裁判に決まってんだろ?」ぶっきら棒に神官は答えた。
「聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「あん?んだよ?」
「今、外で何が起こっている?」
「クーデターだよ、クーデター!アンタのせいでな!」
「俺は何もやってないぞ!と言うより、神官ってもっと優しい話し方じゃないか?」
「そんなもん、嘘に決まってんだろ?ちょっと優しくすりゃ、みんな金を払うんだ、話し方も変わるってもんさ。」
態度と口の悪い神官に連れられて、暗く長い道の先に階段があり、階段を昇って行くと明かりが見えるようになって来た。
牢屋があった地下とは違い、白を基準とした内装は清潔感で溢れている。
そこから、更に奥へと歩みを進めて行く。
一番奥に差し掛かる途中で一人の男が立っていた。
「これは、副司祭様!」
先ほどまでの態度の悪さは何処へやら。神官は背筋を伸ばし丁寧にお辞儀をする。
「ここより先は、私が連行いたします。いいですね。」
物腰の柔らかい副司祭は優しい言葉を神官に掛ける。
「し、しかし、私は法王様の所まで連れてくるように命令をされたのですが。」
「私が信用出来ないと?」
「い、いえ、失礼しました。」
「結構。もう、行きなさい。」
「いたらぬ神官がご迷惑をおかけいたしました。私は副司祭を務めておりますジェイドと申します。」
ジェイドと言う副司祭は続けて私に付いているリングを見て
「おや、このリングはもう、壊れていますね。新しい物に変えましょう。」
新しいリングに変えてもらった途端に、倦怠感がなくなり、力が増してくるような実感が湧き上がった。
戸惑っている俺にジェイド副司祭は顔を近づけ
「私は貴方を助けに参りました。ジギルさん達とも連絡は着いております。もうしばらくの御辛抱を・・・。そして今付けたリングですが、この神殿にある魔法の全てを打ち消す仕掛けが施されています。貴方は極刑を言い渡されるでしょう。それから逃れることは出来ません。黙って受け入れてください。タイミングを見計らって貴方を助けます。」
「それから・・・。」と付けたし
「これから見るものに驚かないで下さいね。演技をしてください。」
そう言い残したジェイド副司祭は法王がいると言われる扉の前で
「囚人、オウカを連れてまいりました!」
ジェイドはそう、叫んだ。
***
「ンー、ンー!」ジギルは貧乏ゆすりをしながら唸っているが、本人的には必死に平静を装っている。
ここは宿屋。
合流したバレット国王・玲子がいる手前、叫ぶことも暴れることも出来ないのだ。
しかし、主に何かあってはと考えると気が気ではないのも事実。
静かにしている他の連中は、誰も心配していないのではないか?とも考えてしまう。
「ジギル、落ち着きなさい。」玲子が諭すと
「これが落ち着いていられますかー!」
ジギルは、貯まる不満と不安が一気に爆発!思わず叫んでしまうと、すみませんと縮こまってしまった。
「ジギル、貴方の気持ちは解るわ。私だって今すぐに神殿を燃やし尽くしたいですもの。でもねジギル。戦いは力だけではなくって、情報や作戦が必要なのよ。」
「解っております!ですが!心配と怒りで体がうずいて仕方ないのです!」
玲子はクスッと笑い
「今のあなたなら、正面から突撃するでしょうね。そうすると貴方は犬死よ。でも、私はそんなジギルが好きよ。桜花さんだってそんなジギルだから、いつも傍に置いているのでしょうね。」
「そ、そうですか・・・。」
ジギルは嬉しいやら照れくさいやらで、大人しく席に着いた。
セバスからの報告はまだかしら・・・。
実は玲子の中もジギルよりはるかに強く煮え立つぐらいの怒りでいっぱいだった。
桜花さんに傷一つでも付けてみなさい、皆殺しよ!いや、傷を付けなくても皆殺しよ!この国一つ位、なくなってもどうでもいい、桜花さんさえ、戻って来てくれればそれでいい!
しかし、今は他の人がいる手前、涼しい顔をするしかない玲子だった。
「レイコ様、報告です。」
セバスからの報告が入った!やっとだ!
「3日後に決まりました。」
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