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リンド法国編
0121 ジェイド副司祭
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「法王様、囚人、オウカを連れて参りました!」
ジェイドの声に同調して大きな扉は重そうな音と共にゆっくりと開いていく。
部屋の中は50人は余裕で入れそうな広さで、一番奥には何故か「女神クリス・サリーナ像」が置かれているのだが、顔を潰されている。
「さっさと歩け!」とジェイド副司祭に着き飛ばされるように部屋の中心へとつまずきそうな体を持ち直しつつ進むと、背もたれの高い椅子に座っている「物」があった。
「!」俺は目を見張った!てっきり法王が座っていると思っていたのだが、そこにあったのは「白骨の亡骸」だったのだ。
左に神殿長・副司祭が2人、右に副司祭3人が俺を挟むように座っている。
「極刑に処す。以上。」
神殿長が一言告げると、裁判は終わり。
普通、弁護する人とかいるよね?この世界にはいないものなのか・・・。理不尽だ。
「何か言いたいことがあるか?」
面倒くさそうに神殿長が質問をしてくる。これは体裁なのだろう。
「私が極刑になる理由が知りたい。私は店で肉と酒を提供しているに過ぎません。」
「ほう、随分と落ち着いているな。普通の人間ならば発狂してもおかしくないのだが」
神殿長が不思議と感心をしている。同時に興味も持ったかもしれない。
「ならば教えてやろう。お前が納得のいく理由をな。」
神殿長はこれ以上、話すのが余程、面倒くさいのだろうか、副司祭に目くばせをする。
一人の副司祭が立ち上がり、俺に近寄りながら理由を話してきた。
「お前、勇者なのだろう?それも「女神」クリス・サリーナの使者らしいな。それが理由だ。法王様もそうおっしゃっている。」
え?それだけ?納得がいく理由を聞かせてくれるはずだよな?
「どういうことですか?実際に私は「女神」クリス・サリーナの要望でこの世界に来ました。それがなにか不満なのですか?」
「黙りなさい!法王様へ神託がありクリス・サリーナ様は「男性」だと言う事実を聞かされたのですよ!女神と偽る事こそが罪なのですよ!」
副司祭は声を荒げた。これは本当に信じているのか?洗脳されているのか?
「では聞かせてください。なぜ魔石を置いて女神クリス・サリーナ様を黒い神の像に見える魔法を使用して信者を騙しているのですか?」
「ちょっと、お待ちください!」
ジェイドが割って入って来た。
「オウカ殿、黙って聞いてくださいと言ったでしょう!」
ジェイドは俺に耳打ちをしてくる。
「皆さん、聞いてください!この者は呪いに掛けられ錯乱しているのです!そして、神への冒涜による極刑は妥当な判断だと思います!しかし、今すぐの執行はお待ちください。自らの過ちを悔い改めてからクリス・サリーナ様の元へ送り出すのが、我々の使命であると思います!どうか、それまでの時間をください!」
「そんな甘い事がまかり通るか!」
「今すぐに刑を執行しろ!」
「この異教徒め!」
副司祭達のヤジが飛び交う中、神殿長が静まれとばかりに手を挙げた。
「3日だ。3日だけ時間をやろう。それで悔い改めるもよし、異教徒のままでも刑は執行する。」
「ありがとうございます。このジェイド、全霊を持って悔い改めて見せます。」
ジェイドは深々と頭を下げた。
「では、これにて閉廷とする。」
部屋の外に出た途端にジェイドが文句を言って来た。
「オウカ殿!黙って聞いてくれと言ったでしょう!それに演技もしてくれって言いましたよね!なんで言う事を聞いて下さらないのですか!」
ジェイドさん、かなり怒ってるよね。でもね。
「すまない。このまま言われっぱなしだと、サリーナに申し訳がたたないと思ったんだよ。」
ジェイドは何かを感じ取ったのか、体に合わせ声を震わせながら聞いてきた。
「もしや、クリス・サリーナ様に、お会いになったのですか?」
「ああ、直接あったりしてるし、しょっちゅう会話もしているぞ。」
「し、失礼しましたー!」
ジェイドは土下座というよりも深く、顔を床にこすりつけている。そんなジェイドが不憫でならなかったので
「わかった。わかったから、頭をあげてくれ。」
「し、しかし、女神クリス・サリーナ様の使者様に私はとんでもないことを・・・。」
ジェイドの顔は完全に青い。死を覚悟したかのように見える。
「大丈夫だって、サリーナはそんなことで怒ったりしないさ。それに、俺を助けてくれるんだろ?絶対に感謝してくれるさ。」
俺は、まだ床に手を付けているジェイドの肩をポンポンと叩いてやった。
「それよりもさ、聞きたいんだけど。」
ジェイドはまだ動揺を隠せないようで顔が青いままではあるが、真摯に受け止めようとしている。うん。好感が持てる青年だ。
「何で、法王は白骨死体なの?みんなは怖くないの?」
やっと顔色が戻ったジェイドは真剣な顔つきになり小声で言った。
「私以外の者は、幻惑の魔法に掛かっているのですよ。だから実際は白骨死体でも、生きている人間のように見えています。」
「何でジェイドさんだけ、魔法に掛からないんだ?」
「それは、私が元々、魔法師団に所属していたから、副司祭として神殿に入った時に異変に気づきまして、すぐに魔道具を作った。今オウカ殿がされているリングを作ったのです。」
「それで、これからどうするんだ?」
「まずは、オウカ殿の救出です。先ほどの裁判の模様はセバス殿も見ているはずですから、すでに連絡はついていると思われます。」
「で、その後は?」
ジェイドはニヤリと笑い
「この神殿を潰します。」
ジェイドの声に同調して大きな扉は重そうな音と共にゆっくりと開いていく。
部屋の中は50人は余裕で入れそうな広さで、一番奥には何故か「女神クリス・サリーナ像」が置かれているのだが、顔を潰されている。
「さっさと歩け!」とジェイド副司祭に着き飛ばされるように部屋の中心へとつまずきそうな体を持ち直しつつ進むと、背もたれの高い椅子に座っている「物」があった。
「!」俺は目を見張った!てっきり法王が座っていると思っていたのだが、そこにあったのは「白骨の亡骸」だったのだ。
左に神殿長・副司祭が2人、右に副司祭3人が俺を挟むように座っている。
「極刑に処す。以上。」
神殿長が一言告げると、裁判は終わり。
普通、弁護する人とかいるよね?この世界にはいないものなのか・・・。理不尽だ。
「何か言いたいことがあるか?」
面倒くさそうに神殿長が質問をしてくる。これは体裁なのだろう。
「私が極刑になる理由が知りたい。私は店で肉と酒を提供しているに過ぎません。」
「ほう、随分と落ち着いているな。普通の人間ならば発狂してもおかしくないのだが」
神殿長が不思議と感心をしている。同時に興味も持ったかもしれない。
「ならば教えてやろう。お前が納得のいく理由をな。」
神殿長はこれ以上、話すのが余程、面倒くさいのだろうか、副司祭に目くばせをする。
一人の副司祭が立ち上がり、俺に近寄りながら理由を話してきた。
「お前、勇者なのだろう?それも「女神」クリス・サリーナの使者らしいな。それが理由だ。法王様もそうおっしゃっている。」
え?それだけ?納得がいく理由を聞かせてくれるはずだよな?
「どういうことですか?実際に私は「女神」クリス・サリーナの要望でこの世界に来ました。それがなにか不満なのですか?」
「黙りなさい!法王様へ神託がありクリス・サリーナ様は「男性」だと言う事実を聞かされたのですよ!女神と偽る事こそが罪なのですよ!」
副司祭は声を荒げた。これは本当に信じているのか?洗脳されているのか?
「では聞かせてください。なぜ魔石を置いて女神クリス・サリーナ様を黒い神の像に見える魔法を使用して信者を騙しているのですか?」
「ちょっと、お待ちください!」
ジェイドが割って入って来た。
「オウカ殿、黙って聞いてくださいと言ったでしょう!」
ジェイドは俺に耳打ちをしてくる。
「皆さん、聞いてください!この者は呪いに掛けられ錯乱しているのです!そして、神への冒涜による極刑は妥当な判断だと思います!しかし、今すぐの執行はお待ちください。自らの過ちを悔い改めてからクリス・サリーナ様の元へ送り出すのが、我々の使命であると思います!どうか、それまでの時間をください!」
「そんな甘い事がまかり通るか!」
「今すぐに刑を執行しろ!」
「この異教徒め!」
副司祭達のヤジが飛び交う中、神殿長が静まれとばかりに手を挙げた。
「3日だ。3日だけ時間をやろう。それで悔い改めるもよし、異教徒のままでも刑は執行する。」
「ありがとうございます。このジェイド、全霊を持って悔い改めて見せます。」
ジェイドは深々と頭を下げた。
「では、これにて閉廷とする。」
部屋の外に出た途端にジェイドが文句を言って来た。
「オウカ殿!黙って聞いてくれと言ったでしょう!それに演技もしてくれって言いましたよね!なんで言う事を聞いて下さらないのですか!」
ジェイドさん、かなり怒ってるよね。でもね。
「すまない。このまま言われっぱなしだと、サリーナに申し訳がたたないと思ったんだよ。」
ジェイドは何かを感じ取ったのか、体に合わせ声を震わせながら聞いてきた。
「もしや、クリス・サリーナ様に、お会いになったのですか?」
「ああ、直接あったりしてるし、しょっちゅう会話もしているぞ。」
「し、失礼しましたー!」
ジェイドは土下座というよりも深く、顔を床にこすりつけている。そんなジェイドが不憫でならなかったので
「わかった。わかったから、頭をあげてくれ。」
「し、しかし、女神クリス・サリーナ様の使者様に私はとんでもないことを・・・。」
ジェイドの顔は完全に青い。死を覚悟したかのように見える。
「大丈夫だって、サリーナはそんなことで怒ったりしないさ。それに、俺を助けてくれるんだろ?絶対に感謝してくれるさ。」
俺は、まだ床に手を付けているジェイドの肩をポンポンと叩いてやった。
「それよりもさ、聞きたいんだけど。」
ジェイドはまだ動揺を隠せないようで顔が青いままではあるが、真摯に受け止めようとしている。うん。好感が持てる青年だ。
「何で、法王は白骨死体なの?みんなは怖くないの?」
やっと顔色が戻ったジェイドは真剣な顔つきになり小声で言った。
「私以外の者は、幻惑の魔法に掛かっているのですよ。だから実際は白骨死体でも、生きている人間のように見えています。」
「何でジェイドさんだけ、魔法に掛からないんだ?」
「それは、私が元々、魔法師団に所属していたから、副司祭として神殿に入った時に異変に気づきまして、すぐに魔道具を作った。今オウカ殿がされているリングを作ったのです。」
「それで、これからどうするんだ?」
「まずは、オウカ殿の救出です。先ほどの裁判の模様はセバス殿も見ているはずですから、すでに連絡はついていると思われます。」
「で、その後は?」
ジェイドはニヤリと笑い
「この神殿を潰します。」
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