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悪魔対峙編
0160 パンデミック
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「どうしたの?気分悪い?」
母親が子供に話しかけている。
「家に帰って横になればすぐに良くなるわよ。さあ帰りましょう。」
子供を連れて帰る姿だった。」
最初は軽い発熱だった。
しかし、食事を取らなくなりとうとう水さえも飲まなくなった。
肌は土色になり、とうとう呼吸さえもしなくなった。
しなくなったのだが・・・。
生きている。おかしい。死んだはずなのに。
「大丈夫?」と話しかける母親に
「う~。」と答える子供。
何か言いたいのかと顔を近づけ、顔を近づけると噛みついて来て母親は首から血を流していた。
母親はみるみる血色がなくなり、生ける屍となり、家から飛び出し、目につく人に噛みついて行った。
日本などの映画でよく見る「ゾンビ化」が実際に起こったのである。
そのパンデミックは物凄いスピードで広がりを見せて行った。
衛兵たちが抑えようとやってくるが、本能のまま動くゾンビたちは力が強い。
衛兵もまた、ゾンビの餌食となってしまったのだ。
一週間で一つの町が崩落し、更に拡大を続けている。
これこそがエランド王国が言った国を潰す方法なのかもしれない。
桜花に連絡が入った。
「街の住民たちが生ける屍になり、健康な人たちに噛みつき、噛まれた人たちもまた、生ける屍になっている模様です」
その連絡で、すぐにゾンビと分かった桜花は、すぐに街ごと隔離をするように国に要請をするように指示を出し、街は塀で囲まれることになった。
マイカ帝国皇帝ロンベルクは前代未聞の事に頭を抱えていた。
そこに桜花が姿を現わし、事の状態を告げると、絶望感に落ちる事になった。
「生ける屍となった住民は動きますが、死んでいます。首を刎ねるか頭を潰す以外に対処する方法はありません。」
「そんなことがあるのか?」
「実際にご覧になったのでしょう?それが証拠です。完全武装の軍を動かしてください。我々も動きます。」
ロンベルク皇帝は一息付きながらも、現在生き残っている住民を守るには仕方ない事と軍を動かす決心をつけた。
「皆の者、生ける屍の首を刎ねるか、頭を潰せ。それしか対処が出来んと勇者オウカ殿の言いつけだ。いいか、決して噛まれるな!噛まれれば自分も生ける屍になると心得よ!」
完全武装に盾と剣を持った軍人一万が塀を取り除き進軍を始めた。
なだれ込むように襲ってくるゾンビ達の首を刎ねていく軍人達。
向こうにゾンビに囲まれた軍人がいた。
悲鳴と共にゾンビたちの餌食となってしまったようだ。
すぐさま、首を刎ねればよかったものの、さっきまで一緒に戦っていた戦友なのだ。思わず躊躇しているとゾンビ化した戦友に襲われ徹しまい、抑え込む作戦は上手く行かなかった。
そこに躊躇なく首を刎ねる軍人がいた。百人隊長である。
一見、血も涙もないような振る舞いだが、目には涙が溢れていた。
「友を苦しませたくなければ、迷わず首を刎ねよ!」
その一喝で、軍人たちは再起し、襲い掛かるゾンビたちを次々と始末して行った。
そして、ゾンビたちの姿が消えた頃・・・。
「家屋に火を放ってください。」
桜花の声が軍隊に響いた。
「何故だ!生ける屍の首を刎ねたではないか!」
「奴らの生き残りがいるかもしれません。それにこれは病原体です。燃やし尽くす他に手がないのです。」
百人隊長は納得が行かない表情を見せながらも、桜花の言う事は皇帝の言葉と捕らえ、家屋に火を放った。
やはり、隠れているゾンビがいたようだ。次々と現れてくるが、火の中で倒れて行った。
三日三晩、火が消えることがなく、ようやく消えた頃・・・。
一つの町が灰となってしまった跡地に花束が置かれた。
余りにも犠牲が多すぎた事と、自国民を手にかけた悔いの表れだった。
皇帝ロンベルクも悲しみの中にいた。
しかし、強い皇帝を見せなければ民を導くことはできない。ロンベルクは広場にて演説を行う事にした。
「民よ、此度はどうしようもない流行り病のお陰で、一つの街を失う事になった!しかし、皆は生きている!これからは皆が手を取り合って新たな国を興そうではないか!」
こうして、マイカ帝国でのパンデミックは収まったのだが、実は他国でも同じことが起こる。
マイカ帝国で火が付いたパンデミックはシェラハ王国に商人が感染源となりこの地でもパンデミックが起こり、同じくリンド評議国でも起こってしまった。
ヤヌス王国も例外なくパンデミックは起こり、住民の三分の一を失う事となった。
マイカ帝国にて各国首脳が集まり、緊急会議を行う事となった。
今回のパンデミックの原因追及の為である。
何せ、前例がない前代未聞の病気に皆が慄き会議も進まなかった。
「今回の原因はエランド王国にあります。」
桜花の言葉に皆が顔を上げた。
「どういうことですか?」
「実はエランド王国に国を潰すと言われていたのです。調査隊が何をするのか分かるまで伏せていたのです。」
「その意見を私も同意致します。」
バレットの言葉だった。
「私は、海外のミュウ王国のショウ王子にいずれ災いが起こると告げられていたのです。オウカ殿に相談したところ調査中との事でしたので、伏せておりました。」
桜花、バレットの声に皆が書簡が届いていたことを思い出していた。
確かに書簡には「エランド王国が攻めて来る」とあった。
「それではエランド王国を攻め落とせば良いだけではないか!」
怒りに震えていたロンベルク皇帝が声を震わせていた。
当然、皆も同意見だ。
その声に桜花が静かに答えた。
「それが、エランド王国には住民一人もいない事が我々の調査隊からの報告でありました。」
「どういうことですか?」
「現在の所、何も分かっていません。更なる調査が必要です。」
「では、我々は手をこまねいて待っているだけだという事ですか?」
「今はまだ、そうする他、何もできません。」
そういう話しをしている時に桜花のベルが鳴った。エランド王国に調査に行っているブラッドからだ。
「オウカさん、分かったで。住民がぎょうさんおるわ。」
「何?セバスの報告では誰もいないと言っていただろう?」
「いや、それは認識阻害で分からんようになってるだけや。実際は戦争準備をしてる。今にも動き出しそうや。」
「認識阻害はレジスト出来そうか?」
「ああ、まかせとき。」
桜花は会議に集まった首脳全員に告げた。
「どうやら、エランド王国の住民たちは魔法で目に見えないようになっているようです。私の部下が、その魔法を解きます。しかも、今にも軍隊が動き出しそうな勢いなのだそうです。」
それを聞いた首脳たちは待ってましたと席を立ち上がり
「エランド王国を我々連合軍で打ち滅ぼすぞ!皆殺しだ!」
各首脳は打ち合わせを済ませ、それぞれの国に帰って行った。
母親が子供に話しかけている。
「家に帰って横になればすぐに良くなるわよ。さあ帰りましょう。」
子供を連れて帰る姿だった。」
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しかし、食事を取らなくなりとうとう水さえも飲まなくなった。
肌は土色になり、とうとう呼吸さえもしなくなった。
しなくなったのだが・・・。
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「大丈夫?」と話しかける母親に
「う~。」と答える子供。
何か言いたいのかと顔を近づけ、顔を近づけると噛みついて来て母親は首から血を流していた。
母親はみるみる血色がなくなり、生ける屍となり、家から飛び出し、目につく人に噛みついて行った。
日本などの映画でよく見る「ゾンビ化」が実際に起こったのである。
そのパンデミックは物凄いスピードで広がりを見せて行った。
衛兵たちが抑えようとやってくるが、本能のまま動くゾンビたちは力が強い。
衛兵もまた、ゾンビの餌食となってしまったのだ。
一週間で一つの町が崩落し、更に拡大を続けている。
これこそがエランド王国が言った国を潰す方法なのかもしれない。
桜花に連絡が入った。
「街の住民たちが生ける屍になり、健康な人たちに噛みつき、噛まれた人たちもまた、生ける屍になっている模様です」
その連絡で、すぐにゾンビと分かった桜花は、すぐに街ごと隔離をするように国に要請をするように指示を出し、街は塀で囲まれることになった。
マイカ帝国皇帝ロンベルクは前代未聞の事に頭を抱えていた。
そこに桜花が姿を現わし、事の状態を告げると、絶望感に落ちる事になった。
「生ける屍となった住民は動きますが、死んでいます。首を刎ねるか頭を潰す以外に対処する方法はありません。」
「そんなことがあるのか?」
「実際にご覧になったのでしょう?それが証拠です。完全武装の軍を動かしてください。我々も動きます。」
ロンベルク皇帝は一息付きながらも、現在生き残っている住民を守るには仕方ない事と軍を動かす決心をつけた。
「皆の者、生ける屍の首を刎ねるか、頭を潰せ。それしか対処が出来んと勇者オウカ殿の言いつけだ。いいか、決して噛まれるな!噛まれれば自分も生ける屍になると心得よ!」
完全武装に盾と剣を持った軍人一万が塀を取り除き進軍を始めた。
なだれ込むように襲ってくるゾンビ達の首を刎ねていく軍人達。
向こうにゾンビに囲まれた軍人がいた。
悲鳴と共にゾンビたちの餌食となってしまったようだ。
すぐさま、首を刎ねればよかったものの、さっきまで一緒に戦っていた戦友なのだ。思わず躊躇しているとゾンビ化した戦友に襲われ徹しまい、抑え込む作戦は上手く行かなかった。
そこに躊躇なく首を刎ねる軍人がいた。百人隊長である。
一見、血も涙もないような振る舞いだが、目には涙が溢れていた。
「友を苦しませたくなければ、迷わず首を刎ねよ!」
その一喝で、軍人たちは再起し、襲い掛かるゾンビたちを次々と始末して行った。
そして、ゾンビたちの姿が消えた頃・・・。
「家屋に火を放ってください。」
桜花の声が軍隊に響いた。
「何故だ!生ける屍の首を刎ねたではないか!」
「奴らの生き残りがいるかもしれません。それにこれは病原体です。燃やし尽くす他に手がないのです。」
百人隊長は納得が行かない表情を見せながらも、桜花の言う事は皇帝の言葉と捕らえ、家屋に火を放った。
やはり、隠れているゾンビがいたようだ。次々と現れてくるが、火の中で倒れて行った。
三日三晩、火が消えることがなく、ようやく消えた頃・・・。
一つの町が灰となってしまった跡地に花束が置かれた。
余りにも犠牲が多すぎた事と、自国民を手にかけた悔いの表れだった。
皇帝ロンベルクも悲しみの中にいた。
しかし、強い皇帝を見せなければ民を導くことはできない。ロンベルクは広場にて演説を行う事にした。
「民よ、此度はどうしようもない流行り病のお陰で、一つの街を失う事になった!しかし、皆は生きている!これからは皆が手を取り合って新たな国を興そうではないか!」
こうして、マイカ帝国でのパンデミックは収まったのだが、実は他国でも同じことが起こる。
マイカ帝国で火が付いたパンデミックはシェラハ王国に商人が感染源となりこの地でもパンデミックが起こり、同じくリンド評議国でも起こってしまった。
ヤヌス王国も例外なくパンデミックは起こり、住民の三分の一を失う事となった。
マイカ帝国にて各国首脳が集まり、緊急会議を行う事となった。
今回のパンデミックの原因追及の為である。
何せ、前例がない前代未聞の病気に皆が慄き会議も進まなかった。
「今回の原因はエランド王国にあります。」
桜花の言葉に皆が顔を上げた。
「どういうことですか?」
「実はエランド王国に国を潰すと言われていたのです。調査隊が何をするのか分かるまで伏せていたのです。」
「その意見を私も同意致します。」
バレットの言葉だった。
「私は、海外のミュウ王国のショウ王子にいずれ災いが起こると告げられていたのです。オウカ殿に相談したところ調査中との事でしたので、伏せておりました。」
桜花、バレットの声に皆が書簡が届いていたことを思い出していた。
確かに書簡には「エランド王国が攻めて来る」とあった。
「それではエランド王国を攻め落とせば良いだけではないか!」
怒りに震えていたロンベルク皇帝が声を震わせていた。
当然、皆も同意見だ。
その声に桜花が静かに答えた。
「それが、エランド王国には住民一人もいない事が我々の調査隊からの報告でありました。」
「どういうことですか?」
「現在の所、何も分かっていません。更なる調査が必要です。」
「では、我々は手をこまねいて待っているだけだという事ですか?」
「今はまだ、そうする他、何もできません。」
そういう話しをしている時に桜花のベルが鳴った。エランド王国に調査に行っているブラッドからだ。
「オウカさん、分かったで。住民がぎょうさんおるわ。」
「何?セバスの報告では誰もいないと言っていただろう?」
「いや、それは認識阻害で分からんようになってるだけや。実際は戦争準備をしてる。今にも動き出しそうや。」
「認識阻害はレジスト出来そうか?」
「ああ、まかせとき。」
桜花は会議に集まった首脳全員に告げた。
「どうやら、エランド王国の住民たちは魔法で目に見えないようになっているようです。私の部下が、その魔法を解きます。しかも、今にも軍隊が動き出しそうな勢いなのだそうです。」
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