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「やっと回ってきたのね…」
「遅かったですねぇ…」
1週間経ってしまう、そんな焦りと共にカタログを早くこっちに回せとカトリーヌの侍女を突きまわすように焦らせて、やっと回ってきた。
実際、カトリーヌ付きの侍女もこれ以上はグウェンドリンのドレスを選ぶための時間が無いと焦っていたのもあって、カトリーヌが選び終わってもまだ見たいと駄々をこねるのを無視し、マーガレットに渡したところである。
大きくため息を吐き、重たく分厚いカタログを机の上に広げてマーガレットやメイドたちと一緒にペラペラとページをめくる。
その中から条件に合致したドレスが1つあった。
胸部から腹部にかけては青で、そこから裾にかけて白に変わるグラデーションの綺麗なドレス。
裾には細かな刺繍が入っていて、青の布地の部分にはビーズが縫い付けられてまるで星空を思わせる。
「うん、これにするわ」
「綺麗なドレスですね、きっとお似合いになるかと思いますわ」
グウェンドリンが青や白の色を指定したのには実のところちゃんと意味がある。
彼女の髪と目が銀髪に紫眼だからだ。
銀髪でも目の色が緑や橙であればきっと暖色系も相応に似合っていただろう。
しかし、グウェンドリンの容姿は青みのある銀髪に紫の目、暖色系がこれでもかと合いにくい容姿をしているのである。
逆にカトリーヌは金髪に碧眼。
暖色も寒色も問題なく合わせられる容姿をしていた。
ただ、本人はリボンたっぷりのお姫様願望を前面に出したものが好きらしく、今回の場合も選ぶ色合いもピンクや水色等、可愛らしいカラーにリボンとフリルたっぷりのこの年齢だからこそ許されるデザインを選んでいる。
しかし、グウェンドリンは見た目的にもほぼ寒色系ですべてが完結しているような容姿をしているがため、必然的に選ばれるのは白や黒といったなんにでも合わせられる色と寒色系なのである。
一番似合うのは青系統、時点で紫や黒、そして白といった順番に並んでいき、最終的に一番似合わないだろう色合いがオレンジなどの力のある暖色系の黄色が混じった感じの色合い。
赤は原色で多少落ち着いた色合いであればなんとか、と言ったところだ。
なので、必然的に選びやすい色合いが青系統をはじめとした寒色系で固定されてしまいやすい。
実際、クローゼットの中にはいろんな色の普段着用のワンピースタイプや子供の時間に着るドレスなどが並んでいるが、これらも寒色系のものが良く選ばれるので、暖色系でまず袖を通さないオレンジなどの色は実はこっそりカトリーヌの部屋のクローゼットに入れ込まれていた。
逆にカトリーヌの方も青系統は水色を除いて袖を通したことが無いものがほとんどなので、それらと入れ替えていた。
そのくらい、暖色系とは縁がない。
ドレスを選び終わったら、次はそのカタログに付属しているアクセサリー類と靴を見て、ささっと選んでいく。
アクセサリーはドレスに合わせてパール系。
靴もパールホワイトのものを選んでおかしくないようにし、そのカタログで選んだもののページと商品番号を紙にメモ書きしてマーガレットに渡す。
「それじゃあお母様にお願いね」
「はい、お任せください」
部屋付きのメイドに頼んだ方がいいのでは、と思うかもしれないが名前と顔が完全に一致していて、なおかつグウェンドリンの傍付きとしての信頼が上なのはマーガレットの方だ。
また、マーガレットは母が直接選んで傍付きにした侍女でもあるので、部屋付きのメイドよりもあっさりと時間を取って会ってもらいやすい。
後はカトリーヌとカタログのやり取りに手間取った本人であれば、経緯をきちんと話すことも可能だろう。
すでにやり取りして数日経っているから下手に爆発する様なことも無いだろうし、きちんと経緯を説明できるはずだ。
これでカトリーヌが叱られたりしても、こちらに別に非は無いので問題ない。
ただ、カトリーヌからの八つ当たりの突撃がまた行われる可能性があるな、という嫌な予感は頭の片隅に放り投げておいた。
その方が精神的にも安定する。
母にカタログと選んだものの商品番号やページ数を記したメモを渡してから数日、カタログの商品を販売している店舗の針子たちがサイズを測りにやってきた。
すでに自宅用でもドレスなどを作っているのであれば必要ないのでは?と思われるかもしれないが、8歳というのは女の子であれば立派な成長期が始まっていることも珍しくない。
下手すると男の子よりも身長の高い女子がいっぱいいるのである。
なので、サイズも変わりやすく、頻繁に衣類の買い替えが起こってしまう時期でもある。
サイズをしっかり測って作らないと身長伸びて丈が合いませんでした、といった事態に陥る可能性があった。
きっちりサイズを測って安心な状態で売りたい、買いたいと思うのは当然である。
ちなみに今回はこの針子さんのいる店のオーナーも一緒に来ていたらしい。
男性のオーナーなので、さすがに採寸の時にはおらず、父と話をしていたというが、その話の内容がレンタル事業のことだという。
つまり、今回採寸に来たドレスのオーナーの店が有力候補の一つということにもなるだろう。
マーガレットに伝えて、店名を控えておく。
そしてそれから更に約半月後、ドレスが完成したという連絡が入った。
今回のドレスの作成はかなり時間を要するところを特急料金を払う様なスピードで仕上げてもらっている。
普通なら半月でドレス2着なんてできるわけがない。
ただ、この店のカタログで選べるドレスは原型ともいえる型がある程度似ているのと、子供だからこその大きさなので人数を増やしてなんとか半月ほどにできたというところ。
これが大人のドレスだったりしてみよう。
すべてが手縫いである以上、どれだけ急いだとしても余裕で1か月から2か月は待たされる。
「こちらがドレスになります」
そうマーガレットが机の上にそっと置いた、リボンで飾られた箱。
グウェンドリンはそっとその箱のリボンをほどいて箱を開けた。
「遅かったですねぇ…」
1週間経ってしまう、そんな焦りと共にカタログを早くこっちに回せとカトリーヌの侍女を突きまわすように焦らせて、やっと回ってきた。
実際、カトリーヌ付きの侍女もこれ以上はグウェンドリンのドレスを選ぶための時間が無いと焦っていたのもあって、カトリーヌが選び終わってもまだ見たいと駄々をこねるのを無視し、マーガレットに渡したところである。
大きくため息を吐き、重たく分厚いカタログを机の上に広げてマーガレットやメイドたちと一緒にペラペラとページをめくる。
その中から条件に合致したドレスが1つあった。
胸部から腹部にかけては青で、そこから裾にかけて白に変わるグラデーションの綺麗なドレス。
裾には細かな刺繍が入っていて、青の布地の部分にはビーズが縫い付けられてまるで星空を思わせる。
「うん、これにするわ」
「綺麗なドレスですね、きっとお似合いになるかと思いますわ」
グウェンドリンが青や白の色を指定したのには実のところちゃんと意味がある。
彼女の髪と目が銀髪に紫眼だからだ。
銀髪でも目の色が緑や橙であればきっと暖色系も相応に似合っていただろう。
しかし、グウェンドリンの容姿は青みのある銀髪に紫の目、暖色系がこれでもかと合いにくい容姿をしているのである。
逆にカトリーヌは金髪に碧眼。
暖色も寒色も問題なく合わせられる容姿をしていた。
ただ、本人はリボンたっぷりのお姫様願望を前面に出したものが好きらしく、今回の場合も選ぶ色合いもピンクや水色等、可愛らしいカラーにリボンとフリルたっぷりのこの年齢だからこそ許されるデザインを選んでいる。
しかし、グウェンドリンは見た目的にもほぼ寒色系ですべてが完結しているような容姿をしているがため、必然的に選ばれるのは白や黒といったなんにでも合わせられる色と寒色系なのである。
一番似合うのは青系統、時点で紫や黒、そして白といった順番に並んでいき、最終的に一番似合わないだろう色合いがオレンジなどの力のある暖色系の黄色が混じった感じの色合い。
赤は原色で多少落ち着いた色合いであればなんとか、と言ったところだ。
なので、必然的に選びやすい色合いが青系統をはじめとした寒色系で固定されてしまいやすい。
実際、クローゼットの中にはいろんな色の普段着用のワンピースタイプや子供の時間に着るドレスなどが並んでいるが、これらも寒色系のものが良く選ばれるので、暖色系でまず袖を通さないオレンジなどの色は実はこっそりカトリーヌの部屋のクローゼットに入れ込まれていた。
逆にカトリーヌの方も青系統は水色を除いて袖を通したことが無いものがほとんどなので、それらと入れ替えていた。
そのくらい、暖色系とは縁がない。
ドレスを選び終わったら、次はそのカタログに付属しているアクセサリー類と靴を見て、ささっと選んでいく。
アクセサリーはドレスに合わせてパール系。
靴もパールホワイトのものを選んでおかしくないようにし、そのカタログで選んだもののページと商品番号を紙にメモ書きしてマーガレットに渡す。
「それじゃあお母様にお願いね」
「はい、お任せください」
部屋付きのメイドに頼んだ方がいいのでは、と思うかもしれないが名前と顔が完全に一致していて、なおかつグウェンドリンの傍付きとしての信頼が上なのはマーガレットの方だ。
また、マーガレットは母が直接選んで傍付きにした侍女でもあるので、部屋付きのメイドよりもあっさりと時間を取って会ってもらいやすい。
後はカトリーヌとカタログのやり取りに手間取った本人であれば、経緯をきちんと話すことも可能だろう。
すでにやり取りして数日経っているから下手に爆発する様なことも無いだろうし、きちんと経緯を説明できるはずだ。
これでカトリーヌが叱られたりしても、こちらに別に非は無いので問題ない。
ただ、カトリーヌからの八つ当たりの突撃がまた行われる可能性があるな、という嫌な予感は頭の片隅に放り投げておいた。
その方が精神的にも安定する。
母にカタログと選んだものの商品番号やページ数を記したメモを渡してから数日、カタログの商品を販売している店舗の針子たちがサイズを測りにやってきた。
すでに自宅用でもドレスなどを作っているのであれば必要ないのでは?と思われるかもしれないが、8歳というのは女の子であれば立派な成長期が始まっていることも珍しくない。
下手すると男の子よりも身長の高い女子がいっぱいいるのである。
なので、サイズも変わりやすく、頻繁に衣類の買い替えが起こってしまう時期でもある。
サイズをしっかり測って作らないと身長伸びて丈が合いませんでした、といった事態に陥る可能性があった。
きっちりサイズを測って安心な状態で売りたい、買いたいと思うのは当然である。
ちなみに今回はこの針子さんのいる店のオーナーも一緒に来ていたらしい。
男性のオーナーなので、さすがに採寸の時にはおらず、父と話をしていたというが、その話の内容がレンタル事業のことだという。
つまり、今回採寸に来たドレスのオーナーの店が有力候補の一つということにもなるだろう。
マーガレットに伝えて、店名を控えておく。
そしてそれから更に約半月後、ドレスが完成したという連絡が入った。
今回のドレスの作成はかなり時間を要するところを特急料金を払う様なスピードで仕上げてもらっている。
普通なら半月でドレス2着なんてできるわけがない。
ただ、この店のカタログで選べるドレスは原型ともいえる型がある程度似ているのと、子供だからこその大きさなので人数を増やしてなんとか半月ほどにできたというところ。
これが大人のドレスだったりしてみよう。
すべてが手縫いである以上、どれだけ急いだとしても余裕で1か月から2か月は待たされる。
「こちらがドレスになります」
そうマーガレットが机の上にそっと置いた、リボンで飾られた箱。
グウェンドリンはそっとその箱のリボンをほどいて箱を開けた。
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