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「さ、お母さま、参りましょう!」
ほぼ毎日のようにやってくるお茶会の誘いではあるが、受けなければならない家のものも当然ある。
そうした家に関してはどうしても行かなければならないので、家内の取りまとめもある女主人の忙しい一日の中であっても、カトリーヌの我儘の様なお茶会の誘いをどうにか都合をつけて、今日もフリーンはカトリーヌと共に馬車に乗って外出することになった。
ただ、やはり忙しい日々であるせいなのか、フリーンの表情はすぐれない。
もちろんそれを外に見せる事は無いものの、まだ家の中だからこそ溜息をつきそうなくらいうんざりしているのもまた良く分かった。
フリーンも夫人主催のお茶会に参加することになるわけなので、はっきり言って婦人方からの事業に関しての問い合わせにうんざりしているのが現状だった。
カトリーヌの発言にも気を配りつつ、事業に関しての問い合わせもほどほどに取り繕いつつ、下手なことを言わないというのはかなり神経を使う。
下手なことが言えない分、発言が制限されてしまう部分もあるのでその時には即座に話題を変えられるように話題を誘導しようとすることもあった。
おまけに、現在の季節は夏。
養蚕業の方も順調に進んでいることで、すでに繭を収穫しているのでしばらく置いた後、そのあと糸繰をして糸を紡ぎ、機織りをしていく作業に入っていく。
つまり、王家に絹を献上するときが徐々に近づいてきているわけである。
ヴァルファズルとグウェンドリンも現在は視察の頻度を増やし、時にはノルニルの村に泊りがけで現在の状況を見て、繭の状態だったり、従業員の働きぶりを確認しながら献上する絹に関しての相談をしていた。
献上するともなれば相応の包装は必要だし、家の代表者としてヴァルファズルが出向くことにもなるので、フリーンはヴァルファズルの衣装の新調も考えていたので、それを邪魔されているともいえるだろう。
ただ、娘の交友関係も大事なものの一つなので、フリーンは何も言わなかった。
代わりに王家への献上の日が近くなるころにはしばらくお茶会に参加させないということをきちんと告げて予防線を引いている。
「あなた、カトリーヌの婚約者探しを少し早めにしてもらいたいのだけれど」
「どうかしたのか?」
「今日のお茶会にご令息も参加していたのよ」
招待状を確認したときには、主催は相手の家の令嬢であることが記載されていたし、そもそも集まりは女性が中心のものであると書かれていたのだが、蓋を開けてみれば「女性が中心」という「女性限定」というお茶会になっていなかったのを逆手に取ったのか、主催の家に渡りをつけて参加してきた令息たちがそれなりにいて、一気に婚活パーティーともいわんばかりのものへ早変わりしてしまったらしい。
「おまけにカトリーヌに近づこうとする令息の多い事。
多分グウェンドリンに近づくための足掛かりにしようとしているのね」
「ここ最近、事業が本当であると知った輩からの問い合わせも多いからな」
すでに誕生日を終えて数か月以上経っているので、事業に関してが本当であるということもいろんなところで話されている。
現在シーズンの最中なので、社交界のパーティーに参加することもあるヴァルファズルたちも、パーティーの最中にそうしたことで話しかけられることも沢山ある。
そして、それは子供たちの方にも影響が出始めている。
グウェンドリンもお茶会に参加しているが、彼女の場合はある程度自分で交友関係のある所か、そうでないかを考えた上に頻度に関しても自分なりに適切なものを考えている。
なので、月に2、3度参加するくらいなものであった。
と言うよりも当主教育を受ける跡継ぎに指定されている男女は割とこのようなもので、お茶会などの社交に精を出すのも確かに大事だが、何よりも優先されるのは家のことであるという考えの元、あまり顔を出さない者もいた。
そのため、グウェンドリンもそれに倣ったように頻度を多くはしなかった。
そもそも彼女は事業が初年度の佳境を迎えていると言っても良いので、そちらの方も優先したくてあえて頻度を減らしているところもあった。
「グウェンドリンが出席するお茶会はかなり限られているしな、その影響がカトリーヌの方に出ているのか」
「あの子は招待されていると感じればどこにでも行こうとしますもの」
その招待に沢山応じようとする分、カトリーヌはグウェンドリン以上に顔が広くなっていた部分はある。
相手側の思惑はともかく、カトリーヌが窓口にならなければグウェンドリンには近づけないので、相手もカトリーヌと相応の関係を築こうとするのもあってそれなりに話す貴族令嬢は多かった。
この人脈の多さはグウェンドリンにはないものである。
ほぼ毎日のようにやってくるお茶会の誘いではあるが、受けなければならない家のものも当然ある。
そうした家に関してはどうしても行かなければならないので、家内の取りまとめもある女主人の忙しい一日の中であっても、カトリーヌの我儘の様なお茶会の誘いをどうにか都合をつけて、今日もフリーンはカトリーヌと共に馬車に乗って外出することになった。
ただ、やはり忙しい日々であるせいなのか、フリーンの表情はすぐれない。
もちろんそれを外に見せる事は無いものの、まだ家の中だからこそ溜息をつきそうなくらいうんざりしているのもまた良く分かった。
フリーンも夫人主催のお茶会に参加することになるわけなので、はっきり言って婦人方からの事業に関しての問い合わせにうんざりしているのが現状だった。
カトリーヌの発言にも気を配りつつ、事業に関しての問い合わせもほどほどに取り繕いつつ、下手なことを言わないというのはかなり神経を使う。
下手なことが言えない分、発言が制限されてしまう部分もあるのでその時には即座に話題を変えられるように話題を誘導しようとすることもあった。
おまけに、現在の季節は夏。
養蚕業の方も順調に進んでいることで、すでに繭を収穫しているのでしばらく置いた後、そのあと糸繰をして糸を紡ぎ、機織りをしていく作業に入っていく。
つまり、王家に絹を献上するときが徐々に近づいてきているわけである。
ヴァルファズルとグウェンドリンも現在は視察の頻度を増やし、時にはノルニルの村に泊りがけで現在の状況を見て、繭の状態だったり、従業員の働きぶりを確認しながら献上する絹に関しての相談をしていた。
献上するともなれば相応の包装は必要だし、家の代表者としてヴァルファズルが出向くことにもなるので、フリーンはヴァルファズルの衣装の新調も考えていたので、それを邪魔されているともいえるだろう。
ただ、娘の交友関係も大事なものの一つなので、フリーンは何も言わなかった。
代わりに王家への献上の日が近くなるころにはしばらくお茶会に参加させないということをきちんと告げて予防線を引いている。
「あなた、カトリーヌの婚約者探しを少し早めにしてもらいたいのだけれど」
「どうかしたのか?」
「今日のお茶会にご令息も参加していたのよ」
招待状を確認したときには、主催は相手の家の令嬢であることが記載されていたし、そもそも集まりは女性が中心のものであると書かれていたのだが、蓋を開けてみれば「女性が中心」という「女性限定」というお茶会になっていなかったのを逆手に取ったのか、主催の家に渡りをつけて参加してきた令息たちがそれなりにいて、一気に婚活パーティーともいわんばかりのものへ早変わりしてしまったらしい。
「おまけにカトリーヌに近づこうとする令息の多い事。
多分グウェンドリンに近づくための足掛かりにしようとしているのね」
「ここ最近、事業が本当であると知った輩からの問い合わせも多いからな」
すでに誕生日を終えて数か月以上経っているので、事業に関してが本当であるということもいろんなところで話されている。
現在シーズンの最中なので、社交界のパーティーに参加することもあるヴァルファズルたちも、パーティーの最中にそうしたことで話しかけられることも沢山ある。
そして、それは子供たちの方にも影響が出始めている。
グウェンドリンもお茶会に参加しているが、彼女の場合はある程度自分で交友関係のある所か、そうでないかを考えた上に頻度に関しても自分なりに適切なものを考えている。
なので、月に2、3度参加するくらいなものであった。
と言うよりも当主教育を受ける跡継ぎに指定されている男女は割とこのようなもので、お茶会などの社交に精を出すのも確かに大事だが、何よりも優先されるのは家のことであるという考えの元、あまり顔を出さない者もいた。
そのため、グウェンドリンもそれに倣ったように頻度を多くはしなかった。
そもそも彼女は事業が初年度の佳境を迎えていると言っても良いので、そちらの方も優先したくてあえて頻度を減らしているところもあった。
「グウェンドリンが出席するお茶会はかなり限られているしな、その影響がカトリーヌの方に出ているのか」
「あの子は招待されていると感じればどこにでも行こうとしますもの」
その招待に沢山応じようとする分、カトリーヌはグウェンドリン以上に顔が広くなっていた部分はある。
相手側の思惑はともかく、カトリーヌが窓口にならなければグウェンドリンには近づけないので、相手もカトリーヌと相応の関係を築こうとするのもあってそれなりに話す貴族令嬢は多かった。
この人脈の多さはグウェンドリンにはないものである。
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