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部屋の外を出て、伯爵位にある家柄の人間が集まって入る順番通りに待っているところで両親とちょっとふてくされたようなカトリーヌを見つけたので、シュヴァルドの腕を少し突いてそちらを指すと、わかったよという笑顔で両親たちの方へと歩いていく。
実際、入場の際には家ごとに入るので、エスコート役は婿入りするか、嫁を貰うかで入場順が変わってくる。
シュヴァルドはヴォーダン伯爵家に婿入り予定であるし、グウェンドリンがデビュタントということもあって伯爵家の並び順にいる。
ちなみに、先ほどまで話していたヘジンもヒルドと一緒に伯爵家の並び順、ヴォーダン伯爵家の少し前の列にいた。
仲睦まじく列に加わり、両親と話し始める姉とその婚約者の姿をカトリーヌはじっと見ていた。
美しい髪に感嘆の声が周囲から漏れ聞こえ、あの美しい髪の令嬢はいったい誰なのだという様な声が細々と聞こえ始める。
流石に多くの家がきちんと並んで待っている中で、大声で騒ぎ立てるような事はできないだろう。
とはいえ、部屋の中よりも控えめな廊下の明かりの中でも積もった雪が光の反射で輝くような、美しい髪に誰もが、とくに令嬢と夫人がざわめきながらグウェンドリンと同じく輝くような銀髪に整えられたフリーンを見る目をそらさない。
当人たちはそんな視線をものともせず、というより全く気付いていないのか気にしていないのか分からないが、お互いのパートナー同士で話をし続けて目に入っていないようだ。
「(私、そんな綺麗な髪になる化粧品なんて教えてもらってないのに…!)」
グウェンドリンが秘蔵とし、己の傍付きと母の傍付きのみの限定で使っても良いとしたトリートメントの存在をカトリーヌは知らない。
だからこそ、知らされていない化粧品によってこの場の誰よりも輝かしい髪を持った母と姉にジェラシーを覚えるのは仕方のない事であった。
しかし、その原因が自分の口の軽さであるということを彼女は知らない。
カトリーヌは女の子らしい女の子と言えた。
秘密だから、誰にも言わないでと言われたことも、それを言った本人がいないところでこっそりと他の女子に伝えて「秘密だから言わないでね」といって、内容を無意識に広めてしまうタイプの女の子。
それに気づいたのはフリーンで、お茶会の際にこっそりと他の令嬢の秘密に近い話を他の令嬢とコソコソ話しているのに気づいたことで、グウェンドリンにもそれとなく注意をしていた。
その注意はグウェンドリンに同じようなことをしないように、そしてカトリーヌと話す際に重要なことはあまり話さないようにという2つの意味を込めた注意。
それをグウェンドリンは何となくだが気付いていたし、そもそもカトリーヌ自体がそういう女子なのだろうという印象もあって、話さないほうが良いだろうという予感から、話さなかった。
そしてそれは正解だったと言えるだろう。
両親とともにこの王城へ到着したカトリーヌは、グウェンドリンやシュヴァルドたちとは違う待機場所で知り合いの令嬢とのおしゃべりに興じていたのだが、その際に家の事を一つ二つ漏らしてしまっていた。
カトリーヌには重要なことなどは何も教えていないので、彼女の婚約状況や姉の勉学や仕事の割合などだけではあるが、家の事をあっさりと口にしてしまう時点でその知り合いの令嬢すらも、「カトリーヌ嬢に重大な話はしないようにしよう」と思ってしまうには十分だった。
家の事に関して話す場合、相手の事を良く見極めなければならない。
下手に情報を開示して逆手に取られるような大変なことが起きてはならないからこそ、家の情報は家で完結させ、外に情報を漏らすのは税金のことなどに関してだけでいい、そんな家すらあるほど。
お祝い事などを大きく広める家もあるが、さすがに逆恨みの可能性がある家などはそうしたお祝い事に関しても親戚と付き合いのある中で最も重要な家だけに限ってしまう。
それほど口の堅さと誠実さが求められる世界が貴族の世界なのだ。
だからこそ、あっさりと口にしてしまう、前世の学生気分がいまだに抜けないカトリーヌはトリートメントの存在も教えてもらえないし、知り合いが多いと言いつつも、その実信頼できる友人というのはいまだに巡り合えていないのである。
実際、入場の際には家ごとに入るので、エスコート役は婿入りするか、嫁を貰うかで入場順が変わってくる。
シュヴァルドはヴォーダン伯爵家に婿入り予定であるし、グウェンドリンがデビュタントということもあって伯爵家の並び順にいる。
ちなみに、先ほどまで話していたヘジンもヒルドと一緒に伯爵家の並び順、ヴォーダン伯爵家の少し前の列にいた。
仲睦まじく列に加わり、両親と話し始める姉とその婚約者の姿をカトリーヌはじっと見ていた。
美しい髪に感嘆の声が周囲から漏れ聞こえ、あの美しい髪の令嬢はいったい誰なのだという様な声が細々と聞こえ始める。
流石に多くの家がきちんと並んで待っている中で、大声で騒ぎ立てるような事はできないだろう。
とはいえ、部屋の中よりも控えめな廊下の明かりの中でも積もった雪が光の反射で輝くような、美しい髪に誰もが、とくに令嬢と夫人がざわめきながらグウェンドリンと同じく輝くような銀髪に整えられたフリーンを見る目をそらさない。
当人たちはそんな視線をものともせず、というより全く気付いていないのか気にしていないのか分からないが、お互いのパートナー同士で話をし続けて目に入っていないようだ。
「(私、そんな綺麗な髪になる化粧品なんて教えてもらってないのに…!)」
グウェンドリンが秘蔵とし、己の傍付きと母の傍付きのみの限定で使っても良いとしたトリートメントの存在をカトリーヌは知らない。
だからこそ、知らされていない化粧品によってこの場の誰よりも輝かしい髪を持った母と姉にジェラシーを覚えるのは仕方のない事であった。
しかし、その原因が自分の口の軽さであるということを彼女は知らない。
カトリーヌは女の子らしい女の子と言えた。
秘密だから、誰にも言わないでと言われたことも、それを言った本人がいないところでこっそりと他の女子に伝えて「秘密だから言わないでね」といって、内容を無意識に広めてしまうタイプの女の子。
それに気づいたのはフリーンで、お茶会の際にこっそりと他の令嬢の秘密に近い話を他の令嬢とコソコソ話しているのに気づいたことで、グウェンドリンにもそれとなく注意をしていた。
その注意はグウェンドリンに同じようなことをしないように、そしてカトリーヌと話す際に重要なことはあまり話さないようにという2つの意味を込めた注意。
それをグウェンドリンは何となくだが気付いていたし、そもそもカトリーヌ自体がそういう女子なのだろうという印象もあって、話さないほうが良いだろうという予感から、話さなかった。
そしてそれは正解だったと言えるだろう。
両親とともにこの王城へ到着したカトリーヌは、グウェンドリンやシュヴァルドたちとは違う待機場所で知り合いの令嬢とのおしゃべりに興じていたのだが、その際に家の事を一つ二つ漏らしてしまっていた。
カトリーヌには重要なことなどは何も教えていないので、彼女の婚約状況や姉の勉学や仕事の割合などだけではあるが、家の事をあっさりと口にしてしまう時点でその知り合いの令嬢すらも、「カトリーヌ嬢に重大な話はしないようにしよう」と思ってしまうには十分だった。
家の事に関して話す場合、相手の事を良く見極めなければならない。
下手に情報を開示して逆手に取られるような大変なことが起きてはならないからこそ、家の情報は家で完結させ、外に情報を漏らすのは税金のことなどに関してだけでいい、そんな家すらあるほど。
お祝い事などを大きく広める家もあるが、さすがに逆恨みの可能性がある家などはそうしたお祝い事に関しても親戚と付き合いのある中で最も重要な家だけに限ってしまう。
それほど口の堅さと誠実さが求められる世界が貴族の世界なのだ。
だからこそ、あっさりと口にしてしまう、前世の学生気分がいまだに抜けないカトリーヌはトリートメントの存在も教えてもらえないし、知り合いが多いと言いつつも、その実信頼できる友人というのはいまだに巡り合えていないのである。
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