二人の転生伯爵令嬢の比較

紅禰

文字の大きさ
112 / 247

112.

しおりを挟む
そうして伯爵家の入場が終われば、侯爵家、公爵家と順に入場する。

侯爵家のところで見た事のある一家にグウェンドリンとシュヴァルドが笑みを浮かべる。

シュヴァルドの家であるアルファズル侯爵家の姿がある。

兄である長男は婚約者をエスコートしているのをグウェンドリンは初めて見た。

さすがに婚約者の兄のお相手を知る事はそんなにないし、知るとしても結婚のための顔合わせで、兄がすでに結婚している時に初めて顔を合わせるなんてことの方がざらだ。

それ以外では、こうした公式の場で見かけたり、紹介されたりするくらいしかない。

デビュタントがまだだったことで、これまで公式の場に参加することができなかったグウェンドリンだが、今回の舞踏会をきっかけに紹介する機会もあるかもしれないな、と思いながらすべての貴族家が入場するところを眺めていた。

そんなグウェンドリンの隣で、公爵家の入場の際に宰相閣下とそのご家族の姿を見たヴァルファズルとフリーンは静かに目礼し、そのまま入場を見守る。

そして、貴族がすべて入場し終えたということは、次に入場するのは当然のことながら王族である。

「国王陛下、王妃殿下、並びに王太子殿下、王太子妃殿下の御成り!」

その言葉と共に、会場内の人間すべてが最敬礼を取る。

そしてその姿勢のまま王族の入場を待った。

貴族たちが入場したその扉から、まず国王陛下と王妃殿下が入場し、続いて王太子殿下と王太子妃殿下が入場する。

どのような姿をしていて、どのような表情をしているのか、それを知る事ができる人間はまだいない。

誰もが深く礼をし、淑女や令嬢はカーテシーのまま動かない。

グウェンドリンやカトリーヌは初めての最敬礼のままの長時間の静止で、どちらも内心「早く元の姿勢に戻らないかなあ」と思いながらカーテシーを行っていた。

グウェンドリンは体力や筋力もきちんとついているので何とかなっているが、カトリーヌは今にも崩れるのではないかと隣にいる両親がひやひやするほどである。

下手に崩れでもすれば不敬罪。

この場に礼儀作法が習いたての片手の数の年齢の子供はいないし、王家に対して不遜なことを考えているような人間もいないだろう。

片手の数ほどの年齢の子供だったり、礼儀作法を習いたてで我慢もできない子供であれば、まだ許されるものかもしれない。

王家も不敬ではあるがその年で今まで我慢できたのは素晴らしいというかもしれない。

けれど、カトリーヌはもう15歳、デビュタントを迎えられる年あり、学園に入学する年でもある。

そんな子供と同列にはみなされない。

下手をすると投獄もあり得ると考えている両親からしてみれば、とにかく耐えろという気持ちばかりであった。

「皆の者、面を上げよ」

いつまで続くのだろうか、と震えそうになる膝を何とか抑えて耐えているグウェンドリンの頭の上からその言葉が厳かに振ってくる。

すっと静かに礼を止めて元の体勢に戻れば、王家の皆様方はすでにホールの上座側に用意された席に座っている状態だった。
しおりを挟む
感想 90

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

処理中です...