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それから二つの馬車はその中の空気を真逆のものとして出発した。
グウェンドリンとシュヴァルドの馬車は色々あったものの、無事終わったという安堵から和やかな空気に。
逆にカトリーヌと両親の乗る馬車はカトリーヌは強い疲労感でぐったりとし、両親たちはこれからの事を考えてなかなか難しい空気を発している。
パッと見外からは分からないだろうが、それぞれの空気を理解してしまう人間からしてみれば、前者の馬車じゃなければお邪魔したくないと思う程二極化していた。
しかし、そんな馬車たちは御者がしっかりと操ってタウンハウスへ。
シュヴァルドと父ヴァルファズルは明日の昼には王都を発ち、領地へ戻っていくため今日は早く休むことになるだろうとグウェンドリンは思っていた。
が、タウンハウスへ戻ると両親はカトリーヌを連れて書斎へと向かう。
居間ではできない話をするからだろう。
恐らく内容は先ほどの婚約の本決めに関してのこと。
「お父様、私も同席した方がよろしいでしょうか?」
「いや、今回はカトリーヌだけでいい。
お前は明日シュヴァルド殿も領地へ戻るのだから、今のうちに一緒にいる時間を作っておきなさい」
父からの心遣いをグウェンドリンは素直に受け取った。
カトリーヌの婚約に関して、グウェンドリンができることはあまりない。
むしろ両親と自身が一緒になって推し進めようとしたら逆にカトリーヌの反発を招く危険性もあった。
「ではシュヴァルド、休む前に少しお茶でもいかがでしょうか?」
「そうだな、せっかく時間をくださったんだ。一緒にいよう」
シュヴァルドもゆっくりとお茶を飲みながら過ごす時間を素直に受け取り、グウェンドリンと共にメイドに案内される形で居間へと向かう。
この際にグウェンドリンはシュヴァルドの部屋に軽く安眠効果のある香を焚くか花を活けておいてほしいとこっそりメイドに頼み、明日疲れを残さないようにしっかりと眠らせる算段もしておいた。
一方、両親に連れられて書斎へと入ったカトリーヌは両親の有無を言わさぬ雰囲気にただひたすら黙り込んでいた。
「さて、カトリーヌ。言いたいことは分かるな?」
「……」
「カトリーヌ、先に言っておくけれどこの婚約を回避することはできないわ。
貴女が何を言いたくても、この婚約には王家も手をまわしているところがあるの。
あなたが不貞をしてこの家の評判を落とし、おまけに酷い所に追い出されるよな事はあったとしても、婚約自体を本決まりにさせないまま話自体を無くすというのは無理よ」
カトリーヌは母の言葉にそんな、と表情に出した。
眼鏡をかけたどこにでもいそうな、真面目な委員長タイプの容姿をそのまま反映したようなスカルドはカトリーヌの御眼鏡に適う容姿ではなかった。
確かに手紙をマメに送ってくれて、家も法衣貴族の中でもそれなりに高収入の安定した所。
容姿がカトリーヌの眼鏡に適わないという以外、全く問題のない人物だ。
カトリーヌにとっては、自身の望み、いわゆる逆ハー状態でゲームやドラマの様な恋愛劇を繰り広げて堂々のハッピーエンドとばかりの状態を味わうということができないことが一番の問題点だった。
それに、彼女にとって恋愛は自由にできるもの。
困難やトラブルはあったとしても、ゲームの世界であるならそれも上手に何とかなる様に持って行ける。
ただ、その前提に不安が出てきたことでカトリーヌの考えに狂いが生じてしまった現状、自由にできる恋愛が奪われるということに彼女は恐怖を抱いている節もあった。
まだまだ現代人感覚が抜けないカトリーヌにとって、押し付けられる婚約は不自由の象徴そのもので、自分が幸福になれるか全くわからないものだからだ。
グウェンドリンとシュヴァルドの馬車は色々あったものの、無事終わったという安堵から和やかな空気に。
逆にカトリーヌと両親の乗る馬車はカトリーヌは強い疲労感でぐったりとし、両親たちはこれからの事を考えてなかなか難しい空気を発している。
パッと見外からは分からないだろうが、それぞれの空気を理解してしまう人間からしてみれば、前者の馬車じゃなければお邪魔したくないと思う程二極化していた。
しかし、そんな馬車たちは御者がしっかりと操ってタウンハウスへ。
シュヴァルドと父ヴァルファズルは明日の昼には王都を発ち、領地へ戻っていくため今日は早く休むことになるだろうとグウェンドリンは思っていた。
が、タウンハウスへ戻ると両親はカトリーヌを連れて書斎へと向かう。
居間ではできない話をするからだろう。
恐らく内容は先ほどの婚約の本決めに関してのこと。
「お父様、私も同席した方がよろしいでしょうか?」
「いや、今回はカトリーヌだけでいい。
お前は明日シュヴァルド殿も領地へ戻るのだから、今のうちに一緒にいる時間を作っておきなさい」
父からの心遣いをグウェンドリンは素直に受け取った。
カトリーヌの婚約に関して、グウェンドリンができることはあまりない。
むしろ両親と自身が一緒になって推し進めようとしたら逆にカトリーヌの反発を招く危険性もあった。
「ではシュヴァルド、休む前に少しお茶でもいかがでしょうか?」
「そうだな、せっかく時間をくださったんだ。一緒にいよう」
シュヴァルドもゆっくりとお茶を飲みながら過ごす時間を素直に受け取り、グウェンドリンと共にメイドに案内される形で居間へと向かう。
この際にグウェンドリンはシュヴァルドの部屋に軽く安眠効果のある香を焚くか花を活けておいてほしいとこっそりメイドに頼み、明日疲れを残さないようにしっかりと眠らせる算段もしておいた。
一方、両親に連れられて書斎へと入ったカトリーヌは両親の有無を言わさぬ雰囲気にただひたすら黙り込んでいた。
「さて、カトリーヌ。言いたいことは分かるな?」
「……」
「カトリーヌ、先に言っておくけれどこの婚約を回避することはできないわ。
貴女が何を言いたくても、この婚約には王家も手をまわしているところがあるの。
あなたが不貞をしてこの家の評判を落とし、おまけに酷い所に追い出されるよな事はあったとしても、婚約自体を本決まりにさせないまま話自体を無くすというのは無理よ」
カトリーヌは母の言葉にそんな、と表情に出した。
眼鏡をかけたどこにでもいそうな、真面目な委員長タイプの容姿をそのまま反映したようなスカルドはカトリーヌの御眼鏡に適う容姿ではなかった。
確かに手紙をマメに送ってくれて、家も法衣貴族の中でもそれなりに高収入の安定した所。
容姿がカトリーヌの眼鏡に適わないという以外、全く問題のない人物だ。
カトリーヌにとっては、自身の望み、いわゆる逆ハー状態でゲームやドラマの様な恋愛劇を繰り広げて堂々のハッピーエンドとばかりの状態を味わうということができないことが一番の問題点だった。
それに、彼女にとって恋愛は自由にできるもの。
困難やトラブルはあったとしても、ゲームの世界であるならそれも上手に何とかなる様に持って行ける。
ただ、その前提に不安が出てきたことでカトリーヌの考えに狂いが生じてしまった現状、自由にできる恋愛が奪われるということに彼女は恐怖を抱いている節もあった。
まだまだ現代人感覚が抜けないカトリーヌにとって、押し付けられる婚約は不自由の象徴そのもので、自分が幸福になれるか全くわからないものだからだ。
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