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カトリーヌの部屋の前まで行き、コンコンとノックをして中にいるだろう侍女または部屋付きメイドを呼び出して、カトリーヌの部屋に彼女がいるのか確認したうえで、話があると伝える。
「カトリーヌはいるかしら?話があるのだけれど」
その問いかけに、ノックに反応して扉を開けて対応していた部屋付きメイドが「いらっしゃいます、少々お待ちくださいませ」と一度扉を閉めて、カトリーヌに相応の準備をさせるために部屋の中が少々慌ただしくなる。
それから5分もかからないうちに、「大変お待たせしました」と先ほど対応していた部屋付きメイドが部屋の中へ案内する。
そこから侍女が引き継いで、部屋付きメイドはフリーンとカトリーヌの飲むお茶を淹れるために作業を開始する。
フリーンが部屋の中へ入ると、すでにカトリーヌはソファーの席に座っていた。
そこにフリーンも遠慮なく座り、口を開く。
「カトリーヌ、ヴァルファズルからの手紙は読んだわね?」
フリーンはカトリーヌも確実に手紙を出すだろうと思っていたし、実際ヴァルファズルからもカトリーヌからの手紙が届いた旨を記載されていたので、カトリーヌの方にも返事が来ているはずだと踏んで、フリーンはそのことについて口にした。
「はい」
カトリーヌも少し苦々しい表情で返事をする。
実際、返事が来ていた。
そしてその内容はカトリーヌが望んだものではなかった。
父、ヴァルファズルからの手紙の返事は「ブラギ家へ行ってきなさい」というものだった。
ただ、長期休暇中の友人たちとの約束に関しては、そちらの方が早かったからなんとか都合をつけてもらえるように手を打つということでカトリーヌが一番のデメリットとして挙げていた部分をどうにかするという確約はなった。
なので、これ以上カトリーヌが騒ぎ立てることはできない。
「これで決定事項よ。あなたがどれだけあがこうと、私とヴァルファズルは許しません。
ブラギ伯爵家に長期休暇中は行くように。
はじめて滞在するわけだし、それほど長くはないでしょうから安心していいわ。
そうね、短くて1週間、長くて2週間といったところかしら」
「全然長いわ!せめて3泊4日くらいに!」
「あのね、どこの貴族家でも長期休暇中に婚約者が滞在するともなれば、その家の事を色々と教えるためにも最低でも1週間は滞在するのが普通なの。
そんなちょっと領地内で小旅行をなんて感覚でできるような滞在じゃないの。
あちらにも予定があって、教えるべき事をしっかり学んでもらわなければならない期間なの。
だから最低1週間なのよ!私もヴォーダン伯爵家に滞在するときには最低1週間、長くて1か月は普通にいたわよ」
母のまさかの長期滞在経験に、カトリーヌが愕然とした。
そんなに長く他の家に滞在するなんてカトリーヌであれば嫌気が差す。
「でも、お母さまはおばあ様と仲が良かったんでしょ?」
「そうね、お義母様、あなたの言うお祖母様とはとっても仲が良かったわよ」
「私はそうじゃないじゃない…。仲が良いとか良くないとか、そんなレベルじゃないもの」
「じゃあ仲良くなるために行きなさいよ、今後の為じゃない」
「う」
それでも嫌だと態度で示すカトリーヌに、フリーンはカトリーヌへのメリットも示すことにした。
「実際にあちらの伯爵夫妻と会ったのは、学園入学後のあの食事会のときだけでしょう?」
「?、はい」
「その食事会の時、あなたはそれほど満足に受け答えできていなかったわよね?」
「はい…」
カトリーヌにとってはある意味苦々しい思い出だ。
あの後スカルドに言われた言葉を思い出せば苛立ちもする。
「あの時だけの判断では、あちらもあなたを測りかねているでしょうから、あなた自身をあちらのご夫妻が判断するためにも必要な期間よ。
あなたがもし、あちらの伯爵家には合わないとあちらが判断したならば、他の宰相補佐の家などに縁組をした方が良いと婚約が解消される可能性はあるわね」
「!」
カトリーヌにとって、その可能性は少しだけ希望の持てるものだった。
なにせ、相手側の親が「この子は合わない」と思ったことでの解消なら自分にとって大きな傷にならないからだ。
だが、カトリーヌは失念している。
以前、自身の両親がこの婚約が確定事項であるというようなことを伝えていることを。
そして、万が一、億が一、本当に婚約が解消されたとしても次に選ばれるのはブラギ伯爵家のように、王家の息のかかったお相手になるということを。
「カトリーヌはいるかしら?話があるのだけれど」
その問いかけに、ノックに反応して扉を開けて対応していた部屋付きメイドが「いらっしゃいます、少々お待ちくださいませ」と一度扉を閉めて、カトリーヌに相応の準備をさせるために部屋の中が少々慌ただしくなる。
それから5分もかからないうちに、「大変お待たせしました」と先ほど対応していた部屋付きメイドが部屋の中へ案内する。
そこから侍女が引き継いで、部屋付きメイドはフリーンとカトリーヌの飲むお茶を淹れるために作業を開始する。
フリーンが部屋の中へ入ると、すでにカトリーヌはソファーの席に座っていた。
そこにフリーンも遠慮なく座り、口を開く。
「カトリーヌ、ヴァルファズルからの手紙は読んだわね?」
フリーンはカトリーヌも確実に手紙を出すだろうと思っていたし、実際ヴァルファズルからもカトリーヌからの手紙が届いた旨を記載されていたので、カトリーヌの方にも返事が来ているはずだと踏んで、フリーンはそのことについて口にした。
「はい」
カトリーヌも少し苦々しい表情で返事をする。
実際、返事が来ていた。
そしてその内容はカトリーヌが望んだものではなかった。
父、ヴァルファズルからの手紙の返事は「ブラギ家へ行ってきなさい」というものだった。
ただ、長期休暇中の友人たちとの約束に関しては、そちらの方が早かったからなんとか都合をつけてもらえるように手を打つということでカトリーヌが一番のデメリットとして挙げていた部分をどうにかするという確約はなった。
なので、これ以上カトリーヌが騒ぎ立てることはできない。
「これで決定事項よ。あなたがどれだけあがこうと、私とヴァルファズルは許しません。
ブラギ伯爵家に長期休暇中は行くように。
はじめて滞在するわけだし、それほど長くはないでしょうから安心していいわ。
そうね、短くて1週間、長くて2週間といったところかしら」
「全然長いわ!せめて3泊4日くらいに!」
「あのね、どこの貴族家でも長期休暇中に婚約者が滞在するともなれば、その家の事を色々と教えるためにも最低でも1週間は滞在するのが普通なの。
そんなちょっと領地内で小旅行をなんて感覚でできるような滞在じゃないの。
あちらにも予定があって、教えるべき事をしっかり学んでもらわなければならない期間なの。
だから最低1週間なのよ!私もヴォーダン伯爵家に滞在するときには最低1週間、長くて1か月は普通にいたわよ」
母のまさかの長期滞在経験に、カトリーヌが愕然とした。
そんなに長く他の家に滞在するなんてカトリーヌであれば嫌気が差す。
「でも、お母さまはおばあ様と仲が良かったんでしょ?」
「そうね、お義母様、あなたの言うお祖母様とはとっても仲が良かったわよ」
「私はそうじゃないじゃない…。仲が良いとか良くないとか、そんなレベルじゃないもの」
「じゃあ仲良くなるために行きなさいよ、今後の為じゃない」
「う」
それでも嫌だと態度で示すカトリーヌに、フリーンはカトリーヌへのメリットも示すことにした。
「実際にあちらの伯爵夫妻と会ったのは、学園入学後のあの食事会のときだけでしょう?」
「?、はい」
「その食事会の時、あなたはそれほど満足に受け答えできていなかったわよね?」
「はい…」
カトリーヌにとってはある意味苦々しい思い出だ。
あの後スカルドに言われた言葉を思い出せば苛立ちもする。
「あの時だけの判断では、あちらもあなたを測りかねているでしょうから、あなた自身をあちらのご夫妻が判断するためにも必要な期間よ。
あなたがもし、あちらの伯爵家には合わないとあちらが判断したならば、他の宰相補佐の家などに縁組をした方が良いと婚約が解消される可能性はあるわね」
「!」
カトリーヌにとって、その可能性は少しだけ希望の持てるものだった。
なにせ、相手側の親が「この子は合わない」と思ったことでの解消なら自分にとって大きな傷にならないからだ。
だが、カトリーヌは失念している。
以前、自身の両親がこの婚約が確定事項であるというようなことを伝えていることを。
そして、万が一、億が一、本当に婚約が解消されたとしても次に選ばれるのはブラギ伯爵家のように、王家の息のかかったお相手になるということを。
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