二人の転生伯爵令嬢の比較

紅禰

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「というより、あなたが私の話題であんなにも盛り上がられてこっちの方がいたたまれませんでした」

ムッとした表情でシュヴァルドを見るグウェンドリンは、シュヴァルドと従業員たちが楽しそうに自分のことを話すのを見ているとどんどん恥ずかしくなったことを思い出す。

最初の方は良かった。

色々と気を遣ってくれて、給料もいい、待遇もいい、それ以外の事に関しても無茶な要望や必要ない事でなければきちんと社長や重役にまで届き、これはあっても良いのではないかと判断されればグウェンドリンの方でも認可して、必要経費を用意される。

その繰り返しで今があるのだと語る従業員たちにはこれ以上なく嬉しい気持ちでいっぱいだった。

だが、そこからがいけない。

繰り返される誉め言葉の嵐。

そしてそれを抑えてほしいと言っても聞いてくれない、自身への誉め言葉を聞いて「分かってるじゃないか」と言わんばかりに満足気にうなずく婚約者。

あまりの恥ずかしさに両手で顔を覆い、父に慰められたのは近年まれに見る恥ずかしい出来事である。

「俺はグウェンドリンの良いところを良く知ってくれてる奴らと知り合えて満足だからなー」

そう言ってからからと笑うシュヴァルドの腕を一発叩き、グウェンドリンは颯爽と屋敷の中へと入った。

それに続くように、それほど痛くもない、音だけ少し派手に叩かれたシュヴァルドもいまだに笑みを抑えることなく追いかけるようにして長い足を動かして屋敷に入った。

それからは書類の処理を早々に終わらせて、2人は自室にてそれぞれゆっくりと食事の時間になるまで休息をとることにした。

一緒にいる時間を作るのも良いが、お互いに疲れているのでこれはさっさと休んだ方がいいだろうと共通の結論が出たので、またあとでと伝えて部屋に入ったのである。

自室で一杯お茶をもらって半分ほど飲んだところで、グウェンドリンは長期休暇中に課題が無い貴族の子供の学園生活に感謝した。

「王立学園の長期休暇には課題が無いのは嬉しいわよね」

しみじみとこぼれたその言葉に、侍女のマーガレットが苦笑した。

「王立学園の生徒の中にはお嬢様のように長期休暇中に忙しく働かなければならない令息令嬢は多いですからね。
かなり昔には課題がいくつか出されていたとも聞きますが、そんな暇などない!って保護者に苦情を言われたことで廃止されたそうです」

「この時ばかりはその苦情に感謝ね」

「次期当主として定められた長子ではない、次子以降の令息や令嬢には課題を出してみてはとも提案されたそうなんですが、次子以降も補佐や就職活動に忙しいのが長期休暇ですからねぇ」

そう、次期当主である長子が忙しく領地を巡ったり、現当主のもとで仕事を学んだりしているその裏で、次子は長子の補佐の仕事を学んだり、自身の将来の就職先を見つけるのに大変な日々を送る事が多い。

現在ブラギ伯爵家に滞在しているカトリーヌのように、婚約者の家との交流を深めるために休暇に入ってすぐ実家を留守にすることもあれば、就職しやすいように必死に勉強と訓練をこなすこともある。

はたまた、2年生以上で就職先がすでに内定しているのであれば、研修目的でその職場にお呼ばれして働くことも多い。

婚約者が決まっている、または候補がすでにいて後は選ぶだけに近いような嫁入りする令嬢、婿入りする令息で働かなくても相手の家で普通に暮らせることが分かっているような人間くらいしか遊べる人はいないのだ。

ちなみに、カトリーヌもこのタイプに当てはまる。

ブラギ伯爵家について覚える事や研鑽するべきものはたくさんあるけれど、課題がない分とても時間がある令嬢の1人だろう。
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