21 / 266
◎一年目、翌年の四月に至るまでの章―外伝―
■彼女は悔しくて走りだす
しおりを挟む
里奈が外へ飛びだすと外は雨が降っていた。時間は夕方近くになっていた。
当然、今日泊まる宿などまだ押さえていない。あてもなく走っているだけだ。
どうすればよかったのかは自分でもわからない。
叫びながらただ時間も忘れて走り続ける。だが、有限の体力がそれをいつまでも許すはずがなかった。
声は枯れ果て、雨音にかき消される。
足はもつれて、いつの間にかとぼとぼとした歩美にへと変わっていく。
――走るのも疲れたな。
里奈は近くにあった公園へ吸い寄せられるように向かい、手近にあったブランコに腰かける。
また、クランを探すのか。そもそも自分を迎え入れてくれるクランが存在するのだろうか。
考えることが少しずつ面倒になっていく。思ってしまうのだ。自分は誰にも必要とされないのではと。
雨は一向に止む気配がなかった。このままだと風邪をひいてしまうかもしれない。
それも構わないか。でも、その時は誰か面倒を見てくれるだろうか。
それはないだろう。
自分はこのまま野垂れ死ぬのだろうか。
それならいっそ地元に帰ろうか。親にはなんて言えばいいだろうか。
ああ、つらい。こんな現実を誰が望んだというのか。
悲しくて。怒りがわいてくる。それでも里奈にはいま感情をぶつけられるものがなかった。
そして、知らぬ間に夜が更けていく。
当然、今日泊まる宿などまだ押さえていない。あてもなく走っているだけだ。
どうすればよかったのかは自分でもわからない。
叫びながらただ時間も忘れて走り続ける。だが、有限の体力がそれをいつまでも許すはずがなかった。
声は枯れ果て、雨音にかき消される。
足はもつれて、いつの間にかとぼとぼとした歩美にへと変わっていく。
――走るのも疲れたな。
里奈は近くにあった公園へ吸い寄せられるように向かい、手近にあったブランコに腰かける。
また、クランを探すのか。そもそも自分を迎え入れてくれるクランが存在するのだろうか。
考えることが少しずつ面倒になっていく。思ってしまうのだ。自分は誰にも必要とされないのではと。
雨は一向に止む気配がなかった。このままだと風邪をひいてしまうかもしれない。
それも構わないか。でも、その時は誰か面倒を見てくれるだろうか。
それはないだろう。
自分はこのまま野垂れ死ぬのだろうか。
それならいっそ地元に帰ろうか。親にはなんて言えばいいだろうか。
ああ、つらい。こんな現実を誰が望んだというのか。
悲しくて。怒りがわいてくる。それでも里奈にはいま感情をぶつけられるものがなかった。
そして、知らぬ間に夜が更けていく。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる