デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~

あかつきp dash

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◎二年目、六月の章

■里奈と真鈴

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 真鈴は久遠にしばらく席を外すように伝えると彼も渋々だが、了承した。

 いま空き教室に里奈と真鈴は二人きりでいた。

二人は椅子に対面で座っている。里奈からすれば真鈴は巨人の部類である。

 椅子に座っていても真鈴の背の高さは十分に実感できた。

「何ですか、話って?」

 里奈は真鈴をちらちら見ながら訊ねる。

「まずさ。里奈ちゃん、私を一発殴ってよ」

「へ?」

 里奈は目を丸くする。対する真鈴はニコニコと笑顔を浮かべている。

「話はそれからにしよ」

 ほれほれと真鈴は自分の右頬を指でさす。

「……いいんですね?」

「遠慮はいらないから、全力でおいで」

 そういうことならと里奈は握り拳で真鈴の右頬を殴った。

 拳を振り抜けたあと思ったのは自分の拳も痛いということだ。

 するとなぜか真鈴が右頬をさすりながらゆっくりと立ちあがる。

「一発は一発だから」

 真鈴は笑顔で里奈の右頬をビンタした。バチンという音が教室内にこだまする。

「っー!」

 里奈は声にならない声で悲鳴をあげた。

「殴り返されるなんて聞いてませんよ」

「一方的に殴っていいなんて言ってもないけど?」

 里奈は怨みがましく真鈴を睨みつける。

「お互い、これやんないとはじまんないでしょ」

 それについては同意かもしれないと里奈は席に着く。

「もう気づいてるかもしれないけど、私は久遠くんと寝たよ」

「そんなことを言うために?」

 里奈ははらわたが煮えくりかえりそうになる衝動を何とか抑えようとする。

「返すっていうんだから洗いざらいってこと。何ならプレイ内容まで細かく教えようか?」

「結構です!」

「それとも中古男はもういらない?」

 里奈は真鈴の表情を見る。里奈は試すような、そんな視線だ。

「私、彼に大事なこと伝えてないんだよね。怖くって……。ひょっとしたら距離とられるかもしれなくて」

「……これからも黙っているんですか?」

「それは彼に悪いから伝えるつもり」

 真鈴は立ちあがる。

「だから今晩は彼を借りるよ」

「そんな久遠をモノみたいに……」

 里奈は非難の目線を真鈴に向ける。

「君こそ女の駆け引きくらい覚えておきなよ。男は貸し借りできるんだから」

 里奈は真鈴の方にぐっと体を寄せる。

「それとお互い連絡先交換しとこっか。にね」

「何ですか? 今後のためって」

「私、里奈ちゃんとは仲良くできると思ってるからさ」

 二人は後に連絡先を交換する。尚、その言葉の意味を里奈が実感したのはずいぶんと後のことだったという。

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