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◎二年目、八月の章
■三つ巴のクラン抗争
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クラン同士の野良バトルもお互いがほぼ定員くらいの規模でぶつかるというなら、それはまさに戦争といっていいものだ。
言うなればクラン戦争である。
たしかに一〇年続いた東京迷宮の歴史において、大規模クランがぶつかるのは史上初であった。
「どうする?」
頼果は久遠に訊ねられる。
「どうこうしようなんてあるの?」
頼果が聞き返す。
「あるわけないわ」
里奈が断言する。
「発端は君だろ?」
「はじめたのは連中よ」
頼果は、自分は関係ないと無関心を装う。だが、実際はかなり後ろめたい。
「……何か言いたそうね?」
久遠は「本当に?」と流し目をしてくるのに、頼果は少し苛立ちを覚える。
「別にそんなことはないさ」
もったいぶった態度。自分は何でもお見通しという傲慢すら感じる。
「どうしろって言うの、この状況を!」
ついに頼果は言葉を荒げてしまう。
「どうして君は何もできないと思っているんだい? 君にはいま頼ってもいい人たちがいるんだよ」
頼果は久遠と里奈を交互に目配せする。
「正気?」
「どうして私まで巻きこむの?」
里奈が久遠に不満そうな表情をぶつける。
「三色烏揃い踏みで飾るデビュー戦としては上々だと思うけどね」
久遠は往く気なのだ。頼果はようやく気がつく。
「相手は一〇〇人近くいるのよ」
「互いに潰し合うんだから、そうはならない」
久遠からパーティー申請がくる。それは里奈にものようで不承不承という感じで申請を受け入れた。
「蔵脇なんて、図体の割に憶病なのね」
「チビ子に言われる筋合いはないわ」
感情にまかせて頼果はパーティー申請を受け入れる。秒での心変わりである。何となくだが、里奈にだけは負けられない。そんな気分にさせられる。
「決まりだね」
久遠を先頭に頼果と里奈がグラウンドの中心へ向かっていく。
「久遠先輩、カッコいいよ~」
伊織が無責任に飛び跳ねている。
「あいつら、大丈夫なのかよ?」
晴がげんなりとした表情をする。
「久遠くんって、やっぱり変だよね」
由芽が頭を押さえながらつぶやく。
「……頑張れ」
圭都は小声でエールを送るのであった。
言うなればクラン戦争である。
たしかに一〇年続いた東京迷宮の歴史において、大規模クランがぶつかるのは史上初であった。
「どうする?」
頼果は久遠に訊ねられる。
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頼果が聞き返す。
「あるわけないわ」
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「どうしろって言うの、この状況を!」
ついに頼果は言葉を荒げてしまう。
「どうして君は何もできないと思っているんだい? 君にはいま頼ってもいい人たちがいるんだよ」
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「正気?」
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「相手は一〇〇人近くいるのよ」
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