デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~

あかつきp dash

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◎二年目、八月の章

■宴会の規模が徐々に大きくなっている気がする

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 里奈は東方旅団のリーダーとして他クランのリーダーと話をしている。

 一方の久遠は部屋の片隅でお茶と少しのお菓子を口にしている。

「あなたってぼっち気質?」

 頼果が久遠の隣に座る。身長差もあって久遠からすればかなりの存在感だったろう。

「それが嫌みになると思ったら大違いだよ」

 好きでやってるんだからと言いたいのだろうか。

「自分が得意なことだけ饒舌じょうぜつなのよね」

「君からはそう見えてるんだな」

から見ても明らかじゃない。こういう場だと急に大人しくなるんだから」

 困ったものだと頼果は言う。

「僕は騒いだりは苦手なんだよ」

「そのくせ寂しがり屋だったりするのよね」

「あのさ、僕を理解した気になったような物言いはよしてくれよ」

「誰もあなたのこととは言ってないじゃない」

 久遠はガクリとうなだれる。

「君もいい性格してるな」

「よく言われる」

 頼果はくすりと笑った。

「これからは覚悟しなさいよ。もう誰も久遠くんのこと放っておかないから」

「どういうことさ?」

「みんなが君を見つけた。だからって私も片岡も逃さない」

 久遠は首を傾げている。

「く、蔵脇ぃ!」

 頼果の目の前に顔を紅潮させた克馬がいた。

「お前を一目見たときから忘れられねぇ。どうか、どうか俺とつき合ってくれ!」

 しばらく間ができる。何を言われたか即座に理解できなかったためだ。

「克馬先輩には本当にお世話になりました。けど、やっぱり好みじゃないんです。ごめんなさい」

 隣にいる久遠はドン引きしているようだった。どうせ断るなら、これくらいストレートな方がいいかと思ったのだが。

 克馬は放心状態だった。

「これからつき合いもあるんだから言い方ってものがあるだろ……」

 久遠の言うことも一理あるが、自分はもう走りだしたのだ。だから誰彼に構ってなどいられない。

 ふらふらと克馬は別の卓に座ると明里と乃々子がやってきてジュースを差し出す。

「まあ、呑めよ」

「そうよ。男はアタックあるのみ。一度、フラれたくらいでへこたれちゃ駄目」

 それはそれで無責任だろうと頼果は思う。

「蔵脇ってモテるんだ」

 いつの間にか里奈が久遠を押しのけて頼果の隣にいた。

「いい女感が溢れてくるからね」

 頼果は立ちあがり、反対の空いてる久遠の隣に座る。

「じゃあ僕はこれで」

 久遠が立ちあがる仕草を見せると、両腕を二人の少女にがっちり絡められて動きが止められる。

「離してほしいんだけど……」

「あんた、この期に及んで自分に話が及んでないなんて思ってる?」

「むしろ無関係を装う神経が信じられないわ」

 久遠は黙ったまま座り直す。

「最初に言っておくけど、口説いてきたのは久遠くんの方だから」

「知ってる。私も入団認めたし」

 異様な雰囲気の三人に少しまわりは距離をとっている。

「あいつら、やっぱり面白いよねぇ」

 少し離れたところで笑っている明里の声がただ響くのであった。



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