プラーナ

カイロ

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第1章 叶わぬ夢

遭遇…そして死

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4月27日⋯あの日から実に二週間が経過した。

いまだに有力な情報を得ず、今日も僕は愛ヶ淵区を捜索していた。

「はぁー今日も無しですか。」

夕方になり日が沈み始めていた。そろそろ捜索を終わりにしようと野村さんに電話を掛けようとしたとき。一本の電話が掛かってきた。ラースの携帯番号だ、僕はそれに応答した。

「はい、もしもし?なんですか?」

「……」

「え?なんですか?」

「……」

「ラース!ラース!」

「……」

応答がない、僕はGPSを頼りにラースのもとへ向かうことにした。

ー数時間前ー

「ふぅーいくら捜してもいないや~まぁ手がかりが無い以上無駄だと思いますが仕方ないね。」

(?あの女性歩き方が変だ、あれは何かを隠し持っている歩き方だ。)

女性を尾行した。すると女性は人気のないところに歩いて行く。

(バレている?いやあり得ない、こっちを警戒する素振りは見せてはいないはず。)

女性はトートバックから何かを取り出そうとしていた。

(何をするんだ?こんな人気のない場所で。)

おもむろにバックから取り出したものは人間の腕だ、まだそれも新鮮な断面をした人間の腕。女性はそれを嬉しそうに眺めている。

「⋯!」全身から血の気が引いた。本物の狂人を見て何をしたらいいのか分からず、ただ立ちつくしてしまった。

「ガーーガーー」

鳥の鳴き声でふと我に返る。

(そうだ一刻もここを離れて連絡しなければ!⋯思えばさっきからこの鳴き声がしていたような⋯)

上を見上げるとそこには見たこともない鳥が空を飛んでいた。

(なんだあの鳥は!こっちの真上を旋回している!)

「あら……また迷いこんでしまったのね……」狂人が目の前にいる。

「いけないわね…最近多いのよねー尾行。私が何をしたか教えてくれる…坊や。」

そう言った矢先、狂人に一瞬だけ右腕に触れ逃げるように走る。

(よし!これで発動条件は整った。後は連絡だ。)

「ウガ……ウガ」

(なんの声だ?でも今は気にするな、逃げることだけに集中するんだ!)

「ウギャャ!!」

いきなり体長2mぐらいの巨人が現れ、ラースに突進した。

「ブハァ!」

ラースは吹っ飛び、木に衝突する。

(クソ…駄目だ体が動かない…。)

「ウガ…ウガ」

(死ぬのかここで…意識がもうろうとする。)

「あなた…何をしたの私に教えなさい。見逃してあげるから。」

「クッ…誰が…教える…か!」

「あらそう…」

巨人はラースの腹めがけて殴った。

ラースはたまらず血を吐く。

「死にたいのかしらあなたは…大人しく白状しなさい。」

「フフ…」

「何がおかしいのかしら…」

また殴る。何度も何度も。

「しぶといわね…もういいは死になさい。」

巨人はありったけの力を拳に込め始める。

ラースは考えていた。どうやって伝えるかを残されたもの達に。

ラースは発動条件を満たしていた蛇紋章スネークエンブレムを思い出した。

「ス…ネーク…エンブ…レム…」

すると狂人の右腕に紋章が浮かびあがったのと同時にラースの腹を巨人の拳が貫通した。

「チッ⋯!異能種か…まぁいいわただ模様が浮かびあがるだけで、痛くもかゆくもないし⋯それにあなたの死体は使えないわ。残念だったわね。」

狂人たちはその場を離れた。ラースにはまだ意識があり、携帯で適当に電話をかけた。

「はい、もしもし?なんですか?」

(心也に掛かったか…運がいい。)

いまのラースは到底声が出せる状態ではない。ラースは朦朧とする意識の中、ダイイングメッセージを残した。

書き終えると急に死の実感が湧いた。

(あとは座して待つのみ⋯これで人生終わりか~まぁ長生きするなんて到底思ってもないけどね⋯⋯あいつら僕がいなくてもやっていけるかな?全く想像出来ないな⋯でも人間は「成長」していくんだきっと⋯⋯そのきっかけは突然やって来る⋯⋯願っても願わなくても平等に訪れる⋯⋯。僕がその「過程」の一部だとしても不満はない⋯⋯いやむしろ喜ぶべきだ⋯⋯僕という「存在」がかけがえのないものだと思われるなら悪くないから⋯⋯⋯。)

GPSを頼りにラースがいる目的地に着くと、筆舌に尽くしがたい酷い死体があった。

「ラースなん⋯⋯ですか?」

僕は現実を受け入れられず、ラースの携帯に電話をかけた。

「ブルブルブル」死体の近くにあった携帯に鳴る。

「クッ⋯⋯!」

(僕はバカだ!現実なんだ!目を背けるな!しっかりしろ!分かっていたじゃないか!あのとき竜時に言われたことをわすれるな!)

僕はラースの残したダイイングメッセージに目がいった。

「みたらふれろ」辛うじて読める字でそう書いてあった。おそらく意識が朦朧とした最中で書いたのであろう。

「ラース…ありがとうございました⋯⋯君が残してくれたもの必ず見つけます!」

僕は決意を固め、野村さんに連絡をした。
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