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夏休み 開始!
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ポコッ、ポコッ…枕の下でまぬけな音がする。
これでも一応目覚ましなのだ。僕は枕の下からネイビーのスマホを取り出し、半分寝ながら音を止める。
でも、さすが夏だ。一度起きるとベッドの下で蒸し焼きにされそうになる。
特に僕が寝ている2段ベッドだと。
下は下で暑いのだろうが、絶対上のほうが暑い。
ベッドから降りると、やはり兄の樹希が涼しい顔で眠っていた。くそぅ。
僕は樹希のほっぺたを思いきりつねってやった。
「いだだだ・・・やめろ樹雷…」
「いつまでも寝てるからだよくそチビがっ」
樹希は僕の兄といえども双子の兄。
だから、僕より13分は長く生きているはずなのに、背は小さいし頭は悪いし、そのうえ朝は起きられないという、
クソみたいな兄なのだ。でもまあ、顔はそっくり。
「今日で2学期終わりなんだからさあ、もうちょっと優しく起こしてよ…」
ゆっくりと着替えながら兄が言う。
「…関係ないじゃん。」
まったく、この兄が考えることはよくわからん。
制服に着替え終わった僕は、そのクソをおいてさっさと部屋から出る。
先程樹希の背が小さいと言ったのは紛れもなく僕だが、実は僕も背が低い。
樹希ほどではないけれど。
だから、いつも朝は牛乳を飲む。
母が作り置きしていった朝食は、まだ温かいのでそのままテーブルに運んだ。
「あーやだなー夏休みなんてなければいいのに。」
「…早く手伝え。あと夏休みいらないなら僕に分けろ。」
「ほわーい。」
はあ。ほんっとに、疲れる。
「よっしゃー!夏休みだー!」
家に帰った途端、樹希が声をあげた。
「夏休みいらないって言ってたの、どこの誰だよ。」
中2の2学期も無事に終わり、夏休みを迎えた僕らは、必ず宿題をおわらせる。
・・・分担して。
まあ、樹希はあんまり役に立たないけれど。
「あ、そうそう。この前さ、すっごくかわいい女子を見かけたんだよ!見かけない子だったから、隣町かな。」
…ほらね。
「あっそ。」
でも、樹希が言うなら相当だろう。
なぜかこの人、よくモテる。
「樹雷君の、奏ちゃんくらい、かわいかったなー。」
「はっ?!お前が言うな!よし、松井樹希、トマトサラダ大盛りの刑に処す。」
「やめろ!」
「じゃあ今すぐ渚とデートしてこい。」
「残念でしたー。渚は今日からハワイ旅行でーす。」
「もういいや。」
樹希のやつめ。とことんむかつく。
これでも一応目覚ましなのだ。僕は枕の下からネイビーのスマホを取り出し、半分寝ながら音を止める。
でも、さすが夏だ。一度起きるとベッドの下で蒸し焼きにされそうになる。
特に僕が寝ている2段ベッドだと。
下は下で暑いのだろうが、絶対上のほうが暑い。
ベッドから降りると、やはり兄の樹希が涼しい顔で眠っていた。くそぅ。
僕は樹希のほっぺたを思いきりつねってやった。
「いだだだ・・・やめろ樹雷…」
「いつまでも寝てるからだよくそチビがっ」
樹希は僕の兄といえども双子の兄。
だから、僕より13分は長く生きているはずなのに、背は小さいし頭は悪いし、そのうえ朝は起きられないという、
クソみたいな兄なのだ。でもまあ、顔はそっくり。
「今日で2学期終わりなんだからさあ、もうちょっと優しく起こしてよ…」
ゆっくりと着替えながら兄が言う。
「…関係ないじゃん。」
まったく、この兄が考えることはよくわからん。
制服に着替え終わった僕は、そのクソをおいてさっさと部屋から出る。
先程樹希の背が小さいと言ったのは紛れもなく僕だが、実は僕も背が低い。
樹希ほどではないけれど。
だから、いつも朝は牛乳を飲む。
母が作り置きしていった朝食は、まだ温かいのでそのままテーブルに運んだ。
「あーやだなー夏休みなんてなければいいのに。」
「…早く手伝え。あと夏休みいらないなら僕に分けろ。」
「ほわーい。」
はあ。ほんっとに、疲れる。
「よっしゃー!夏休みだー!」
家に帰った途端、樹希が声をあげた。
「夏休みいらないって言ってたの、どこの誰だよ。」
中2の2学期も無事に終わり、夏休みを迎えた僕らは、必ず宿題をおわらせる。
・・・分担して。
まあ、樹希はあんまり役に立たないけれど。
「あ、そうそう。この前さ、すっごくかわいい女子を見かけたんだよ!見かけない子だったから、隣町かな。」
…ほらね。
「あっそ。」
でも、樹希が言うなら相当だろう。
なぜかこの人、よくモテる。
「樹雷君の、奏ちゃんくらい、かわいかったなー。」
「はっ?!お前が言うな!よし、松井樹希、トマトサラダ大盛りの刑に処す。」
「やめろ!」
「じゃあ今すぐ渚とデートしてこい。」
「残念でしたー。渚は今日からハワイ旅行でーす。」
「もういいや。」
樹希のやつめ。とことんむかつく。
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