かみさまとのやくそく

雫森 幽鬼

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不可解なこと

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今朝起きて、翔がまた大きくなっているのを確認した。ちょっと! 着せておいた服が破けてる! あれ結構気に入ってるのに! 今度は何歳になっているのだろう。ぱっと見言葉が話せそうに見える。少し可哀そうだと思いながらも揺すってみると、目を覚ました。かわいい! 目がぱっちりしてる! ……話せるのかなぁ?

「翔」
「……おかあさん?」
「わっ! 喋れるんだ、ねえ、今何歳かわかる?」
「ん……わかんない」
「そっかそっか、大丈夫だよ」

この間の成長から約十日が経っている。この間も生後十日だったし、十日毎に大きくなるのかも? でも、今はそれより服だ。この間はぎりぎり私の昔の服を着せられたからよかったけど今回は服があるにしてももう女の子物を着せておけない大きさだ。とにもかくにも服を買いに行く服がない。というか十日毎に大きくなるならいろんな服を買いためておけばいいのでは? しまった……なんでこの間買っておかなかったんだろ。まあ過ぎたことを悔やんでも仕方ない。とりあえず今日のところは我慢して私の昔の服を着てもらおう。えっと、なるべくボーイッシュなものを選んで、と。よし、服を買いに行くぞ!ただ何が面倒だって、一つの店で沢山買えない事。だって、幼児を連れて男物の服を大きさ別に買いあさる女なんて誰がどう見たって不審者じゃない! せいぜい一つの店で二サイズまでかなぁ。お金には困ってないし、今月私の服を我慢するくらいで問題ないだろう。貯金もあるしね。と、いうわけで近くのモールへレッツゴー! 

「さあ翔、お出かけするからね」
「どこいくの?」
「服屋さん」
「ぼくのふくかうの?」
「そうだよー、翔、大きくなったから新しい服がいるでしょ」

そう言いながらアパートを出る。階段を降りながら、ふっと翔は降りられるのかな、そんなことを気にした。瞬間、どんっと誰かに背中を押されたような衝撃が走った。翔と手をつないでいたから、危ない、そう思って咄嗟に手を放そうとしたけれど、今度は誰かがふわりと私を抱き上げてくれたように、私と翔が宙に浮かんだ。そのままゆっくりと地面に降ろされる。え? なにこれ? 今の……何? 何が起こったの? 理解が追い付かない。背中を押されて宙に浮いて。人間のできることじゃない。ましてや後ろには誰もいない。咄嗟に思い付いたのはアディスだ。彼はいたずら好きだから、こんなこともするかもしれない。それにしたって誰かに見られているのかもしれないのに、しかも何日ぶりなんだか分からないのに。いきなりこんなことするなんて。

「アディス? ねえ、アディスなんでしょ? もう、びっくりしたよー、だから出てきてよ……出てきてよ」
「アディスってなあに?」

無邪気な翔の声が、そこに誰もいないことを物語っていた。
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