2 / 3
咲
子供の成長
しおりを挟む
私は咲。花の女子高生、ちなみに歳は十七。何百何千も年上の神様、アディスと恋をして子供も生まれたよっ! ……なんて現実逃避をしている場合じゃない。どうしよう。私の息子、翔が大きくなった。いや、ただ成長したのなら問題はない。問題は、今日目を覚ましたら生まれて十日だったはずの翔がどう小さく見ても一歳ほどの大きさになっているという事なのだ。幸い彼はすやすやと眠っていて自身の異変に気付いている様子はない。どういう事? 神様の子だから成長が早いとか? 私にはもう相談できる相手はいない。頼れる人はいない。高校も辞めてしまった。今は叔父からの仕送りを生活費と翔の養育費に充てて暮らしている。アディスがいないとこんなことには対応できない。でも、今は自分一人でどうにかしなくてはいけないときで。とりあえず赤ちゃんニコニコブックを手に取って一歳から一歳半くらいの様子や成長度合いが書いてあるページを捲って現在の翔が大体一歳前後であることを確認した。本によると一歳の子供は三か月とはできることが大きく違うらしい。ま、それはそうか。七か月も違うんだもんね。これが神様の子供であることの証だとしたら私はこれを受け入れて翔を育てていかなきゃならない。
「ん……あっ、あうーーーー!」
「おっと、お目覚めか。はいはい、よしよし」
私は翔を抱き上げようとして……その重さに驚いた。昨日まではあんなに軽かったのに! どういう事よ! ……七か月違うって、こういう事か。もう翔の泣き声は生まれたばかりの時とは違い大きく、力強くなっていて、まあ言葉を変えればうるさいってことだけど、あんまり長い事泣かせておくのは忍びない。ふっと力を入れて抱き上げ、背中をとんとんと軽く叩いてやる。
「はいはーい、お母さんですよ」
「あああああああっ!」
「うんうん、泣きたいのね」
そうしているうちに翔は自身の変化に気づいたらしく突然泣くのをやめ、自分の手を見つめ始めた。そのまま手を握ったり開いたりしている。昨日までより手指が動かしやすくなったのだろう。そうだ、赤ちゃんニコニコブックには一歳前後の赤ちゃんは早ければもう歩けると書いてあった。つまり、立つことができるという事? 試しに壁の近くで体重を支えながら立たせてみる。すると翔は自分で壁に手をついた。少しずつ様子を見ながら支える体重を軽くしていく。だんだん手の中の翔の体重が減っていく。そのまま、そっと手を放してみた。もし転んだとしても布団の上だからよっぽど平気だろう。翔は体重の大部分を壁に預けたまま立った。立てたことに自分でも驚いているように見える。私は急いで枕元に置いてあるスマホを手に取り、立っているところを写真に撮る。初めてのたっちだ。
「翔ー」
「あー!」
昨日までは反応しなかったのに自分の名前に反応してこっちを向いた。おお、これは感動だ。ずっと話しかけて、呼びかけてきたかいがあった。壁に手をつきながらこちらを向いて笑う翔の写真も撮っておく。
「ほら、翔、歩いてごらん」
「あー!」
翔は私の言葉を理解しているのか、伝い歩きを始めた。まだつかまらないと歩けないようだけれど、昨日に比べたら大きい進歩だ。もうすぐ歩けるようになる。それからしばらくは翔のできるようになったことを確認して過ごした。気づいたら朝食の時間を大きく過ぎていたので慌ててパンを焼いてかぶりついた。バターを塗った食パンは外側はサクサク、中身はふわふわもちもちで美味しい。そうして翔におっぱいをあげようとして、はたと気づいた。もうおっぱいじゃないの? どうなの? 本日三回目の出番となる赤ちゃんニコニコブックを取り上げて調べる。まずい、もう離乳食の時期だ。えっ、そんなの作れないよー! しょうがないので家にあった人参を本に書いてある通り歯茎で噛めるくらいの固さにゆでて食べさせてみる。翔は初めての固形物にまたしても驚いているようだったが数秒して噛み始めた。そのまましばらく時間が経過してごくんと飲み込む。これを何度か繰り返して人参はなくなった。よし、今日は離乳食用のスプーンを買ってこなければ。
いつものスーパーではなく少し遠くのドラッグストアまで行って赤ちゃんグッズを買い込む。次の翔の急激な成長がいつ来るかわからない、もう来ないかもしれないけれど。備えあれば憂いなしっていうもんね。大量の買い物に店員さんは変な目で見ていたけれど、構うもんか。翔と大量の荷物を抱えて家に帰る。もう昼ご飯の時間だ。朝に使った人参の残りでリゾットを作って食べた。翔にはそれを柔らかくしたバージョンの特製赤ちゃんリゾット。食べさせようとしたら自分でスプーンを握ろうとしてびっくりした。というか握って振り回したり自分で掬って食べようとしていた。上手くいかなかったけど。最終的には私が食べさせた。そんなこんなで一日が終わって、もう九時には翔を寝かしつけ、自分も眠った。
「ん……あっ、あうーーーー!」
「おっと、お目覚めか。はいはい、よしよし」
私は翔を抱き上げようとして……その重さに驚いた。昨日まではあんなに軽かったのに! どういう事よ! ……七か月違うって、こういう事か。もう翔の泣き声は生まれたばかりの時とは違い大きく、力強くなっていて、まあ言葉を変えればうるさいってことだけど、あんまり長い事泣かせておくのは忍びない。ふっと力を入れて抱き上げ、背中をとんとんと軽く叩いてやる。
「はいはーい、お母さんですよ」
「あああああああっ!」
「うんうん、泣きたいのね」
そうしているうちに翔は自身の変化に気づいたらしく突然泣くのをやめ、自分の手を見つめ始めた。そのまま手を握ったり開いたりしている。昨日までより手指が動かしやすくなったのだろう。そうだ、赤ちゃんニコニコブックには一歳前後の赤ちゃんは早ければもう歩けると書いてあった。つまり、立つことができるという事? 試しに壁の近くで体重を支えながら立たせてみる。すると翔は自分で壁に手をついた。少しずつ様子を見ながら支える体重を軽くしていく。だんだん手の中の翔の体重が減っていく。そのまま、そっと手を放してみた。もし転んだとしても布団の上だからよっぽど平気だろう。翔は体重の大部分を壁に預けたまま立った。立てたことに自分でも驚いているように見える。私は急いで枕元に置いてあるスマホを手に取り、立っているところを写真に撮る。初めてのたっちだ。
「翔ー」
「あー!」
昨日までは反応しなかったのに自分の名前に反応してこっちを向いた。おお、これは感動だ。ずっと話しかけて、呼びかけてきたかいがあった。壁に手をつきながらこちらを向いて笑う翔の写真も撮っておく。
「ほら、翔、歩いてごらん」
「あー!」
翔は私の言葉を理解しているのか、伝い歩きを始めた。まだつかまらないと歩けないようだけれど、昨日に比べたら大きい進歩だ。もうすぐ歩けるようになる。それからしばらくは翔のできるようになったことを確認して過ごした。気づいたら朝食の時間を大きく過ぎていたので慌ててパンを焼いてかぶりついた。バターを塗った食パンは外側はサクサク、中身はふわふわもちもちで美味しい。そうして翔におっぱいをあげようとして、はたと気づいた。もうおっぱいじゃないの? どうなの? 本日三回目の出番となる赤ちゃんニコニコブックを取り上げて調べる。まずい、もう離乳食の時期だ。えっ、そんなの作れないよー! しょうがないので家にあった人参を本に書いてある通り歯茎で噛めるくらいの固さにゆでて食べさせてみる。翔は初めての固形物にまたしても驚いているようだったが数秒して噛み始めた。そのまましばらく時間が経過してごくんと飲み込む。これを何度か繰り返して人参はなくなった。よし、今日は離乳食用のスプーンを買ってこなければ。
いつものスーパーではなく少し遠くのドラッグストアまで行って赤ちゃんグッズを買い込む。次の翔の急激な成長がいつ来るかわからない、もう来ないかもしれないけれど。備えあれば憂いなしっていうもんね。大量の買い物に店員さんは変な目で見ていたけれど、構うもんか。翔と大量の荷物を抱えて家に帰る。もう昼ご飯の時間だ。朝に使った人参の残りでリゾットを作って食べた。翔にはそれを柔らかくしたバージョンの特製赤ちゃんリゾット。食べさせようとしたら自分でスプーンを握ろうとしてびっくりした。というか握って振り回したり自分で掬って食べようとしていた。上手くいかなかったけど。最終的には私が食べさせた。そんなこんなで一日が終わって、もう九時には翔を寝かしつけ、自分も眠った。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢は死んで生き返ってついでに中身も入れ替えました
蒼黒せい
恋愛
侯爵令嬢ミリアはその性格の悪さと家の権威散らし、散財から学園内では大層嫌われていた。しかし、突如不治の病にかかった彼女は5年という長い年月苦しみ続け、そして治療の甲斐もなく亡くなってしまう。しかし、直後に彼女は息を吹き返す。病を克服して。
だが、その中身は全くの別人であった。かつて『日本人』として生きていた女性は、異世界という新たな世界で二度目の生を謳歌する… ※同名アカウントでなろう・カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる