きもちいいあな

松田カエン

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群青騎士団入団編

9.私の部屋で

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 部屋に入れてもらったのに、エリーアス様に何も声を掛けずに出てきてしまったことに気づいたのは、私を抱いたユストゥスが階段を登りきったときだった。

「ユス……ユストゥス。私は歩けるから、降ろして欲しい」

 しまった。変に声が裏返ってしまった。すぐに喉の調子を整えて、私はきっぱり言い切った。ユストゥスは私の専属奴隷になって、そして私は彼から精液をいただく立場ではあるが、それでも、主人は私のはずだ。こういう上下関係はエリーアス様みたいなるように、最初のうちにはっきりしておいたほうがいい。……よし。

「降ろせ」

 なるべく落ち着いた声になるよう心がけて、私は短く命じた。ふと間近にある瞳が向けられる。彼は歩みを止めて、私をその場に降ろした。そっとばれないように拳を握る。やるじゃないか私。
 だがその高揚も自分がどこにいるか、気づいた時点でしゅんと消えてしまった。目の前には寮の個人部屋のドアがある。……私に充てがわれた、部屋のドアが。彼は自分の目的地に、私を連れてきたのだ。だから降ろしただけで、命令を聞いたわけではない。

 どうしてこんな、そわそわするのだろうか。落ち着かない。戦場にいるときとも違う緊張感を感じる。

 私が立ち尽くしていても、彼は大人しく待っていた。尻尾は変わらず嬉しそうに揺れている。
「あー……これからはここが、君の部屋にもなるな。入っていいぞ」
 動揺を隠しながら、私は部屋にユストゥスを招き入れた。

 部屋の作りはほぼどこも同じで、キングサイズのベッドに備え付けの机と椅子。私物を入れるクローゼット。鎧はかさばるので別の場所で管理されている。部屋の奥にもう一つ扉があるが、そちらの奥にはこじんまりとした浴槽とシャワーが備え付けられていた。
 そこから更にもう一つ部屋があるが、そちらは奴隷がひとりで過ごすためのプライベートルームである。普通主の部屋が一番奥だろうと言いたいところだが、部屋に入ってすぐ交尾するにはちょうどいいらしい。わかる。何度もドアを開けるのはもどかしい。

「その、だな、……『洗浄』」

 どこまでを汚れと定義するかは難しいが、ひとまず身体を洗ったとき同程度に、私は魔法で自分とユストゥスの身体をきれいにした。馬車でいろいろされていたときの汚れは、エリーアス様が落としてくれていたが、要は気持ちの問題だ。
 そしてユストゥスをきれいにしたのは、彼自身が今さっきセックスしていたからである。私は別に気にしないんだが、エチケットとして大事だと教わった。

 なぜか、どうしてもユストゥスの顔を見ることができない。ものすごく視線を感じるが、見たら最後の気がする。故に私は下を向いたまま、もそもそ服を脱いでいく。脱いだ服は床に落としてベッドに上がった。いつものように四つん這いに這ったところで、はっとする。

 あれ、これ、さっき先輩たちにからかわれたやつ……。

 急にユストゥスと2人きりになったから、すっかり忘れていた。不評だとか、情緒がないとか散々な事を言われたが、これ以外に誘い方がわからない。ユストゥスのボトムスを剥ぎ取って、押し倒して跨るんだったらそれでも良いが、今この体勢からその行動に移すのも躊躇われた。

 だから、しかたなく、いつものように口を開く。

「お、おまんこ、して……?」

 指で広げ、前を見たままそうねだった。不人気なようだったが、こうすればみんな入れてくれる。穴におちんぽを入れて、揺すって、抜き差しして、最後にどぷっと薄い精液を出してくれる。
 奴隷の殆どは、礼を言う私になにか言いたげに立ち去っていくが、そういえばユストゥスはなんだかにこにこしてたな。……というか、ユストゥスどうした?早く入れてくれ。

「ユストゥス?」

 その体勢をキープしたまま後に軽くよじって視線を向けると、ユストゥスは私の脱ぎ捨てた服を拾っていた。目が合うとゆっくりと首を振る。えっなんだ?ヤらないのか?
 腕を捕まれ、指が後孔から離れた。すると今度は腰を掴んで引き寄せられる。別の体勢でセックスするのかと思ってユストゥスのボトムスに手を伸ばすと、それはやんわりと押しのけられた。うん???

 シャツを着せられ、ボタンを止められ、下着を履かされ服を身につけていく。意図が読めずされるがままになっているうちに、すっかり元通りにされてしまった。ベッドに座らされた私の前で、両膝をついたユストゥスがゆっくりと手を動かす。手話だ。……うんわからない。

「すまないがユストゥス、私はまだ手話を覚えていないんだ。君が言いたいことがわからない」

 するとユストゥスは、私の手を取り上を向かせると、手のひらにちゅっと唇を落とした。指がぴくりと動いてしまう。それから彼は、そこにゆっくりと指で文字を書き始めた。

 も、つ、と、き、み、を、だ、い、じ、に……

「もっと、君を、大事にしたい?」
 書かれた言葉をそのまま読み上げると、ユストゥスは大きく頷いた。
 大事に……、大事……。

「ベッカーのように、私が子熊に見えるから?」
 今更ロリは嫌だと言われても困る。馬車の中で散々なぶったくせに。そうなじるつもりで睨むと、それは違うというように首を横に振る。そしてまた文字を私の手のひらに綴った。

「おれに、まかせて、ほしい?……ちゃんと中に精液出してくれるんだろうな?」

 訝しげになる私に、ユストゥスはもう一度ゆっくりと頷いた。なんとなくいまいち信用が出来ないが、彼は私の奴隷なのだし、嘘をつく利点も思い浮かばない。こんな問答をするのも時間の無駄な気がして、私は唇を尖らせた。

「私より、ユストゥスの方がこういうことは慣れているだろうから、任せる」

 実質好きにしろ、という通達だ。途端にユストゥスの目がまたギラッと輝いた。本能的に身体を強張らせる私の手のひらに、もう一度口づけすると、その手をそのままユストゥスの首に回すように動かされる。もう片方も同樣に動かされた。顔が、目が近い。手を外そうとすれば、やんわりと肩を捕まれ固定される。逆に首に腕を回せば、褒めるように頬をなでられた。ちゅっと、軽く唇を重ねられる。角度をかえて、もう一度。

「ユス……んっ」

 呼ぼうと口を開けるとそろりと、あの厚い舌に歯列をこじ開けられた。コレを喉いっぱいに押し込まれて、酸欠になったことは記憶に新しい。咄嗟に舌で追いやると、今回は無理強いせずにあっさりと引いていく。代わりに何度も、何度も浅く、ちょっと深く、キスを繰り返される。服の上から大きな手で身体をなぞられ、ちょっとだけ身をよじる。

「っふ……?……??」

 ……なんだこれは。穴に精液を出すだけなのに、必要か?
 疑問符でいっぱいだったが、それでも任せて欲しいと言われ、了承したのは私だ。さっさと突っ込め、というのは容易いが、もう少し様子を見てみよう。なんたって私は彼の主人なのだから。
 繰り返すキスの合間に、着せられた騎士服を改めて脱がされていく。舌を噛まれ、少し引っ張られた。付け根がチリチリする。大したことはしてないのに、呼吸が浅くなった。腰や太ももをなでられながら、スラックスを脱がされる。

「っは……ぅ、ふ……ぅんっ」

 口の端から唾液が漏れる。それを顎を捕まれ舐め上げられた。唇に吸い付いて、甘噛みをされる。……もどかしい。私は腰を揺らしてユストゥスの熱を探った。すると、それも窘められ押さえつけられてしまう。おい、餌はまだか。

「ゆすとぅす……はやく、はやく」

 キスの合間に訴えても、ギラつく視線を向けてくるだけで、その手は一向に私のおまんこには触ってくれない。ゆっくりと全身脱がされたときに、ようやく首に回された腕を外された。一度離れてユストゥスが身につけていたものを脱ぎ捨てる。
 いよいよか!私は嬉々として膝裏に腕を回そうとしたが、すぐさまそれも止められた。思わず真顔になってしまう。

「なにがしたいんだおまえ。こんなのはいらない。も、はやく入れろ」

 何度も吸い付かれた唇が腫れぼったい。ユストゥスは少しだけ残念そうに肩を落としたが、気を取り直したように軽く頷いた。端ではなく、きちんとベッドの上に私の身体をあげると、腰下に枕を押し込んで位置を調整する。私は足を開いてユストゥスを待った。
 程なくしてずぶずぶと、ユストゥスの熱が入ってくる。中が隙間なく埋められて、私は欲しかったものを与えられた満足感に、うっとりと息を零した。

 ふとくてあつい。ユストゥスすごい。あんなに出したのに、まだこんなに大きいなんて。

「ゆ、ユストゥス……はやくじゅぶじゅぶ、して、私のなかに、いっぱいだして」

 動かないユストゥスを誘うように、腰を揺らめかせるとまたもやそれを止められた。だんだんイラッとしてくる。怒鳴ろうと口を開いた瞬間に、またも唇を奪われた。先程までの優しいものではなく、私を蹂躙するための口づけ。喉奥まで長い舌が入ってくる。

「んっんんぅ……!!」

 これ、これはやだ。頭真っ白になるから、嫌だ!

 引き剥がそうと胸板を叩くが、その手を捕まれ、指の間に指を絡ませられる。そうして私の抵抗を封じたまま、ユストゥスはまた何度も角度を変えてキスを続けた。
 私の状態を完全に把握しているようで、馬車のときとは違い、多少の呼吸は出来るが、それでも酸欠でくらくらしてくる。そんな状態でユストゥスが突き上げてくるので、私は反射的にそのおちんぽを締め付けた。そのタイミングで喉を舌でなぶられる。
「れ……んんっれぇ……んあっ!っふ、んんっ」
 その動作を何度も繰り返されると、否が応でも、ユストゥスが何をしたいか理解した。してしまった。
 喉を舌にぐぽっと犯された瞬間、動かされてもいないユストゥスのおちんぽを、私のおまんこがわずかにきゅっと締め付けたのだ。思えば、この感覚は初めてではなかった。馬車の中でも同じように、後孔と口を同時に弄ばれた気がする。……同じタイミングで、反応するように。
 目を見開いたことで、私が意図に気づいたことを知ったのか、ユストゥスはゆっくりと舌を引き抜くと、またちゅっと手のひらにキスをして、指先で文字を綴る。

「やさ、し……の、と、きもちい、の、っど、ちが……」

 そんなの、気持ちいいほうが良いに決まってる。そう言い切ろうとして息を吸い込んだが、そこで止まった。ユストゥスが、わたしのおおかみが、わたしをいたぶる眼で、わたしをみている。

「……きもち、いいのは、くるし……?」

 ぶるぶる震えながら問いかけると、ユストゥスはすうっと目を細める。そして力を込めずその大きな手で、私の喉をやんわりと掴んだ。その状態でがつんと腰を揺さぶる。前立腺をえぐられて、強制的に与えられる快感に、私は何も入っていない喉をきゅっと締めた。自分のモノなのに、よくわからない反応をする身体に、ぞわりと悪寒を感じてしまう。

「ゃ……やさしい、のは……?」

 途端、舌を奥まで差し入れない、浅く、また口の中をくすぐるような、甘いキスをされた。放置されていた私のペニスもゆっくりと大きな手でしごかれ、もう片方の手も、私の腰や脇腹をフェザータッチでなで回す。
 私を押し開いた剛直は動かなかったが、甘く蕩けるような気持ちよさに、私はほう、と息を吐いた。たまらない。

「こっち、こっちがいいっ……っあん、ぅ……」

 自らの意思でユストゥスの首に腕をまわすと、舌を差し出してキスをねだった。気持ちいい。ちゅっちゅ、と蕩けるキスを甘受して、ユストゥスの手に身を任せる。時折ユストゥスをしゃぶったままの後孔がきゅんっと反応するが、その反応さえ緩やかで心地よかった。

「ゆすとぅす……っあ、ふ……んんっ、きもち、い……っ」

 ユストゥスは時折優しく私の口を舌と唇で犯しながら、全身を舐めて、噛んで、触れてくる。私のペニスはすでに達したかと思うほど、大量に先走りを零していたが、まだ半勃ちのままで一度も絶頂を迎えていなかった。今はその部分が達しない程度の、柔らかな刺激を与えられているのみである。それでも十分に気持ちよかった。
 そうやってどれだけ、全身への愛撫を繰り返されただろうか。まどろむような優しい快感にぐずぐずに溶けていると、不意に違和感が生まれた。

「ぁ、……?……っ?」

 ユストゥスが私の下腹をなでた瞬間、勝手にぴくぴくっと身体が跳ねたのだ。おちんぽを結腸に押し込むように、腹から押したわけではない。ただ触れただけだ。
 今までゆっくりと私の中に満ちていたものが、急速に上限まで満ちて、すべてを埋めていくような感覚。止まらない。先程感じた悪寒など序の口だったのかと思うほどに、身体中がびりびりしていた。

 蹴ったシーツの感触。腰下に置かれた枕の柔らかさ。密着したユストゥスの体温。頬をなでる大きな手。喘ぐ私の口の端に落とされた、男の唇。そんな些細なものが、一気に悦楽の暴力となって私を責めてくる。

「……っあ、ああっあ、あぁ、あ、ぁぁああああああッ!!!」

 喘ぎなんて、そんな可愛らしいものじゃなかった。まさに咆哮だ。暴れる私の身体を押さえつけて、おおかみがわらった。
 突き入れられたままだったのおちんぽを、きゅんきゅんと震えるおまんこがしぼりはじめる。そのうねる媚肉を押し広げて、かき回し始めた。

 こんなのしらない。やだ。たすけて。

 絶叫をあげたまますがりつく私を、ユストゥスは抱きしめてくれる。その口元には笑みが浮かんでいた。こめかみにキスを落としながら、私の意志とは関係なく勝手にペニスを頬張り、ちゅうちゅう吸い付く私のを、気持ちよさそうに堪能している。ぼろぼろと涙が溢れた。それを愛おしそうに舐め取り、ユストゥスは目を細める。

『イけ』

 声はなかったが、彼は確かにそう言った。従順な私の身体は、勝手にその指示に従った。ばちばちと頭の中に雷が落ちて、ぎゅううっとユストゥスを締め付ける。どくっと、奥に熱が放たれた。魔肛が、種がその精液を受けて、私に反応を示す。

「っ!!!」

 がくがくと身体を震わせた私は、その強すぎる刺激から逃げ切ることが出来ずに、意識を失った。


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