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群青騎士団入団編
幕間:俺のかわいい幼妻はエッチがどヘタ<ユストゥス視点>
しおりを挟むエリーアスが奪ってきたのか、マインラートが裏から手を回したのかはわからない。ともかく5ヶ月後、俺のかわいい雌子熊ちゃんは、俺のいる一輪寮にやってきた。
俺が外出するときに、よく着ている研修生用の騎士服を身に着け、寮監のバルタザールにリビングまで案内された子熊は、生真面目な表情で部屋の全員を見回して、左胸に左拳を押し当てる、騎士らしい敬礼をした。それだけで彼の利き手がどちらかわかる。貴族礼とは異なり、いつ何時でも利き手で剣を抜けるように空けておく、というのがこの国の騎士の形だ。
「リンデルベルガー家の家長ツェーザルの第13子、クンツ・リンデンベルガーと申します。右も左もわからない若輩者ではありますが、一日でも早く慣れて戦力となるよう、どうかご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします」
初めて会ったときには感じた眠そうな目も、今日は少しだけキリッとしている。かわいー。背徳感を感じる匂いもそのままだ。この寮に来ることが決まってから、エリーアスから機密文書である個人プロフィールを少しばかり見せてもらって、名前はすでに知っていたが、あのハスキーボイスで喋っているのを聞くと、また格別だ。その声に浸りたいのに、俺の耳は勝手に小さな囁きを耳にしていた。魔肛持ちの騎士たちが、顔を寄せ合って何か話している。
「リンデンベルガーって、王族でもないのに大所帯で、あの量産騎士の?」
「確か、四聖寮にも1人いたな」
「知ってるか?あいつら親類縁者が多すぎて、従兄弟でも顔を覚えられないらしいぜ」
「地位確立のために、一族の子女を道具として使うのは、貴族としてよくあることですが。……リンデルベルガー家の教育は、好きではないですね」
ぴくぴく耳が動いてしまう。ここにいる人族たちは、俺が獣人だと忘れているフシがあるよな。全部声拾っちまうのに。
あとでエリーアスに、俺の子熊の家のことについて聞こうと心に決めながら、さり気なく同僚たちを見回した。
隠しもせずにそれぞれ好きに、好色な眼差しを子熊に向けている。俺が感じたような罪悪感を持っているやつは、誰ひとりとしていない。俺を除いて、だれもこの子が、幼女だと思っているやつがいないのだ。
獣人と比べたら、匂いを感じない人族らしいといえばらしいが、外見でもうちょっと動揺するかと思った。だって見たまんま子熊だよ?今日改めて会った俺は、またちょっと動揺してる。あーこんな小さな幼女に手つけたんだーって、若干心のなかで頭抱えてる。
そこまで考えて、ああそっか、こいつら獣人の子供は、見たことないんだなって理解したら、少しだけ違和感が減った。
俺たち獣人は閉鎖的……というか、なるべく国外に出ないで過ごしている。他国は人族で構成される国が多く、いろんな匂いが撒き散らされていて頭が痛くなるし、特徴的な耳が好奇の目で見られることが多いからだ。
俺らの国は、獣群連邦なんて聞こえの良い国名をつけているが、その力は諸外国には及ばない。単なる魔力を持たない人間には、身体能力的にやすやすと勝てるが、魔法という出鱈目な能力を備えた貴族連中には、全く歯が立たなかった。
歴史上、一度も植民地になっていないのは、地形による有利さと、周辺の国同士が、無駄に足を引っ張りあっただけに過ぎない。
人族から見れば、成人後は男も女も筋肉もりもりで、肉体が大きな者が多いが、子供と小型種族は違う。
どうやら人族は相手が子供だろうが小型だろうが、簡単に欲情出来る生き物で、法律でガチガチに固めて保護しているはずの連邦でも、たまに拉致誘拐の事件が起こっていた。……ま、まあたまに、ごくたまに、外見が小さくて可愛い人間が、逆に番として連れられて来ることもあるけども。
しかし、このクンツと名乗った子熊騎士は、今まで獣人に会ったことはないんだろうか。自分が幼女だって気づいていなさそうだ。まあ確かに今では国外であるこのコンラーディン王国でも、だいぶ獣人の姿を見ることが増えたが、その数は多くない。
<ユストゥス、尻尾が凄いことになってるぜ>
肩をちょんと叩かれ、そちらを見れば、風を起こす勢いでぶんぶん振られていた。う、うるせえなあ。嫁が来たら誰だって興奮するだろうが。しかし自分の身体の反応に、残念半分喜び半分だ。
今までの人生で、幼女に惚れたことなんて一度もないのに、あっという間に陥落している。俺たちにも許嫁文化があるとはいえ、今までは匂い付けされている子供を見るたびに、複雑な心境してたのに、今では俺も変態の仲間かと思うと、ちょっとやりきれないため息が出る。
<真面目そうだが、ここから乱れていくのか。悪くない>
全身を舐めるように眺めたハイラムは、アンドレアスの専属奴隷だ。金髪に褐色肌の美丈夫で、元はどこかの国の王族らしい。10年ほど前にあった戦争で、滅ぼされた国の1つだ。幼児に戦争賠償金抱えさせて奴隷落ちさせるとか、まあこの国もやることがひどすぎる。
その麗しい見た目で王族の愛妾をしていたが、身体が大きく成長しすぎたせいか、任を解かれたあとは、群青魔導騎士団の備品になっている。
本人も入れられるより入れるほうが好き、とのことなので、この仕事は天職らしい。毎日楽しそうに、担当以外の魔肛持ちにも手を出している。
<しっかし、身体恵まれてんなー>
羨ましそうなのはジギスヴァルト、ジギーの専属奴隷のハイルヴィヒだ。ここに来る前は兵士として働いていたらしい。紺の短髪に茶色の瞳で気のいいあんちゃんと言った外見をしている。
担当の騎士との関係は良好だが、よく娼館で外泊しようとする、色男のジギーを連れ戻すのにいつも苦労していた。俺からすれば、彼は小柄な部類に入る。だからこそクンツの体つきが好ましいのだろう。俺の尻尾をからかってきたのはこいつだ。
<俺、早く終わらせたいから、最初がいい>
一方で、全くといっていいほど子熊に興味がないのは、クリストフの専属奴隷のエイデンだった。19歳と今回子熊が来るまで、最年少だった男だ。
来たのもつい一年ほど前、クリスに惑わされた前任者がいなくなってからの補充だったが、こいつもまんまとクリスにハマってしまっている。
今も部屋の中にいる、クリスのことばかりを気にかけていた。1人の騎士に執着するのは悪手だと、あれほど教えたのにも関わらず、まだこの態度だ。
……この部屋にはバルタザールもいるのに。下手すると、寮を追い出されるぞ。
<嫌がられないと、いいですね>
苦笑交じりなのはイェオリだ。彼だけは担当している騎士が、この部屋にはいない。きっと部屋に籠もっているのだろう。その、任務から寮に戻ってくるとすぐに部屋に籠もる、引きこもりの……深窓の姫君、ディーター・ブラームスは、悪魔の実が割れるのが早すぎて、精神崩壊がギリギリ起こらなかった、異色の群青騎士だった。
魔肛持ちが種を埋め込まれるのは、期間にして、取り込まれてからすぐの話らしい。そのあとは陵辱にあてられるというが、その陵辱は種が馴染むための準備のようで、その期間が短いディーは、時折下腹を抱えてうずくまっていることがあった。イェオリは、そんなディーを、甲斐甲斐しく世話している。彼はクリスとはちがったタイプの、落ち着いた中年だった。
ディーの見た目が、ほっそりした勝ち気なスレンダー美女に見えるから、この2人は年の差夫婦感が出ている。
もっとも、まだ魔肛持ちとして落ちきっていないディーの抵抗が強すぎて、彼はいつも体中に引っかき傷が出来ていた。毎回担当騎士をレイプしては点滴を打ち、慰めてその生命をつないでいるイェオリの手腕には、バルタザールも一目置いている。ただまあ、宿命付けられたように、ディーには毛嫌いされていた。俺ら他の担当がいる奴隷は、あそこまで毛ぇ逆立てられたら手を出せねえ。レイプ嫌いだし。
手話での会話に入ってこないで、黙ってクンツを見ているのは、ライマーの専属奴隷のジルケだ。無口でおとなしい性格をしている。話しかければ、ぽつりぽつりと返事があるし、友好的ではあるが、こいつだけはよくわからん。元は炭鉱勤務だったせいか、その体つきは、人間にしてはなかなか良いほうだった。
時々、広いこのリビングの隅っこで筋トレをしている。たまに釣られて俺もしちまう。運動不足が解消されていいよな、筋トレ。他にも釣られて筋トレ始める奴隷がいると、今度は魔肛持ちの騎士が集まってきて、まあ乱交になったりもする。
マインラートは、エリーアスと一緒に出かけていていなかった。エリーアスは、戦地や騎士団としての任務には、絶対俺を連れて行くから、今日はなにか別の用事なのだろう。出かけるときには、このパーティーを見れないことをすごく悔しそうにしていた。はははーざまぁ。
別段エリーアスとの仲は良好だが、妙に加虐的な性格をしていることもあり、俺がやり込められることも多いので、あいつの口惜しそうな顔をみると、謎の爽快感に襲われてしまう。
見た目平凡少年然とした騎士のオリヴァー・アスムスの専用奴隷は、諸事情により空枠になっていた。
だから今日は6人で、これからクンツの歓迎パーティーである。
「じゃあクンツくん。説明したとおり、このあとはこの奴隷たちが君にご飯をくれるから、服脱いで、そこのベッドに行って」
「はい」
軽い自己紹介を終えたクンツの肩を、バルタザールが叩いた。子熊はこの大人数の目に晒されて、少し緊張した素振りを見せている。それでもまっすぐ進み出た。
まだ誰も乗っていなかった、リビングの円形ベッドの前で、靴を脱ぎ、服を脱ぎ捨てて……あっ、大丈夫だから!服は畳まなくても、そういうことは様子を見て、バルタザールがしてくれるから!
服を畳み出したのは、俺が知っているだけで騎士ではクリスに次いで、2人目だ。基本貴族は世話されるのに慣れているので珍しい。クリスがいたときにすでにこの寮にいた者は、昔を思い出して苦笑を浮かべ、初めて見た者は物珍しそうに眺めている。
子熊は畳み終えて一段落したところで視線をあげ、ベッドの周辺に俺たち奴隷が群がってきていたことに気づいて、少しだけ眠たげな目を見開いていた。
一部は除いて、欲望が見える視線に、子熊はわたわたとベッドに上がり、四つん這いになると尻の肉を掴んで広げる。縦割れでもない、いくら広げても毎回ちゃんと元に戻って、慎ましくなる穴がそこにあった。
「あの、では……おまんこに、おちんぽ食べさせてください」
エリーアスの教えを頑なに守っているのか、誘いの口上は前と一緒だった。研修期間にだいぶ言い慣れたのか、言いよどむ素振りもない。
クンツの期待感に満ちた眼差しに、宣言通り最初にエイデンが進み出た。ボトムスの前をくつろげて自分自身を取り出すと、2,3回自分で擦り上げて、そのままずぷっと差し込む。
……お前なあ、いくら魔肛持ちが、すぐに挿入できる都合のいい穴とはいえ、愛撫の1つもなしかよ。義務感ありありな態度のエイデンに、俺たちは密かに視線で会話した。
初見の魔肛持ちだからって、これはないわ。こいつやっぱ危ないかも。ほんとにな、バルタザールも見てるのに。俺は知らんぞ。
そんなお互いの思考が透けて見える。
「あんっ、あ、ぁっあ」
子熊はいい子で、ろくでもない挿入にも関わらず、気持ちよさそうに声を上げていた。
うーん。寝取られは趣味じゃなかったけど、これはこれで美味しいかもしれない。なにより可愛い子熊ちゃんを、落ち着いて堪能できる。初めてのときは、精力剤のせいもあって、だいぶ脳が飛んでたからな。
あのときキスすらしていなかったことを思い出して、俺はクンツの前に回った。身体を揺さぶられていたクンツは、俺が腕を掴んで上半身を起こしてやると、潤んだ瞳を向けてくる。厚めの唇からはハスキーな喘ぎ声が漏れていて、ちろちろと舌先を覗かせた。
エロい。たまらん。
今のうちしか口づけは出来ない。ああでも、子熊が相手なら、誰かがちんこ突っ込んだ後の口でも、ちゅーできるかも。そんなことを考えながら、唇を重ねる。人族らしい小さい舌。俺の舌で舐めあげれば、口の中に性感帯がある騎士なら、ぐずぐずに溶け……お?
どこか遠慮がちに、だがしっかりと、俺はクンツに押しのけられた。胸板に伸びてきていた他の奴隷の手にも気づいて、押し止める。恥ずかしくて触らないで、という感じではなく、どこか冷静な行動だ。だからこちらも動きが止まる。
「あなっ……あなは、ひとつ、っだ、から……んっ、まって、て……っあ!」
確かに、穴は1つ……いやいや、口だって立派な穴……いや、まあ魔肛じゃないし、飲ませる行為は御法度だ。それでもこっちとしては、いろいろ触りながらやりたい。それなのに触ると、子熊は、え、なんで、そこ違う。みたいな怪訝な表情になって、こっちのほうが戸惑う。
「じゅんばんっ、じゅんばん、で、入れ……っあう!」
ばちゅん、と一際大きく突き上げて、エイデンが動きを止めた。吐き出される精液に、子熊の頬が上気している。魔肛持ちの淫猥な身体が、全身で悦びを現していた。
「ぁ、りが、とう……ごちそうさま」
腰から離れかけたエイデンの手をぎゅっと握って、息を弾ませたまま礼を口にする子熊はめっちゃかわいい。エイデンも少しきまりが悪そうにしつつも、それでもクリスの元へと一目散に向かっている。まあ、もうあいつのことはいい。それよりもだ。
「はい。次、おちんぽ食べさせてください」
俺がキスなんかしちゃったからか、待ちきれないんだろうって判断したらしい子熊は、エイデンの精液を滴らせるエロい尻を向けてくる。性的な色が、なんか全然ない。いや、エロいんだけど。もう少しこう、ちょっと時間置いたりしない?これ確かに輪姦だけど、ちゃんと精液が吸収されるまで、もう少し待たないといけないんだけど。もう一度キスしてから始めようとした俺は、顔を近づけたらナチュラルに避けられてしまった。えええ?
「どうした?入れないのか。……私にごはん、くれないのか」
少し悲しげに、でも不思議そうにする子熊ちゃん。……研修期間、どうセックスしてたんだ?これじゃまさしく餌付けじゃねえか。あーもう、あそこのやつらの雑なエッチが想像できる。
寮に入る騎士の精神状態が、若干不安定になるのは、あそこが上手く機能していないせいだ。何度か群青魔導騎士団として、正式に苦情申し立てをしてるらしいが、向こうの言い分は毎回変わらない。騎士団在籍時に、より魔肛持ちが周辺環境に感謝するように、教育を行っている、ときている。なにが教育だくそったれ。
確かにパーティーのときに、その行為を嫌がる騎士は1人もいない。両手に奴隷のちんこ握って、離さないやつだっている。……みんな、内心がどうであっても、タガが外れたように悦ぶ。
俺が動かなかったからか、次はイェオリが相手をしていた。彼は、入っている精液を外に出さないように、追加するのが得意だ。普段の苦労が偲ばれる。
四つん這いから、上半身を身体の真下に入るように追いやり、足を伸ばさせ、尻穴を真上に向けるようにして、その状態で突っ込んでいる。苦しげだが嬉しそうに、子熊が鳴き声を上げていた。あの姿勢じゃ、他は触れなくて眺めるだけになる。
<大丈夫か?お前にしては珍しい>
<あー……うん、まあ、俺は前に一度会ってるからな。ちょっと感慨深くて>
ハイルヴィヒ、……ルヴィが、いつもと違う俺の様子に声を掛けてくる。
<ああ、この子レイプしたのってお前たちだったか。……お疲れ>
労われてしまった。俺はどちらかというと古参になるし、なにより小隊長でもあるエリーアスの専属奴隷だから、仲間内ではまとめ役をすることも多い。そんな俺が動揺したのが珍しかったらしい。
しばらくして、イェオリが達した。足がガクガク震え、滴り落ちてくる自分の精液で、顔を汚して愉悦に蕩ける子熊は、まさしく魔肛持ちの騎士だ。俺が過ぎたことを悩んでも仕方がない。このあと丁寧に扱って、ちゃんと群青騎士らしくしてやればいい。
誰よりも高貴で、清く美しく、この国を守る騎士に。その裏でひっそりこっそり、ぐずぐずに愛情で溶かしてやろう。それが俺たちの仕事だ。
そう自ら言い聞かせると、ようやく自分を取り戻せた気がする。気を取り直してクンツを見れば、イェオリにも笑顔を向けていた。
「んんっ……ごち、そうさま、ぁ……ありがとう、よかった。さて、次のごはんは?」
……おっとぉ。ここで飯呼ばわり。残ったメンバーで視線を交わし、次はジルケが向かう。ハイラムが愛撫しようとしていたが、それも喘ぎながら丁重に断っていた。その理由が、また穴が空いてないから待って。という、なんとも色気のない断り方だ。
初めて会ったときと、子熊は、クンツは全然変わった様子がなかった。いろいろと落ち着くまで、騎士は性格にブレが出ることが多いが、もしかするとこれは。
「ありがとう。ごちそうさま。はい、次のごはん」
おい。お前、それ全部素かよ。全然本音が隠せてねえぞ。つか、隠す気ないのか。なんだこの子熊。
俺たち奴隷の中で、クンツ・リンデンベルガーの評価はそれはもう、最低だった。今までにないほど底辺だ。専属奴隷が決まるまでは、他の奴隷たちがセックス……いやもうほんと、子熊に関しては、完全に餌付けだ餌付け。ともかく餌付けをするのだが、その対応がまあ酷い。
順番に割り振られた奴隷が部屋に向かえば、喜んで入れてくれるのだが、はい、と尻を差し出して、挿入をねだる。他の部位への愛撫は一切させてくれない。触るとなんだこいつ、って顔になるし、本気でそれを口にする。
そしてその後、白濁を注げば、礼を口にしながらも、すぐさま部屋を追い出される。一緒にベッドに寝ていちゃいちゃとか、そういうのが全くない。
そんな態度に、気分が乗る奴隷がいるだろうか。
多少強引にすることはできるが、体罰は御法度だし、体格のいい子熊に手をこまねいている奴隷も多かった。従って、クンツの望むとおりに動くしかないのだが、まあその前に自分の担当騎士に、搾り取られたりしている奴隷の性器は、勃ったり勃たなかったりである。そのときのクンツの表情たるや。
<いや、さあ、なんか改めて俺、自分の担当が色狂いだけど、可愛いジギーでよかったって思った>
<わかる。私もアンドレでよかった。あの子熊の相手をすると、すごく、自分に自信がなくなるな……>
<いやああの子、ディーとはまた違ってて、手強いねえ>
俺がよく子熊が、子熊が、と言うからか、今では奴隷の間で、クンツのあだ名は子熊でほぼ定まっていて、それが騎士たちにも広がっている最中である。皆の口から漏れる愚痴は、俺もよく分かることばかりだった。
それぞれそれなりに、経験は積んでいるはずの面々が形無しで、ときどきリビングに集まって、やりきれない思いを口にする。あんまり担当騎士から離れすぎると、見に来た騎士が気にするから、ほんとごくたまにだ。
それにこっちとしても、矜持がある。あまり情けないところを担当騎士に見せたくない。エリーアスなんかは、なかなかクンツを攻略できずに、萎れた俺たちに爆笑してて、もうその小憎たらしい首を締めたろかって思うこともあった。
嫌がりもするなら、拘束するなりなんなり方法もあるのだが、クンツは違う。心を折りにくる。純粋にごはんを待ち、それが薄かったり出なかったりすると、それはまあ絶望的な顔をするのだ。責める気もなく、優しくはしてくれるが、でも用無しとばかりに追い出されるのはキツい。
エイデンなんて、一度クンツの部屋に行ったあとは、もう二度と近づかない。あの無口なジルケですら、手話でバルタザールに<棒としか思われないのは、つらすぎる>と訴えていた。
それぞれの事情は、なんとなく担当騎士にも伝わる。研修が終盤に差し掛かっている今、クンツ自体は寮に慣れてきているので、それとなく他の騎士から指摘が入っているのだが、部屋に入れてもベッドに上げない理由として「彼らは皆、先輩方の奴隷だからな。早く返したい」と口にしたらしい。
本当は心底濃い精液欲しがってるくせに。時々腹が切なくて、エリーアスに泣きついているくせに。落ちてる奴隷いないか探してるのも知ってんだぞ、俺は。
<ユストゥスなら、あの子を開発出来ると思うんだけど、どうかな>
イェオリに意味ありげにそう問われるが、俺は素知らぬ顔で<できるけど、担当でもないしな>と返す。
確かに2mを超える俺の体格なら、クンツを抑え込むのは難しくない。クンツも魔法を使ってまで、抵抗はしてこないだろう。舐めて啄んで噛んで愛撫して愛せば、もう少し扱いやすく……可愛い群青騎士になることは想像できる。しかし。
担当でもない。この言葉に、俺の気持ち全てが集約される。
クンツがこのまま、一輪寮に住むのはほぼ決定だ。そうすると予算が降りて、新しい奴隷が連れてこられることになる。誰かに取られる前提で子熊を開発する気など、少しもなかった。奴隷の配置換えはほとんどないが、理由があれば押し通る。
俺ならやれる。絶対新しい奴隷が来ても、クンツの相手じゃベッドに上がれたとしても、来たばかりの新しい奴隷のほうが心が折れる。そこで担当替えしてもらうのだ。
その後は、俺の幼妻として、ちゃあんと他のやつらにもわかるように、丁寧に身体を拓いてやろう。他の魔肛持ちの騎士のように、極上の身体にしてやるのだ。少しばかり強欲で、性に奔放で、変わった性格だけど、それはそれで可愛らしさがある。身体だけじゃなく、心も俺が開発してやる。
ああでも、後孔で楽に達することが出来る身体を、他の場所だけでイかせて、今度はそこでしか達しないようには、出来ないだろうか。……流石にむずかしいか。でもやってみる価値はある。
その後、エリーアスに担当替えを前提に、奴隷を見繕って欲しいと伝えて、一応了承された。さすがに替えるタイミングで、連続射精5回できたら、と条件をつけられたときはこの野郎、と思ったが、クンツを幼女としてみてしまう獣人で、旧知の仲でもあるベッカーを見つけられたのは僥倖だった。あの生真面目な男は、絶対クンツじゃ勃たない。
そうして、クンツは、俺のかわいい子熊は、ようやく俺のもとに転がり込んできてくれた。
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