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群青騎士団入団編
17.エリーアス様のご指導を受ける
しおりを挟むユストゥスのバカのせいで、バカのせいで、私はいらぬ恥をかいた。
少し時間が経って落ち着いてみれば、どうしてあんなことを泣きながら叫んだのだろうと、自己嫌悪に陥る。
しかもだ。一番腹が立つのは、ユストゥスに『愛して』と言わなければ、精液を勿体ぶるようになったことだ。ただでさえすぐに挿入してくれないのに、私にその言葉を言わせようとする。言わなければ言うまで、ぺろぺろぺろぺろしつこいぐらいに、全身舐めてきたり、私のおまんこも舐めたり弄んだりと、まぁやりたい放題だ。
……最近なんて、あの男、私の足の指の股まで、何度も何度も舐めてくるんだぞ。いくら洗浄で清めているとはいえ……あの変態め!
確かに、最終的に押し負けて、言ってしまう私も悪いかもしれない。でもあの男は私のもののはずなのに、なんで私の言うことを聞かないんだ。私が主人のはずだろう。
「えっ違うよ?別に奴隷って言っても、君がご主人さまじゃないからね」
「えっ」
リビングで暇そうにしていたバルタザールを捕まえて、ユストゥスのしつこい触れ合いのことについて愚痴を告げていたら、急にそんなことを言われた。
「騎士団所有なだけで、立場は君たちと同じだから。……よもや知らないわけじゃないよね、うちの国の隷属法」
「う……」
知らないとは言えずに、私は顔をそらした。バルタザールはメガネを外し、無駄に手入れを繰り返して再度かけるという動作をしつつ、私を半目で見やる。
「基本的に雇用主は騎士団であって、彼らは専属奴隷って呼ばれているけど、どちらかと言えば、バディとかパートナーの意味合いが強いんだよ。権力的には騎士の方が強いかもしれないけど、立場的には奴隷の方が強いでしょ?彼らの精液が君たちの生命線なんだから」
「でも、だからってあんなに、私の身体を好きにして良いはずがない」
「はぁ……そんなに言うなら、他の寮の奴隷と交換する?交換すると、ユストゥスくんは二度と、君の奴隷にはならなくなるけど」
そんなルールがあるとは知らなかった。基本的に奴隷を変えることはせず、どうしても理由があって奴隷との相性が合わない場合に、変えてもいいという騎士がいれば変えてくれるらしい。ベッカーの事情はまさしくこれにあたる。
「ということは、エリーアス様の元にユストゥスが戻ることも……」
「ないね。ちなみにベッカーくんも、一度君の奴隷として購入したから、再度交換と言っても、ベッカーくんも君の奴隷になることはない」
そこはいいのだ。ベッカーは、どうせ私を抱こうとなんてしない。というか今はベッカーのことはいい。
「どうする?交換しちゃう?僕としては、あれだけ性欲強いユストゥスくんを他寮に渡すの、すっごく惜しいんだけど」
「性欲が、つよい」
「彼、君以外にも毎日他の騎士に、精液あげてるからねえ。メンタル強いし、幻影魔法使って不可視化したら、全然知らない人前でも挿入出来るし。ああ、そういうこともあるから、出撃したときに、魔法あんまり使いすぎないようにね?馬車に連れ込む時間も惜しいときは、外でそのまま入れられるからね」
……。ふうん?私に3回も入れて、さらに他に注げるだけの余力があるのか。なるほど。
確かに他の奴隷が、私に精液を入れてくれることもある。逆にユストゥスも他に注ぐわけだ。もちろん、そんなことは、ここでは当たり前のことだ。
つまり、私も他の奴隷に、もっと注いでもらえるようにすればいいわけだ。そうすればユストゥスが、私の専属と言えど、私に注ぐ回数を減らしても問題ない話だ。私が上手く誘惑できれば、ユストゥスとする回数をゼロにしても、私は全然構わないわけで。
「わかった。別に、今のままで構わない」
「本当?あー良かった!ありがとうクンツくん。愚痴ならいつでも聞くからね!」
ぽんぽんと両肩を叩かれて、バルタザールは書類を手にすると、「じゃあ仕事するから、なんかあったら寮監室に来てね~」とあっという間に消え去ってしまった。若干、バルタザールの相談がなおざりだが、まあ話しただけでだいぶ気が紛れた。
それに、しなければいけないことがある。
私は決意も新たに、エリーアス様の部屋に向かった。部屋についてすぐ、ノックをする。中からはいつものように、艷やかな嬌声が聞こえた。
「んっは、ぁ……っはーいぃ?」
「クンツだが、少し話を聞いてほしい」
「っ、ふ、っぁ……っすこし、まっあっ、ぁん!べっかぁ……!」
今のエリーアス様の相手がベッカーでは、勝手にドアを開けて入るわけにはいかないとその場で待っていると、一際大きな喘ぎ声が聞こえたところで、急に静かになった。
次の瞬間、室内から慌ただしい物音がする。そのまま待っていると、忙しげな足音が近づいてきた。エリーアス様はこんな足音の立て方はしない。ということは。
開けられたドアからは、慌てて身繕いをしましたと言わんばかりのベッカーが立っていた。首筋には、今ついたばかりと思しき鬱血がある。
「急に邪魔をしてすまない」
<いや、別に構わねえよ。嬢ちゃんはエリーアスが好きだもんなあ>
問題ないと手を動かすベッカーは、すぐさま私を抱き上げて、頬を擦り合わせてきた。欲情するような、ふしだらな匂いがするかと思ったが、すぐに洗浄魔法を使ったらしく、彼の野性味溢れる体臭がうっすら感じれるのみだ。……ううん。やはり頬がじょりじょりする。
「おじさま。すりすりはもう終わりにして、キスをしてもいいか?」
ずっと頬を擦り付けられると、肌が赤くなってしまうので、中断させるためにそう告げると、もうでろんでろんに甘い瞳で頷かれる。私は彼の首に腕を回して、ちゅっと軽く頬にキスをした。……うん。気恥ずかしい。
いい年した大人なのに、なにしてるんだとも思うのだが、私は今や、彼の『遠い親戚の姪』なのである。
私が『獣人の幼女』であることが、すっかり寮の先輩方にもバレてしまったのだ。隠す必要もなくなった時点で、どうせならもっと親しく呼んで欲しいと、ベッカーに請われた結果が、これだ。彼は私を姪として扱い、私は彼をおじさまと呼ぶ。
寮監であるバルタザールも、呼び方について容認したことが大きい。もう皆なんとも言えない表情だったが、それでも笑ったり揶揄することはなかった。むしろ納得されていたのが、私にとって少し釈然としない出来事だった。
最初はおいちゃんや、おじちゃんと呼んで欲しいとまで言われたのだが、流石にそこまで子供のような呼び方は憚られて、妥協してこの呼び方に定まった。貴族のご令嬢に呼ばれているようで、それはそれで嬉しいと言われたのは、記憶に新しい。
ご令嬢て。……いやもう、諦めたけども。両親でさえ敬称有りで名前呼びだった私には、だいぶ抵抗感があったが、押し切られた。
ここで初めて聞かされたのだが、ベッカーは訳ありの獣群連邦からの追放者らしい。里に帰ることもできない彼の境遇を思えば、これぐらい受け入れられるだろうと言うのが、バルタザールの言い草だ。
ユストゥス?あのような変態のことなど、私は知らない。
ベッカーは私との触れ合いで満足したのか、エリーアス様の部屋に入れてくれた。ベッドの上でうごめくシーツ……から這い出てくるエリーアス様が、呆れたようにベッカーを睨んでいる。
「まったく。お前は子熊が大好きだなベッカー」
<嬢ちゃんは可愛いからな>
私をベッド脇で下ろすと、くしゃりと頭を撫でてくる。そう言えば彼のお陰で、私は『可愛い』という手話を覚えたのだ。この私が、手話の単語を覚えることに成功したのだ。とても喜ばしい。
本当に、ただただ私の邪魔をするユストゥスよりも、紳士で男前で優しいベッカーは素晴らしいな。それだけに、私を抱けないという欠点があるのが、とても惜しかった。
「それで、クンツは何しに来たの?混ざれもしないのに」
「元々エリーアス様は、私におちんぽをわけてくれる優しさなど持ってないだろう」
「わぁ可愛くない」
ベッドに腰掛けていると、エリーアス様がうつ伏せのまま腕立て伏せの要領で、片腕を伸ばしてぐいっと鼻を摘んでくる。ただでさえ高くない鼻が潰れるから止めてくれ。
「相談に乗って欲しいのだ」
「相談?いいよなに?ああでも、ユストゥスのことなら、私に言っても無駄だからね」
「ユストゥスのことではない。私をエリーアス様みたいな、誰にでも抱いてもらえるド淫乱にしてほしいだけだ」
お願いした瞬間、空気が凍った。主にベッカーの周りが。エリーアス様は急に頭が痛くなったようで、眉間にシワを寄せたままこめかみを揉んでいる。
「……はぁ。ベッカー、マインラートが、バルタザールの備品チェックを手伝っているから、ちょっとそっち手伝ってきてくれないかな?」
<わかった。……嬢ちゃんほら、今日のおやつだ>
「クッキー!これも美味しくて好きだ。ベッカーのくれるものは、いつも幸せを感じる。ありがとう」
笑顔で受け取ると、ベッカーも微笑み返してくれたが、なぜか急に元気がなくなってしまい、しおしおと肩を落としながら部屋を出ていってしまった。クッキーが一枚だけ入った包みを広げ、口に運ぶ。
「ちゃんと教えれば学ぶのに、時々出る、君の空気の読まなさはなんなの、天然?それともリンデンベルガーの教育方針?」
「うん?私が家で学んだことは、戦い方だけだ。一応貴族として、最低限の教育は受けたと思うが……足りてないか?」
騎士として戦って、そして騎士として立派に死ぬことが、私の定められた目標である。そのための技や体作りなどは、記憶にないほど幼い頃からしてきたが、別に城に上がるわけでも、どなたかに仕えるわけでもないので、それ以外の教育はだいぶ大雑把だ。
今までは足りてなくても問題なかったが、やはり群青騎士となった以上、このままでは不味いのだろうか。……正直、手話の勉強だけで私は手一杯なのだが。
「……うーん。まあ君の家の話は、後で改めて聞くよ。それで、ド淫乱になりたいって?君もうド淫乱じゃないか」
すぐに足を開くし、とエリーアス様はこともなげに告げる。
「違う。そこは重要じゃない。誰にでも抱いてもらえる、ド淫乱になりたいのだ。今はあんまり抱いてもらえてないド淫乱なので、あまり意味がない」
私の言い回しがおかしかったのか、エリーアス様は口元を手で隠して震えている。普通に笑ってくれて構わないのだが。
「でも、クンツにはユストゥスがいるだろう」
「あの変態はいらない。ベッカーは無理だろうが、それ以外の奴隷が、思わず手を出してしまうような、そんなエリーアス様みたいな、ド淫乱がいい」
「君が私のことをどう思ってるか、よーくわかったよ……。つまりは、僕に、奴隷の誘い方を教わりたいってことだね」
身体を起こしたエリーアス様はシーツを剥ぐと、私と並び座って足を組んだ。なにやら面白そうなことを思いついたような表情をしている。断られるかと思ったが、これなら案外すぐに引き受けてくれそうだ。私は靴を脱ぐと、エリーアス様に向き合うように正座した。
「よろしくお願いします師匠」
「……君、敬語も喋れるんだね」
「まあ、一応は」
必要性を感じないので、ほとんど使わないが。
期待を込めた眼差しでエリーアス様を見つめると、ふふっと心底楽しそうに微笑む。
「ユストゥスの悔しがる顔が目に浮かぶようだ。いいよ。わかった。服脱いで」
「はい師匠」
身につけていた騎士服を脱いで、丁寧にたたむ。今は奴隷がそばにいないから、自分が畳まねばぐしゃぐしゃになってしまう。ユストゥスはよく私の服を脱がしたままにして、皺をつけるので許さない。マインラートを見習うといいのだ、あいつは。
「もうその時点で、色気も何もないんだけどねえ。まあいっか。ほら、ベッドに横になって」
えっでも、畳まないと皺になる……。エリーアス様は気にしないのか?生活魔法でしわ取りなどあっただろうか。そんなことを考えつつ、ベッドに横たわると、エリーアス様が覆いかぶさってきた。……んっ?
「エリ、っん」
名を呼ぼうとした口を塞がれた。ああ、ユストゥス以外とキスしてしまった。……いやいやあいつのことなど、もう気にするのは止めだ。今後は先輩方の奴隷を総ざらいするぐらい、すごくモテるド淫乱になって、ユストゥスから精液をもらわなくても、問題ないようになるのだから。
ユストゥスは他の騎士を抱けばいいのだ。
「んっ、ふ……ぅん」
エリーアス様の唇はふにふにしていて柔らかい。私より一回り小さい舌を絡め合って、唾液を流し込まれる。喉を鳴らして飲み干し、ちゅっと舌を軽く吸い付く。
「うん。キスは悪くない。しかし、あのユストゥスがこんなキスを、自分の子熊ちゃんに仕込むとはね」
「私はユストゥスのものではない。ユストゥスが私のものなのだ」
「……ふふ、変態はいらないんじゃなかったの?」
「いらなくとも専属なのだから、仕方ないだろう。それよりもエリーアス様、早く教えて欲しい。……じゃなくて教えてください」
危ない。うっかりすると敬語を忘れる。私の催促に、エリーアス様は身体を起こすと上半身をもっと上の方にずらし、下肢を私の顔に寄せてきた。目の前を、エリーアス様のエリーアス様がぶらぶらしている。
「エリーアス様……?」
「君、自分からご奉仕とか、なーんにもしないでしょう?ちゃんと実地で教えてあげるから。はい、おちんぽ咥えて」
「実地?くわえ……えっ?」
「なに驚いてるんだい?今から君は僕とセックスするんだよ。君が望めば、おちんぽがビンビンになるように、その身体に仕込んであげるから、ほら口を開いて」
エリーアス様が、私を抱く?
なんと言っていいかわからず、それでも何か言おうと口を開いた瞬間に、まだ力ない陰茎を、口に押し込まれた。
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