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群青騎士団入団編
19.咆哮<ユストゥス視点>
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俺がいつものように、群青騎士の鎧が保管してある倉庫で、クンツの鎧の手入れを行っていると、酔ってもない筈なのに酔っ払いが絡んできた。
<おいユストゥス、聞いてんのかよ!>
<聞いてるって>
声を発生することが出来ない俺たちは、手話で会話をするが、手話は互いの姿を視認しなければいけない。そこが不便だ。ベッカーが何か俺に言ってきているのはわかるが、邪魔してんじゃねえよ、もうちょっと待てっつうの。
雑に手を動かして適当に返事をし、手元の装備品に不具合がないか、一つ一つ丁寧に確認する。
俺の子熊は強い群青騎士だが、装備の不備で、あの子に怪我させちまうわけにはいかないのだ。だというのに、俺の嫁の親戚ヅラした、この頭のイカれた獅子は、俺の肩をがしっと掴むと、無理矢理に自分の方へと向けてくる。い、いてえ!俺の身体はそっちには曲がらねえんだよ!
やや本気で、俺はベッカーをぶん殴った。殴られた獅子はふしゃあっと威嚇してくるが、俺と目が合ったことで急いで手を動かす。
<お前、嬢ちゃんになにしてんだよ!あの子、今日はエリーアスに、ド淫乱にしてくれって頼みに来たんだぞ?!>
<ド淫乱かぁ……>
手をわきわきと動かして、言葉を濁す。俺の幼妻は、少し、頭も股もゆるゆるなのだが、それは魔孔持ちとしての性質もあるわけで、今更目くじらを立てるほどのことでもない。
つか、ここの騎士は皆、内心どうであれ、奴隷に足を開く淫乱しかいない。それをこの獅子は忘れてんだろうか。こいつもなんだかんだとエリーアス含め、他の騎士にも毎日ハメてるだろうに。
俺が胡乱げな眼差しになると、ベッカーはふんと鼻を鳴らした。
<ユストゥス、あの子を満足させてねえんじゃねえのか>
<あー?んだよお前、俺が子熊抱くの、怒ってたくせになんだよ>
そうだ。元々こいつは俺がクンツの専用奴隷なことを、さんざん罵ってたやつなのだ。確かに俺の嫁は獣人である俺とベッカーからすれば『幼女』だが、他の耳なしのやつらからすれば、クンツは立派な青年である。
筋肉で張りのある胸は、もうちょっと後から開発するつもりで、乳首もささやかな飾りのまま取ってある。体幹もきちんと鍛えているお陰で、密度の高い肉体の中でも、少し大きめでむっちりとした尻が好みだ。
尻が大きいせいか、男にはあまりない、なだらかで引き締まった腰のくびれがあって、大変エロい身体をしている。いつも俺が尾を探して撫で回しているうちに、尾骨付近を揉まれると感じるようになってしまった、ド淫乱でかわいい俺の幼妻なのだ。……あれ、何の話だったっけか。
<最初はあの子が汚されるようで嫌だったんだ。でも、今は必要だってことは十分理解してる。だからお前が嬢ちゃんの旦那ってのも、まあ、本当は、俺がもっとマシで紳士な野郎を見繕ってやりたいぐらいだが、しょうがねえから認めてやるよ>
<何様だお前>
後からここに来たくせに、図々しい野郎だなこいつ。でもまあ、肉欲なく可愛がるこいつがいると、クンツの機嫌がとてもいいから、俺も妥協して一緒にいることを許してやってる。
でもさ、抱き上げて頬ずりとか、膝の上に乗せて、手話しながら絵本とか、ほんとなら俺がしたいぐらいなんだが。ベッカーが、日に一度だけ菓子を渡すときの笑顔とか、ほんっと堪んねえ。
俺がそれを全部やると、すぐさま下半身すっぽんぽんにして、尻を押し付けてくるから、駄目なんだよなあ……。
違うんだ、単にイチャイチャしたい。ただ可愛がりたい。そう教えると、すごく不思議そうにきょとんとするから、心が抉られる。なんだよ可愛がりたくて触るのは駄目なのかよ、全部セックスしなきゃいけねえのかよ、ってなる。いや、魔孔持ちは特に、しょうがねえんだけど。
この寮には、今までは獣人が俺一人だったから、耳や尻尾の毛艶が、ストレスで悪くなってくのだってバレなかったが、今じゃベッカーがいるから、手入れにも一苦労だ。……クンツはほんっと全然、俺の状態には構わねえしな!
番にグルーミングされるのが、いっちばん俺らが喜ぶことだってことも、外見上獣の部分である耳や尾の美しさを誇るのが、獣人にとって重要だってことも、あの子熊は知らない。まあ俺だって言うつもりはねえよ。
俺は、クンツに、自分から俺を欲しがるようになってもらいたい。
<で、お前そんなことわざわざ言いに来たわけか?>
<わざわざとはなんだよ。……お前嬢ちゃんのこと愛してねえのか>
これにはかちんと来た。クンツの装備品を丁寧に戻すと、バカなことを口にする獅子の胸ぐらを掴んで、そのツラに一発打ち込んでやる。男はわずかにふらつきはしたものの、すぐさま俺を見返してきた。
<お前の言う愛するってことは、不自由を与えることか?いいか、群青騎士の体は、奴隷が全員で可愛がってやらなきゃいけねえんだよ。1人が専有し切るのは許されない。珍しくクンツは、魔孔持ちになった人間にしては、この強制的な性行為に、少しも嫌悪感を持たない素直な心と身体を持ってんだ、ド淫乱でなにが悪い。本人の好きにさせとけ>
ベッカーも今はエリーアスの専用奴隷だ。そのうち味わうだろう、魔孔持ちになったばかりの騎士が泣き叫んで嫌がるのを犯す、胸くそ悪い時間を。いつしか受け入れる、精液なしでは生きられない身体を無理やり馴染ませるための儀式を。
<ド淫乱で誰に股を開こうが、ちんこのことしか頭になかろうが、あれは俺の嫁だ。一生の番だ。あいつの心は、俺のものだ>
歯を見せて唸れば、ベッカーが驚いたように目を見開いた。手がなにか言いたげに動くが、意味の分かる言葉になってない。俺はちっと舌打ちをした。
元々種族的に独占欲が強すぎることは自覚しているが、それでもここで、そこまで深くそれを晒す気はなかったというのに、ベッカーの野郎め。
そもそも一番手に入れたい心は、まったくもって俺に落ちてこないところが、虚しさを倍増させる。俺にばかり警戒して爪を立てて、他の雄に尾を振る嫁を、誰が好きこのんで見たいと思うのだ。それでも悲しむ姿を見るよりは、ああやって奔放に振る舞う姿を見守った方が、断然ましに決まってる。
『愛して』と言わせることは、少し変化があったように思う。『穴』のままがいいとクンツは泣いたが、俺は穴でもなく、騎士でもなく、その中に隠れたあいつ自身が欲しい。
……自分でもどうしてこんなに惚れたのか、未だによくわからない。一目惚れに近いものだったが、あの性格は人に好かれはしても、愛されるには少し向いていない。ほんと、無神経だしな。
それでも、最近は、少しずつほぐれて、そっと顔を覗かせてきている。本来のあいつは、実際の歳とはかけ離れて、俺達獣人が認識するように、ひどく幼い気がするのだ。それを一番感じるのは、ベッカーとじゃれているときというのが腹立つが。
いくら新人奴隷のベッカーが望んだからといって、18歳の男が子供のように振る舞うなど、普通はしないだろう。最初はぎこちない様子をみせたが、今は平然と、まるで年相応に見えるほどに、甘えている。
<……悪かった。灰色狼に言う言葉じゃなかったな>
ベッカーは降参を示すように両手を上げた。
<わかればいい。お前は今まで通り、クンツを可愛がってやれよ。それが喜ぶ>
<わかってる。嬢ちゃんは俺の姪っ子だからな>
……いや、その思い込みは、どうかと思うんだが。
深く頷いているベッカーになんとも言い難く、俺は深呼吸すると、また黙々と手入れを続けた。
武器の手入れを終え、必要な備品の発注、自分たちの食事や諸々の所用を済ませた俺は、自分の視界にクンツが入らないことに首を傾げた。大抵クンツは、どこかの個室で抱かれているか、他の騎士たちと楽しげに訓練をしているか、頭を悩ませながらバルタザールの指導の元、手話の練習をしている。
合間に筋トレしたり、外で走っていたりすることもあるが、匂いを嗅げば、大抵どこにいるかはわかる。なのに、今日は少しも動いている気配がない。
<子熊見なかったか?>
「クンツ?いや、今日は見てないな。誰かとどっかの部屋にしけ込んでんじゃねえの?」
廊下で通りかかった汗だくで訓練用の服を身に着けているライマーに聞いても、首を横に振っただけだった。寮監室を覗いても、バルタザールしかいない。「朝から君の愚痴に付き合わされてまいったよ~」と、その愚痴の愚痴に付き合わされただけで終わった。
ベッドしかないヤリ部屋は、防音魔法がかかっているため中の様子は伺えないが、それでも今日入っていれば匂いでわかる。自室も何度も覗いたが、中には誰もいなかった。
……よもや、外出届けなしに外に出たか?いや、でも性行為にはタガが外れているが、言われたことは守る生真面目な性格をしているクンツが、無断で外に出たとは考えられなかった。バルタザールの様子からしても、外出届けを受けて、俺に秘密にしているような気配はない。誰かの自室にでも行ってるのか。いや、でもなあ。
「どうしたんだいユストゥス。なんだか落ち着かないようだけど」
何度も廊下を往復する姿を見られたのか、珍しくリビングで、ジギーの専属奴隷のハイルヴィヒ、ルヴィとライマーの専属奴隷のジルケと、乱交を終えた直後らしいエリーアスが、上機嫌でベッド周辺のクッションに寄りかかったまま、俺に話しかけてきた。
エリーアスは誰とでもヤるが、それにしてもリビングで、ルヴィとジルケを一度に誘うのは珍しい。マインラートかベッカーを相手にしていないときは、大抵ヤリ部屋に籠もってしまう。エリーアスは訓練もするが、性行為の時間が他の騎士と比べると格段に長い。
<ちょっとな>
俺は咄嗟にそう濁した。エリーアスはふうん?と何気ない素振りを見せるが、溢れ出る色気が男を誘っている。後ろで転がってる2人を絞ったくせに、足りねえのかよ。いつにもまして、絶倫すぎじゃねえのか。
「ユストゥス。時間があるならここで、君の大好きな子熊の話でもどう?」
段差に身を乗り出して、肘をつき、手のひらに顎を乗せて、エリーアスが俺を呼ぶ。物足りなげに自分の下唇を指先で撫で、甘い吐息を漏らしながらその指先を舐める仕草をする。騎士然とした、普段の清楚とした立ち振舞いから考えられないほどの色香で、その落差からよく他の奴隷が転ぶ。
この寮のやつらは慣れている方だと思うが、それでもふらっと来るものだ。
<って、俺まで搾り取る気かよ。悪いがまた後日な>
まあ元々エリーアス専属だった俺には、別段効くようなものではない。それに俺は自分にノルマを課して、決めた通りの順番で他の騎士に精を注いでいるので、その順番の日ではないエリーアスを抱く気はなかった。なかなか上手く他の奴隷を誘えなくて、腹を空かせてる嫁に与える分の、濃度が薄まるしな。
「なんだ。せっかくイイ話してやろうと思ったのに」
そんな声がかかるが、エリーアスに見破られたとおり、クンツの姿が見えなくて落ち着かない俺は、すげなくその場を後にした。
ライマーは会わなかったと言ってたが、訓練場の方まで見に行ってみるか。でもそれだと研修騎士服に着替えねえとなあ。肩肘張った格好はあまり好きじゃないが、しかたがない。
クンツが戻ってきたとき、喉が乾いていると可哀想なので、キッチンで新しい水をもらってから部屋に戻る。いつものように水差しを机の上に置いて、この部屋の奥にある、奴隷専用の、まあ俺専用の個室のドアを開けると、俺が追っていた幼妻の匂いが濃厚になって、足を止めた。
ここは奴隷のプライベートルームという名目なので、騎士が入り込むことは基本ない。その上クンツは俺を嫌がるので、俺の部屋には絶対近づかなかった。それなのに。
騎士たちの部屋と比べると格段に狭く、俺は足がでてしまう小さなベッドの上で、子熊が毛布にくるまっていた。ドアが開いた音で顔を上げ、その瞳に俺を写す。……怯えた光を灯す、その瞳に、俺はぞわりと総毛立った。
「あ……っと、すまない。勝手に入って。その、ここが、一番奥だから。だから、っ」
俺が一歩踏み出すと、クンツはベッドの上で後ずさった。それから不思議そうに自分の身体を見やり、毛布に包まったまま、ベッドを下りた。俺が避ければ、そのまま部屋を出ていき、自分の部屋で視線を彷徨わせる。そしてふと視線を備え付けの机に定めた。
椅子を引き出して、その中に潜り込む。けして小さくはない身体を、ぎゅっと縮こまるようにして。そしてふうっと息を吐いた。
俺がそちらに足を向ければ、息を潜めて俺の動向に注視している。短い呼吸を繰り返しているのが、俺の耳には届いた。
視線の高さを合わせるために、俺はその場で四つん這いになると、そろそろと近づく。視線はわざと合わせない。こんな状態で目を合わせてもより警戒を深めるだけだ。ぎりぎり俺の手の届かないところで動きを止めて、その場で蹲った。
もう完全に犬が丸くなるようなそんな姿勢に近い。クンツの足元あたりに向けていた目も閉じて、嫁の呼吸に耳を澄ませる。
時折深呼吸をして、息を整えようとする努力がみられた。乱れていた浅い呼吸が落ち着いてくるのがわかる。……喉は渇いてねえかな。これで俺が動いたらまた警戒するだろうから、もうちょっとあとか。
全神経を集中していると、ぐるる、となにかの鳴き声のようなものを耳にした。被せるようにして「ひっ」という引きつった声も漏れる。クンツの腹の音だ。
いつも朝は一度しか精液を飲ませてない。他の奴隷とはしなかったのか。レイプだろうがなんだろうが、中には出すように俺たちは厳命されているから、無理やり犯されたにしては、少し変だ。……そもそも、あんなにセックスを喜ぶクンツを相手に、レイプなんて成立はしないはずだ。
なのに、この怯えようは。
ふつふつと湧き出る怒りを堪えながら、俺は目を開いてゆっくりと顔を上げた。物音を立てないようにして強張った身体を動かして、その場にあぐらをかく。部屋の中がだいぶ暗くなっている。気づかなかった。……ああせっかく落ち着いたってのに、また息が乱れてやがる。
「ゆす、ゆすとぅす」
舌っ足らずに呼ばれた。深呼吸を繰り返して強ばる身体を動かして、のそのそと子熊が机の下から這い出てくる。まつげはしっとりと濡れていた。
「お、おまえの精液は、大丈夫だろうな?私は、孕んだりなんて、こどもなんて、出来はしないだろう?」
ひくっと、喉をひくつかせ、震えながら尋ねてくる。渦巻く感情が溢れ出しそうになったが、余分な動作はせず、俺は大きく頷いた。暗くはなってきているが、この暗さなら耳なしの、人の目でも見えるだろう。
「わ、たしは、騎士で、騎士でいないと、駄目なんだ。こどもなんて、いらないんだ」
ぐるるる、と子熊の腹が鳴った。ぽろんと瞬きしたその瞳から涙がこぼれ落ちる。這って近づいてきたクンツは、俺の胸に顔を寄せながら、真っ青な顔で囁いた。
「わたしを、ぁ、……ぁい、してくれ……っ」
腹が切なくて仕方がないのだろう。唇を震わせ、怯えも隠さないまま、いつもはすぐに口にしない、口にできない言葉で俺を誘う。
……くそったれ。誰だ。これは、この仕業は、奴隷じゃない。魔力を持たない奴隷じゃできない。外部からの侵入者を疑うことも出来なくはなかったが、クンツは群青騎士として優秀で、無防備に犯されたりするような、そんな弱さは持ち合わせていなかった。狭まっていく選択肢に、俺の疑いは、確信をもって1人の男に向けられる。
楽しげに笑う声が脳裏に再生された。
エリーアスッ!!
身を寄せてくる怯えきった妻を極力刺激しないように抱きしめながら、俺は声なく咆哮を上げた。
<おいユストゥス、聞いてんのかよ!>
<聞いてるって>
声を発生することが出来ない俺たちは、手話で会話をするが、手話は互いの姿を視認しなければいけない。そこが不便だ。ベッカーが何か俺に言ってきているのはわかるが、邪魔してんじゃねえよ、もうちょっと待てっつうの。
雑に手を動かして適当に返事をし、手元の装備品に不具合がないか、一つ一つ丁寧に確認する。
俺の子熊は強い群青騎士だが、装備の不備で、あの子に怪我させちまうわけにはいかないのだ。だというのに、俺の嫁の親戚ヅラした、この頭のイカれた獅子は、俺の肩をがしっと掴むと、無理矢理に自分の方へと向けてくる。い、いてえ!俺の身体はそっちには曲がらねえんだよ!
やや本気で、俺はベッカーをぶん殴った。殴られた獅子はふしゃあっと威嚇してくるが、俺と目が合ったことで急いで手を動かす。
<お前、嬢ちゃんになにしてんだよ!あの子、今日はエリーアスに、ド淫乱にしてくれって頼みに来たんだぞ?!>
<ド淫乱かぁ……>
手をわきわきと動かして、言葉を濁す。俺の幼妻は、少し、頭も股もゆるゆるなのだが、それは魔孔持ちとしての性質もあるわけで、今更目くじらを立てるほどのことでもない。
つか、ここの騎士は皆、内心どうであれ、奴隷に足を開く淫乱しかいない。それをこの獅子は忘れてんだろうか。こいつもなんだかんだとエリーアス含め、他の騎士にも毎日ハメてるだろうに。
俺が胡乱げな眼差しになると、ベッカーはふんと鼻を鳴らした。
<ユストゥス、あの子を満足させてねえんじゃねえのか>
<あー?んだよお前、俺が子熊抱くの、怒ってたくせになんだよ>
そうだ。元々こいつは俺がクンツの専用奴隷なことを、さんざん罵ってたやつなのだ。確かに俺の嫁は獣人である俺とベッカーからすれば『幼女』だが、他の耳なしのやつらからすれば、クンツは立派な青年である。
筋肉で張りのある胸は、もうちょっと後から開発するつもりで、乳首もささやかな飾りのまま取ってある。体幹もきちんと鍛えているお陰で、密度の高い肉体の中でも、少し大きめでむっちりとした尻が好みだ。
尻が大きいせいか、男にはあまりない、なだらかで引き締まった腰のくびれがあって、大変エロい身体をしている。いつも俺が尾を探して撫で回しているうちに、尾骨付近を揉まれると感じるようになってしまった、ド淫乱でかわいい俺の幼妻なのだ。……あれ、何の話だったっけか。
<最初はあの子が汚されるようで嫌だったんだ。でも、今は必要だってことは十分理解してる。だからお前が嬢ちゃんの旦那ってのも、まあ、本当は、俺がもっとマシで紳士な野郎を見繕ってやりたいぐらいだが、しょうがねえから認めてやるよ>
<何様だお前>
後からここに来たくせに、図々しい野郎だなこいつ。でもまあ、肉欲なく可愛がるこいつがいると、クンツの機嫌がとてもいいから、俺も妥協して一緒にいることを許してやってる。
でもさ、抱き上げて頬ずりとか、膝の上に乗せて、手話しながら絵本とか、ほんとなら俺がしたいぐらいなんだが。ベッカーが、日に一度だけ菓子を渡すときの笑顔とか、ほんっと堪んねえ。
俺がそれを全部やると、すぐさま下半身すっぽんぽんにして、尻を押し付けてくるから、駄目なんだよなあ……。
違うんだ、単にイチャイチャしたい。ただ可愛がりたい。そう教えると、すごく不思議そうにきょとんとするから、心が抉られる。なんだよ可愛がりたくて触るのは駄目なのかよ、全部セックスしなきゃいけねえのかよ、ってなる。いや、魔孔持ちは特に、しょうがねえんだけど。
この寮には、今までは獣人が俺一人だったから、耳や尻尾の毛艶が、ストレスで悪くなってくのだってバレなかったが、今じゃベッカーがいるから、手入れにも一苦労だ。……クンツはほんっと全然、俺の状態には構わねえしな!
番にグルーミングされるのが、いっちばん俺らが喜ぶことだってことも、外見上獣の部分である耳や尾の美しさを誇るのが、獣人にとって重要だってことも、あの子熊は知らない。まあ俺だって言うつもりはねえよ。
俺は、クンツに、自分から俺を欲しがるようになってもらいたい。
<で、お前そんなことわざわざ言いに来たわけか?>
<わざわざとはなんだよ。……お前嬢ちゃんのこと愛してねえのか>
これにはかちんと来た。クンツの装備品を丁寧に戻すと、バカなことを口にする獅子の胸ぐらを掴んで、そのツラに一発打ち込んでやる。男はわずかにふらつきはしたものの、すぐさま俺を見返してきた。
<お前の言う愛するってことは、不自由を与えることか?いいか、群青騎士の体は、奴隷が全員で可愛がってやらなきゃいけねえんだよ。1人が専有し切るのは許されない。珍しくクンツは、魔孔持ちになった人間にしては、この強制的な性行為に、少しも嫌悪感を持たない素直な心と身体を持ってんだ、ド淫乱でなにが悪い。本人の好きにさせとけ>
ベッカーも今はエリーアスの専用奴隷だ。そのうち味わうだろう、魔孔持ちになったばかりの騎士が泣き叫んで嫌がるのを犯す、胸くそ悪い時間を。いつしか受け入れる、精液なしでは生きられない身体を無理やり馴染ませるための儀式を。
<ド淫乱で誰に股を開こうが、ちんこのことしか頭になかろうが、あれは俺の嫁だ。一生の番だ。あいつの心は、俺のものだ>
歯を見せて唸れば、ベッカーが驚いたように目を見開いた。手がなにか言いたげに動くが、意味の分かる言葉になってない。俺はちっと舌打ちをした。
元々種族的に独占欲が強すぎることは自覚しているが、それでもここで、そこまで深くそれを晒す気はなかったというのに、ベッカーの野郎め。
そもそも一番手に入れたい心は、まったくもって俺に落ちてこないところが、虚しさを倍増させる。俺にばかり警戒して爪を立てて、他の雄に尾を振る嫁を、誰が好きこのんで見たいと思うのだ。それでも悲しむ姿を見るよりは、ああやって奔放に振る舞う姿を見守った方が、断然ましに決まってる。
『愛して』と言わせることは、少し変化があったように思う。『穴』のままがいいとクンツは泣いたが、俺は穴でもなく、騎士でもなく、その中に隠れたあいつ自身が欲しい。
……自分でもどうしてこんなに惚れたのか、未だによくわからない。一目惚れに近いものだったが、あの性格は人に好かれはしても、愛されるには少し向いていない。ほんと、無神経だしな。
それでも、最近は、少しずつほぐれて、そっと顔を覗かせてきている。本来のあいつは、実際の歳とはかけ離れて、俺達獣人が認識するように、ひどく幼い気がするのだ。それを一番感じるのは、ベッカーとじゃれているときというのが腹立つが。
いくら新人奴隷のベッカーが望んだからといって、18歳の男が子供のように振る舞うなど、普通はしないだろう。最初はぎこちない様子をみせたが、今は平然と、まるで年相応に見えるほどに、甘えている。
<……悪かった。灰色狼に言う言葉じゃなかったな>
ベッカーは降参を示すように両手を上げた。
<わかればいい。お前は今まで通り、クンツを可愛がってやれよ。それが喜ぶ>
<わかってる。嬢ちゃんは俺の姪っ子だからな>
……いや、その思い込みは、どうかと思うんだが。
深く頷いているベッカーになんとも言い難く、俺は深呼吸すると、また黙々と手入れを続けた。
武器の手入れを終え、必要な備品の発注、自分たちの食事や諸々の所用を済ませた俺は、自分の視界にクンツが入らないことに首を傾げた。大抵クンツは、どこかの個室で抱かれているか、他の騎士たちと楽しげに訓練をしているか、頭を悩ませながらバルタザールの指導の元、手話の練習をしている。
合間に筋トレしたり、外で走っていたりすることもあるが、匂いを嗅げば、大抵どこにいるかはわかる。なのに、今日は少しも動いている気配がない。
<子熊見なかったか?>
「クンツ?いや、今日は見てないな。誰かとどっかの部屋にしけ込んでんじゃねえの?」
廊下で通りかかった汗だくで訓練用の服を身に着けているライマーに聞いても、首を横に振っただけだった。寮監室を覗いても、バルタザールしかいない。「朝から君の愚痴に付き合わされてまいったよ~」と、その愚痴の愚痴に付き合わされただけで終わった。
ベッドしかないヤリ部屋は、防音魔法がかかっているため中の様子は伺えないが、それでも今日入っていれば匂いでわかる。自室も何度も覗いたが、中には誰もいなかった。
……よもや、外出届けなしに外に出たか?いや、でも性行為にはタガが外れているが、言われたことは守る生真面目な性格をしているクンツが、無断で外に出たとは考えられなかった。バルタザールの様子からしても、外出届けを受けて、俺に秘密にしているような気配はない。誰かの自室にでも行ってるのか。いや、でもなあ。
「どうしたんだいユストゥス。なんだか落ち着かないようだけど」
何度も廊下を往復する姿を見られたのか、珍しくリビングで、ジギーの専属奴隷のハイルヴィヒ、ルヴィとライマーの専属奴隷のジルケと、乱交を終えた直後らしいエリーアスが、上機嫌でベッド周辺のクッションに寄りかかったまま、俺に話しかけてきた。
エリーアスは誰とでもヤるが、それにしてもリビングで、ルヴィとジルケを一度に誘うのは珍しい。マインラートかベッカーを相手にしていないときは、大抵ヤリ部屋に籠もってしまう。エリーアスは訓練もするが、性行為の時間が他の騎士と比べると格段に長い。
<ちょっとな>
俺は咄嗟にそう濁した。エリーアスはふうん?と何気ない素振りを見せるが、溢れ出る色気が男を誘っている。後ろで転がってる2人を絞ったくせに、足りねえのかよ。いつにもまして、絶倫すぎじゃねえのか。
「ユストゥス。時間があるならここで、君の大好きな子熊の話でもどう?」
段差に身を乗り出して、肘をつき、手のひらに顎を乗せて、エリーアスが俺を呼ぶ。物足りなげに自分の下唇を指先で撫で、甘い吐息を漏らしながらその指先を舐める仕草をする。騎士然とした、普段の清楚とした立ち振舞いから考えられないほどの色香で、その落差からよく他の奴隷が転ぶ。
この寮のやつらは慣れている方だと思うが、それでもふらっと来るものだ。
<って、俺まで搾り取る気かよ。悪いがまた後日な>
まあ元々エリーアス専属だった俺には、別段効くようなものではない。それに俺は自分にノルマを課して、決めた通りの順番で他の騎士に精を注いでいるので、その順番の日ではないエリーアスを抱く気はなかった。なかなか上手く他の奴隷を誘えなくて、腹を空かせてる嫁に与える分の、濃度が薄まるしな。
「なんだ。せっかくイイ話してやろうと思ったのに」
そんな声がかかるが、エリーアスに見破られたとおり、クンツの姿が見えなくて落ち着かない俺は、すげなくその場を後にした。
ライマーは会わなかったと言ってたが、訓練場の方まで見に行ってみるか。でもそれだと研修騎士服に着替えねえとなあ。肩肘張った格好はあまり好きじゃないが、しかたがない。
クンツが戻ってきたとき、喉が乾いていると可哀想なので、キッチンで新しい水をもらってから部屋に戻る。いつものように水差しを机の上に置いて、この部屋の奥にある、奴隷専用の、まあ俺専用の個室のドアを開けると、俺が追っていた幼妻の匂いが濃厚になって、足を止めた。
ここは奴隷のプライベートルームという名目なので、騎士が入り込むことは基本ない。その上クンツは俺を嫌がるので、俺の部屋には絶対近づかなかった。それなのに。
騎士たちの部屋と比べると格段に狭く、俺は足がでてしまう小さなベッドの上で、子熊が毛布にくるまっていた。ドアが開いた音で顔を上げ、その瞳に俺を写す。……怯えた光を灯す、その瞳に、俺はぞわりと総毛立った。
「あ……っと、すまない。勝手に入って。その、ここが、一番奥だから。だから、っ」
俺が一歩踏み出すと、クンツはベッドの上で後ずさった。それから不思議そうに自分の身体を見やり、毛布に包まったまま、ベッドを下りた。俺が避ければ、そのまま部屋を出ていき、自分の部屋で視線を彷徨わせる。そしてふと視線を備え付けの机に定めた。
椅子を引き出して、その中に潜り込む。けして小さくはない身体を、ぎゅっと縮こまるようにして。そしてふうっと息を吐いた。
俺がそちらに足を向ければ、息を潜めて俺の動向に注視している。短い呼吸を繰り返しているのが、俺の耳には届いた。
視線の高さを合わせるために、俺はその場で四つん這いになると、そろそろと近づく。視線はわざと合わせない。こんな状態で目を合わせてもより警戒を深めるだけだ。ぎりぎり俺の手の届かないところで動きを止めて、その場で蹲った。
もう完全に犬が丸くなるようなそんな姿勢に近い。クンツの足元あたりに向けていた目も閉じて、嫁の呼吸に耳を澄ませる。
時折深呼吸をして、息を整えようとする努力がみられた。乱れていた浅い呼吸が落ち着いてくるのがわかる。……喉は渇いてねえかな。これで俺が動いたらまた警戒するだろうから、もうちょっとあとか。
全神経を集中していると、ぐるる、となにかの鳴き声のようなものを耳にした。被せるようにして「ひっ」という引きつった声も漏れる。クンツの腹の音だ。
いつも朝は一度しか精液を飲ませてない。他の奴隷とはしなかったのか。レイプだろうがなんだろうが、中には出すように俺たちは厳命されているから、無理やり犯されたにしては、少し変だ。……そもそも、あんなにセックスを喜ぶクンツを相手に、レイプなんて成立はしないはずだ。
なのに、この怯えようは。
ふつふつと湧き出る怒りを堪えながら、俺は目を開いてゆっくりと顔を上げた。物音を立てないようにして強張った身体を動かして、その場にあぐらをかく。部屋の中がだいぶ暗くなっている。気づかなかった。……ああせっかく落ち着いたってのに、また息が乱れてやがる。
「ゆす、ゆすとぅす」
舌っ足らずに呼ばれた。深呼吸を繰り返して強ばる身体を動かして、のそのそと子熊が机の下から這い出てくる。まつげはしっとりと濡れていた。
「お、おまえの精液は、大丈夫だろうな?私は、孕んだりなんて、こどもなんて、出来はしないだろう?」
ひくっと、喉をひくつかせ、震えながら尋ねてくる。渦巻く感情が溢れ出しそうになったが、余分な動作はせず、俺は大きく頷いた。暗くはなってきているが、この暗さなら耳なしの、人の目でも見えるだろう。
「わ、たしは、騎士で、騎士でいないと、駄目なんだ。こどもなんて、いらないんだ」
ぐるるる、と子熊の腹が鳴った。ぽろんと瞬きしたその瞳から涙がこぼれ落ちる。這って近づいてきたクンツは、俺の胸に顔を寄せながら、真っ青な顔で囁いた。
「わたしを、ぁ、……ぁい、してくれ……っ」
腹が切なくて仕方がないのだろう。唇を震わせ、怯えも隠さないまま、いつもはすぐに口にしない、口にできない言葉で俺を誘う。
……くそったれ。誰だ。これは、この仕業は、奴隷じゃない。魔力を持たない奴隷じゃできない。外部からの侵入者を疑うことも出来なくはなかったが、クンツは群青騎士として優秀で、無防備に犯されたりするような、そんな弱さは持ち合わせていなかった。狭まっていく選択肢に、俺の疑いは、確信をもって1人の男に向けられる。
楽しげに笑う声が脳裏に再生された。
エリーアスッ!!
身を寄せてくる怯えきった妻を極力刺激しないように抱きしめながら、俺は声なく咆哮を上げた。
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あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
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弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
できるかぎり毎日? お話の予告と皆の裏話? のあがるインスタとYouTube
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
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異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
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2023/04/06 後日談追加
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騎士×妖精
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