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新規任務準備編
幕間:義務(下)<ユストゥス視点>
しおりを挟む完全にへそを曲げた幼妻が布団の中に潜り込んでいく。でも俺の耳は聞き逃さなかった。グーッとクウの腹の音が鳴ったのを。
一にも二にもちんこが大好きなお嫁様が、俺がいないだけで、しないなんて言うとは思わなかった。ドゥシャンは俺を疑いの目で見るが、俺は逆にドゥシャンを不審な目で見てしまう。
「おっさん、俺の嫁になんかした?」
「は……しようとしたところで、やめたんだろうが」
「だよな……はぁ」
ドゥシャンは、寮の外では珍しく自制を持ってクウに手を出してくれる、ありがたい協力者だ。あんまり批難するわけにもいかない。俺はこんもりと布団で、山を作ったクウの身体をゆっくりと撫でた。
「クウ、顔出せ。……何が気に食わないんだ?」
極力優しい声を出すと、もそりと山が動く。少しだけ隙間が空いたので、そこから中を覗き込んだ。息苦しさもあってか、暗い中でお嫁様の呼吸が跳ねている。出てくる様子もないが、隙間を閉じる気配もなかった。なのでちょっと考えて、顔を突っ込む。
顔が突っ込まれてくるとは思ってなかったのか、クウはびくっと身体を震えさせた。両手で頬を包み、下唇を指で撫でる。開いた唇をゆっくりと塞ぐと、すぐに熱い舌を絡めてきた。角度を変えてキスを繰り返すと、クウは大きくため息をついた。
「私を……私が、どこも変わってないことを、お前には見守っていてほしい。私より……その、お前の方が、私のことを知ってるだろう……?だから、見ていてくれ。目を離さないでほしい」
ぞわりときた。
記憶を失って、俺がいたことで、記憶を失ったことに気づいてしまったから、クウは少し不安定になってる。
気が急くばかりで、俺はクウが不安がってることに気づいてやれなかった。いつもと同じように見えていただけで、内心自分が何を忘れたのかわからずに怯えているんだろう。
俺は迂闊な自分を、罵倒したい気分でいっぱいだった。
「……わかった。見ててやる。ドゥシャンと交尾できるな?」
「する」
「よし、じゃあ出てこい」
ずるずるとお嫁様を布団から引っ張り出して、俺はドゥシャンを見た。熊は耳もいい。どんな話をしたか聞こえていたんだろう、こめかみを押さえている。
「というわけで、俺はここで見てる」
「別に俺が無理に、クーちゃん抱かなくてもいいんじゃねえのか?」
「駄目だ。あんたがクウに慣れておいてくれ」
「ドゥシャン……拒否してすまなかった。ちゃんとできるから、おまんこしてくれ」
お嫁様にしっとりとした目で見上げられて、ドゥシャンは少し顔を赤らめながら「わかった、わかった」と手を振った。なので俺は大熊にクウを渡して、鎧を外しながら、隣のベッドに腰を下ろす。
「匂いさえ気にしなきゃ、クーちゃんは本当に成獣なんだがなあ……」
「どこもきちんと、大人に育っている。見てくれ」
ドゥシャンは一番成獣らしさを感じるのか、ここに来る前に着けさせた手袋を丁寧に外して、クウの指や手のひらを優しく指で撫でている。
クウはもう片方の手で分厚いドゥシャンの胸板を撫でると、自分のスカーフをするりと外した。掴まれていたもう片方の手が自由になると、丁寧に服を脱いでいく。
ドゥシャンの手じゃ、大きすぎて、お嫁様の服が脱がせないことをわかっているのだ。その間にドゥシャンも着ていた服を脱ぎ捨てる。鎧はさっき俺が部屋の外に出た時点で脱いでいた。
服を脱ぎ捨てた幼妻の身体は、やっぱり綺麗だった。しっかりと付いた実践向きの筋肉に、むっちりとした尻。ふっくらとした胸も相変わらず美味そうで、全身をじっと眺めてしまう。あーやっぱあのしっぽ、よだれでべたべたになるぐらい舐め回してえなあ。でもここはお湯を借りてくるしかできないし、魔具で洗浄するんじゃ、毛の必要な水分まで飛ばしそうで怖い。
ドゥシャンは少し悩んで、対比するとどうしても小さく見えるお嫁様を、自分の腹の上に乗せた。
「は、ぁん、む……」
大きな口に、食いつかれんばかりのキスを受ける。ドゥシャンの手がクウの身体を撫でまわして反応を見ていた。……前回はすぐに突っ込んじまってたからなあ。巨漢だから、パートナーの身体を気遣って、丁寧に開いていくんだろう。そんな丁寧な手つきが見える。
「あっ、ん……んっ」
首筋をべろんと舐め上げられ、背筋から背骨を辿って降りた手に、尾の付け根を柔らかく触れられて、クウが髪を乱す。いい感じに気持ちよさそうだ。目を閉じて愛撫に身を任せていたクウだったが、ちらりとこちらを気にしてくる。大丈夫、ちゃんと見てるって。
軽く頷いてやると、少しだけ表情を綻ばせた。……うーくっそかわいい。じわっと欲情に俺のちんこが反応してくる。ドゥシャンが上手くハメられたら、少し時間をおいて、あとで俺もハメよう。無駄打ちする気は全くない。
気分が乗ってきたのか、クウの表情が明るくなった。今までも別に暗かったわけじゃないが、リラックスしてドゥシャンの手を受け入れているのが、よくわかる。ドゥシャンも俺をそれほど気にしなくなってきたのか、クウの片足を大きく持ち上げて、ぱくっとペニスを口に含んだ。
さすが大型獣人。体格並みのクウの性器がほんと小さく見える。くちゅくちゅと大きな口に、柔らかい陰嚢まで含めて嬲られて、クウは嬌声を上げた。
「あっ、あ!っドゥシャ……ったべちゃっ、あ、あ、ひぃっ!すわ、ないでく……ぁあっ!」
くしゃっとドゥシャンの黒髪をかき乱して、手が雄の耳を霞める。それだけで、ドゥシャンの凶器が頭を擡げ始めた。……ほんっとマジででけえなアレ。よく入るもんだ。
あーぷるぷるしてるしっぽが、お嫁様のしっぽがかわいいー。あ、きゅって尻にえくぼができた。ちんこの刺激で、達したらしい。
「ぁあ、あっあんっ!らめ、ドゥ、シャ、っあ!……ちゅうちゅう、するな、ぁあ……っ!」
寮だと、魔肛に精液を注ぐことを重視するから、ちんこはメインで刺激されないことの方が多い。だからそこを重点に責められることに、クウは慣れてないのだ。
ドゥシャンはひんひん喘ぐお嫁様の性器を口にしたまま、人差し指を口に含み、白濁交じりの唾液で濡らしたあと、尻のはざまをすりすりと人差し指で撫でた。人族だったら、普通の男の性器ぐらいありそうだよなあの指。
「お、っちんぽ、おちんぽは、いいから……っドゥシャン……おまんこ、してぇ……?」
「気持ちよくねえか?そんなことねえだろ」
「ひぃっ!や、っやーぁ!」
ぷるんとドゥシャンの口から飛び出たお嫁様のちんこは、包茎が剥かれて、赤くぷりっとした亀頭を覗かせていた。達した直後にあれだけまた硬くなるぐらい舐められて、うっすらと目に涙を滲ませる。頬は上気して、喘ぐ姿はどう考えても快感を受け入れていた。
あーあ。そんな気持ちいいって顔したら、おっさん、逃がしてくれねえぞ。
「クーちゃんだって男の子だろ?ちゃんと女の人に入れる練習せんと」
「っ、いい!要らない!だめっあっあっ、ぁあっ!」
おっさん、めっちゃ親切心なんだろうなぁ。尻に指は入れてるけど、どう考えても、前を刺激することに重点置いてる。自分の性器舐めさせるわけでもねえし、……これもグルーミングの一環か?
とうとうクウが泣き出してしまった。俺に助けを求めるような視線を向けるが、俺は心を鬼にして<出してもらえるまで我慢しろ>と手話で伝える。ただ、少しだけ助け舟を出した。
「おっさん、ちゃんと中出し忘れんなよ」
「……わあっとる」
ドゥシャン、結構クンニとか好きなのかな。でも相手が自分の手管に溺れる様を見るのは、楽しいのはわかる。俺も好き。今度は俺も穴だけじゃなくて、ちんこもいっぱい舐めてやるかな。
後ろ入れられると突く場所によって、前も達しちまうから、イく回数が増えて、大変になるのはクウなんだけどな。
そんな感じで、連続で3回も前だけでイかされて、お嫁様はもうぐにゃぐにゃになっていた。
口からは唾液も溢れてるし、ドゥシャンの指を2本受け入れてた後ろも、前の刺激で、ひくひくエロく締め付けてる。中をかき回しても痛みを訴えることなく、柔らかく広がるソコに、ドゥシャンはそろそろいいかと思ったのか、熟れた穴からゆっくりと指を引き抜いた。
足腰が立たなくなったお嫁様は、ドゥシャンの胸にしなだれかかって、荒い呼吸を整えようとしている。その背に迫る、でかい性器には気づいてなさそうだ。
「クーちゃん、入れるぞ。まだへばっちゃなんねえぞ」
「あぅ……」
こくこく、と頷くが、ほとんど喋れなさそうだった。そんなクウを、ドゥシャンはベッドにうつ伏せに寝かせて、足を開かせる。
淫蕩な後孔は雄を求めて、くぱくぱと媚肉を覗かせていた。お嫁様の幼い体臭は鳴りを潜め、甘ったるい、雌が発情した匂いが鼻をくすぐる。前は外だったから匂いは散ったが、これだけ部屋に充満してれば、そりゃドゥシャンもびんびんになるよなあ。……俺も、完全に勃起してるけど。
クウはぐったりとしていたが、それでも背に手を回し、肩で身体を支えて、臀部を広げて見せた。動かない身体を揺らして、ドゥシャンを誘ってる。ふーふーと、荒い獣の息遣いが聞こえた。
「あ、っぁ、あっあっ、ドゥシャ、まっれ、ぁあっ!」
「やっぱりでかいだろうクーちゃん……」
「ゆっくり、ゆっくり、して!はいりゅっ、からっ」
角度が悪くてよく見えないので、俺もベッドに寝そべりながら眺める。おっさん、この間よりエラが張ってんじゃねえのか?あの血管とかすごっ。ぐぐっと押し込まれて、クウの身体が前にずれる。枕を抱き込んだクウは、肩で息をしながら、背中を反らせた。つうっと伝う汗がエロい。舐めてえ~。
ドゥシャンの手が、それ以上前にずれないように、お嫁様の肩を掴んだ。……手型の痣とか残したら、俺ガチギレするかも。丁寧に扱ってくれよ、頼むから。
「く……っぉ、お……」
「ひぁ、ああ、ふと、ふといぃ……っ」
萎えたクウのペニスからは、とろとろと壊れたように精液が伝う。あーやっぱあそこも、あとで舐めてやろう。ずぷっと赤黒い亀頭が飲み込まれて、クウもドゥシャンも、大きく息をついた。小刻みに揺らしながら、ドゥシャンが性器を沈めていく。
大熊の下で苦しがってないかと様子を伺えば、少しだけ眉根を寄せた、それでも感じているお嫁様と目が合った。とたんにぶわっと顔に朱が広がり、逆側に顔を逸らされる。せっかく広げていた穴が締まったのか、ドゥシャンが低く唸った。
「く、クーちゃん、ちいっと緩めてくれ、せま……っお、ぅッ」
「んっぅぅうー……っ!!」
背を丸めたクウが、びくびくと身体を跳ねさせている。枕でも噛み締めてるのか、くぐもった声が漏れた。魔肛が本領を発揮し始めたようで、ドゥシャンの手がクウの腰を掴み、前後に腰を揺らし始める。やっぱ根元までは入り切ってないが、それでも十分気持ちよさそうに、双方から声が漏れた。
にしても、ドゥシャンがお嫁様の腰掴むと、なんつうか……全身が前後に揺さぶられてて、まるでソレ専用の……。いや、やめよ。
ともかく、2人とも本能に従って身体を動かしていた。卑猥な水音が響く。俺の耳がぴくぴくっと動いた。……お嫁様が、吐息だけで俺を呼んでやがる。あーもー!ちんこいてえ!
「っく……!」
「ぁあっああああ!!」
より深く突き上げて、ドゥシャンが達した。腹ン中いっぱいに精液を注がれて、クウが甘い咆哮を上げる。むっちりとした尻を大きく揺らして、そのままずるりと弛緩した。
うーん、ドゥシャンはほんと貴重な協力者だけど、この感じだと毎回、クウが体力尽きそうだな……。野宿でやったみてえにお嫁様に跨らせた方がよさそうだ。バックから入れると、獣の本能が手加減なしに発揮しやがる。
「はぁ……」
「あ、ドゥシャン。もう一回中出ししな」
大熊が満足して子熊からちんこを引き抜こうとしたから、俺は早めにそう声をかけた。ドゥシャンが驚いて目を見開く。
「は?……お前さん鬼畜か?」
「うるせえな。クウのケツは欲張りなんだよ。なあクウ、頑張れるだろ?」
おっさんの精液が固形並みに濃厚なら、いらないっていうかもしれないが、多分嫌がらないはずだ。ベッドを降りてしゃがみ込み、ドゥシャンの下にいるクウを覗き込むと、はふはふ呼吸を乱したお嫁様は、はっきりくっきり、大きく頷いた。
「びゅって、ドゥシャ……せーえき、びゅうってしてっ」
おかわりの催促に、ドゥシャンは小さく唸る。でもそれはそれは優秀な魔肛が、また丹念におっさんの性器を刺激し始めた。
それから十数分後。ぐったりとうつ伏せになり、ベッドに沈み込んだままのクウは、意識はありそうだったが、だらしなく足を開いたまま、肩で呼吸を繰り返していた。さすがに精液の量が多かったからか、とろとろと白濁が溢れ出ている。
「俺は、メシ食って湯をもらってくるから、お前さんあとは頼んだぞ」
「任せとけ」
結局満足しちまった自分がどこか後ろめたいのか、おっさんは肩を落としつつ、服を着て部屋を出ていく。ドゥシャンがもうちょっと身体がちいさけりゃなあ。熊獣人としても、サイズが規格外だ。だから護衛に選ばれたんだろうけど。
「クウ」
俺は荷物から洗浄魔具と、昏睡魔具を取り出すと、声をかけた。手がぱたりと力なく動く。返事もしたくないらしい。
「ザーメン、漏れちまってるから俺も入れるぞ」
「っ……」
「いいか?」
こくっと、クウの頭が縦に振られる。耳まで真っ赤だ。……お嫁様、やっぱ俺の事、好きすぎるだろう。
クウのことは動かさないようにして、じゅぶっとナカにちんこを差し入れる。貪欲な穴はじゅぶじゅぶと俺をなぶってきたが、それには耐えた。蠕動させるとナカが精液を飲み込みやすくなるから、吸収するまで待つ。
その状態で洗浄魔具を使って、クウの身体を清めた。重いかもなあと思いつつ、のしかかったまま、お嫁様の首筋に鼻先をうずめて匂いを嗅ぐ。あーほんっと、この匂いだけだと幼女だよなあ。
「ゆす、あんまり、かぐな」
「あん?なんで」
「よくわからないが、……恥ずかしいのだ」
「そっかー」
恥ずかしいのはわかった。でもやめねえ。
返事はしたが、そのまま匂いを嗅いでぺろりと首筋を舐め上げると、クウは諦めたのか、きれいに肌を赤く染めたまま、きゅうっと俺のちんこを締め付けてきた。……そろそろいいかな。
「クウ、頼みがあるんだけど」
「なんだ?」
「寝てるお前を抱きたいから、これで昏睡させてもいーか?」
ほらこれ、とイェオリから受け取った、おそらくクウと逢引するために、他人を昏睡させるための魔具を見せると、胡乱げな眼差しを向けられた。
「……嫌だ。ユスのおちんぽは、ちゃんと感じたい」
ん"ん"っ。素直だなあ。でもそれじゃ駄目なんだ。ごめんなお嫁様。
「じゃあちょっとだけ、寝てるお嫁様に入れて、反応をみてみてえの。……駄目か?」
耳をぺたんと垂らし、きゅーんと鳴いてやる。すると、ただでさえ眠たげな眼差しを、クウは半目にした。
「へんたい」
「わかってる」
「私は起きていたいと言っている。……そんな魔具など使わずとも、いつも好きに、私のおまんこに入れてるくせに」
「途中で起きないようにして、クウを犯したい」
「っ……この変態狼め!これだから、お前のことは……っき、きらいなのだっ!…………はぁ、もう……好きにしろ。でも、終わったら起こせ」
しおらしくも、絶対引かない意思で訴えると、目を伏せて頬を染めたまま、クウはしぶしぶ頷いてくれた。
あーお嫁様の好意に胡坐かいてる感じで、すっごく罪悪感があるー。つらいー。マジでごめんな、クウ。
許可が下りたので、初めて使う魔具を起動させる。眠たげだった瞳が閉じられ、規則正しい寝息を漏らし始めた。
昏睡魔具の効果は、取扱説明書によると、15分程度だ。掛かれば、その間は完全に目覚めないらしい。その後は通常の睡眠に移行するらしいが、15分じゃ全然全身グルーミングも出来ねえよなあ。俺、お嫁様とエッチするなら最低2時間は欲しいし。
正直、こういう用途でしか、これの使い方がわかんねえ。
寝たのを確認して、身体を起こし、魔具を荷物に戻しながら金属カップと水の魔石と、そして日中、クウから預かった記憶のかけらを取り出す。
落ちた拍子に割れたクッキーと、それを包んでいたメッセージ付きの紙だ。
水の魔石は、カップを軽く振って水を出すと、俺は寝ているクウを抱き上げて、その水を口移しで飲ませた。
……よし、ちゃんと飲んだ。これならいける。
喉がこくこくっと動いたのを確認してから、今度は、割れたクッキーを手にする。幸運なことに紙ごと落ちたから、クッキー自体は地面に触れてない。
けど、いつクウの任務が終わるかわかんねえから、本当なら、メッセージが書かれた紙だけ残して、これは俺が食べるか、捨てた方がいいんだろう。長期間、食べ物を保存するような魔具は持ってないし、下手に見せて、また記憶をなくさせるわけにはいかない。
……でも、だからこそ、クウは覚えてなくても、食べたいと思うんだよなあ、このクッキー。
「こんな手しか思いつかなくて、ごめんな」
すやすや眠るお嫁様に謝ると、俺はクッキーを数回に分けて、噛み砕き、水を混ぜてとろとろにすると、口移しで飲み込ませた。
寝ていても素直なクウは、ちゃんと液体になったクッキーを飲み込んでくれた。美味しかったのか、少し笑ってる。そんな幸せそうな表情を浮かべるクウを、俺は強く抱き締めた。奥歯を噛んで、喚きたい気持ちを堪える。
ああだめだ。口の中に味が残ってて、それがまた引き金になると困るから、ちゃんと証拠隠滅しないといけない。……これはほんとに完全に、俺の自己満足でしかない。でも、クッキーはクウが食べたってことを、俺は知っておきたかった。
何度も水を飲ませて、口の中に菓子の味が残ってないかを舌で味わって、キスを繰り返す。何度も口づけしたから、ぷっくりした唇がエロい。
ちゅっと吸い付いて甘噛みしてると、クウのまつげが震えた。15分経ったのか。……どうか、気づきませんように。
「ん……っ?……っふふ。なんだ、どうした。そんなキュンキュン鳴いて」
クウは何事もなかったかのように目を開いて、俺を見て微笑んだ。俺がしたことには、少しも気づいてない。よかった。残念だけど、でも、やっぱよかった。
「いや、やっぱ、反応のないクウはやだなって思ってな」
首筋に顔をうずめながらゴロゴロ喉を鳴らす。すると、クウは上機嫌に俺を抱き返してきた。
「そうだろう、そうだろう。……なあユス。いつものように、私をあいしてくれ」
「もちろんだお嫁様。愛してるぞ」
クウの望み通り、いつものように手順を踏んで、全身を愛してやろう。連戦で疲れてるかもしれないが、その方が喜ぶ。
まずは、キスから始めよう。下唇を指でふにふにと撫でて、甘い口づけを落とす。
「私は、お前が、きーらーいーだっ」
テンポよく口にしながら、クウはくふ、と笑みを漏らした。
知ってるよ。……そのままどうかずっと、クウの術が解けるまで、俺を嫌っててくれ。
そんなどこか願いにも似た気持ちを持ったまま、俺は大事なお嫁様をベッドに押し倒した。
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