きもちいいあな

松田カエン

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王国崩壊編

152.王国に巣くうモノ。

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 訪れた屋敷はずいぶんと長閑な田園地帯にぽつんと佇む豪邸だった。周囲に田しかないというのは警備をする側からすればやりやすい。敵襲を察知しやすいのだ。3メートル近い高さの壁に、角には物見やぐらのようなものも付いている。
 急遽仕立てた建物ではないのだろうが、元々ある建物にしてはずいぶんと厳重な印象を受けた。
 転移魔法で正面門より少し手前に降り立った私たちに、正門右下の使用人の出入り口から誰か出てきた。身なりと魔力が感じないことから平民だろう。初老の下男と思しき男はこちらを見て頭を下げる。

「お待ちしておりました。どうぞこちらに」

 下男の対応はとても丁寧ではあるが、連絡済みの騎士に対して通常これはない。ディー先輩がその無礼さに頬をひくつかせる。正門も開けることなく使用人の出入り口を通らせるのは、正式に派遣された相手にする態度ではないのだ。

「大丈夫かディー先輩」
「クンツは腹が立たないの?曲がりなりにも群青魔道騎士団は王立騎士団の一つだ。その騎士に対してこの態度……!」

 領地に住まう貴族であっても、大抵王都に屋敷を持っている。転送魔法陣を敷くための屋敷に近いが、彼らが王立である群青騎士の身分を正しく理解していない筈がなかった。歯ぎしりせんばかりのディー先輩に私はそっと肩を落とした。

「もしかしたらリンデンベルガーである私がいるからかもしれない。すまない」

 リンデンベルガーの騎士は、身分の割には貴族らしい待遇を受けることはほとんどない。魔力があり第五侯爵家の一家に数えられていても騎士は使い捨てだ。私や兄弟たちは気にしないのだが、こう、同行者がいるときは気が引ける。
 私の言葉にディー先輩が慌てて首を横に振る。

「クンツが謝る事じゃないよ。……行こう」

 気を使わせてしまった。
 私がしょんぼりしていると、ユストゥスが軽く頭を撫でてくる。少しばかり微笑み返すと、すうっと目を細められた。男の指先が私の耳朶を軽く揉んで指が離れる。

「な、な」
「クンツ?」
 な、な、何をするのだあの男!
「なんでも、ない」

 気を取り直したディー先輩がなかなか入って来ない私を呼んだ。ちろりと背後を見やり、私は眉尻を下げる。無意識に少し、唇を突き出してしまう。

「えっち」

 そう告げると、ユストゥスはまた睨むような眼差しのまま口元を手で抑える。イェオリが少しばかり呆れた表情を浮かべてユストゥスの二の腕を軽く叩いているのを眺めてから、視線を引き剥がすように前を向いた。
 外の堅牢な外見とは違い、屋敷は贅が尽くされたものだった。ただ、私が見て派手で豪華でぎらぎらしているな、と思う程度にはあまり趣味の良い建物ではない。

 ユストゥスとイェオリは表玄関からの入室を認められずに、使用人の出入り口に通されることになった。もう一人慌てて出てきた下男らしい男に案内される形で二人とは別れる。群青騎士の奴隷は喋れないので、私たちの借りる予定の部屋に通してほしいと言えば、気の毒そうな視線を向けながら頷かれた。
 主のセンスはともかくとして、使用人の性格は悪くないらしい。

 案内される道すがらの廊下には毛足の長い絨毯が敷かれ、壁紙はこれ見よがしな金糸が使われていた。調度品も派手な紋様の物ばかりだ。無駄にド派手なそこ通り抜けて、私とディー先輩はすぐさま元公爵の執務室へと案内された。
 通された執務室もなかなかにド派手で、私は周辺を見回すことを耐えるのに苦労した。私としては興味深いし面白いとは思うのだが、ディー先輩は感情をそぎ落としたような無表情だった。

 警護対象の元公爵のガスパレオ・ザイグレンター卿は……何というか褒められた性格をされていない方で、血肉が削げたような皮と突き出た骨ばかりが印象に残る老人だった。
 美しいディー先輩に始終好色な目を向けている。端から見ていても気分の良くない、濁った瞳だった。

「貴殿には、わしの寝室の警備を願おうか。なあに、寝台の上で横たわっていてもよいぞ」

 黄ばんだ歯を見せ笑う貴族を完全に無視したディー先輩は、一方的に近い警備予定を告げ、その場にいた執事を急かすようにして退出した。
 私とは自己紹介時に一度視線を交わした程度で、そのあとは実に見事に存在を無視されていた。指名をした割にそっけない。

 うーんムキムキな筋肉は好きではないのだろうか。

 そのあとはザイグレンター卿の持つ私兵との顔合わせた。正直、強い魔力を持っている者がほとんどいない。平民出の魔術を持った者か、下級貴族が雇われたのか……その程度の魔力しか見えなかった。それならよほどあの好色な卿の方が強いぐらいだった。
 力量を見定められないだけあって、体躯の良い私のことは少しばかり怯えた表情を向けるものの、ディー先輩には見下した態度を取るので辟易してしまった。吹き飛ばさなかったのは、ひとえにディー先輩が相手にもしていなかったからだ。
 あまり楽しくない気分で、次に屋敷内の使用人や、侍女と挨拶を交わす。その中に数名、毛色の違う婀娜めいた侍女がいた。いた場所も他の使用人や侍女たちとは違う部屋だった。

「あらあ、なんて立派な騎士様。ふふ、あっちの方も強そう」
「若いといろいろ持て余し気味でしょう?ねえ、少しお話しない?」

 ディー先輩にはなにやらとげとげしい眼差しを向けていた彼女らは、私に対してはなぜだか随分と好意的な視線を向けてきたので驚いてしまった。
 胸元から背中が大きく開いた彼女たちの格好が寒々しくて私は眉間に皺を寄せてしまう。侍女は他にもいるが、どうしてこの者たちはこんな寒そうな恰好をしているのか、つい心配になってしまった。

「悪いが任務がある。……あの、風邪を引かない格好をした方がいいぞ。私の上着で良ければ、貸すか?」

 たゆんと柔らかそうな胸部を見せつけたいのはわかる。私とて自慢して良いなら自慢の肉体だ、服を脱いで見せつけてもいい。
 私が心配したようにこそっと小さく尋ねれば、彼女たちに弾かれたように笑われてしまった。

「っははは!あんた、あの人と顔立ち似てんのにぜんっぜん違うのねえ!」
「いやもうかわいい!ほんと夜にあたしの部屋に来ない?」
「我々は任務で来ておりますので。行くぞクンツ」
「ああ。……本当にもう少し厚着した方が「クンツ!」」

 顔合わせは終わったとばかりにディー先輩に引きずり出される。私たちを案内していた執事はこれで終わりだと告げ、私たちが泊まる部屋へと案内された。
 使用人たちの空き部屋なのだろう、隣り合った部屋にユストゥスやイェオリが持ち込んだ荷物が置かれていた。私にとっては壁があるだけまだよいと思ったが、ディー先輩は完全に不機嫌だった。
 片方の部屋に4人で集まると、口火を切ったのはベッドに腰掛けて足を組んだディー先輩だった。私は唯一部屋にあった椅子に腰かけていたが、奴隷2人は壁に寄り掛かって話を聞いている。

「クンツ、あの女たちは相手にしなくていい。卿の愛人だ」
「愛人!……つまりプロ!」

 なるほど。閨房術の長けた女性たちか。全然思い当たらなかった。

<何があったんだ?>
「まあ、いろいろとね」

 ディー先輩はため息を一つ零すと、2人に事情を伝える。ここの屋敷の主であるザイグレンター卿を始め、私兵たちはディー先輩に対して敬意を払うつもりがないこと、使用人たちの態度は悪くないが、愛人たちは私に対して偏った好意を持ったこと。

 ……偏った好意とは何だろうな?ユストゥスが唸らんばかりに顔を顰めていた。

 極力主観をそぎ落としだだろう言葉だったが、ディー先輩の専属奴隷であるイェオリは目を細めて口元に笑みを浮かべた。ただその瞳は冷えた炎を灯して揺らめいている。

<全てが片付いたら殺したい>
「イェオリ……」

 物騒なことを手話に乗せるイェオリに、ディー先輩はほんのりと頬を赤らめる。招く仕草をしたディー先輩にイェオリがディー先輩の隣に腰を下ろせば、その肩に顔を寄せた。
 仲睦まじい様子に私は思わずユストゥスに視線を向け、ユストゥスも私を見ていることに気付くと思い切り視線を外す。頬が熱い。

「バルタザールにも説明したけど、エリーアスの顧客リストに載っている貴族は、貴族の振る舞いを忘れてるんじゃないかと思うような者ばかりのようだ。前回行った貴族のところもそうだった。……ユストゥス、どう思う?」
<元々悪趣味な仮面舞踏会に出席してる奴らだから、わからねえではねえけど……少しおかしい>
「おかしい?」

 ディー先輩の問いかけにユストゥスが何を言い出すのかと私がぎこちなく視線を戻すと、奴は思いの外真剣な眼差しをしていた。

<群青騎士の生態……魔肛の話が貴族にも伝わっていたいたとしても、群青騎士は英雄の集まりでもある。実際にその実力もあるし、思惑はどうであれ他の王立騎士団同様、群青騎士団を擁立する立場にあるはずだ。群青騎士団は魔族魔物討伐に特化した騎士団でもあるしな>
「つまり?」
<目に見えてのぞんざいな扱いは普通はしねえ。……群青騎士団の清廉な表の顔を保つために頑張ってたのは団長やエリーアスだが、エリーアスが離れた途端それがすぐに崩れるのも妙だ>
<と言いつつ、君なんか心当たりあるんだろう?>
「知ってることがあるなら話して」

 ディー先輩とイェオリの合いの手にユストゥスは床に胡坐をかいて座り込み、頭を掻いた。何やら言い淀んでいる部分が見て取れるが、2人からの視線の圧を受けて肩を竦めた。

<クンツ、こっちに来い>
「んっ?」
<お前には聞かせられない話をするから、こっちに来い。俺の膝の上に乗れ>
「なん、なに?私をのけ者にして内緒話をするつもりか?」
<そうだ。でも追い出したいわけじゃねえから俺に抱き着け。な?>

 急に何を言い出すのだ。私が動揺していると、膝立ちになったユストゥスに強引に腕を引かれる。すっぽりととまではいかないが、気付けばユストゥスの腕の中に収まっていた。
 途端に胸が高鳴る。また顔も一段と熱くなった気がする。思わず強くユストゥスの肩を掴んでしまったが、お互いの肩口に顔を乗せてる状態でユストゥスの表情は伺えなかった。

<これはには聞かせられない話だ。クンツはヒュギル……ディーターを治療したあの高位魔族を、魔族として認識してないからな。俺が知ったことを先に伝えるぞ。コンラーディン王国は魔族が既に掌握済みだ>

 私の腹を抱きしめるように回って腕が動いている感覚がある。背後でどちらかが息を飲む声が聞こえたが、たぶんディー先輩のものだろう。
 しかし……手話が見えていない、会話に混ざれないというのに、腹が立たないのはどうしたことか。

<王族の背後にはファーストネームはゲオルグ、ファミリーネームはギルファウスって名前の魔族がいる。ディー、声出すなよ。クンツの気を引くことになる。ギルファウスはわかるな?……よし>
 ユストゥスの体温は思いの外温かい。衣服越しに男の鼓動が伝わってくる。首筋に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。なんだか力が抜けて、ぎゅっと首に抱き着いた。
 ふふふ。おまんこせずに男に抱きしめられているというのは、存外心地が良いものだな。ぐるぐる腹の音が鳴っている気がするが、触れ合っているだけでも不思議と満足している。……体温でなんだか眠くなってきた。

<ヒュギルはゲオルグの甥に当たる魔族で、俺はクンツのことでヒュギルと契約した。詳細は記憶を消されてて覚えてねえんだが、姿が変わったのはそれのせいだ。んでそのヒュギルはこの王国を乗っ取ろうとしてる。そして暴走したマインラート……カインザートの背後にも別の魔族がいる。ここまではお前らが信じようと信じまいと確定情報だ。んでここからが俺の予想。今裏で勢力図が大きく動いている。エリーアスが片足突っ込んでた趣味の悪い催し物は、王族側にいるゲオルグが主催らしい。そこに参加してた貴族が、まともな人間かどうか……危ういと思ってる>
「それって」

「んあっ?」

 寝落ちしかけていた私は、ディー先輩の声に意識を現実に戻された。びくっと身体を跳ねさせた私の背を、ユストゥスの手が優しく撫でる。振り返ろうとすると、頭をやんわりと撫でられた。
 微睡みがまた私を捉えようとしていて、ユストゥスに抵抗しにくい。結局すやあっと私は眠りに落ちていた。


 眠い。熱い。眠い。気持ちいい。熱い。気持ちいい。気持ちいい……!


「ひぁあっ?!ああっ、あんっあ、あああっ!」
 ぐるぐると下腹に熱が渦巻いている。周囲は明かりが絞られていて薄暗かった。寝起きの混乱でばたつく私を背後からベッドに押し付けるように、肩をしっかりと抑え込みながら中に熱く焼ける飛沫を注ぎ込まれる。また嬌声が零れた。ぐじゅぐじゅに蕩けたおまんこは、入り込んでいたペニスに美味しそうにしゃぶりついている。
 頭上にロウソクの炎が一つあるのだろう、ゆらゆらと男の影が揺らめいていた。私が起きたのがわかったのか、ちゅっちゅっと肩やうなじに口づけを落とされ、快感を長引かせてくる。

 寝ている最中に犯されたのだと知っても、少しも恐怖はない。それどころかユストゥスの体温に包まれていて安心感を覚えた。もちろん羞恥もあるのだが、快感に蕩け切った身体には少しも力が篭らない。……反射でユストゥスを傷つけることがなくて、私自身ほっとした。

 ユストゥスが私に見えるように手を動かす。

<クンツが俺に慣れるまで、しばらくは寝てる間にするからな>
「ん……」
 小さく頷くと、ユストゥスに褒められるように頭を撫でられて、その手の気持ち良さにうっとりとしてしまった。


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