40 / 70
アルゴーの集落編 〜クーリエ 30歳?〜
X-40話 悲痛の叫び
しおりを挟む
「初めまして。コルルさん。僕の名前はユウシ。よろしくね」
暗闇に姿を溶け込ませていた彼の姿が、テント内の光源に照らされて、次第にその輪郭をあらわにしていく。ベットに寝転がっている時には分からなかったが、彼の優に175cmは超える高身長がやけに大きく見えた。そして、相変わらずの笑みを浮かべた表情を作ると、俺とコルルがいるテント内に堂々と何の躊躇いもなく侵入してくる。
「ユウシさん? ねえ、クーリエさん。この人は一体?」
コルルが半ば助けを求めるような顔をしながら俺の方をじっと見つめてくる。俺は彼女の肩を一度ポンと叩き、彼女の緊張が和らぐように努める。彼の登場で俺の頭で構築された話の手順は破綻していた。そして、彼はそんな俺とコルルの心境などを余所に遠慮なく話を進めていく。
「僕は先ほども言ったと思うけど、今回の集落が火でほぼ全焼するという事件、まぁ事故って言っても良いかも、まぁ、何にせよそれを引き起こした張本人。
そして、そこにいる彼の天恵からもたらされる攻撃によって、敢えなく意識を失って今さっき目覚めたこの集落が生み出した神童さ!」
思わず呆気に取られてしまうコルル。でも、彼を目の前にするとこうなるのは仕方がないとさえ俺は思っていた。だって、俺もそうなったんだから。テント内を赤く染め上げる光源の火がゆらゆらと揺れ動くのは彼女の今の心境を表しているかとさえ思った。
「後半部分はよく分からなかったんだけど、あなたがこの集落の全焼を引き起こしたのは本当なのかしら?」
「本当さ~。当の本人が言っても信じてもらえないのなら、そこにいる彼に聞いてみたら。彼のことは信頼しているんでしょ?」
ユウシは笑顔を崩さない。笑顔が適さないシリアスな会話にも関わらず、不適切だとさえ思わせる彼の態度に少なからず俺は違和感を覚えた。だが、目の前の彼女の怒りのボルテージがゆっくりとでも着実に上がっているのを俺は見逃さない。いや、正直に言うと、彼の態度なんて気にもならないくらいに彼女の挙動に意識を向けていた。
「彼の言っていることは本当? クーリエさん」
尋ねる彼女に俺は真剣な顔を作って返した。
「あぁ。それは本当だ」
「ね? 言ったでしょ? さて、では次に話すことは——」
「あなたは、一体どういうツラを下げてここまできたというの!!!!」
彼女の悲痛な叫びがテントを通り越して、静かに夜の光を含む森に響き回った。彼は依然として表情を崩さない。だが、数秒後にはテント内外を通じて同時に静寂が包み込むのであった。
暗闇に姿を溶け込ませていた彼の姿が、テント内の光源に照らされて、次第にその輪郭をあらわにしていく。ベットに寝転がっている時には分からなかったが、彼の優に175cmは超える高身長がやけに大きく見えた。そして、相変わらずの笑みを浮かべた表情を作ると、俺とコルルがいるテント内に堂々と何の躊躇いもなく侵入してくる。
「ユウシさん? ねえ、クーリエさん。この人は一体?」
コルルが半ば助けを求めるような顔をしながら俺の方をじっと見つめてくる。俺は彼女の肩を一度ポンと叩き、彼女の緊張が和らぐように努める。彼の登場で俺の頭で構築された話の手順は破綻していた。そして、彼はそんな俺とコルルの心境などを余所に遠慮なく話を進めていく。
「僕は先ほども言ったと思うけど、今回の集落が火でほぼ全焼するという事件、まぁ事故って言っても良いかも、まぁ、何にせよそれを引き起こした張本人。
そして、そこにいる彼の天恵からもたらされる攻撃によって、敢えなく意識を失って今さっき目覚めたこの集落が生み出した神童さ!」
思わず呆気に取られてしまうコルル。でも、彼を目の前にするとこうなるのは仕方がないとさえ俺は思っていた。だって、俺もそうなったんだから。テント内を赤く染め上げる光源の火がゆらゆらと揺れ動くのは彼女の今の心境を表しているかとさえ思った。
「後半部分はよく分からなかったんだけど、あなたがこの集落の全焼を引き起こしたのは本当なのかしら?」
「本当さ~。当の本人が言っても信じてもらえないのなら、そこにいる彼に聞いてみたら。彼のことは信頼しているんでしょ?」
ユウシは笑顔を崩さない。笑顔が適さないシリアスな会話にも関わらず、不適切だとさえ思わせる彼の態度に少なからず俺は違和感を覚えた。だが、目の前の彼女の怒りのボルテージがゆっくりとでも着実に上がっているのを俺は見逃さない。いや、正直に言うと、彼の態度なんて気にもならないくらいに彼女の挙動に意識を向けていた。
「彼の言っていることは本当? クーリエさん」
尋ねる彼女に俺は真剣な顔を作って返した。
「あぁ。それは本当だ」
「ね? 言ったでしょ? さて、では次に話すことは——」
「あなたは、一体どういうツラを下げてここまできたというの!!!!」
彼女の悲痛な叫びがテントを通り越して、静かに夜の光を含む森に響き回った。彼は依然として表情を崩さない。だが、数秒後にはテント内外を通じて同時に静寂が包み込むのであった。
0
あなたにおすすめの小説
一国一城の主を目指す!〜渇望の日々を超えて。
リョウ
ファンタジー
何者かになりたかった。
だが現世でその願いは叶わず、男は敗北感と悲嘆を胸に沈んでいた。
そんな彼の前に現れたのは、一柱の女神。
導かれるまま異世界へ転移した男は、新たにレイと名乗り、剣も魔法も身分もない底辺から成り上がることを決意する。
冒険者として生きる術を学び、魔法を覚え、剣を磨き、人と裏社会を見極めながら、レイは少しずつ力を蓄えていく。
目指すのは、ただ生き延びることではない。
一国一城の主となり、この世界で“何者か”になること。
渇望を燃料に、知恵と執念で上へ上へと這い上がる、ファンタジー成り上がり譚。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
構造理解で始めるゼロからの文明開拓
TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。
適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。
だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――!
――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる
初
ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。
レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。
これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる