世界の深淵を0歳までの退化デバフをかけられた俺が覗くとき

卵くん

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アルゴーの集落編 〜クーリエ 30歳?〜

X-45話 カーブス医師

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 ワナワナと震える彼を俺は何の企みも抱かせない純粋な瞳で見つめかえす。ユウシが何に激昂したのか、分かる余地もなかったがある程度取り乱すほどには衝撃的なことがあったのだろう。

「騙す? 何を言っているんだ? 俺は君に対して一つも嘘はついていないし、騙すような行いは取っていない」

「嘘をついていてほしかった!!」

 彼の悲痛の叫びが朝が近づくこの野営地に静かに反響していく。あまりの声のトーンに他の眠っている集落の人が目を覚さないか不安に思ったが、どうやらまだ起きるところまでいっていないようだ。誰かがテント内から眠気眼で出てくる気配はない。

「ちゃんと話してくれ! よく分からないんだ。君は一体何にそこまで駆り立てられているんだ?」

「楽しかったか? 僕が、感情をよく理解できない僕を騙して掌で踊らすのは。いや、答えなくても分かる。そうに決まっているからな。もし、僕があなたと全く同じ立場だったら今頃お腹を抱えて笑い飛ばしているだろうよ。やっと気づいたかってね」

「初めて会った君をどう言うふうに考えたら掌の上で操れると言うんだい! もしそんなことが叶うのならば、命を落としたあの博士のことすら救えただろうに」

「あなたが殺したんでしょ?」

 ユウシは冷たく言い放つ。一切の躊躇いなしに。

「なに?」

「あなたが殺したんだよ。もういいよ、嘘をつくのは。どちらにとってもメリットがない。不毛な掛け合いが増えるだけだ」

「俺は殺してない」

「不毛だと言った話をするんじゃない!!」

 ユウシの右手がこちら側に向けられる。俺は咄嗟に回避の行動をとる。恐らく飛んでくるのは炎による攻撃。威力はこの場所では限られているだろうが、直撃だけは避けた方がいいと頭の中を激しく命令が振動している。

『ボォォォオ!!!!』

 先程まで俺が立っていた場所に伸ばしていた草花が途端に炭素と化していく。幸いなことに威力は俺の予想よりも遥かに低くコントロールされていて、回避を取ったもののそれはやや大袈裟に映る者であった。

「攻撃は良くないと思うぞ。特に、こんな場所ではな」

「うるさい。人殺しが僕に指図するな。何なら、この野営地をもう一度マルっと炎に包んでもいいんだぞ。まぁ、それをしたらあなたが喜ぶだけだからやりはしないけど」

「さっきから何を言っているのか全く分からない。本当に教えてくれ。君は一体何に激怒しているんだい!」

「白々しい。あなたが会おうとしていた人物が問題なんだよ。カーブス医師。その人はこの集落に天恵複数所持実験を持ち寄った初めての人物。そして、実験のパトロンとして実験対象をこの集落に何度も持ち寄ってきていた人の名前だ!!」

 俺は言葉を見失ってしまい、その場で呆然とするしかなかった。もう朝は近い。

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