世界の深淵を0歳までの退化デバフをかけられた俺が覗くとき

卵くん

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アルゴーの集落編 〜クーリエ 30歳?〜

X-53話 目と鼻の先

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「あのカラスが言ってたことって、つまりはそう言うことなのか? 皆から期待されていた、信頼を得ていた医師達は、その裏でそれ以上の陰口を言われてきた。それを見返す為か、もしくは自分の殻に深く閉じこもるようになって、天恵の複数所持を試みる実験を始めたってことなのか?」

 この時、俺はある男の顔が頭をよぎった。そいつは自分のことを常に神童だと呼称していた。もし、常日頃からそのような態度を多くとっていたとすれば、彼もその嫌悪の対象の部類に含まれていたのではないだろうか。

「僕は人の心がよく分からない・・・か」

 彼がコルルに対してこぼした言葉を鮮明になって思い出してしまう。人間の一番汚い部分に常に晒され続けた彼に、そのような機微や感謝の感情などを表現してくれる人は、傍にいなかったのだろう。

天才ゆえの孤独。彼は、自分と実際に実験の指揮を執っていた博士とは仲違いをしたと、俺たちに説明してくれた。しかし、それは本当なのだろうか。博士が絶命したことは間違いないが、果たして最初から彼と博士とは仲違いをしていたのだろうか。

「案外、最初は気があったのかもしれないな。はぶられ者同士で」

 さて、俺は今一度カラスから与えられた問題について振り返ってみる。カラスが表現した、鳥と人間の比喩。鳥は、集落における医師達であり、人間はそれ以外の人間を表していることは明白。加えて、人間が普通に生きていて見下ろすための場所を探すと、そこは地下だ。この集落のどこかに、地下に続く秘密の研究所があるのだ。

「あれ? そういえば、まだ入り口の謎を解いてなかったか?」

 自分のおとぼけさにほとほと呆れが出るが、幸いなことにその答えは今まで悩んでいたのが嘘かのように、すっと答えが出た。と言うのも、すでに途中である程度の考えが出ていたのだ。見下ろされるのが嫌なら、それを見えないようにすればいい。その場所を日常に溶け込ませ、集落の人に感づかせることもない場所。

「そうなると場所は限られてくるよな。医療場に点在した住居から地下に伸びているのか。いや、そうなると他のこの実験と関係ない医師にすぐ気づかれる。なら、この線は考えづらいか。逆転の発想がいる。入口は建物外にあると仮定して、どこが一番この場所にとっての日常と同化している?」

 俺は自分の頭の中に浮かんだ答えを信じて、カラスに案内された場所から一歩足を踏み出し、移動を始めた。目的地はあそこだ。それは、目と鼻の先にあったのだ。
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